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第三章
行動を開始してやりました。
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静かになったシスターを床に転がし、私はマールマールをごっそり抱えて暖炉へ向かいます。
「シスターフィア。いい加減にしなさい」
いつの間にか暖炉の前に立ちはだかったユリア様は、私に冷ややかな視線を向けておりました。
「そこをどいて下さいまし。この汚物を燃やし尽くさねばなりませんの」
「マールマールはマザーとの絆です。暴言を撤回しなさいシスターフィア」
ユリア様の言葉に私は絶句します。人から正気を奪う毒草をあろう事か『絆』と仰りました。その言葉から連想される事実に私は頭が爆発しそうになります。
「こんなもの……絆ではなく鎖ではありませんか」
「ここはそういう場所なのよ。貴女には理解しろとも染まれとも言わないわ。ただ、大人しくしていなさい」
こんな所にまで来て、こんなモノを見せられるとは思いませんでした。私は俯き歯を噛みしめます。
「出発まで一週間です。彼女たちは貴女と同じ役割を与えられています。仲良く……は出来ないにしても、無駄な衝突は得策ではありません」
俯いた姿が、頷いたように見えたのでしょう。ユリア様は私の肩に手を置き、やれやれと言いたげな溜め息を吐きます。
「旅支度はこちらで済ませておきます。貴女は任務が無事に成功するよう、女神に祈りを捧げ、来たる日を待ちなさい」
私の返事など不要らしく、ユリア様は部屋を出て行きます。けれど、部屋の扉を閉める前に、床に転がるシスターに向かって声を掛けられました。
「シスターレダ、貴女たちの代わりはいくらでもいるのです。戻って来たシスターフィアは少し混乱しているだけ、こちらでの生活を思い出すまで、優しく接してあげて下さいね」
色々と事情がおありのようで、シスターレダと呼ばれた憐れな羊は、ビクッと明らかな動揺を見せました。
扉が閉じられ、私は廊下に響く威圧的な足音が遠ざかっていくのを確認します。邪魔者が去ったようなので、シスターレダの口を塞いだ布を外してやりました。
「あんた一体何者なの?」
私に対するネガティブな感情がありありと浮かぶシスターレダは、元が美しい造りのせいか可愛げというものが一片たりとも見当たりません。
「あら、私は言いましたよ。貴女に教えてさし上げる名前は持ち合わせていませんと」
私は乱雑な床の上を物色し、手入れのされていない錆びた裁ちバサミを手に取ります。自分を拘束した相手が、刃物を手に取ったからでしょうか、シスターレダは小さく悲鳴を上げて床を必死で這い、私から距離を取ろうとしました。
「止めて、やめてよぉ、私が何したって言うのよ。こ、殺さないで」
何を勘違いしているのか、命乞いをし始めたシスターレダを無視して、私は部屋にあったシーツを適当な長さに切り分けます。一体どれほど必要か、正直検討がつきませんが、足らなければ補給すればよろしいでしょう。私は一通り準備が終わったので、錆びた裁ちバサミをショキショキ鳴らしながら、シスターレダに歩み寄ります。
「貴女と同じ『ドール』でしたか……そう呼ばれている方が滞在されているお部屋をおしえて下さいますか?」
「シスターフィア。いい加減にしなさい」
いつの間にか暖炉の前に立ちはだかったユリア様は、私に冷ややかな視線を向けておりました。
「そこをどいて下さいまし。この汚物を燃やし尽くさねばなりませんの」
「マールマールはマザーとの絆です。暴言を撤回しなさいシスターフィア」
ユリア様の言葉に私は絶句します。人から正気を奪う毒草をあろう事か『絆』と仰りました。その言葉から連想される事実に私は頭が爆発しそうになります。
「こんなもの……絆ではなく鎖ではありませんか」
「ここはそういう場所なのよ。貴女には理解しろとも染まれとも言わないわ。ただ、大人しくしていなさい」
こんな所にまで来て、こんなモノを見せられるとは思いませんでした。私は俯き歯を噛みしめます。
「出発まで一週間です。彼女たちは貴女と同じ役割を与えられています。仲良く……は出来ないにしても、無駄な衝突は得策ではありません」
俯いた姿が、頷いたように見えたのでしょう。ユリア様は私の肩に手を置き、やれやれと言いたげな溜め息を吐きます。
「旅支度はこちらで済ませておきます。貴女は任務が無事に成功するよう、女神に祈りを捧げ、来たる日を待ちなさい」
私の返事など不要らしく、ユリア様は部屋を出て行きます。けれど、部屋の扉を閉める前に、床に転がるシスターに向かって声を掛けられました。
「シスターレダ、貴女たちの代わりはいくらでもいるのです。戻って来たシスターフィアは少し混乱しているだけ、こちらでの生活を思い出すまで、優しく接してあげて下さいね」
色々と事情がおありのようで、シスターレダと呼ばれた憐れな羊は、ビクッと明らかな動揺を見せました。
扉が閉じられ、私は廊下に響く威圧的な足音が遠ざかっていくのを確認します。邪魔者が去ったようなので、シスターレダの口を塞いだ布を外してやりました。
「あんた一体何者なの?」
私に対するネガティブな感情がありありと浮かぶシスターレダは、元が美しい造りのせいか可愛げというものが一片たりとも見当たりません。
「あら、私は言いましたよ。貴女に教えてさし上げる名前は持ち合わせていませんと」
私は乱雑な床の上を物色し、手入れのされていない錆びた裁ちバサミを手に取ります。自分を拘束した相手が、刃物を手に取ったからでしょうか、シスターレダは小さく悲鳴を上げて床を必死で這い、私から距離を取ろうとしました。
「止めて、やめてよぉ、私が何したって言うのよ。こ、殺さないで」
何を勘違いしているのか、命乞いをし始めたシスターレダを無視して、私は部屋にあったシーツを適当な長さに切り分けます。一体どれほど必要か、正直検討がつきませんが、足らなければ補給すればよろしいでしょう。私は一通り準備が終わったので、錆びた裁ちバサミをショキショキ鳴らしながら、シスターレダに歩み寄ります。
「貴女と同じ『ドール』でしたか……そう呼ばれている方が滞在されているお部屋をおしえて下さいますか?」
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