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第三章
うんざりさせられました。
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「素直でよろしい。じゃあ、軽く貴女の『シスターフィア』の設定を伝えておくわ」
身も蓋もなく『設定』と言われてしまいました。フィアでもなくエレノアでもない私には、確かに必要な知識かもしれません。
「フィアは貴女が知っているシスターとは少し立場が違うの。マザーが特別に目を掛けたシスターたち、『聖女の人形』や『ドール』と呼ばれる聖職者の中でも、かなり異質な存在よ」
「お人形ですか……あまり恵まれた境遇とは思えませんね」
ユリア様にそう伝えると、苦笑しながら「そうでもないわよ」と、私の不安は一蹴されます。
「マザーの密命以外は、成金のお嬢様と同じく何一つ不自由のない生活が約束されているの。通常の雑務は一切課せられていないし、必要だと言えばいくらでも遊興費が出る」
「成金にも不自由はいくらでもありますのよ」
「なぁに? どうして不機嫌そうな顔をするのよ。ただの例え話じゃない」
ピンポイントで嫌味を言ってくるユリア様に思わず顔を顰めてしまいました。彼女が意図して言っている訳ではないのは百も承知ですが、言わずにはいられませんでした。
「失礼致しました。旧知に似た境遇の者がおりますの。お気になさらないで」
成金お嬢の苦悩など、聞き苦しいだけです。ましてや、今の私には関係のないこと。そっと胸の内の戸を閉めます。
「なぜマザー様のお人形がそこまで大事にされているのでしょう。密命とやらが、それほどまでに重要なお仕事なのですか?」
「ええ、要人を籠絡させ、マザーの駒を増やす事が、貴女たちドールの仕事よ」
「教会のエスコートサービスですか。随分と手広く活動されているのですね」
予想外ですのに、何故でしょう、割とすんなり事情を察することが出来ました。ユリア様という生き証人がいるせいでしょうね。この方の無駄に濃厚な色香は、同性であるせいか隣りにいると咽せそうになります。
「貴女にぴったりのお仕事でしょう。さあ到着よ。ここが貴女のお部屋。一人部屋ではないけれど、裏路地の安宿と比べれば格段に居心地良いはずよ」
うんざりする事実を聞かされ、私は痛む頭を軽く振りながら、案内された部屋の扉を押し開きました。
身も蓋もなく『設定』と言われてしまいました。フィアでもなくエレノアでもない私には、確かに必要な知識かもしれません。
「フィアは貴女が知っているシスターとは少し立場が違うの。マザーが特別に目を掛けたシスターたち、『聖女の人形』や『ドール』と呼ばれる聖職者の中でも、かなり異質な存在よ」
「お人形ですか……あまり恵まれた境遇とは思えませんね」
ユリア様にそう伝えると、苦笑しながら「そうでもないわよ」と、私の不安は一蹴されます。
「マザーの密命以外は、成金のお嬢様と同じく何一つ不自由のない生活が約束されているの。通常の雑務は一切課せられていないし、必要だと言えばいくらでも遊興費が出る」
「成金にも不自由はいくらでもありますのよ」
「なぁに? どうして不機嫌そうな顔をするのよ。ただの例え話じゃない」
ピンポイントで嫌味を言ってくるユリア様に思わず顔を顰めてしまいました。彼女が意図して言っている訳ではないのは百も承知ですが、言わずにはいられませんでした。
「失礼致しました。旧知に似た境遇の者がおりますの。お気になさらないで」
成金お嬢の苦悩など、聞き苦しいだけです。ましてや、今の私には関係のないこと。そっと胸の内の戸を閉めます。
「なぜマザー様のお人形がそこまで大事にされているのでしょう。密命とやらが、それほどまでに重要なお仕事なのですか?」
「ええ、要人を籠絡させ、マザーの駒を増やす事が、貴女たちドールの仕事よ」
「教会のエスコートサービスですか。随分と手広く活動されているのですね」
予想外ですのに、何故でしょう、割とすんなり事情を察することが出来ました。ユリア様という生き証人がいるせいでしょうね。この方の無駄に濃厚な色香は、同性であるせいか隣りにいると咽せそうになります。
「貴女にぴったりのお仕事でしょう。さあ到着よ。ここが貴女のお部屋。一人部屋ではないけれど、裏路地の安宿と比べれば格段に居心地良いはずよ」
うんざりする事実を聞かされ、私は痛む頭を軽く振りながら、案内された部屋の扉を押し開きました。
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