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圏ガクの夏休み!!
尋問
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「だから、それが誤解なんだ。別に若狭ちゃんは関係ないんだ」
「ちゃん付けで呼んでるくせに、何が誤解なんだよ!」
先輩の口から親しげな呼び方で女の名前が出て、思わず食って掛かってしまった。
「別に俺だけが特別な訳じゃない。山本だってそう呼んでなかったか? 周りがそう呼んでたから、自然とそう呼ぶようになったんだよ。特別な意味なんてない」
「確かに山センも同じように呼んでたけど、山センはその女と一戦交えてんだぞ。先輩は、先輩も、山センが知らないだけで、やっぱり、そうなってたりすんのかよ……その女と」
なんでこんなグタグタになっているのか謎だ。部屋を飛び出した時は、絶対に上手くいくとしか思えなかったのに。
「先輩、その人の事、好きなの?」
オレ山センを信用しすぎじゃね! もし、普通に付き合ってたらどうすんだよ! 屋上から飛び降りろって事か!
「若狭ちゃんは、そんなんじゃないよ」
自爆しまくり自滅するオレに、先輩はいつもみたく頭を撫でて「大丈夫だ」と言うみたいに安心させてくれた。
「でも、好きだったんだろ。何もなかったとしても、先輩はその人の事、好きだったんだろ」
反省室で見た先輩の顔は、そんなんじゃないとは思えない辛そうな表情だったんだ。ハッキリして欲しくて、自分の越えなきゃならないハードルが限界まで高くなると分かっていても、止められず聞いてしまう。
「先輩が一年の時の噂を由々式に聞いた時、そんなの嘘だと思った。でも、遠足の時に髭から本当だって聞いて、すごい変だと思ったんだ。だって、先輩は自分の為に人を傷付けたりしない奴だって知ってたから」
証拠を突きつけて、先輩に何を白状させたいのだろう。
「だから『若狭ちゃん』の話を聞いた時、納得したんだ。先輩は誰かを守る為に、そいつらぶちのめしたんだって」
先輩の本当の気持ちを知りたい。辛くてもその大きさを知りたい。先輩の中に残ってる、オレが塗りつぶさなきゃならない感情を丸ごと全部。
「俺はお前が思ってるような、いい奴じゃない」
「じゃあ、教えてよ。先輩がどんな奴か」
振りほどかれないよう、強く手を握り締める。すると、先輩は力なく笑い「座らないか」と扉のある壁際へオレを連れて行く。壁に背中を預け、肩が触れ合うような距離で隣に座り、しっかり手も握って先輩の答えを待つ。
「助けたんじゃないんだ」
先輩は静かに口を開いた。顔を上げて、その横顔を見ると、どこか遠い所を見るように視線は真っ直ぐと前を向いていた。
「あの日、若狭ちゃんは俺から逃げてたんだ」
予想していなかった言葉に「えっ」と小さく声を上げてしまった。先輩は少しオレの方を向いて、悲しそうな顔で自嘲するように口元を歪める。
「何も分からない俺に若狭ちゃんは色々教えてくれた。圏ガクに来るまで、俺は……まともな生活をしてなかったから、すごく大変だったと思う」
オレは口を意識的に閉じて、黙って先輩の視界の端で、ただ大きく相槌を打った。
「毎日のように、ずっと一緒にいてくれて……それが当たり前のように、感じられて……俺は勘違いをしたんだ」
先輩がフッと視線を落とした。
「ずっと俺は何も持っていなかった。持てないんだと思っていたのに、目の前に若狭ちゃんがいる事に気付いてしまった」
その顔に浮かぶ影は、深い後悔なのだろうか。
「初めて自分のモノが、自分だけのモノが手に入るんだと思ったんだ」
先輩は一旦口を閉じると、こちらに顔を向け、しっかりとオレの目を見ながら言った。
「一度、そう思っちまうと止まらなくなって、俺は若狭ちゃんを襲った。止めろという言葉を聞かず、強引に犯そうとした」
知らず握った手に力を込めていた。先輩の言葉に驚いたせいじゃない。先輩が握っていた手を離そうとしたからだ。
「若狭ちゃんは俺から逃げようとして、あいつらの中に飛び込んじまったんだ。踏んだり蹴ったりだよな」
無理して笑おうとする先輩は、感情を押し殺すような表情を作り、まるで言い聞かせるように続ける。
「好きだったんだろって、お前はさっき聞いたよな。その答えは、分からない、だ。あの時の俺には、好きや嫌いって感覚は、まだなかった」
先輩がまた沈黙する。まるで、オレが理解するのを待つように、真っ新な表情でただ見つめている。何もない表情のくせに「軽蔑しただろう」とか「幻滅しただろう」とか語りかけてくるのがウザイ。
オレは握っていた手を離し、その場に立ち上がった。
「昔の事なんて、どーでもいいし。それより、今はどうなんだよ」
正面に立ち、先輩を見下ろしながら聞く。
「今か……色々面倒をかけたからな、本当にありがたいとは思ってるけど、好きとかそういうのじゃ」
「ちっげぇーよ。これ以上、先輩の口から若狭ちゃんの事なんか聞きたくねーし! てか、その女の事は潔く諦めろ! 嫌だって言われたんだろ」
「あぁ『学校では止めろ』って言われた」
学校じゃなかったらいいのかよ! どんだけ節操ねぇ女なんだ!
「ばっかやろう、そんなんどーでもいいよ! そうじゃなくて、今の先輩に好きや嫌いはちゃんとあるのか聞いてんの!」
「あ、あぁ、そうか。いや、うん。今は、多分、あると思う」
聞きたかった答えが聞けて、オレは少し落ち着きを取り戻す。深呼吸を一つして、その場でしゃがみ込み、先輩と目線を合わせる。
「じゃあ、もう一個、聞いていい?」
この距離のままでいるつもりだったが、神妙に頷く先輩を見て、オレの体は無意識に動いた。膝を付いて手で這い寄り、逃げ出す事を許さない距離で、言った。
「先輩はオレの事、好き?」
きっとオレの息がかかるような距離で、先輩は驚いた顔を見せてくれる。追い打ちのつもりはないが、我慢出来ず、オレは自分の気持ちを口にした。
「オレは先輩が好きだよ」
絶対に持ち出すであろう、面倒なやり取りを省く為、先輩がやったみたいに口で説明してやる事にした。
オレの好きが、どういう好きなのか……分かりやすく熱烈なちゅーをぶちかます。
夏祭りにやった時は、口に付いたチョコを拭ってくれた程度にしか思われなかったからな。動揺している唇に強引に舌を突っ込んで、口を閉じられる前に舌を思いっきり絡ませてやった。
「ちょ、っちょっと待て、せ、セイシュン」
引き剥がそうとしているのか、先輩の手がオレの肩を掴んだが、簡単に離れてやるつもりなんてさらさらない。こっちも先輩の頭を両手で抱え、有無を言わさず唾液を流し込む。
まあ、本当だったら、こんな色々すっ飛ばすようなやり方じゃなく、もうちょっと丁寧に告白するつもりだったのだ。自分からキスして、うわごとみたいに好きだと連呼するとは、夢にも思わなかった。
頭の隅では冷静に、現状を認識しているが、元はと言えば先輩がこういうやり方を教えてくれた訳で『やり返してやった』と思えば、長々とお預け食らってた分を遠慮なく貪れた。
「ぷっはー、ご馳走さん」
とりあえず、満足したオレは、濡れた口元を拭いながら、再び立ち上がって先輩を見下ろす。
うん見事に「何するんだ、いきなり!」って顔に書いてあるな。同じ事を女子相手にやったら大問題だろうが、先輩は図体のやたら立派な男な訳で、この程度の強引さは許容範囲なのだ。繊細な大男もいるだろうが、そこは男だ、我慢しろと言いたい。
「先輩がオレと同じ気持ちだとは思ってないよ。でも、オレ、自信あるから」
既成事実を先に作ってしまったが、おかげで少し頭の中は落ち着いた。
「先輩にもオレと同じ好きを言わせてみせる。そんでもって、絶対に後悔させない」
自分の気持ちを宣戦布告にして、先輩に突きつける。
「だから、オレと付き合ってくれ……いや、もう色々と手遅れなんだ。ハッキリ言う! 先輩、ごちゃごちゃ考える前に、とにかくオレと付き合え!」
先輩に拒否権はない。そう言い切ってやったのに、ポカンと呆けた顔した先輩は、何故かオレを見ていなかった。
「…………あ、UFOだ」
「えぇ!? このタイミングで!?」
思わずバッと先輩の視線の先を追うように振り返る。そこには、煌々とした月だけが浮かんでおり、もう逃げたのかと先輩に確認しようとして、自分の馬鹿さ加減に気付いた。
「くっそ、しょーもない手に引っ掛かった!」
目を離した瞬間に先輩は逃亡を図りやがった。校内へ続く扉に駆け込む先輩の背中を追って、オレも走る。
「ちゃん付けで呼んでるくせに、何が誤解なんだよ!」
先輩の口から親しげな呼び方で女の名前が出て、思わず食って掛かってしまった。
「別に俺だけが特別な訳じゃない。山本だってそう呼んでなかったか? 周りがそう呼んでたから、自然とそう呼ぶようになったんだよ。特別な意味なんてない」
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なんでこんなグタグタになっているのか謎だ。部屋を飛び出した時は、絶対に上手くいくとしか思えなかったのに。
「先輩、その人の事、好きなの?」
オレ山センを信用しすぎじゃね! もし、普通に付き合ってたらどうすんだよ! 屋上から飛び降りろって事か!
「若狭ちゃんは、そんなんじゃないよ」
自爆しまくり自滅するオレに、先輩はいつもみたく頭を撫でて「大丈夫だ」と言うみたいに安心させてくれた。
「でも、好きだったんだろ。何もなかったとしても、先輩はその人の事、好きだったんだろ」
反省室で見た先輩の顔は、そんなんじゃないとは思えない辛そうな表情だったんだ。ハッキリして欲しくて、自分の越えなきゃならないハードルが限界まで高くなると分かっていても、止められず聞いてしまう。
「先輩が一年の時の噂を由々式に聞いた時、そんなの嘘だと思った。でも、遠足の時に髭から本当だって聞いて、すごい変だと思ったんだ。だって、先輩は自分の為に人を傷付けたりしない奴だって知ってたから」
証拠を突きつけて、先輩に何を白状させたいのだろう。
「だから『若狭ちゃん』の話を聞いた時、納得したんだ。先輩は誰かを守る為に、そいつらぶちのめしたんだって」
先輩の本当の気持ちを知りたい。辛くてもその大きさを知りたい。先輩の中に残ってる、オレが塗りつぶさなきゃならない感情を丸ごと全部。
「俺はお前が思ってるような、いい奴じゃない」
「じゃあ、教えてよ。先輩がどんな奴か」
振りほどかれないよう、強く手を握り締める。すると、先輩は力なく笑い「座らないか」と扉のある壁際へオレを連れて行く。壁に背中を預け、肩が触れ合うような距離で隣に座り、しっかり手も握って先輩の答えを待つ。
「助けたんじゃないんだ」
先輩は静かに口を開いた。顔を上げて、その横顔を見ると、どこか遠い所を見るように視線は真っ直ぐと前を向いていた。
「あの日、若狭ちゃんは俺から逃げてたんだ」
予想していなかった言葉に「えっ」と小さく声を上げてしまった。先輩は少しオレの方を向いて、悲しそうな顔で自嘲するように口元を歪める。
「何も分からない俺に若狭ちゃんは色々教えてくれた。圏ガクに来るまで、俺は……まともな生活をしてなかったから、すごく大変だったと思う」
オレは口を意識的に閉じて、黙って先輩の視界の端で、ただ大きく相槌を打った。
「毎日のように、ずっと一緒にいてくれて……それが当たり前のように、感じられて……俺は勘違いをしたんだ」
先輩がフッと視線を落とした。
「ずっと俺は何も持っていなかった。持てないんだと思っていたのに、目の前に若狭ちゃんがいる事に気付いてしまった」
その顔に浮かぶ影は、深い後悔なのだろうか。
「初めて自分のモノが、自分だけのモノが手に入るんだと思ったんだ」
先輩は一旦口を閉じると、こちらに顔を向け、しっかりとオレの目を見ながら言った。
「一度、そう思っちまうと止まらなくなって、俺は若狭ちゃんを襲った。止めろという言葉を聞かず、強引に犯そうとした」
知らず握った手に力を込めていた。先輩の言葉に驚いたせいじゃない。先輩が握っていた手を離そうとしたからだ。
「若狭ちゃんは俺から逃げようとして、あいつらの中に飛び込んじまったんだ。踏んだり蹴ったりだよな」
無理して笑おうとする先輩は、感情を押し殺すような表情を作り、まるで言い聞かせるように続ける。
「好きだったんだろって、お前はさっき聞いたよな。その答えは、分からない、だ。あの時の俺には、好きや嫌いって感覚は、まだなかった」
先輩がまた沈黙する。まるで、オレが理解するのを待つように、真っ新な表情でただ見つめている。何もない表情のくせに「軽蔑しただろう」とか「幻滅しただろう」とか語りかけてくるのがウザイ。
オレは握っていた手を離し、その場に立ち上がった。
「昔の事なんて、どーでもいいし。それより、今はどうなんだよ」
正面に立ち、先輩を見下ろしながら聞く。
「今か……色々面倒をかけたからな、本当にありがたいとは思ってるけど、好きとかそういうのじゃ」
「ちっげぇーよ。これ以上、先輩の口から若狭ちゃんの事なんか聞きたくねーし! てか、その女の事は潔く諦めろ! 嫌だって言われたんだろ」
「あぁ『学校では止めろ』って言われた」
学校じゃなかったらいいのかよ! どんだけ節操ねぇ女なんだ!
「ばっかやろう、そんなんどーでもいいよ! そうじゃなくて、今の先輩に好きや嫌いはちゃんとあるのか聞いてんの!」
「あ、あぁ、そうか。いや、うん。今は、多分、あると思う」
聞きたかった答えが聞けて、オレは少し落ち着きを取り戻す。深呼吸を一つして、その場でしゃがみ込み、先輩と目線を合わせる。
「じゃあ、もう一個、聞いていい?」
この距離のままでいるつもりだったが、神妙に頷く先輩を見て、オレの体は無意識に動いた。膝を付いて手で這い寄り、逃げ出す事を許さない距離で、言った。
「先輩はオレの事、好き?」
きっとオレの息がかかるような距離で、先輩は驚いた顔を見せてくれる。追い打ちのつもりはないが、我慢出来ず、オレは自分の気持ちを口にした。
「オレは先輩が好きだよ」
絶対に持ち出すであろう、面倒なやり取りを省く為、先輩がやったみたいに口で説明してやる事にした。
オレの好きが、どういう好きなのか……分かりやすく熱烈なちゅーをぶちかます。
夏祭りにやった時は、口に付いたチョコを拭ってくれた程度にしか思われなかったからな。動揺している唇に強引に舌を突っ込んで、口を閉じられる前に舌を思いっきり絡ませてやった。
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まあ、本当だったら、こんな色々すっ飛ばすようなやり方じゃなく、もうちょっと丁寧に告白するつもりだったのだ。自分からキスして、うわごとみたいに好きだと連呼するとは、夢にも思わなかった。
頭の隅では冷静に、現状を認識しているが、元はと言えば先輩がこういうやり方を教えてくれた訳で『やり返してやった』と思えば、長々とお預け食らってた分を遠慮なく貪れた。
「ぷっはー、ご馳走さん」
とりあえず、満足したオレは、濡れた口元を拭いながら、再び立ち上がって先輩を見下ろす。
うん見事に「何するんだ、いきなり!」って顔に書いてあるな。同じ事を女子相手にやったら大問題だろうが、先輩は図体のやたら立派な男な訳で、この程度の強引さは許容範囲なのだ。繊細な大男もいるだろうが、そこは男だ、我慢しろと言いたい。
「先輩がオレと同じ気持ちだとは思ってないよ。でも、オレ、自信あるから」
既成事実を先に作ってしまったが、おかげで少し頭の中は落ち着いた。
「先輩にもオレと同じ好きを言わせてみせる。そんでもって、絶対に後悔させない」
自分の気持ちを宣戦布告にして、先輩に突きつける。
「だから、オレと付き合ってくれ……いや、もう色々と手遅れなんだ。ハッキリ言う! 先輩、ごちゃごちゃ考える前に、とにかくオレと付き合え!」
先輩に拒否権はない。そう言い切ってやったのに、ポカンと呆けた顔した先輩は、何故かオレを見ていなかった。
「…………あ、UFOだ」
「えぇ!? このタイミングで!?」
思わずバッと先輩の視線の先を追うように振り返る。そこには、煌々とした月だけが浮かんでおり、もう逃げたのかと先輩に確認しようとして、自分の馬鹿さ加減に気付いた。
「くっそ、しょーもない手に引っ掛かった!」
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