圏ガク!!

はなッぱち

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圏ガクという環境

手淫サービス

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「セイシュン、ちょっとの間、俺の事だけ見てろ」

 何をさせたいのか分からず、とりあえず気まずいながらも言われた通りに先輩をちゃんと見た。いつもと雰囲気が違うから、まるでちんこ掴まれながら説教を受けているみたいで落ち着かない。てか、どういう状況だそれ。いや違うな、そもそもこの状況が既におかしいんだ。

「あー、うん。そういう意味じゃなくてな」

 ジッとひたすら見つめ続けると、先輩はいつもの柔らかい表情に戻って、困ったように笑って見せた。

「さっきの奴らから、された事が頭の中にあるって言っただろ? だから嫌だって」

 嫌なものは嫌なのだ。遠慮無くコクンと頷く。

「そいつら……俺が追い出せないかなって思ってさ」

 目の前に居るのなら追い出すのは容易いだろうが、頭の中となると……どうなんだろうな。オレは先輩が何をするつもりなのか、さっぱり分からず「どうやって?」と率直に聞いてみた。すると先輩が悪戯っぽく笑って、額がくっつくくらい顔を近づけてきた。超至近距離で目が合うと、コツンとやや強めに額をぶつけられる。やっぱりちょっと痛い。

「今こうやってセイシュンを見て、セイシュンに触れて、セイシュンと話してるのは俺だろ?」

「……うん、まあ」

 先輩の額に触れた前髪がくすぐったい。ちんこを掴まれている事すら忘れそうになるくらい、こそばゆい触れ合いが嬉しくて堪らない。

「それなのに、お前が他の奴の事を考えてたら悲しいなーと思ってな」

 そう言うと、先輩はちょっと唇を尖らせながら拗ねた顔を見せた。明らかにオレを乗せる為の芝居だと分かってしまっても、その仕草や表情にやられてしまう。不覚にも胸がきゅーんとなった。

「他の奴の事なんか考えてねーし。先輩と一緒の時は先輩だけ見てるよ……先輩と一緒じゃない時も割と、その」

 フォローしたくて慌てて口を開くと、要らん事まで色々出そうになって、すぐに口を閉じた。先輩はオレの返事に満足したらしく、オレのちんこから手を離してくれた。

 ホッとしてオレはそそくさと服を着ようとするのだが、完全に勃起して反り返ったちんこをしまうのに少々苦戦する。先輩の手で弄られうっすらと滲み出した先走りで、下着を汚すのは嫌だったが仕方が無い。明日ちゃんと自分で洗濯しようと決心した時、ふいに先輩がオレの首筋に唇を寄せてきた。

 まるで傷口でもあるかのように、カサカサの唇の間から、熱いくらいの舌が肌をなぞる。そのまま言葉もなく、首筋にそって舐め上げられ、スウェットに伸びた手が止まってしまう。背筋をゾクゾクと這い回る快感は、腰をピクピクと痙攣させ、そのせいで無駄に自己主張するモノへ自然と手が伸びてしまった。

 服の上から先輩の手が腹を撫でる。指先がつぅーと臍の上を通り過ぎると、さっきまであんなに拒んでいたというのに、その下も先輩の手で触れて貰える事に期待している自分が居た。

「せんぱい」

 自分の声だと思いたくない、甘ったれた声で先輩を呼ぶ。もっと、もっとして欲しい。そう伝えたくて、先輩のシャツを握りしめた。

「セイシュン、お前の中からあいつら出て行ったか?」

 先輩しか見えない。先輩しか感じない。先輩だけ居ればいい。

 そう答えようとしたのに出来なかった。自分の中に、まだ確かに居座る気色の悪さがあったから。

 口内を這い回った笹倉の舌の感触が蘇る。ダラダラと流し込まれた汚らしい奴の唾液が、まだ舌に染みついているようで、口の中が気持ち悪い。一度思い出してしまうと、先輩のおかげで蕩けきった頭に、いきなり水をぶっかけられたような心地がした。

 オレの表情が変わった事に気付いたのだろう。先輩は少し距離を開けて、オレの目を見ながら「どうかしたか?」と聞いてくれる。

「オレ、先輩以外の奴に口ん中舌突っ込まれた……先輩以外の奴にキスされて、口の中、気持ち悪い」

 口に出すと不快感は余計に増して、苦虫でも噛み潰したような顔をしてしまっている。先輩が頭を撫でてくれても、それは消えず、先輩の部屋だというのに床に唾でも吐き出してしまいそうだった。

「後で水汲んでくるよ」

 唇を手の甲で拭う。もう濡れてはいないが、汚れがこびり付いているように思えて、強めにゴシゴシと擦る。そんなオレの手を先輩が握ってくれた。先輩まで汚してしまいそうで、申し訳なくなる。

「後でちゃんと口の中ゆすごうな。今は、これで我慢してくれ」

 擦って少し腫れた唇に冷たい何かが当たった。乾いてカサカサした先輩の唇の感触。軽く触れるだけで、すぐに離れてしまう。

 そんなのじゃ全然足らない。

 少しずつ離れていく先輩の首に腕を回す。

 強引に引き寄せ、オレは荒れた唇にしゃぶりついていた。先輩は驚いた表情をしたが、されるがままだ。閉じられた唇を舌で割って、先輩の歯まで無理矢理に舐める。興奮して無我夢中で先輩の口に吸い付いていると、次第に戸惑ったような遠慮がちな舌先がそれに応えてくれるようになった。

 オレの唾液で濡れた先輩の唇は、オレの舌を受け入れるように開かれるが、舌はそれに戸惑っているような変な感じ。オレに対する嫌悪感の表れなのかもしれないが、分別がつかなくなっている今のオレは、派手に音を立てながら先輩を責め立てた。

「せんぱい、オレの中から、アイツ、追い出して」

 息継ぎしながら、途切れ途切れにずる賢い事を言う。先輩の人のよさを利用してるみたいで、少し心苦しかったが、それよりも目の前にある気持ちよさには抗えなかった。

「オレの中、せんぱいで、いっぱいにして」

 口にする度に舌が深く絡み合う。きっと頭のネジが一本どころか二三本は抜け落ちているに違いない。本当なら顔から火が出るくらい恥ずかしい台詞がポンポンと出て来る。応えてもらえる嬉しさと気持ちよさは、それと引き換えに自分を形作っているものを平気で捨てられてしまう程に甘美で恐ろしい。

 息継ぎの間に先輩の顔を見る。まだ残る戸惑いの表情の中に、僅かに熱を感じて、オレは先輩の首に回していた腕をゆっくりと下ろす。指先が耳に触れ、頬に触れ、首筋に触れる。そして、無理矢理に引き寄せていた先輩を完全に離してやった。

「セイシュン、もうアイツいなくなったか?」

 口から舌を抜いて、そのままの距離で、唇の先が触れ合うくらいの距離で、先輩の熱っぽい息を感じながら、オレは素直に頷いた。先輩が安心したように笑った気がした。

 もう取り繕えないくらいに醜態を晒しまくった今更だ。オレはこれで終了じゃあ納得出来ず、もう一度キスして欲しいとねだるつもりだったが、それは必要なかった。

 オレのがっつくようなキスではない、思わず身を任せてしまうような優しい感触に、惚けた情けない声を上げてしまった。初めてした時とも違う、とろけそうなくらい気持ちいいキスを先輩はしてくれる。

「それじゃあ、こっちも触るな」

 唐突にキスを取り上げられた。もっとよこせと抗議しようとした時、しまい忘れていたちんこを再び握られて体がビクッと震える。
 先輩と舌を絡ませ合ってる内に、先走りでべっとりと濡れた亀頭を手のひらでグリグリと撫で回され、大声で喘いでしまう。あまりの快感に腰が引けてしまったのだが、先輩は再びキスをしながら空いた方の手を腰に伸ばしてきた。

「痛かったら言うんだぞ」

 逃げる事の出来なくなったオレは、濡れた手でくちゅくちゅと卑猥な音を立てながら激しくちんこをしごかれる中、必死にその快楽に堪えていた。今すぐにでも射精してしまいそうな状況で、必死にその衝動を押さえ込む。先を責められると、女みたいな声を上げて、腰が跳ね上がる。

「我慢する必要なんてないからな、セイシュン」

 耳元で囁かれて、カッと顔が熱くなった。先輩の手コキを堪能したいが為に必死こいているのを見抜かれてしまった。一瞬、心が折れそうになったが、なんとか立ち直る。けれど努力も虚しく、先輩はオレにもう一度、あのとろけるようなキスをしてきた。

 それで決めようとしていたのだろう。同時に亀頭を親指の腹で強めに擦られ、腰が痙攣するような感覚に襲われた。

「あぁ、もう、無理!」

 オレは「イクっ!」と声を上げ、なんとか先輩の胸を突き放すように押した。

 ドクッと熱が迸る。顎の辺りに何かが落ちて垂れる。それが何か気付いて、興奮が一気に冷めてしまった。まさか自分に顔射するとは思いもしなかった。射精でここまで飛距離が伸びるとは……我ながら、なんとも言い難い。

「悪い、すごい飛んじまった」

 なんで先輩が謝るんだよと、胸中で悶え倒していると、顎に垂れた精液を何かが拭き取った。いや、何かじゃない。先輩がペロリと舌先で舐め取った。

 先輩は「ん」と毒ジュースを飲んでいる時の表情を浮かべたが、いつもとは違って、目を瞑ると喉がゴクリと動いた。

 手際良く後始末をすると、オレを一人残して先輩は部屋を出て行ってしまった。

「ここは誰も来ないから、安心して先に休んでくれ」

 そう言われても、どこに行くのかすら聞き返す間も与えず、先輩はそそくさと出て行ってしまったので、不安になるなと言う方が無理だった。

 布団の上でゴロゴロと寝返りを打ちながら、先輩がかけてくれたタオルケットにくるまる。この部屋にある物からは、どれも先輩の良い匂いがして、ついつい鼻を埋めて思い切り吸い込んでしまう。

 先輩に抱きしめられているみたいに思えてくるのだ。至福のひとときを味わっていると、不安が安心に、安心が不満に変わるのはアッと言う間だった。

 強引に射精させた後輩を放置して、どこほっつき歩いてるんだ。

 自分勝手な苛立ちは刻々と増していく。歯止めをかけらなかったのは、本当に先輩がなかなか帰って来なかったからだ。

 二十分くらいだろうか、経った頃にオレは部屋の隅、コンロや非常食が置かれてある一角に、白いマグカップが二つ床に置かれているのを見つけてしまった。

 苛々していた気持ちが一瞬で刈り取られる。その代わりに冷え冷えした何かが胸の中に広がって、心臓の音だけが熱を持っているみたいにゆっくりと大きく鳴っていた。

 オレが来る前に……ここに誰か、居たのか?

 そろりと布団から這い出て、マグカップの前に何故か正座してしまう。一つはブラック、もう一つはカフェオレが入っている。ブラックの方は少し飲んだ形跡があったが、カフェオレは誰も口を付けてはいないらしい。触れてみると、二つともすっかり冷えてしまっており、いつ淹れられた物かは分からなかった。

 もしかして、オレに淹れてくれたのかな。前に淹れてくれたカフェオレと同じ色合いだったので、そんな都合の良い事を考えてしまったが、それを確認する為にカフェオレを飲んでしまおうとは思えなかった。

 オレがこの部屋に来てから、先輩はコーヒーに触れていない。なら、準備したのは何時だ? その時にオレが今夜この部屋へと来ると予想するのは可能だろうか?

 詮無い事をグルグルと考えたが、結局もし違ったら……そう考えると、手の中にあったマグカップは自然と元の位置に戻してしまった。

 急に心細くなって、オレは布団へと慌てて戻る。先輩の匂いのするタオルケットにくるまって、不満から不安に戻った気持ちを更に戻して安心したかったが、それは失敗に終わる。不安に飲まれるように、オレは浅い眠りに落ちた。
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