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蜜月
リベンジ
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異議がない事を確認して、オレは一人立ち上がり、手早く着ていたシャツを脱ぎ捨てる。
「セイシュン、寒くないか?」
湯上がりに無理矢理コートを着込んでいたせいで、軽く汗ばんでいたが、冷たい空気はまだ気持ちよく感じた。大丈夫と答えたが、湯冷めを心配する先輩を安心させる為に電気ストーブを引き寄せておく。強にすると暑いので、弱にスイッチを捻る。
「ローション取って」
オレが手を差し出すと、先輩は慌てて布団の間に手を突っ込み、目的の物を取り出し手渡してくれる。いつ来客……と言うか侵入者が来てもいいいように、ローションは畳んだ布団の間に隠してあるのだ。男二人の部屋にあるには不穏すぎる代物だからな。
「あ、そうだ鍵……忘れる所だった」
侵入者の存在を思い出し、オレは忘れていた扉の鍵をかける。誰にも邪魔されない二人だけの密室が出来上がった。
ローション片手に振り返ると、先輩の期待するような熱い視線とぶつかる。一瞬、気まずそうに視線を逸らしたが、オレが半裸から全裸になろうとすると、隠しようのない欲情がそれを固定した。
余裕のない先輩を見せつけられると、何もしていないのに体が興奮で熱くなる。気色悪く口元が緩むのが分かり、咳払い一つでそれを隠す。
「ちょっと待ってろよ。すぐにヤレるようにしてやっから」
興奮のまま先輩に飛び乗りたい気持ちを抑え、まずは下準備(てか下の準備だな)の為に着ている物を全部膝まで下ろす。先輩の視線で撫で回されたせいで、勢いよく飛び出す程に全力で勃起していた。
しかし、ケツをほぐさない事には何も始まらないと、経験を積んだ今のオレは知っているのだ。
片手でキャップを外し、見せつけながら指先にローションを垂らす。ただの粘液が何故エロく感じるのか。呆れ半分、指先で弄んでいると、焦らされている感じがあるのか、先輩がゴクリと生唾を飲み込んだ。
期待されているというのは、なかなかに気分が良い。焦らしまくって涎を垂らす先輩を拝むのも悪くはないが、オレの方もそこまで我慢出来そうにない。
よし、とっとと準備しよう。ケツに指三本突っ込めるようにするぞ。
「……うわッ冷た!」
まずは一本と、べちょべちょの指でケツ穴をまさぐると、触れたローションの冷たさから色気とは無縁の声が出た。体が温まっているから余計に感じるのかと思ったが、普段この不快感がないのは、先輩がローション自体を人肌くらいに温めてくれているからだと気付き、ちょっと溜め息が出た。
「大丈夫か?」
心配そうな声で聞かれる。先輩を見ると、オレの上げた『うわッ』って声の分だけ興奮が冷めていた。
「だ、大丈夫だから」
オレは慌てて指先をケツにめり込ませようと奮闘する。
「すぐケツの準備終わ、終わらせる、から……すぐ、ぐッ……ぅぅ」
自分のケツに、てか肛門を直に触る感触に気持ちが萎える。一度、どでかい失敗をしているから余計に。
立ったままという態勢のせいか、前は割とするっと入ったような気がするのに、指が上手く入らない。なんとか爪先くらいはねじ込めるが、そこから奥へはどうにも進まず呻く。
先輩にして貰う時は、慣らすだけでも気持ちいいのに、今は気持ちよさの欠片もない。正直に言うと何やってんだろ感が強くて、一人ケツの穴に指を突っ込もうとしている自分に引く。さっきまであった興奮もすっかり冷め、当然ちんこも萎えた。
「セイシュン」
先輩の声に気持ちを奮い起こす。中途半端だった服を全部脱ぎ捨て、ローションを大量に追加する。
「くそ……なんで、こんな」
指で弄くってるだけなら、見てるだけでもエロかったローションが、単なる不快感に成り下がり泣きたくなる。
「セイシュン、こっち来い」
全力の敗北感を胸に、優しげな声に誘われ顔を上げると、困ったように笑う先輩が手招きしていた。誘惑に負けて、先輩の元へ戻りたくなったが、指一本すら入らないケツでは何もさせてやれない。オレは気合いを入れ、思い切って指をねじ込んでみた。
「痛ッ、くそ、うまくいかねぇ」
ローションのおかげで、指先こそスルッと入るのだが、その奥がキツイ。無理矢理ねじ込むと予想外に痛くて、つい指先を引っこ抜いてしまった。
「無茶するな。なぁセイシュン、俺にも少し手伝わせてくれ」
もたもたするオレを見かねて、先輩が手を引いて布団へ呼び戻してくれる。安心感が半端ないが、これではいつもと同じになってしまう。先輩のペースに乗っては駄目だ。
「駄目だ。絶対に今日はオレが全部ヤル。先輩は黙ってちんこ勃たせて寝てろ……って、言いたいけど、準備くらいは、その……手伝ってもいいよ」
オレの妥協案に先輩はふにゃっと笑って「わかった。準備だけな」と納得してくれる。何故か嬉しくなってしまって、先輩の上にドーンと座りたくなった。
「おぉ、あのなセイシュン。出来れば、尻をこっちに向けてくれるとありがたいんだが」
気持ちより先に体が動いていた。いきなり椅子にされた先輩が、耳元で注文をつける。
「あと、そんな緊張しなくていいぞ。体、硬くなってる」
「緊張してねぇし! 気合いだよ、気合い」
「そうか……じゃあ、その気合いは少し抜いてもらえると助かるな」
先輩の手がオレの体を持ち上げようとしたので、望む通りに動いてやると、先輩の膝に腹を乗せ、四つん這いのような格好にさせられた。なんか、ケツを叩かれた時の記憶が蘇り、ちょっと複雑な気持ちになる。
「セイシュン、寒くないか?」
湯上がりに無理矢理コートを着込んでいたせいで、軽く汗ばんでいたが、冷たい空気はまだ気持ちよく感じた。大丈夫と答えたが、湯冷めを心配する先輩を安心させる為に電気ストーブを引き寄せておく。強にすると暑いので、弱にスイッチを捻る。
「ローション取って」
オレが手を差し出すと、先輩は慌てて布団の間に手を突っ込み、目的の物を取り出し手渡してくれる。いつ来客……と言うか侵入者が来てもいいいように、ローションは畳んだ布団の間に隠してあるのだ。男二人の部屋にあるには不穏すぎる代物だからな。
「あ、そうだ鍵……忘れる所だった」
侵入者の存在を思い出し、オレは忘れていた扉の鍵をかける。誰にも邪魔されない二人だけの密室が出来上がった。
ローション片手に振り返ると、先輩の期待するような熱い視線とぶつかる。一瞬、気まずそうに視線を逸らしたが、オレが半裸から全裸になろうとすると、隠しようのない欲情がそれを固定した。
余裕のない先輩を見せつけられると、何もしていないのに体が興奮で熱くなる。気色悪く口元が緩むのが分かり、咳払い一つでそれを隠す。
「ちょっと待ってろよ。すぐにヤレるようにしてやっから」
興奮のまま先輩に飛び乗りたい気持ちを抑え、まずは下準備(てか下の準備だな)の為に着ている物を全部膝まで下ろす。先輩の視線で撫で回されたせいで、勢いよく飛び出す程に全力で勃起していた。
しかし、ケツをほぐさない事には何も始まらないと、経験を積んだ今のオレは知っているのだ。
片手でキャップを外し、見せつけながら指先にローションを垂らす。ただの粘液が何故エロく感じるのか。呆れ半分、指先で弄んでいると、焦らされている感じがあるのか、先輩がゴクリと生唾を飲み込んだ。
期待されているというのは、なかなかに気分が良い。焦らしまくって涎を垂らす先輩を拝むのも悪くはないが、オレの方もそこまで我慢出来そうにない。
よし、とっとと準備しよう。ケツに指三本突っ込めるようにするぞ。
「……うわッ冷た!」
まずは一本と、べちょべちょの指でケツ穴をまさぐると、触れたローションの冷たさから色気とは無縁の声が出た。体が温まっているから余計に感じるのかと思ったが、普段この不快感がないのは、先輩がローション自体を人肌くらいに温めてくれているからだと気付き、ちょっと溜め息が出た。
「大丈夫か?」
心配そうな声で聞かれる。先輩を見ると、オレの上げた『うわッ』って声の分だけ興奮が冷めていた。
「だ、大丈夫だから」
オレは慌てて指先をケツにめり込ませようと奮闘する。
「すぐケツの準備終わ、終わらせる、から……すぐ、ぐッ……ぅぅ」
自分のケツに、てか肛門を直に触る感触に気持ちが萎える。一度、どでかい失敗をしているから余計に。
立ったままという態勢のせいか、前は割とするっと入ったような気がするのに、指が上手く入らない。なんとか爪先くらいはねじ込めるが、そこから奥へはどうにも進まず呻く。
先輩にして貰う時は、慣らすだけでも気持ちいいのに、今は気持ちよさの欠片もない。正直に言うと何やってんだろ感が強くて、一人ケツの穴に指を突っ込もうとしている自分に引く。さっきまであった興奮もすっかり冷め、当然ちんこも萎えた。
「セイシュン」
先輩の声に気持ちを奮い起こす。中途半端だった服を全部脱ぎ捨て、ローションを大量に追加する。
「くそ……なんで、こんな」
指で弄くってるだけなら、見てるだけでもエロかったローションが、単なる不快感に成り下がり泣きたくなる。
「セイシュン、こっち来い」
全力の敗北感を胸に、優しげな声に誘われ顔を上げると、困ったように笑う先輩が手招きしていた。誘惑に負けて、先輩の元へ戻りたくなったが、指一本すら入らないケツでは何もさせてやれない。オレは気合いを入れ、思い切って指をねじ込んでみた。
「痛ッ、くそ、うまくいかねぇ」
ローションのおかげで、指先こそスルッと入るのだが、その奥がキツイ。無理矢理ねじ込むと予想外に痛くて、つい指先を引っこ抜いてしまった。
「無茶するな。なぁセイシュン、俺にも少し手伝わせてくれ」
もたもたするオレを見かねて、先輩が手を引いて布団へ呼び戻してくれる。安心感が半端ないが、これではいつもと同じになってしまう。先輩のペースに乗っては駄目だ。
「駄目だ。絶対に今日はオレが全部ヤル。先輩は黙ってちんこ勃たせて寝てろ……って、言いたいけど、準備くらいは、その……手伝ってもいいよ」
オレの妥協案に先輩はふにゃっと笑って「わかった。準備だけな」と納得してくれる。何故か嬉しくなってしまって、先輩の上にドーンと座りたくなった。
「おぉ、あのなセイシュン。出来れば、尻をこっちに向けてくれるとありがたいんだが」
気持ちより先に体が動いていた。いきなり椅子にされた先輩が、耳元で注文をつける。
「あと、そんな緊張しなくていいぞ。体、硬くなってる」
「緊張してねぇし! 気合いだよ、気合い」
「そうか……じゃあ、その気合いは少し抜いてもらえると助かるな」
先輩の手がオレの体を持ち上げようとしたので、望む通りに動いてやると、先輩の膝に腹を乗せ、四つん這いのような格好にさせられた。なんか、ケツを叩かれた時の記憶が蘇り、ちょっと複雑な気持ちになる。
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