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最終話 正史地球の行方
しおりを挟む正史地球日時 2095年12月
前世界正史地球の月裏側ラグランジュポイントで待機中の宇宙船内にて
「ああ!やはり核ミサイルのボタンを押したのね」
女神ガイアは、2025年に予測した惑星シミュレーションによる人類滅亡のシナリオ予測に基づき、正史地球を丸ごとコピーしてPW地球を別次元に創り出していた。
そのPW地球で人類滅亡のシナリオを書き換えるために歴史改変を実施した結果、見事に正史地球とは別の歴史を歩み始めた。
ガイアは歴史改変が一段落したことを見届けて、一旦正史地球に戻りコールドスリープに入り、再び覚醒したのが2095年であった。
実はセットした日時で覚醒したのではなく、地球異変の監視役として留守番させていた監視ロイドが地球異変を感じ取り、ガイアを緊急覚醒させたというのが正しかった。
「(やはり私の予測シミュレーションが正しかったのね。
でも、出来ればこういう予測は出来れば当たって欲しくなかったけど。
それより、どの国がボタンを押したのかしら?
えーと、コレは中国が先に手を出したわけか。
ふむふむ、台湾を赤化したい中国は台湾海峡に海軍部隊を派遣するわけか。
それを阻止したいアメリカが、第7艦隊を台湾海峡に派遣させることを決定して部隊を向かわせたのね。
第7艦隊の主力部隊は日本から出発するけど、強襲揚陸部隊の一部と潜水艦隊はグアムの駐留基地から出発したわけか。
そのグアム駐留基地に中国軍が中距離核ミサイルを撃ち込むわけか。
留守番の基地職員が全滅したけど、本当は上陸部隊駐留中にミサイルを撃ち込んで全ての部隊を全滅させたかったわけね。
アメリカはその報復措置として第7艦隊を台湾海峡方面から急遽東シナ海に行き先を変更し、中国の首都を含めた軍事施設を非核兵器でコテンパンに破壊するのか。
だけど、この時点では1発しか核ミサイルが使用されていないけど、これが何故核兵器の全面戦争に発展するのかしら?
もう少し先を観察して見ましょう。
中国軍が立ち直れない程の壊滅的被害をアメリカから受けた後に、ロシア軍が中国国内に侵攻するわけか。
その侵攻時にロシア軍がアメリカ軍に対して核爆弾を使用するのね。
怒ったアメリカは首都モスクワにICBMをぶち込み、後は核ミサイルの応酬により核の冬を迎えるわけで、その後は放射能汚染で生き残った人々も死滅するわけね)」
ガイアは、50年以上前に行った歴史改変が正しかったことを改めて再認識するのであった。
PW地球の月裏側ラグランジュポイントで待機中のサブ宇宙船にて
「ピピピ、巨大重力波検知。おそらくエタナールだと思われます。10秒後に現空間にワープアウトします」
サブ宇宙船のコクピットに座る操縦ロイドが、無機質なアナウンスで休憩中のガヴリエルに伝えていた。
「やっと帰って来たわ。『鬼の居ぬ間に洗濯』と言うけど、私的には創造主であり、母みたいなモノだし、あの人がいないとやはり私ダメなのね」
PW地球側で監視体制にいたガヴリエルのサブ宇宙船と、正史地球側に次元転移し人類滅亡を見届けたガイアが乗る巨大宇宙船が50年ぶりに合体した。
「お帰りなさいませ、ガイア様。そしてお久しぶりです」
「しばらくぶりだな、ガヴリエル。お主は相変わらず息災のようだな。
元の正史地球は、シミュレーションのとおりに核戦争が勃発して人類滅亡してしまったぞ。それよりコッチの地球の様子はどうだ?」
「ハイ、大戦以降は日本、ドイツ、英国が中心となり、地球上の公害や温暖化が防止されています。
また、核融合により各国へ公平にエネルギー分配が進んで、医療充実により急激な人口爆発が抑えられている他、日本が持ち込んだ未来的な超先端技術により、各国での技術が進歩して世界中の人々の生活が向上し、地球上から貧困が無くなりつつあり、テロ事件等は皆無の状況です」
「やはり、あの国(日本)を選択し、歴史改変させたことは正しかったのね。
人類滅亡した正史地球を一旦亜空間で凍結保存し、歴史改変したPW地球に置き換えることで、私が手掛ける作業は取りあえず終了と。
さて、私は一旦ウラノス本星に帰投するけど後は任せるわ。ガヴリエル」
「お任せ下さい、ガイア様。ごゆるりとアスター管理官とのハネムーンを満喫して下さいませ」
「もし、何かあったら亜空間通信で緊急通報してね」
「了解!」
「あ、そうそうガヴリエル。私が旅行から戻ったら妹の『アストレア』から依頼事項があり、そこで2040年のPW地球のコピーデータを使用するかも知れないから、亜空間のバックアップデータを厳重保管しておいてね。
それと、日本で老婆になっているガヴリエルの妹達3人はそろそろ回収する時期ね。
妹達を死亡時点で回収し、再び仕事が出来るようにブランク体で若返らせて、妹達の記憶を再インストールして意識を呼び戻すように」
「了解です、ガイア様。お帰りはいつ頃になりますか?」
「10年位先かな?それでは行ってくる」
「行ってらっしゃいませ、良き旅を」
「(ふう、やっとガイア様が地球圏を離れたか。帰って来るまでに妹達の回収作業に取り掛からないとね。
さて、今後の日本国転移先は異世界惑星になるのかな?)」
ガヴリエルは、ガイアが開発した『パラレルワールド時空管理システム』が、今後多用する機会が増加し、次の赴任先でまた自分が活躍出来る場所があるのではないかと半分ワクワクしながら、ガイアの出発を見送りながら独り言を呟いていた。
終わり
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お返事ありがとです。
気になった疑問の1と2はもちろん日本以外の他国の事です。
他国では10年持たずに原油類が枯渇した段階で石炭の蒸気機関の1900年代初頭まで文明が衰退するわけでなので、蒸気船しかないのなら数があっても当時の日本軍でも海戦でなら負けることはないと感じました。
再返信の感想有り難うございます。
>他国では10年持たずに原油類が枯渇した段階で石炭の蒸気機関の1900年代初頭まで文明が衰退するわけ
フムフム。確かに歴史物ではそのとおりです。
ですが、そのあたりの動力エネルギー解決方法としてチートですが小型NF炉(核融合炉)を原子炉代わりに日本軍の艦船に搭載しています。一応参考まで。
初投稿です。33話まで読みました。
第二次大戦系の転移物を最近はよく読んでいます。
序盤で女神たちからの天啓を受けて過去に飛んで現代兵器で開戦に至ると予想していましたが、チート女神たちのとんでも兵器(歩兵ですら12.7㎜弾を弾く電磁シールドとかとか・・・・)まで出してくるとは予想できませんでした。
現段階で全世界を同時に相手にしても負ける要素が・・・・
余りにも俺TUEEだとすぐに飽きてしまうかもしれません。
過去の日本へ転移して人口も2倍、あと土地も増えるアイデアは考え付きませんでした。
日本の兵も増えるので大規模軍事行動をしても兵数的に辻褄が合うのでいいかと。
鉱物資源や原油の産出地の大部分を日本周辺にしたのは反則クラスのチートですねw
この辺りのアイデアも思いつかなかったのですごいと思いました。
しかし原油の世界総産出量を現実世界の1%にしてしまったのはやりすぎだったかもしれません
日本だけしか産出できないとしてもあと半世紀持たずに枯渇するかもしれませんね。
かと言って世界中に日本が輸出するのも無理な話ですし・・・
その辺りの事でまずいと思った点は、他国であと数年で原油が枯渇するならその後世界中で10年持たずに多くの兵器や乗り物が使用不可能になるから戦争ができなくなる事です。
兵器どころか原油を使用するあらゆる機械類が使用不能になるので大きく文明が大きく停滞と衰退します。
この辺りの辻褄合わせがストーリー展開において矛盾しないように書けるかどうか心配です。
感想有り難うございます。
>原油の世界総産出量を現実世界の1%にしてしまったのはやりすぎだった
今現在でもエネルギーの大半は石油に頼っています。
この石油依存社会から転換し、地球温暖化を防止するため女神が石油埋蔵量1%としたのです。
石油エネルギーの代替エネルギーとして『核融合炉発電』が登場して、水素がメインによる社会を目指しています。
>兵器どころか原油を使用するあらゆる機械類が使用不能
御指摘のとおりですが、水素主体の燃料電池車やジェット燃料に使用されています。
>この辺りの辻褄合わせがストーリー展開において矛盾しないよう
後の物語展開で水素主体による社会の確立を目指すようにしていますので、今後の物語展開に御期待下さい。
ありがとうございます‼️
僕はこう言った作品を待ってました。
一気に最新投稿まで読んでしまいました笑
これからも頑張ってください‼️
アルファポリス上での初感想有り難うございます。
読者の方々にも読む傾向の好き嫌いがあり、現在は異世界オンリーで戦記物は忌避される傾向があります。
半分ネタバレですが、なろうに最新投稿を掲載していますのでそちらも覗いて頂ければ幸いです。