日本国転生

北乃大空

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79話 アメリア空爆 その2

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 以前に実施した空爆は、日本軍がアラスカや西海岸に部隊が上陸する際の支援爆撃として、主な海軍基地を中心に敵艦船の動きを封じるためであったが、今回の空爆目標はアメリア国内中の軍事基地と、もう一つは軍事工場等であった。
 軍事基地の破壊は敵の気勢を削いで反撃する意志を挫くためであり、軍事工場等の破壊は兵器、武器等の量産防止と国民の心に国家が滅亡するという恐怖の芽を植え付けるためであった。

 だが、本空爆作戦の本当の目標はメキシカ侵略のためにメキシカ国境付近に駐留していたアメリア陸軍総勢100万人の確実な殲滅に他ならなかった。


 カリフォルニア西海岸方面は、大和空母機動艦隊のF-18改、F-2改の空爆により殆どの抵抗勢力が無くなり、強襲揚陸部隊の上陸が始まっていた。

 メキシカ駐留空軍は、アメリア航空隊爆撃編隊を撃滅させた後、対地爆弾を大量に積み込んだF-15改、F-2改、A-10改がアメリア陸軍の空爆に向かった。

 アメリア陸軍部隊は、見えない航空機から雨嵐のように爆弾等が降り注ぎ、特にA-10改の攻撃は地上に地獄絵図を造ると言っても過言ではなかった。
 その戦闘は、敵側からすれば突然上空から機関砲による「ブォー」という音に混じり火花が飛来して来たかと思うと、その次には地上にある装甲車や戦車の装甲に一瞬で穴が開き、車両に積載された燃料や弾薬等に引火して次々と爆発していった。
 その爆発する車両付近にいた兵士の殆どは、爆発に巻き込まれて息絶える者や、砲弾の餌食になった者の大多数は身体がバラバラになる程であった。

 日本空軍の全ての攻撃が終わった時、アメリア陸軍が駐留していた場所は、焼け野原と化して生き残った兵士は殆どおらず、ほぼ全滅状態であった。


 空爆終了後、メキシカ側の国境付近で駐留していた日本陸軍の機甲軍団20万人は、ネバダ、アリゾナ、ニューメキシコ州内に向けて進攻を開始した。

 日本陸軍の動きに乗じてメキシカ軍もテキサス州内に進攻した。
 同州の連邦軍は日本空軍の空爆を受けて壊滅的被害を出して、連邦軍の殆どが全滅状態であった。

 テキサス防衛隊も空爆被害をある程度受けていたが、軍の半数以上が健在であった。
 また、テキサスレンジャーが義勇兵として州防衛隊に加わり、テキサス州の総兵士数は3万人以上であった。

 テキサス州防衛隊が半数以上が健在であったため、テキサス州内に進攻したメキシカ軍はかなり苦戦を強いていた。
 また、日本側から寄贈された旧型単葉レシプロ機(九七式戦闘機)も、複葉機を軍用機として使用していたメキシカ軍にすれば新型機であったが、同機を飛行させるパイロット不足が否めず、また練習不足のためテキサス州内の高射砲の餌食になることが多かった。


 一方、北のカナダ側ではバンクーバーから日本陸軍機甲軍団が進攻を始め、ほぼ1日でシアトルを制圧し、ワシントン、オレゴンと順当に制圧、占領して行った。

 日本軍の進攻速度は思いの外速く、ワシントン、オレゴン、カリフォルニア、ネバダ、アリゾナ、ニューメキシコを約2週間で占領、1カ月後にはアイダホ、ユタを占領し、3カ月後でモンタナ、ワイオミング、コロラドまで占領し、半年経った頃にはノースダコタ、サウスダコタ、ネブラスカ、カンザス、オクラホマまで占領していた。

 日本軍の進攻速度が速いのは、機甲軍団と機械化歩兵軍団の車両移動によるものであった。
 機甲軍団は20万人の兵士数で、コレを細分化すると1個師団2万人の10個師団になり、コレをメキシカ駐留部隊として5個師団、カナダ駐留部隊として5個師団をアメリア進攻前に配置していた。

 機械化歩兵軍団の兵士数は40万人で、コレを細分化して20個の歩兵師団としていた。
 この機械化歩兵師団は機甲師団と共に行動し、機甲師団1個に2個歩兵師団がセットで行動を共にするものであった。

 つまり、機甲師団が先行攻撃して敵部隊を電撃的に壊滅状態にし、次に機械化歩兵師団が各都市を制圧、占領していくものであり、敵部隊の抵抗が激しければ、駐留空軍が支援爆撃することで早期に敵勢力を壊滅していった。

 機械化歩兵師団は人口の少ない州であれば、師団を二分した1万人規模の旅団程度の部隊を駐留させ、人口の多い州であれば2万人規模の1個師団が駐留部隊として配置し、州兵や住民内の義勇兵や自警団等が反乱等を起こさぬように統治していった。


 一方、テキサス州に進攻していたメキシカ軍は進攻1カ月が過ぎても州全土はおろか、サン・アントニオ市を巡って一進一退の戦闘を繰り広げていた。

「師団長、メキシカを手伝いに行かなくても良いのですか?」

「作戦参謀。ウチらが支援すると、メキシカ自身がテキサスを戦いで敗北させて領土を勝ち取るという自負心を折ってしまう恐れがあるからな」

「だから、メキシカからの空爆要請の支援に留めているわけですか」

「そのとおりだ、参謀」

「だが、流石にアメリア国内で2番目の面積と人口を抱える州ですね」

「そうだ。州兵も一番多いし、連邦軍兵士の生き残りも多数いるからな」

「我が日本も相当メキシカに色々協力してもらいましたから、何か支援出来ることはないですかね?」

「うむ。どちらにせよ我が機甲師団が動く方向で、間接的な支援効果が出るというモノだがな」

「師団長、それは一体どのようなモノでしょうか?」

「我々の機甲師団は、現在オクラホマ州まで進攻して占領中である。この後にどう動くか思案していた時、国防総省からの指令が来たのだ。
 指令内容は、現在情報省諜報部隊がテキサス州とその周辺州に潜入しているが、周辺州がテキサス州へ支援物資や人員を送る軍事支援をしていることが判明したわけだ。
 そこで我が師団がオクラホマ州からアーカンソー州に攻め込み、超速で同州を占領して、次にルイジアナ州も超速に進攻して占領することでテキサス州を孤立化させるわけなんだ」

「成る程、我々が敵を兵糧攻めすることで、メキシカ軍に間接的な支援が出来るわけですね」

「そのとおりだ、参謀。直ちに進攻準備に掛かって欲しい」

「了解、その旨を考慮して準備に取り掛かります」


 オクラホマ州に駐留していた機甲師団は、3日後にアーカンソー州に進攻して、1週間後にはルイジアナ州に攻め込み、同州を占領することでテキサス州を孤立無援に追い込んでいたものの、元々州内での農業、畜産業が盛んな上、州別GDPもアメリア1、2を争う位に高く、ほぼ自給自足が可能な州であるため、メキシカ軍は長期間の戦闘を強いられ、テキサス州との戦闘に苦戦する事態となっていた。
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