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コミケへ行こう!

28:閑話1(とある喫茶店の1日)

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私はどこにでもいる社畜、珍しく盆休みが取れると聞いてウキウキしてたら取れたのは盆前休み。

いやね、休みあるだけでもマシなのはわかるんだ。
なんで盆前なのか理解に苦しむ。
普通な休ませ方はさせたくないとしか思えない。

まぁ、それは置いておいてそのお陰でお盆期間は休みになってしまう評判の喫茶店に行けるのでその点だけは感謝しておこうと思う。

そのお店は見た目は渋めの洋風建築で店内はどこか落ち着く木の香りが感じられる。
おそらく内装に木を使用しているのだろうか。
そして仄かな木の香りを瞬間的に楽しんだ後に私の鼻腔をくすぐるのはアロマのようなコーヒーの香り。

私はコーヒーに詳しくはないけれど、不思議と期待してしまう。

「いらっしゃいませ、お一人様でよろしいでしょうか?」
店内に入った私に声をかけてくれたのは見た目の可愛い、えっ?どっちなのこの子?
制服はどう見ても男だから男の子なのかな?

「えっ、えぇ、一人です。」
私は少し緊張したような声で返事をする。

「ではこちらの席へお座りください。」
そう言って男の子?の案内で席へ案内される私。

「ご注文が決まりましたらこちらのボタンを押してお呼びください。」
そう言って男の子?はお辞儀をするとカウンターの近くへ戻っていった。

「店員の時点でレベル高いとかやばいんだけど・・・」
私はそう呟きながらメニューを見る。

コーヒーは数種類の豆をブレンドしたオリジナルブレンドが一番人気のようだった。
今日は暑いからアイスで頼むとしようかな。

私はランチタイムの前に来た事もあり、少しばかりお腹が減っていた。
するとメニューに私にぴったりのセットがあった。

「サンドウィッチとコーヒーのセット・・・+300円でスイーツ付き、か。」
サンドウィッチとコーヒーのセットで800円と少々強気な値段設定。
でもこのお店の評判を考えるとそれでも人気になるほどだろうから期待も一入と言うもの。
今日はこれを注文する事に私は決めた。

私はボタンを押し、店員の男の子を呼ぶ。

「お待たせしました、ご注文をどうぞ!」
「サンドウィッチとアイスコーヒーのセット、スイーツも付けて貰えるかしら。」

「かしこまりました!
サンドウィッチはホットサンドと普通のサンドウィッチからお選び頂けますがどうされますか?」

なんと、ホットサンドが選べてしまうのか。
私はホットサンド好きだから迷ってしまう。
うん、ホットサンドにしよう。

「それじゃあホットサンドでお願い。」
「かしこまりました!
次にスイーツですがこちらの5種類からお選びいただけますがどちらにされますか?」

そう言ってメニューを取り出し、私に差し出してきた。

クレームブリュレ
ショートケーキ
チョコレートケーキ
チーズケーキ
フルーツロール

オーソドックスなラインナップで迷ってしまう。
一瞬考えた私は店員の男の子に聞いてみる事にした。

「どれも良さそうで迷っちゃうからおすすめとか、あるかしら?」
「僕のおすすめでいいんですか?」

「えぇ、大丈夫。」
「それだったらクレームブリュレでしょうか、バニラビーンズを使っているので香りも楽しめますし、クレームブリュレ独特の表面のパリッとしたカラメルが中と合わさって美味しいんですよ!」
男の子はとても幸せそうな表情で私に言った。
おそらく脳内でクレームブリュレの事を思い出しているのだろう。
ぶっちゃけめっちゃ可愛い。
男の子にかける言葉ではないから黙っておくけど。

「ふふっ、じゃあそれにしようかしら。」
「クレームブリュレですね、かしこまりました!
飲み物はどのタイミングでお出ししましょうか?」

「うーん、ホットサンドと一緒に持ってきてもらえるかしら?」
「かしこまりました!それでは少々お待ちください!」
そう言ってとてとてと小走りでオーダーを伝えに行く男の子。
なんだあの可愛い生物は、本当に男か?

「お待たせしました、こちらホットサンドとアイスコーヒーになります。」
それから数分待つとホットサンドとアイスコーヒーが一緒に運ばれてきた。

「いただきます。」

ホットサンドは思ったよりも量があり4切れもあった。
中にはハムとチーズ、タマゴサラダが入っているようだった。

相性の良い材料同士で不味いわけもなく私はぺろりと平らげてしまった。

「ご馳走さまでした。」
そしてコーヒーを飲む事すら忘れていた私はスイーツを注文してからコーヒーを飲む。

「あっ、よくわからないけど美味しい。」
仄かな甘みとフルーティな香りと酸味のバランスが良く飲みやすい。
これは人気も出るな、と勝手に納得していると頼んでおいたスイーツがやってきた。

「こちらクレームブリュレになります。」
そう言って底の浅く広い器に入れられたクレームブリュレが出された。

表面のカラメルと中の濃厚なプリンの相性が最強で思わず私は顔を綻ばせてしまった。

楽しい時間とは一瞬で私はお会計をしてお店を出た。

「今の会社やめたらまた、来れるかなここに。」
私は現状を変えるのが恐ろしかったけど、少し勇気を貰った気がした。

------
「店長お疲れ様でしたー!」
「優希くん、お疲れ様。」

「えっと次のシフトがお盆明けでよかったんですよね?」
「大丈夫だよ、うちはお盆は休む事にしているから。
そういえば優希くんは東京に出かけるって言ってたよね?」

「そうですね!」
「顔から楽しみだって伝わってくるよ、楽しんでおいでね。
あと、今日も賄いは食べていく?」

「お願いします!」
「ふふっ、何が食べたいかな?」

「さっきお客さん食べてて美味しそうだったからホットサンドが食べたいです!」
「いいよ、まっててね。」

「はい!」
そして数分待つと店長が出来たよと声をかけてくれたので僕はそれを取りに行った。

「はい、今日はご褒美も兼ねてクレームブリュレもサービスだ。」
「てっ店長いいんですか!?」

「いつも頑張ってくれてるからね、またお盆明けよろしくね?」
「はいっ!」

そして裏にある飲食スペースで僕は賄いを食べる。

「んー♪おいひぃー♪」
僕は思わず笑顔になった。
最後にはお楽しみのクレームブリュレを食べると、僕の顔はふにゃっとしていた。

「あっ優希くん、賄い食べてたんだ?
凄い幸せそうな顔してるね!」
そう言って同じ学生アルバイトの女の子が入ってきた。

「ふぇ?あっ・・・お恥ずかしながら・・・」
「ふふっそんなとこも可愛いよ!
それじゃあ私は今からシフトだから、お疲れ様優希くん!」

「はい!お疲れ様です!」
賄いも食べた僕は賄いに使ったお皿などを洗って帰宅した。
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