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Vtuberはじめました

01:まさかの美少女に!?

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「はーい!みんなおはよー!今日もボクの配信を観に来てくれてありがとねー!」

おはよー
もうこの配信無くして生きれない身体になってしまったので責任取ってください♡
まってた
ボクたすかる
あぁ^~この声がたまらないんじゃぁ^~
今俺にウインクしてくれた!もう死んでもいい!
死んでもいい兄貴生きて、ウインクだけで一生配信見れなくなるのは大損だゾ

僕ボクの目の前にある2枚のモニターの片方にコメントが表示され皆思い思いにコメントを入力している。

今僕は、Vtuberをやっている。

それもかなりの人気だ。

個人勢なのに破竹の勢いでチャンネル登録者数を伸ばして行き、もうすぐ100万人が見えてきている。

どうしてこうなったんだろう。

----------

始まりは些細なきっかけだった。

よくある話で、ずっと大好きだった部活の先輩に彼氏が出来たことが原因だった。
傷心した僕はヤケッパチになってVtuberを始める事にした。

何故Vtuberなのか?
好きだからだよ、言わせないでよ恥ずかしい。

運良く有名になれたら推しとコラボ出来るかもしれないんだよ!!!

ちなみにVtuberになるにはそれなりの機材が必要だったりする。

ガチでやらないなら数万円あれば出来るけれどどうせなら形から入って行こうと思った。
ヤケになってたしね。

お金は高校に通うために一人暮らしを始める際に親から今まで預けていたお年玉をもらっていたのでそれを使う事にした。
その金額驚きの100万円だ。

バイトしなくとも当分過ごせるのは間違い無いだろうこの金額。

それでも1年生からバイトをしていた僕はこのお金に全く手をつけていなかった。

まるっと100万もある訳で、傷心し、傷ついていた僕は浅はかにもそのほぼ全額を使い、Vtuberになるために必要な資金にしてしまった。

幸いにもかなりハイスペックなパソコン、オーディオインターフェースにキャプチャーボード、マイクは2種類、モーショントラッキングに必要な道具。

そしてVtuberにとって一番大事と言っても過言ではないほど大事な肉体。
そう、3Dモデルだ。

これが相場よりも安く入手する事が出来た。
ちなみに3Dモデルに関連する依頼料で50万は飛んで行った。

まず原画を昔からピヨッターでフォローしている絵師に依頼。
これだけで30万。
しかし、これでも安い方なのだ。
この絵師は有名ではあるがまだアマチュアと言える人で、僕が有名になればその原画を担当した、つまりママであると宣伝出来る。

だから君が頑張ってVtuberをやっていくのならこの値段でやってもいいと言われた。
勿論即座に了承した。

次に元絵を用意すれば20万で受けてくれるという良心的な値段設定の人が絵師さんの紹介でいたためその人にモデルの作成を依頼。
またこの人もプロ顔負けのアマチュア3Dモデラーでかなりクオリティが高いとの事。

ただ、絵師さんからの条件で、アバターとなる原画、3Dモデルは完成まで見せないと言われた。

ただ僕の情報を教える事で僕のデータをモデルにした3Dモデルを作ってくれるらしい。

そこで自己紹介を兼ねて僕のプロフィールを書いていこう。

まず名前、姫村優希(ひめむらゆき)17歳、勿論男だよ。

次に身長が150cmで体重が43kg。

こらそこ!小さいっていうな!僕は気にしてるんだよ!

僕のこの情報を絵師さんに渡し、あとは待つだけ。

気に入らなかったら手直しもしてくれるとは言っていたので直ぐに出来るものではないだろう。

ちなみにこの金額が高いと思う人もいると思う。
でも名のある人がデザインしたものとそうでないものにはまず最初のスタートラインが大きく変わる。

特に今回の絵師さんなら最初の拡散に協力して貰えるとの事だったので広告費も付いていると考えたらお得に感じるのでは無いだろうか。

待っている期間はたまにVCでやり取りなどを行なっていた。
時が過ぎる事2ヶ月、今日がその納品日に決定したんだ。

その日は朝からずっと緊張していた。
なんだったら前日なんて緊張で眠れなかったくらいだ。

なのでその間に3Dモデルを動かしたり、録音や録画の方法なんかの基礎的な知識を何度も確認していた。

そしてとうとうその時が訪れたんだ。
指定の時間になるとメールが届き絵師さんのHPの納品用URLが添えられたメールが送られてきた。

絵師さんのHPに入り、納品されたデータをダウンロードする。

データを解凍し、3Dモデルビューワーでモデルを確認する。

するとそこにはまさに絶世の美少女とも言うべきアバターが!

白をメインとした中にほんのり薄いピンクを入れたふんわりとした雰囲気のハーフアップ。
リボンは黒で少し大人びた雰囲気も感じられる。

ふっくらとした頬に可愛らしさを感じさせる小さめの唇。

瞳の色は薄めのピンク色で個人的性癖にどストライクだ。

身体はアニメで言うところの11歳、12歳くらいの女の子だろうか。

胸は控えめながらもしっかりと存在感を放っていて今後成長していきそうな雰囲気を感じさせる。

3Dモデルなので成長はしないけど。

手脚などは細めで服は黒をメインにしたワンピース。
手脚がよく映えるいい衣装だ。

総合的に言うと、すこだ。
かなりすこだ。

ただ、問題があるとするなら。

「僕は男だよ!?なんで美少女アバターなの!?!?!?」

僕は部屋の中で絶叫していた。

--------
「先生!?あの!?なんで女の子なんですか!?」
僕は絶叫したすぐ後に原画を描いてくれた絵師さんこと、柿崎ゆる先生にVCを繋いだ。

「ん?いや君女の子だろう?女の子が女の子のアバターを使って何がおかしいと言うんだい?ちなみに私の最高傑作とも言うべき作品だ、見た目は気に入って貰えたかな?ちなみに、髪色とワンピースの色は弄れるようになっているから好きなように調整しておくれよ。」
日頃のツイートよろしくクールな印象を感じ取らせる声で柿崎ゆる先生は僕にそう告げる。

「いやもう最高です、じゃなくて!僕は男ですよ!プロフィールにも書いてありましたよね!?」

「いやいや、冗談言っちゃいけないよ、キミのような可愛い声出す男がどこにいると言うんだい?それにプロフィールに性別書いてなかったから私が性別確認の意味も含めてVC繋いでいたんだぞ?」

「ぐぬぬぬぬ、じゃ、じゃあどうしたら信じて貰えますか?」

「写真でも送ってみたらどうだい!流石に見た目なら分かるだろう?」

「うぅ・・・じゃあこれでいいですか!!!」
僕はそう言って自撮りを送った。

「ッ!?お、男っぽい格好しているけど、か、可愛いじゃないか、胸はまぁ、残念だったね。」

「いやいやいや!!!どう見ても男でしょう!?肩幅とか男っぽくないですかね!?」

「いや正直女の子にしか見えないな・・・」

「そ、そんな・・・」

「いやまずその髪型、男は普通しないと思うよ!?」
ん?一瞬クールさが取れたような気がしたけれど、気のせいかな?

でもそう言われると確かに昔からかわいいとか言われてた記憶はある。

髪の毛は昔からお母さんが伸ばした方がいいって言ってたから伸ばしてたんだけどもしかして可愛いからいいって意味じゃないよね?

それは、ないよね?

「んっ!まぁ、どちらにせよキミの声なら間違いなくVtuberとしてもやっていけるだろうさ。」

「そ、そうですか?」

「勿論、沢山のVtuberを観てきた私が言うんだ、間違い無いさ。」

「や、やれるだけ、やってみます・・・」

「はは、頑張って私の名前ももっと広めておくれよ?勿論キミのデビューは私がピヨッターで拡散しておくから、チャンネルの開設と自己紹介動画が出来たら私に教えておくれよ!」

「はい・・・」

そうして僕は意図せずバ美肉する羽目になったのだった。

----------

私は柿崎かきざきゆる、所謂ペンネームってやつだね。

私が今回引き受けた仕事の一つは個人でVtuberを始めるためにキャラの原画を描いて欲しいとの事だった。

元々私が無名も無名の頃からフォローしてくれている人だったので話だけでも聞こうと思った。

私の名前も大分売れてきたとはいえまだアマチュアだ。

プロと呼ばれる人たちと違ってまだ知名度が圧倒的に足りていない訳だね。

そこで一つ賭けをしてみる事にした。
私の依頼人の予算ギリギリで3Dモデルから原画までやってしまおうと思ったのだ。

ちなみに私は3Dモデルには疎いのでそこは私の妹であるこれまたアマチュアの3Dモデラーを起用する事にした。

ちなみに私クラスの絵師ならばキャラデザから原画だけで50万は取っている。
場合によってはもっと取る人もいるだろう。

そして3Dモデルを依頼する妹も最低でも30万ほどは貰うレベルだ。

時間はそこまで長くかかるものでは無いけれど、私達にも生活があるので合計で50万、これは譲れないラインだ。

それに私が少しでも安く原画を描くのだから依頼者にも頑張って貰わないといけない。

それを条件に出したところ快くOKが出た。

依頼者の情報を送ってもらい声に合ったキャラクターデザインをするためにVCで話してみる事にした。

丁度依頼主のデータに性別が載っていなかったから丁度よかった。

出たのは可愛らしい声の女の子だった。
この子の声ならもしかしたら有名になれるかもしれない。
私はそう思った。

それからはずっとデザインを考え続け、妹にも協力してもらい彼女の声に合っている3Dモデルの作成に打ち込んでいった。

そして依頼を受けてから2ヶ月、とうとう納品の日がやってきた。

「私の最高傑作とも言える娘が出来た、ゆら、手伝ってくれて本当にありがとう。」

「お姉ちゃん、私が言うのもなんだけどこのモデルはヤバイ、間違いなく天下取れるよこれ。」

妹のゆらも私と同じ気持ちらしい。

「それじゃあ納品、しようか。」

「喜ぶ顔、楽しみだねお姉ちゃん!」

「うん!」

そして私は納品用のページから3Dモデルと2Dのイラストデータをセットした。

すると10分ほどするとVCの通知音が鳴り始めた。

「お姉ちゃん、早速感想かな?」

「ふふ、少し楽しみだね。」

私は通話に応じると衝撃の事実を知らされる。

私は自分のキャラを崩さず対応する。
下手に騒がなかった私を褒めてもらいたい。

通話が終わった後に妹に私は告げた。

「依頼者あの声でおまけにこの見た目で男らしい・・・」

私は彼から送られてきた自撮り写真をゆらに見せた。

「へっ?」

「しかもさ、私の、モロタイプなんだ・・・つらい・・・助けてゆら・・・」

「合法ショタ・・・?何この子、やばい、私も今胸がきゅんってなったよお姉ちゃん・・・」


そして新人Vtuberの中身の男の娘に二人は一目惚れしてしまったのだった。
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