まさか転生? 

花菱

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 へたったボールがたくさん転がっている……よく見るとモニュモニュと移動しているような?

「⦅スライムって全部あの色なの? ありゃ?もしかして…ゆっくり動いてる?⦆」

「⦅そりゃ動くだろ。あれは食事してるんだろうな⦆」

「⦅スライムは何でも食べるからね~。ただ暴食が過ぎて畑とかに入られたら、全滅間違いなしなんだよね~⦆」

「⦅弱いので倒すのは簡単なんですが、採れる魔石も安いので新人冒険者のこなせる依頼です⦆」

「⦅……酸を飛ばしてくる⦆」

「⦅酸…そう言えば聞いた気がする…気を付けないと溶けちゃうよね?
 新人冒険者じゃ危険じゃないの?⦆」

「⦅攻撃は酸を飛ばしてくるが、それだけだからな。スライムが倒せない様じゃあ冒険者でいられないってことだ⦆」

「⦅採れるのは魔石だけなの?⦆」

「⦅スライムの皮と、ゼリー状の物が採れるんだが使い道はないから実際ゴミだな⦆」

「⦅どんな物か見てみたい!⦆」

「⦅それにしても……この場所多いですね。今日は片付けますが今後のために、ギルドに報告が必要でしょう⦆」


 カイルさんの言うとおりで、そこには20匹以上のスライムがモニュモニュ動いていたが、最初に聞いていた情報では、1カ所に多くても5~10匹いるかどうかと聞いていた。

 念の為シエルちゃんに確認してみれば、そちらにも20匹以上。これは急ぐ必要がありそうだ!


 それほど激しい動きをするわけでもないので、防御は結界自動展開にお任せして地道に慎重に倒しことにして、まずは棒きれからのスタート♪

 いきなり叩くことはせず、まずは弾力の確認でツンツクツン……ふぉぉぉぉ~! ポヨポヨとしてて、ウォーターベッドみたい!


 その後、あらゆる叩き方を試して分かったことだが、スライムの大体中心部分に核である魔石があるんだろう。

 そこを正確に打ち抜くことが出来れば素早く倒すことが出来、後に残るスライムの皮もゼリー質の物も、とてもきれいに沢山採れる。

 反対に核に当たらない場合はポヨポヨの身体が防御に適しているようで棒きれでは倒せないし、剣で切り付けても倒せず反撃を受けるだけ。
 挙げ句スライムのポヨポヨからは想像できないかもしれないが、切り付ければベトベトな物が出てくるせいで、剣の切れ味も落ちることになる。


 それが分かってからは『剣なんて不要、棒きれで充分!』と張り切ってスライム1匹に1突きの繰り返し。

 周囲を見れば残っているのは数匹になっているので、ザックさん達にお任せしてスライムの皮とゼリーを確認することにしたのだが……

 《スライムゼリー》
 乾燥させて粉にすると使いやすい、ゼリーの素。アガーのような透明感や食感。無味無臭。

 《スライムの皮》
 食べることは出来るが、用途不明。無味無臭。

 
 なんと異世界物の小説なんかでもよくあったけど、ゼリー質はそのままゼラチンの変わりとして使えるんだって~!!
 残念ながら皮の使い道は鑑定を使っても分からないので、じっくり考えようと思うのだが、質感やペトッとくっつく感じ……何か、どこかで感じたことがあったような?

 うぐぐぅぅ~、モヤモヤする……すぐそこまで出かかっているに思い出せない~!


 モヤモヤが晴れることなく、エア一人でウンウン唸って考えに没頭。スライムを全て片付け終わったザック達が戻ってきても気付かないほど。



「結構いたな……ところで、何でエアの周りはきれいなんだ?」

「ホントだ~、ベトベトがない。何で~!?」

「うぅぅ~ん? 何だったっけ? うぅ~モヤモヤ~」

「……聞こえてない」

「というよりも、私達が側にいることにも気付いてもいませんよね、これ間違いなく」

〔エアは今、スライムについて何かを思い出そうとしているのだが、なかなか上手くいかなくてモヤモヤしているんだ〕

〔それとスライムの倒し方だが、エアは棒で一突きするだけで倒していたから余分な刺激を与えていない〕

「「「「一突き!?」」」」

「そんな簡単に出来ることじゃないでしょう?」

「シエルちゃんのいるところに行ったら試してみよ~。そのためには、じっくり説明聞かないと!」



 一生懸命考えても思い出せないまま、かなり集中していたみたいでザックさん達が側にいたことにも気付かなかったんだけど……なんだかドロドロのベトベトで……はっきり言ってキチャナイ


「ねぇ? 何で4人共そんなに汚いの?」

「「「「き、汚い……」」」」

「スライム退治では、大体の場合こうなるもんなんだよ! それよりも、エア。逆にエア自身も周囲もキレイなままのエアの方がこの場合おかしいんだぞ!」

「なんと!? そ、そうなの?」

 くっ! 4人揃って力一杯頷かなくても良いじゃないか……でも、そうか、普通はドロドロになるのか……



「普通じゃなくてよかった~♪ 汚れない方がいいもんね」

「「「「そう言われると……たしかにキレイな方が良いな……」」」」
 
〔〔〔〔〔〔ベトベト~、キチャナイ~〕〕〕〕〕〕

 無邪気な子供達からの正直な言葉を受け、ガックリと項垂れる4人の姿を見れば同情からクリーン魔法をするべきか悩むが、どうせこの後移動して同じ結果になるのが分かっているし、汚くても匂うわけではないし……よし決めた、ここは放置という事で!
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