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1章

48 優人side

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  幸せだった誕生日から数日過ぎて迎えた新年

  お正月は無理だったけど翌日なつと会える事になっていた
  朝から待ちきれなくて、予定の時間よりも早く用意を済ませてそわそわと落ち着きなく過ごしていれば、両親からもし良かったらなつを連れてきたらいいと声をかけられた。

  番になる事を2人で決めた時からなつを紹介しようと思っていたけどそんな急に、と一度は断ったけどなかなか折れない2人に「なつに一応聞いてみる。」とだけ応えて家を出た

  待ち合わせ場所に着けばすでに待っていたなつに声をかけ2人で神社へと向かう
  お参りをした後には色々と並ぶ屋台に目を輝かせるなつを眺めながら過ごした
  そこで朝、両親に言われた事を思い出し伝えてみれば笑顔で承諾してくれた

  それが嬉しくて「じゃぁ今から行こうか」そう言っていた。
  心の準備が出来るまで待つよ。なんて言ったくせに、結局これじゃあ両親と一緒だ、なんて思っていれば目の前に家を出るまで見ていた顔が見えた
  
  "嘘だろ" そう思いながら「父さん。」なんて声を出せば驚いたように見上げるなつの顔

  声を掛ければ「待ちきれなくて、、」なんて言う
  しょうがないからなつに紹介すれば、言わなくていい事まで言う父親に頭を抱える。だけどそんな俺を見て、笑顔を見せるなつがいて恥ずかしくなってしまう

  すると、母親までも待ちきれなくて料理を作って準備をしている話を聞いてさらに呆れていれば、そっとなつが俺の手を握ってきた

  その姿に父親が期待を込めた声で話し、歩き出した
  その後ろ姿を眺めながらなつに確認すれば笑顔で頷いてくれたから、そのままなつの手を握って歩き出した

  家へ着けばパタパタとやって来て玄関で出迎える母親に小言を言う。だけどそれをさっとかわしすぐになつの方へ意識を向けた
  ため息をつきそうになったけど、笑顔のなつがいて、、、

  その後は両親の提案でかずさんも合流して和やかに過ごしていたら、大きな音を立てて乱入してきた兄

  その勢いのままなつに抱きつくもんだから慌てて引き剥がす
  正直自分の兄でもそんなに密着されるのは嫌だ
  べしょべしょに泣きながら「だってぇ」と言いながら未だになつに手を伸ばしたままの姿に思わず呆れてしまえば、笑うなつと目が合う

  "幸せだな" そう思った
  自分を大事に思ってくれている家族となつがいる
  そんななつをずっと支えていたかずさんもいて、皆で笑いあっている
  今のこの時間をなつも "幸せ" だと思ってくれてたらいいな


  年明けのあの賑やかな出来事から1週間
  ついになつのヒートが目の前にきていた
  
  両親やかずさんの力もあり、昨日からなつと暮らし、番となる日を今か今かと待っている状態だった

  その日もいつもの様になつが洗濯を、俺が掃除をしていた
  すると急に香ってくる甘い匂い
  慌ててなつのいる方へ向かえばさらに匂いは強くなって
  急いでなつを抱き上げ寝室へ運びベッドへ寝かす
  
  その時にはもう我慢の限界で
  すぐになつに深いキスを落としていく
  そんな俺に必死に応えるなつの姿が愛おしくて "もっと" そう思いながら身体の至る所に赤い跡をつけていく
  
  そっとなつの後ろに触れれば求めるかのように溢れていて
  "やばいな"
  そう思っていればなつの手が俺のものに触れた
  情けなくビクッと反応すれば、なつが体制を変え徐に口に入れた
  突然の行動に驚きながらも襲う快感に思わず声が漏れる
  俺の反応を窺いながらなつが与えてくる刺激にもうはち切れそうで

  "限界だ" そう思って声をかけ体制を変えなつの肛に俺のを押し当てた
  途端にビクッと反応するなつを抱き込むようにしてゆっくりと中へ入れていく
  
  入れた瞬間から今まで以上の快感が襲い、本能のままに動きたくなる気持ちを必死に抑える
  だけど、微かに見えるなつの表情や反応に徐々にその抑えはきかなくなった
  どんどんと早くなっていく腰の動き
  "やばい" そう思いながらなつに「噛むよ」そう声をかける
  気持ちよさで頭が回っていないのだろうか、とろんとした目を向けたままのなつにもう一度声をかければ頷いてくれた
  その瞬間なつの項に歯を立てた

  言葉では表せないほどの幸福感に包み込まれた
  なつと、番になれたんだ、、、
  そう思いながらなつに目を向ければ、静かに涙を流していて
  そんななつに深い深いキスを落とした

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