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1章
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しおりを挟むかずさんを見送った後、俺は公園へ向かう
"今日はいるかな...."
そう思ってベンチの方を見れば優人さんが座っていた
思わず歩く足が早くなる
「久しぶりだね。」
そう声をかけたら優人さんはゆっくり顔を上げて俺をみる
「ん?あぁ。」
"なんか元気ない?"
そう思って隣に座っていいか分からず立っていると
「座ったら?」
そう言って隣をみる
「うん。ありがとう」
隣に座るも何だか気まづい雰囲気が流れる
数分お互い黙っていたがふいに優人さんが口をひらく
「なつってさ、、、俺と初めて会った時みたいな事今もやってんの?」
最初は言ってる意味が分からなかったが、初めて会った時のことを思い出しあの事か....となる。
「それは、、、その、、うん」
「ふーん。なつはいくつなの?」
「、もう少しで 17、、、」
「もう少しで 17 って、、、学校は?」
「学校は、、、行ってない、、、。」
「親は知ってんの?なんも言わねーの?」
「知ってるし、、別に何も、、、」
すると優人さんは少し黙りこむ
俺も何も言えずにいると
「悪い、、、。責めるような聞き方した。言いたくない事だってあるよな、、、。」
「そーいえばもう少しで17って言ってたけど誕生日いつなの?」
そう言って話題を変えてくれた。
「8月15日、、、」
「あと1ヶ月ぐらいか。あれ、もしかして8月の夏生まれだから名前なつ?」
「そうだよ」
「へーいいじゃん!」
「優人さんの誕生日は?」
「俺?俺は12月29日。」
「優人さんはまだ先だね。」
「そっ。しかも冬休み中だからよく忘れられる。」
なんて笑って言うから
「じゃぁ、今年は俺が覚えてお祝いする!」
「まじ?」
「まじ!」
「ありがとっ。じゃぁ俺は来月のなつの誕生日お祝いするな!」
そう言ってクシャっと俺の頭を撫でる
「あっ、、、ありがと。」
なんだか少し恥ずかしくて俯きながら言えば
「もしかして照れてる、、、?」
そう言うと今度はクスクスと笑いながら顔を覗き込んでくる
「ははっ顔真っ赤じゃん!」
なんて楽しそうに笑うから俺もつい笑う
その後もお互いの好きな食べ物や今ハマっているもの等沢山話した。
でも楽しい時間はあっという間で、ふと時計をみるとそろそろ行かなきゃいけない時間。
「おれ、、、そろそろ行かないと、、。」
「そっか。じゃぁまた。」
「うん。またね。」
だけどあれから数日、優人さんに会えていない。
"また学校が忙しいのかな、、、この間は楽しかったな。"
そんな事を思いながらのんびりしていたら、ちょっと眠いな....と思わずあくびが出る。
するとクスクス笑い声が聞こえて頭をポンポンとされる。
見上げれば優人さんが小さな箱を持って立っていた
「数日ぶりだな。」
そう言って隣に座る
「そうだね。久しぶり...?」
「あー久しぶり....?」
なんて言って笑い合う。
「あっ、これ買ってきたんだ。学校の近くに新しく出来たお店でさ美味そうだなって思って。」
そう言って箱を渡してくる
中を見れば美味しそうなシュークリームが入っていた。
「わぁ、うまそう、、、。」
「だろ?お前甘いもん好きって言ってたからさ。」
「ありがとう。それにしても今日なんか良い事でもあったの?」
「なんで?」
「なんか会った時からすごい笑顔で嬉しそうだし、こんなシュークリームまで、、」
「あーー。もう少しで夏休みだから、、?」
「なんで疑問系なの?」
なんて笑えば優人さんも『なんでだろうな 』そう言って笑う。
「そーいえばさ、なつってヒートの時どうしてんの?」
ふいにそう聞かれた。
「あー。優しい人がいてさその人がずっとついててくれてる。」
「?パートナーとかじゃなくて?」
「うん。パートナーとかじゃなくて俺の事心配してくれて色々世話してくれてる。」
「ふーん。」
なんだかさっきに比べて声がくらい気がしたけどすぐに「すごく優しい人なんだね!」と笑顔を見せる
それからは優人さんが持ってきたシュークリームを2人で食べたり、学校での出来事を聞いたり楽しく過ごしたから "やっぱりあれは気のせいだったんだな、、" そう思うことにした
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