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あんにん

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30. 2度目の

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  なかなか涙の止まらない竣くんを見守りながら、俺達は3人変わらずベンチに腰掛け流れる雲を眺めていた
  すると優希が問いかけてきた

 「竣くんはさ、両親から話を聞いて知ったんだよな?」
 「はい、大まかな話を聞いて、その後は自分でネットで調べたりして詳しく知りました。」
 「それって、事故の事は記憶には残ってなかったってこと?」
 「はい、両親の話だと怪我は全くなかったんですがなかなか目覚めなかったと、、、それでようやく目を覚ました時には全て忘れてて、、、、」
 「なるほど、、、事故にあった瞬間は意識があって現場見ちゃってショックを受けたってとこか、、」
 「両親も医者からはそう言われたみたいです。」
 「話を聞いた時は何か思い出したりしたの?」
 「いえ、、、」
 「そっか、ごめんね。たくさん聞いちゃって」
 「全然、、、大丈夫です。」
 「忘れたのならそれ程ショックだったって事だから、、無理して思い出そうとかはしないでよ?」
 「、、。」
 「竣くん?分かった?」
 「、、、はい。」
 「お前が聞いたりするからだろ、、まったく。気にすんなよ?」
 「、、はい。」

  しばらくして落ち着いてきた竣くんに「今日はどうするの?」と声をかければ「決めてないです、、」なんて答えが返ってきて2人して「「はっ!?」」なんて声が出る

 「決めてないってどういう事?」
 「休みで家に居たんですけど、事故の記事を読んでたら体が動いてて、、、気付けばここに来てました。」
 「マジか、、、」

  と言葉を失っていれば「じゃあ竣くんも家泊まる?」と優希が提案をしてきた

 「でも、いきなり迷惑じゃないですか?」
 「迷惑だと思うなら言わないよ」
 「それなら、、、お願いします。」
 「よし!じゃあ行こっか」

  そう言って立ち上がった優希に続いて立ち上がり歩き出した
  すると「ちょっと待っててな。」そう言って先程行ったコンビニへと優希が入っていき、大きめの袋を持って出てきた
  
 「買い忘れか?」
 「いや、服とかは俺の貸せるけど下着は新しいのがいいかな思って。歯ブラシもねぇし」
 「あっ、なるほど」
 「それに酒も買い足した方がいいかと思って」
 「お前、、、」
 「竣くんも飲むだろ?」
 「えっ?あっ、はい」
 「なっ?」

  そう言ってニヤリと笑う優希に思わず呆れ笑いが出る

  優希の家につき昨晩と同じようにサブスクで映画を流しながら酒を飲む
  昨日と同じ、だけど今日はその空間に竣くんがいる
  ただそれだけが堪らなく嬉しくて、、、

  「ちょっとタバコ吸ってくる」優希がそう言ってベランダへ向かった
  僅かに出来た数分の2人だけの時間
  映画を観ながらお酒を飲む竣くんの横顔を見ながら俺は「好きだよ。」そう呟いた

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