20 / 44
20
しおりを挟む俺が俯いたまま応えられずにいれば、はるにぃが顔を覗きこみ「泣いてるのか....?」そう言いながら肩に触れてきた
見られたくなくて思わず「大丈夫だから」そう言って距離を取れば「なおや、、、」と何だか悲しそうな声を出す
なんでそんな声で俺の名前を呼ぶの....碧さんだっているのに....はるにぃがわかんないよ....どうして恋人が横にいるのに.....俺の事をそんなに気にかけるの......
分からない感情に頭がいっぱいで、、、そんな時助けを出してくれるのは楓で、、、「目にゴミが入っちゃって....でもさっき取れたんで大丈夫ですよ」そう言いながら俺の目元の涙を拭う
その言葉に「そうなのか?」と問いかけながら目元に触れようとするはるにぃを何とか交わし「そうだよ。でももう大丈夫だから、、、」そう笑顔を見せながら応えれば、行き場を無くした手を下ろしながら「そっか...」と小さく呟くその顔はどこか寂しそうで.....
すると「ねぇはると!もう行こうよ!幼馴染み君大丈夫なんでしょ!」そう言いながらはるにぃの腕を引っ張る碧さん
「んっ?あぁ、、そうだね。」なんて応えるけど全然動こうとしないはるにぃに皆が疑問を抱く
それに痺れを切らした碧さんが「何かあっても横に彼がいるんだから平気だよ。はるとが気にする事ないでしょ。」と言いながら俺に視線を向ければ睨みつけてくる
別に俺がはるにぃを引き止めている訳でもないのに睨まれる意味がわからなくて視線を逸らせばそれが気に触ったのか「はると!こんな幼馴染みほっといて早く行こうよ。」そんな事を言いながらはるにぃの背中を押し始めた
その行動に「分かったから、行くから押すな。」そう言ってようやく歩き出し2人は遠ざかっていった
そんな2人の後ろ姿を眺めていれば「なんだったんだろうな....」と言う楓を見上げれば同じように2人の後ろ姿を見ていた
2人の姿が見えなくなれば楓が俺に向き直り「そんで、お前は何があったんだ?まぁ何となく予想はつくけど.....」そう聞いてきた
「とりあえず家上がらない?」
「まぁ、そうだな。」
楓の家でゲームをする予定を変更して俺の家へ
先に上がってもらい飲み物と少しのお菓子を持ち部屋に行けば自分の部屋のようにくつろぐ楓に笑みがこぼれる
飲み物を渡し一息つけば再びあの質問をされる
「そんで何があったんだ?」
「碧さん、、、はるにぃの恋人に俺の気持ちバレて、俺がヒートの時に邪魔したのもバレてた、、、」
「マジか、、、でもそれはなんでバレたの」
「はるにぃに紹介された時の俺の反応で.....」
「そんで何か言われたりしたのか?」
「余計な事しないでって、俺の気持ちは迷惑だってさ.....」
「そっかぁ、、、」
「まぁそうだよなって、、、恋人の近くに恋人の事が好きであんな行動までする奴がいるなんていい気分じゃないよな.....でもさ.....俺諦めようと思っても.....どうしたらいいか分かんなくて.....気付いたらはるにぃの事考えちゃってるし.....今日だって.....2人の姿見て苦しいはずなのに......心配してくれたのが嬉しくて.....でもやっぱり苦しくて......もぅ....やめたぃのに、、、」
そう言いながら止まっていたはずの涙はまた溢れ出してきて
そんな俺の傍にきて静かにティッシュを渡してくる楓
「とりあえず泣きたいだけ泣いたらいいよ。俺のことは気にしないで、、、」
そう言いながらゆっくりと背中を撫でてくる
背中に感じるその温かさに、楓の優しさに俺は子供のように泣きじゃくった
86
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説
キンモクセイは夏の記憶とともに
広崎之斗
BL
弟みたいで好きだった年下αに、外堀を埋められてしまい意を決して番になるまでの物語。
小山悠人は大学入学を機に上京し、それから実家には帰っていなかった。
田舎故にΩであることに対する風当たりに我慢できなかったからだ。
そして10年の月日が流れたある日、年下で幼なじみの六條純一が突然悠人の前に現われる。
純一はずっと好きだったと告白し、10年越しの想いを伝える。
しかし純一はαであり、立派に仕事もしていて、なにより見た目だって良い。
「俺になんてもったいない!」
素直になれない年下Ωと、執着系年下αを取り巻く人達との、ハッピーエンドまでの物語。
性描写のある話は【※】をつけていきます。
友人とその恋人の浮気現場に遭遇した話
蜂蜜
BL
主人公は浮気される受の『友人』です。
終始彼の視点で話が進みます。
浮気攻×健気受(ただし、何回浮気されても好きだから離れられないと言う種類の『健気』では ありません)→受の友人である主人公総受になります。
※誰とも関係はほぼ進展しません。
※pixivにて公開している物と同内容です。
【クズ攻寡黙受】なにひとつ残らない
りつ
BL
恋人にもっとあからさまに求めてほしくて浮気を繰り返すクズ攻めと上手に想いを返せなかった受けの薄暗い小話です。「#別れ終わり最後最期バイバイさよならを使わずに別れを表現する」タグで書いたお話でした。少しだけ喘いでいるのでご注意ください。
幼馴染から離れたい。
June
BL
アルファの朔に俺はとってただの幼馴染であって、それ以上もそれ以下でもない。
だけどベータの俺にとって朔は幼馴染で、それ以上に大切な存在だと、そう気づいてしまったんだ。
βの谷口優希がある日Ωになってしまった。幼馴染でいられないとそう思った優希は幼馴染のα、伊賀崎朔から離れようとする。
誤字脱字あるかも。
最後らへんグダグダ。下手だ。
ちんぷんかんぷんかも。
パッと思いつき設定でさっと書いたから・・・
すいません。
初心者オメガは執着アルファの腕のなか
深嶋
BL
自分がベータであることを信じて疑わずに生きてきた圭人は、見知らぬアルファに声をかけられたことがきっかけとなり、二次性の再検査をすることに。その結果、自身が本当はオメガであったと知り、愕然とする。
オメガだと判明したことで否応なく変化していく日常に圭人は戸惑い、悩み、葛藤する日々。そんな圭人の前に、「運命の番」を自称するアルファの男が再び現れて……。
オメガとして未成熟な大学生の圭人と、圭人を番にしたい社会人アルファの男が、ゆっくりと愛を深めていきます。
穏やかさに滲む執着愛。望まぬ幸運に恵まれた主人公が、悩みながらも運命の出会いに向き合っていくお話です。本編、攻め編ともに完結済。
虐げられ聖女(男)なので辺境に逃げたら溺愛系イケメン辺境伯が待ち構えていました【本編完結】(異世界恋愛オメガバース)
美咲アリス
BL
虐待を受けていたオメガ聖女のアレクシアは必死で辺境の地に逃げた。そこで出会ったのは逞しくてイケメンのアルファ辺境伯。「身バレしたら大変だ」と思ったアレクシアは芝居小屋で見た『悪役令息キャラ』の真似をしてみるが、どうやらそれが辺境伯の心を掴んでしまったようで、ものすごい溺愛がスタートしてしまう。けれども実は、辺境伯にはある考えがあるらしくて⋯⋯? オメガ聖女とアルファ辺境伯のキュンキュン異世界恋愛です、よろしくお願いします^_^ 本編完結しました、特別編を連載中です!
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる