幼馴染の彼

あんにん

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   「おっ出た。向かうって連絡から結構経つけど大丈夫か?」

   結構経つ、、、その言葉に時間を確認するけど俺が連絡してからまだ15分ぐらいしか経っていない
   でも俺の家から楓の家までは5分もあれば余裕で着く距離で、、、だから心配してくれたんだろう
   本当に少しの事でも気にかけてくれるよな楓は、、、そう思ったら「かえで.....」泣きそうな声で名前を呼んでいた

   「なおや?何かあったのか?」いつもと違う俺に気付いたのか少し慌てたように尋ねる楓に「俺、、、分かんないよ、、、」そう零した

  「今どこにいる?」
  「自分家のまえ、、、」
  「すぐ行くから待ってろ。分かったか?」
  「、、、うん」

   返事を返せば切り替わる機械音
   ほんの数分だった
   「なおや!」呼ばれた事で顔を上げれば楓が走ってくるのが見えた
   俺の前に立てば「何があったんだ?」って視線を合わせて聞いてくれる
   その優しい声色に気付けば涙が溢れた

  「迷惑だって.....俺のこの気持ちは....おれ....どうしたら....分かんない.....どうしたらこの気持ちは消えてくれる、、、」

   一度流す事を許した涙はとめどなく溢れてくる
   そんな俺を楓は顔を歪めながら見ればゆっくりと手を伸ばし抱きしめてきた
   優しく背中を撫でられれば余計に流れてくる涙で楓の胸元が濡れていく
   それでも気にすること無く俺を抱きしめ続ける楓に俺は甘えた

   どれぐらいの時間だっただろうか
   ガチャと扉が開く音と同時に聞こえてくる2つの声
 
  「はると!早く行かないと!」
  「分かってるから、そんなに引っ張るなって。」

   楽しそうなその声にビクッと肩が揺れる
   そっと楓から離れ視線を向ければはるにぃと碧さんが手を繋ぎながら歩いているのが見えて、、、

   近付いてくる足音とともに俺の顔は俯いていく
   
  「はる、、と?何かあったのか?」

   通り過ぎていくと思っていた足音は近くで止まりはるにぃが心配そうな声で聞いてきた
 
   なんで....なんで声をかけるの.....優しく聞いてくるの.....俺に呆れたんじゃないの.....会わなかったのは...連絡を全然しなかったのは......はるにぃが俺の事避けてたからなのに、、、、
   
   
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