幼馴染の彼

あんにん

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   理由を言えずに黙ったままだった俺に はるにぃはため息を吐いて立ち上がりドアの方へ向かう
  部屋を出る前に立ち止まり俺の方を見れば「そういえば、結果出たよね?尚也は何だった?」そう問いかける
  それに「ベータだった、、、」と応えれば「そう」それだけ呟いて出ていった


   あれから1週間はるにぃから何も連絡はないし俺からも送っていない、、、いや送れなかった

   "嫌われただろうな....そりゃそうだよね..."
   そう繰り返し思いながら一日を過ごしていくばかり

   "今日もこなかったな...." なんて自分から送る勇気はないくせにそんな事を思う
   楓と並んで歩く帰り道でも携帯をチラチラ気にする俺を見て楓が「今日お前の家寄るな。」そう言ってきた。

   俺の部屋で向かい合わせに座ればすぐに
 
  「んで?あれからお前は何も言ってこないけどどうしたんだ?話聞いてた俺からしたらどうなったのか知りたいんだけど、、、」

   そう言われて "そうだよな...." そう思って重い口を開く
   大まかに話せば「はぁ....」とため息をこぼす楓の顔を見れば呆れたような表情をしていた
   
  「なんで理由言わなかったの?」
  「言ったらもう終わりだと思った、、、」
  「まぁそうなる可能性は高いよね。でもその状況を作り出したのは尚也でしょ?」

   その言葉に何も言えなくなる

  「まぁアピールだとか勉強会提案したりとか原因になりうることを色々お前に言ったから俺がとやかく言える権利はないけどさ、、、」

   そうぽつりと言う楓を見れば俯いていて顔がはっきりと見えない
   だけど楓のせいではない
   きっかけはどうであれ行動を起こしたのは自分だ

  「楓は悪くないよ、、、欲が出て行動を起こしたのは俺なんだから、、、。」

  その後はお互い何も言えなくて空気が重くなっていく
  その時間が何分続いただろう、、、
  楓が「ごめん。とりあえず今日は帰るな....」そう言って立ち上がる
  「あぁ....そっか、、、」そう返しながら "流石に楓も俺の事呆れてるよな...." そう思いながら玄関まで見送る
  すると「なおや、、、」小さく俺の名前を呼び顔を上げた俺に「今回の事はさすがによくないけど俺がお前を嫌ったりする事はないから、、、じゃあまた明日な」そう言った

  「えっ?」言われた言葉に驚いて呆然としている間に楓は家を出て帰って行った
  "あんな話を聞いた後でも呆れずに一緒に居てくれるのか.....?" 
  その事実に思わず嬉しく思ってしまう俺は本当に最低な野郎なんだと思う、、、人として最低な行為をしたのに、、、
 
  
   そんな俺に、ガツンと陶器で頭を殴られたような、、、そんな出来事が起こったのはそれから数日後だった

  学校から帰ってきたタイミングで隣の家からはるにぃが恋人と一緒に出てきた

  お互いに目が合い一瞬気まずい空気が流れる
  そんな俺たちをよそに恋人が「知り合い?」と尋ねた

  「あぁ......幼馴染なんだ、、、」そう答えたはるにぃに「ふーん」と恋人が相槌をうつ
  
  するとはるにぃが「俺の恋人の音無 碧おとなし     あおい 」そう俺に紹介した

  だから「初めまして、碧さん。はるにぃ....陽斗さんの幼馴染の最上尚也です。」と自己紹介をすれば、碧さんがまるで俺の事を品定めするかのように上から下まで何度も見る
  その視線に不快感を持つがはるにぃの手前出さないように何とか気をつけた

  それが終わったかと思ったら特に何も言うことなく「早く行こ!」とはるにぃの腕に抱きついた

  目の前のその光景に思わず顔が歪んでしまう
  するとその瞬間、碧さんと目が合った...気がした
  "しまった...." そう思ったけど碧さんは特に何も言うこと無くはるにぃの事を見る

  "よかった.....気のせいか"
  そう思っていれば「じゃあまた」そう言ってはるにぃが俺に背を向ける

   2人並んで歩く後ろ姿を思わず見続けていれば碧さんがチラッとこちらを見た
   するとすぐに碧さんがはるにぃに話しかけたのが聞こえた

  「幼馴染のあの子と仲いーの?」
  「うーんまぁ、、、弟みたいな感じ?」
  「ふーん、、、仲のいい幼馴染ってなんか心配だなぁ。陽斗かっこいーし!陽斗は弟みたいかもだけどあの子は陽斗の事好きだったりして!」

   その言葉に思わずドキリとする
   そのままはるにぃの言葉を待っていれば

  「心配することなんてないよ、、、だってあの子、尚也はベータなんだから」

   その言葉に目の前が真っ暗になった
   "ベータなんだから、、、" それはアルファである自分とベータの俺では何か起こる事はないと言っているみたいなものだった
   
   その瞬間後ろを振り返った碧さんが勝ち誇ったような顔をしているのが見えた

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