幼馴染の彼

あんにん

文字の大きさ
上 下
12 / 44

12

しおりを挟む


   "また今度" そう言われた俺は春休み中ずっと待っていた。
   だけどいくら待ってもはるにぃから連絡がくることはなかった、、、

    
   気が付けば入学式前日の夜で
   "結局こなかったな、、、" ベッドに横たわりながら携帯を眺めていればメッセージが届く
   はるにぃかと思って勢いよく起き上がり見てみれば楓からで
    
   [ついに明日だな!一緒に行こうな!!]

   文字だけなのに今どんな表情でいるのかが伝わるそのメッセージに笑みが零れる
    
   [そうだな。入試の時みたいに楓が迎えに来てくれるんだろ?]
   [もちろん!待ってろよ!!]

   その後は持ち物や行く時間の確認をして [じゃぁまた明日!] とやり取りを終える

   楓とのやり取りが楽しかったからか1人部屋にいる事に寂しさが襲う。 "もうこのまま寝てしまおうか、、、" そう思っていれば握っていた携帯が震える

   "楓が何か伝え忘れていたのか?" そう思って画面を見ればはるにぃからの着信で
   慌てて起き上がりその勢いのまま電話に出る

  「も!もしもし!!」
  「おぉ、、すごい勢いだな、、」

   少し驚いた声でそう言った後に軽く笑うはるにぃ。少し気持ちが落ち着いて「あっ、ごめん。」そう言えば「いや、こっちこそ急にごめんな。」そう謝られた。

  「ううん、大丈夫だよ。どうしたの?」
  「いや、明日入学式だろ?結局お祝い出来てないからさ、入学おめでとーって直接言おうかと思って。」

   お祝い出来ていない、の言葉にあの日のことを思い出して少し胸は痛むけど、こうやって直接伝えようと電話をしてくれたのが嬉しくて

   しばらく会話が続きはるにぃと繋がれているこの時間が幸せだった
   だけどその幸せな時間が終わるのはすぐで、、、

  「はるとー!用終わった?」

   聞きたくない声が聞こえてきた
    
   "今日も一緒にいるんだ、、、。"

   恋人同士なんだから一緒にいるのは普通で何もおかしい事なんてない
   それは恋人が出来たと言われたあの日から分かっていた事で
   何も行動せずにいた自分がその事に傷つくのも想像せずとも分かっていたことなのに
   想像する度に見かける度に傷はどんどん深くなっていく
    
    
   "あっだめだ、、、" そう思った時には堪えきれずに溢れた涙
   「ごめん、呼ばれたから切るね。」慌ててそう言って返事を待たずに通話を終わらせれば、とめどなく流れてくるから、、、
   暗く静かな部屋で必死に声を押し殺し泣いた

しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

【クズ攻寡黙受】なにひとつ残らない

りつ
BL
恋人にもっとあからさまに求めてほしくて浮気を繰り返すクズ攻めと上手に想いを返せなかった受けの薄暗い小話です。「#別れ終わり最後最期バイバイさよならを使わずに別れを表現する」タグで書いたお話でした。少しだけ喘いでいるのでご注意ください。

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

ゆあ
BL
付き合っている彼は浮気をしている。オレは、それを見て見ぬフリしかできない

ひとりぼっちの180日

あこ
BL
付き合いだしたのは高校の時。 何かと不便な場所にあった、全寮制男子高校時代だ。 篠原茜は、その学園の想像を遥かに超えた風習に驚いたものの、順調な滑り出しで学園生活を始めた。 二年目からは学園生活を楽しみ始め、その矢先、田村ツトムから猛アピールを受け始める。 いつの間にか絆されて、二年次夏休みを前に二人は付き合い始めた。 ▷ よくある?王道全寮制男子校を卒業したキャラクターばっかり。 ▷ 綺麗系な受けは学園時代保健室の天使なんて言われてた。 ▷ 攻めはスポーツマン。 ▶︎ タグがネタバレ状態かもしれません。 ▶︎ 作品や章タイトルの頭に『★』があるものは、個人サイトでリクエストしていただいたものです。こちらではリクエスト内容やお礼などの後書きを省略させていただいています。

僕は君になりたかった

15
BL
僕はあの人が好きな君に、なりたかった。 一応完結済み。 根暗な子がもだもだしてるだけです。

お試し交際終了

いちみやりょう
BL
「俺、神宮寺さんが好きです。神宮寺さんが白木のことを好きだったことは知ってます。だから今俺のこと好きじゃなくても構わないんです。お試しでもいいから、付き合ってみませんか」 「お前、ゲイだったのか?」 「はい」 「分かった。だが、俺は中野のこと、好きにならないかもしんねぇぞ?」 「それでもいいです! 好きになってもらえるように頑張ります」 「そうか」 そうして俺は、神宮寺さんに付き合ってもらえることになった。

周りが幼馴染をヤンデレという(どこが?)

ヨミ
BL
幼馴染 隙杉 天利 (すきすぎ あまり)はヤンデレだが主人公 花畑 水華(はなばた すいか)は全く気づかない所か溺愛されていることにも気付かずに ただ友達だとしか思われていないと思い込んで悩んでいる超天然鈍感男子 天利に恋愛として好きになって欲しいと頑張るが全然効いていないと思っている。 可愛い(綺麗?)系男子でモテるが天利が男女問わず牽制してるためモテない所か自分が普通以下の顔だと思っている 天利は時折アピールする水華に対して好きすぎて理性の糸が切れそうになるが、なんとか保ち普段から好きすぎで悶え苦しんでいる。 水華はアピールしてるつもりでも普段の天然の部分でそれ以上のことをしているので何しても天然故の行動だと思われてる。 イケメンで物凄くモテるが水華に初めては全て捧げると内心勝手に誓っているが水華としかやりたいと思わないので、どんなに迫られようと見向きもしない、少し女嫌いで女子や興味、どうでもいい人物に対してはすごく冷たい、水華命の水華LOVEで水華のお願いなら何でも叶えようとする 好きになって貰えるよう努力すると同時に好き好きアピールしているが気づかれず何年も続けている内に気づくとヤンデレとかしていた 自分でもヤンデレだと気づいているが治すつもりは微塵も無い そんな2人の両片思い、もう付き合ってんじゃないのと思うような、じれ焦れイチャラブな恋物語

【番】の意味を考えるべきである

ゆい
BL
「貴方は私の番だ!」 獣人はそう言って、旦那様を後ろからギュッと抱きしめる。 「ああ!旦那様を離してください!」 私は慌ててそう言った。 【番】がテーマですが、オメガバースの話ではありません。 男女いる世界です。獣人が出てきます。同性婚も認められています。 思いつきで書いておりますので、読みにくい部分があるかもしれません。 楽しんでいただけたら、幸いです。

処理中です...