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再会
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Kronos総長、朱雀。本名は高宮鳳我と言うらしい。族での活動は基本的に通り名や渾名で行う。それ故に朱雀の名前を俺は知らなかった。
朱雀と出会ったのは、勿論、夜の街だ。俺は当時、どうしようもない感情の捌け口を求めて街を徘徊していた。幼いころから武術を習っていたため、誰も俺に叶う事は無かった。結果として、俺は敢えて危険とされる場所に足を運ぶようになった。喧嘩が好きだった。体を動かせば、溜まり澱んだ感情が弾けていった。体に走る痛みと満ち満ちた熱気が、俺が生きていることを教えてくれた。特殊なアルビノであった為に日光は平気だが、特徴的過ぎて目立つので普段は隠している白銀の髪と碧眼をさらけ出し、わずかばかりキャップで目元を隠して“普段とは違う自分”を開放していた。
卑怯な事や曲がった事を酷く嫌悪する俺は、力の差に成す術ない者を助けることに愉しみを見出すようになった。ただの自己満足だったし、その場にいるだけで自業自得と言えなくも無かったが、それだけが俺の支えであった。やがて俺の名前は広まり、一人、また一人と仲間が出来た。
どいつもこいつも個性派揃いで、面白かった。それぞれが、譲れない何かを持っていた仲間たちは、強く。一緒にいて心地よかった。
他愛の無い話で盛り上がり、時にケンカして、それでも一緒に夜の街を駆けた。結果として、俺たちは族として扱われるようになっていた。そんなつもりはなかったが、その方が面白そうだとその時に結成することになった。
そんな俺たちの族の名前はNukes。核兵器とかそういう意味を持つ英単語。少人数の癖に、周りに大きな被害を生んでは嵐の様に去っていく俺たちにピッタリだと付けたのだ。俺はというと、いつの間にかNukesの総長という扱いになっていた。俺としては、一番最初の仲間である龍が総長になるもんだと思っていたので、かなり抵抗した。結局とんでもない規模かつ期間の大喧嘩の後、口八丁手八丁で丸め込まれたが。
そして俺たちは、Kronosに出会った。最大勢力で古株の族。どのチームも彼らには一目置いていた。新興の俺たちも知っていた。奴らとどうして交流を持つようになったのか。答えは単純。徘徊している最中に偶然遭遇。そのまま喧嘩を吹っ掛けられたのだ。
正直勝つとは思っていなかった。それは俺だけでなく、仲間全員の思いだっただろう。それでも良かった。確かに勝てればそれに越したことはないが、俺たちは仲間と暴れる事に意義を見出していたためだ。案の定、数時間に及ぶ戦闘の末、俺たちは力尽きた。相当数は減らしたが、如何せん数が違うのだ。すると何を思ったのか、当時のKronos総長が、俺に一対一を申し込んできたのだ。総長の想像以上の俺たちの力に、面白がったようだ。俺が申し出を断るわけもなく、闘った。
結果は痛み分け。アルビノ特有の脆弱さゆえに体力のない俺は長時間戦闘が出来なかったので、その分短時間できっちり傷をつけさせてもらった。俺の優勢になった瞬間に俺の体力が付き、その時点で試合終了となったのだ。ああ、悔しいなと思っていると、何故かそのまま総長に気に入られ、Kronosのたまり場に連行された。怪我の手当てを受けている時に俺に話しかけてきたのが朱雀だったのだ。
当時副総長だった朱雀は、右腕を連れて俺にチョッカイをかけてきた。そのまま意気投合し、朱雀が総長の座を引き継いでからも親交があったのだ。朱雀と龍はいがみ合っていたが、それ以外のメンツは仲が良かった。
俺が、失踪するまでは。
朱雀と出会ったのは、勿論、夜の街だ。俺は当時、どうしようもない感情の捌け口を求めて街を徘徊していた。幼いころから武術を習っていたため、誰も俺に叶う事は無かった。結果として、俺は敢えて危険とされる場所に足を運ぶようになった。喧嘩が好きだった。体を動かせば、溜まり澱んだ感情が弾けていった。体に走る痛みと満ち満ちた熱気が、俺が生きていることを教えてくれた。特殊なアルビノであった為に日光は平気だが、特徴的過ぎて目立つので普段は隠している白銀の髪と碧眼をさらけ出し、わずかばかりキャップで目元を隠して“普段とは違う自分”を開放していた。
卑怯な事や曲がった事を酷く嫌悪する俺は、力の差に成す術ない者を助けることに愉しみを見出すようになった。ただの自己満足だったし、その場にいるだけで自業自得と言えなくも無かったが、それだけが俺の支えであった。やがて俺の名前は広まり、一人、また一人と仲間が出来た。
どいつもこいつも個性派揃いで、面白かった。それぞれが、譲れない何かを持っていた仲間たちは、強く。一緒にいて心地よかった。
他愛の無い話で盛り上がり、時にケンカして、それでも一緒に夜の街を駆けた。結果として、俺たちは族として扱われるようになっていた。そんなつもりはなかったが、その方が面白そうだとその時に結成することになった。
そんな俺たちの族の名前はNukes。核兵器とかそういう意味を持つ英単語。少人数の癖に、周りに大きな被害を生んでは嵐の様に去っていく俺たちにピッタリだと付けたのだ。俺はというと、いつの間にかNukesの総長という扱いになっていた。俺としては、一番最初の仲間である龍が総長になるもんだと思っていたので、かなり抵抗した。結局とんでもない規模かつ期間の大喧嘩の後、口八丁手八丁で丸め込まれたが。
そして俺たちは、Kronosに出会った。最大勢力で古株の族。どのチームも彼らには一目置いていた。新興の俺たちも知っていた。奴らとどうして交流を持つようになったのか。答えは単純。徘徊している最中に偶然遭遇。そのまま喧嘩を吹っ掛けられたのだ。
正直勝つとは思っていなかった。それは俺だけでなく、仲間全員の思いだっただろう。それでも良かった。確かに勝てればそれに越したことはないが、俺たちは仲間と暴れる事に意義を見出していたためだ。案の定、数時間に及ぶ戦闘の末、俺たちは力尽きた。相当数は減らしたが、如何せん数が違うのだ。すると何を思ったのか、当時のKronos総長が、俺に一対一を申し込んできたのだ。総長の想像以上の俺たちの力に、面白がったようだ。俺が申し出を断るわけもなく、闘った。
結果は痛み分け。アルビノ特有の脆弱さゆえに体力のない俺は長時間戦闘が出来なかったので、その分短時間できっちり傷をつけさせてもらった。俺の優勢になった瞬間に俺の体力が付き、その時点で試合終了となったのだ。ああ、悔しいなと思っていると、何故かそのまま総長に気に入られ、Kronosのたまり場に連行された。怪我の手当てを受けている時に俺に話しかけてきたのが朱雀だったのだ。
当時副総長だった朱雀は、右腕を連れて俺にチョッカイをかけてきた。そのまま意気投合し、朱雀が総長の座を引き継いでからも親交があったのだ。朱雀と龍はいがみ合っていたが、それ以外のメンツは仲が良かった。
俺が、失踪するまでは。
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