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それからも散々な目に会った

明日の皇太子様とのお茶会だとメイドさん達の間であっという間に広まった様で


「しっかり洗わせて頂きますからね!」

「此方のバスソルトはお肌をぷるっぷるにしてくれますよ、しっかりと浸かって下さいね!」

「枝毛も切らせて頂きますよ、動かないで下さい!!」

「明日緊張しないよう身体を解して起きましょうね、背筋もピンと伸びるように矯正しましょう!!」


「頼むからもうお風呂上がらせてぇ~…」


何時もは無理言って一人で入らせて貰っているのに今日は入浴に沢山のメイドさんが着いてきて
ありとあらゆる所を磨かれてクタクタになり…


「明日のお洋服は此方になさいますか?」

「いや普段着でいいから」

「なりません!!!!失礼の無いように、また皇太子様がナギ様に惚れ込むように魅力を引き立たせるものでなくてはいけませんから!!!」

「此方のブラウスとか如何でしょうか?クラシカルなジャケットとよく合うかと」

「いいわね!ナギ様の気品と愛らしさが引き立つわよ!!」

「いや惚れられなくて良いし引き立てなくていいから……」


洋服はあれこれ着せ替えられて草臥れたし…
と言うかメイドさんは嫁入り賛成派ばっかりみたいだ
今迄俺にそういった恋愛とか婚約のイベントが中々無かったからか、今までに無いくらい気合いが入っている

勘弁してくれとしか思えない


結局パジャマに着替えられたのはそれから二時間後だった



「あぁ~やっと部屋に戻れた……ベッド気持ちいい~………」

慣れない出来事に疲れ切った身体を労わるように、ふわふわの生地が優しく俺を包み込んでくれる

「んん~…このまま寝ちゃいたいな」

正直、少し目を瞑っていれば眠れるくらいには微睡んでいる

けれど、俺にはまだ寝たくない理由があった


「あの本、もう少し続き読みたい!」


あの分厚い異世界についての本の事だ、五時間も読んで未だ三分の一ページ以上残っている
…読書に慣れていない分読むのが遅いせいだけど


「寝る前にもう数ページだけ…ニホンについて知りたいな」


何とかベッドから起き上がって、椅子に座り本を開く

「えぇっと、確か学校についてを読み終えた後からだから……ここか」


自分が異世界の国同士ニホンに行った時の事を想像しながら
あと数ページ、あとちょっとだけ……を繰り返して、どんどん夜は更けていった


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