私の主人が自分を悪役令息だというのですがそれは大きな問題ではございません

どこどこ

文字の大きさ
17 / 62

私の主人、領地視察を言いつけられる

しおりを挟む
アルダース・ヘルダーという名前には聞き覚えがなかったけど、アルダースっていうだけなら言われてみれば攻略本で読んだ事あった。そっか、無印むいんの時の主人公だわ、うっかりしてた。


ブツブツと独り言を仰っているシニフェ様は少しそっとしておき、私とプランは侯爵夫人と世間話をすることにしました。
「闇が包んだってことは、その子供は闇使いだったってことですか?」
「そう判断出来るわよね。明確には言ってないけど」
プランの質問に侯爵夫人が答えて、更に続けられました。
「だから、侯爵とお付き合いする事になった時には隣国の王パパが渋ったのよね。『闇の魔法使いなんて』って」
「そちらの国では魔王が闇の魔法使いっていうのは常識なんですか?」
私が尋ねると、侯爵夫人は肯定されました。
「ええ、こんな風におとぎ話にもなってるし、みんな知っているわ。だから、今の今までこの国でも常識だと思ってたんだけど…あなた達の顔を見てると知らないようね」
「聞いた事ないし、輸入した本でも見た事ないよ~」
とのプランの意見で、意図的にその事実を排除しているのだと確信しました。

地続きの立地である隣国のおとぎ話がここまで徹底的に排除している不自然さは、この国では伝承させなかったとするほうが自然なくらいです。
そもそも、この国でグランメション侯爵家が最も力を持っているのは周知の事実です。グランメション家の秘術が闇魔法であることは今でこそ誰も知りませんが、昔は『グランメション家=闇魔法の家』というのは周知のことだったのでしょう。その家を連想させる闇魔法を魔王の魔力と言うのが、グランメション家の耳に入ってしまうリスクを避ける為にも、そのおとぎ話を国内で流行らせることは避けたのではないでしょうか。
もしくは、侯爵家が伝承の流布を禁じたという可能性もあります。むしろそちらの方が強そうです。


「それにしてもヘルダーって村の名前なんだ」
私がそんな考えをめぐらせている横でシニフェ様がそんな感想を零されました。
すると侯爵夫人はまたも驚いたような顔をされました。
「シニフェ、ほんとーに知らないの?」
「知らない。お母様、それはどこなの?」
「そこはグランメション侯爵家我が家の領地のひとつよ。将来あなたが管理するんですから、しっかり覚えておきなさい」
やぶ蛇をつついてしまったようで、再びお叱りを受けてしまったシニフェ様はしょんぼりされていました。
しかし、これは訂正させていただきたいです。広大なグランメション家の領地となりますと覚えるのは至難の技ですが、シニフェ様は全て覚えていらっしゃるのです。ですのでこれは侯爵夫人の聞き方が少々いじわるだったかもしれません。そこで私はシニフェ様に小さく耳打ちをしました。
「ヘルダーは隣国風の言い方だと思います。おそらくエルデールのことです」
「エルデール!それなら知ってる。あの領地って確かになんもないな」
「あらやだ。ごめんなさいね、私の言葉のせいだったの?」
侯爵夫人は自分の否を認めると即座に謝っていらっしゃいました。
本当に身分に合わないことをされる方です。


このヘルダー改め、エルデールという土地はは、グランメション家が持っている領地の中で最も北に位置しています。点々とした小さな村々しかなく人口は僅かながら、鉱山が幾つもある地域です。鉱山はこの国でも最大級のものなハズですが鉱山都市がほとんど発展していません。
そう言えばこれまで気にもとめていませんでしたが、エルデールは鉱山としては大規模であり採掘量も高い場所です。それだけの規模なので作業も多いでしょうし採掘者で人が集まっても良さそうですのに、それこそほとんど人がいないのです。
一攫千金を狙う者が集まる事はないにしろ、あれだけの採掘量を僅かな人口でどうやって生み出しているのでしょう。
「侯爵夫人、エルデールに今度お邪魔してもよろしいでしょうか?」
「勿論良いわよ。でも寒いわよ。私の出身と同じくらいの緯度ですからね」
「防寒して行きますので」
「まぁなんとでもなるわよね。侯爵には伝えておきますから好きな時にお行きなさい。ちょうどいいからシニフェも行って来て領地視察をしてらっしゃい」
「行っていいの?やった!」

侯爵夫人にそう言われたシニフェ様はむしろ喜んでいらっしゃいました。そしてそれを聞いたプランは自分も行くと挙手をするのでした。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

悪役令息を改めたら皆の様子がおかしいです?

  *  ゆるゆ
BL
王太子から伴侶(予定)契約を破棄された瞬間、前世の記憶がよみがえって、悪役令息だと気づいたよ! しかし気づいたのが終了した後な件について。 悪役令息で断罪なんて絶対だめだ! 泣いちゃう! せっかく前世を思い出したんだから、これからは心を入れ替えて、真面目にがんばっていこう! と思ったんだけど……あれ? 皆やさしい? 主人公はあっちだよー? ユィリと皆の動画をつくりました! インスタ @yuruyu0 絵も動画もあがります。ほぼ毎日更新! Youtube @BL小説動画 アカウントがなくても、どなたでもご覧になれます。動画を作ったときに更新! プロフのWebサイトから、両方に飛べるので、もしよかったら! 名前が  *   ゆるゆ  になりましたー! 中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー! ご感想欄 、うれしくてすぐ承認を押してしまい(笑)ネタバレ 配慮できないので、ご覧になる時は、お気をつけください!

妹を救うためにヒロインを口説いたら、王子に求愛されました。

藤原遊
BL
乙女ゲームの悪役令息に転生したアラン。 妹リリィが「悪役令嬢として断罪される」未来を変えるため、 彼は決意する――ヒロインを先に口説けば、妹は破滅しない、と。 だがその“奇行”を見ていた王太子シリウスが、 なぜかアラン本人に興味を持ち始める。 「君は、なぜそこまで必死なんだ?」 「妹のためです!」 ……噛み合わないはずの会話が、少しずつ心を動かしていく。 妹は完璧令嬢、でも内心は隠れ腐女子。 ヒロインは巻き込まれて腐女子覚醒。 そして王子と悪役令息は、誰も知らない“仮面の恋”へ――。 断罪回避から始まる勘違い転生BL×宮廷ラブストーリー。 誰も不幸にならない、偽りと真実のハッピーエンド。

悪役令息に転生したので、死亡フラグから逃れます!

伊月乃鏡
BL
超覇権BLゲームに転生したのは──ゲーム本編のシナリオライター!? その場のテンションで酷い死に方をさせていた悪役令息に転生したので、かつての自分を恨みつつ死亡フラグをへし折ることにした主人公。 創造者知識を総動員してどうにか人生を乗り切っていくが、なんだかこれ、ゲーム本編とはズレていってる……? ヤンデレ攻略対象に成長する弟(兄のことがとても嫌い)を健全に、大切に育てることを目下の目標にして見るも、あれ? 様子がおかしいような……? 女好きの第二王子まで構ってくるようになって、どうしろっていうんだよただの悪役に! ──とにかく、死亡フラグを回避して脱・公爵求む追放! 家から出て自由に旅するんだ! ※ 一日三話更新を目指して頑張ります 忙しい時は一話更新になります。ご容赦を……

なぜ処刑予定の悪役子息の俺が溺愛されている?

詩河とんぼ
BL
 前世では過労死し、バース性があるBLゲームに転生した俺は、なる方が珍しいバットエンド以外は全て処刑されるというの世界の悪役子息・カイラントになっていた。処刑されるのはもちろん嫌だし、知識を付けてそれなりのところで働くか婿入りできたらいいな……と思っていたのだが、攻略対象者で王太子のアルスタから猛アプローチを受ける。……どうしてこうなった?

【完結】悪役に転生したので、皇太子を推して生き延びる

ざっしゅ
BL
気づけば、男の婚約者がいる悪役として転生してしまったソウタ。 この小説は、主人公である皇太子ルースが、悪役たちの陰謀によって記憶を失い、最終的に復讐を遂げるという残酷な物語だった。ソウタは、自分の命を守るため、原作の悪役としての行動を改め、記憶を失ったルースを友人として大切にする。 ソウタの献身的な行動は周囲に「ルースへの深い愛」だと噂され、ルース自身もその噂に満更でもない様子を見せ始める。

悪役令息(Ω)に転生したので、破滅を避けてスローライフを目指します。だけどなぜか最強騎士団長(α)の運命の番に認定され、溺愛ルートに突入!

水凪しおん
BL
貧乏男爵家の三男リヒトには秘密があった。 それは、自分が乙女ゲームの「悪役令息」であり、現代日本から転生してきたという記憶だ。 家は没落寸前、自身の立場は断罪エンドへまっしぐら。 そんな破滅フラグを回避するため、前世の知識を活かして領地改革に奮闘するリヒトだったが、彼が生まれ持った「Ω」という性は、否応なく運命の渦へと彼を巻き込んでいく。 ある夜会で出会ったのは、氷のように冷徹で、王国最強と謳われる騎士団長のカイ。 誰もが恐れるαの彼に、なぜかリヒトは興味を持たれてしまう。 「関わってはいけない」――そう思えば思うほど、抗いがたいフェロモンと、カイの不器用な優しさがリヒトの心を揺さぶる。 これは、運命に翻弄される悪役令息が、最強騎士団長の激重な愛に包まれ、やがて国をも動かす存在へと成り上がっていく、甘くて刺激的な溺愛ラブストーリー。

拝啓、目が覚めたらBLゲームの主人公だった件

碧月 晶
BL
さっきまでコンビニに向かっていたはずだったのに、何故か目が覚めたら病院にいた『俺』。 状況が分からず戸惑う『俺』は窓に映った自分の顔を見て驚いた。 「これ…俺、なのか?」 何故ならそこには、恐ろしく整った顔立ちの男が映っていたのだから。 《これは、現代魔法社会系BLゲームの主人公『石留 椿【いしどめ つばき】(16)』に転生しちゃった元平凡男子(享年18)が攻略対象たちと出会い、様々なイベントを経て『運命の相手』を見つけるまでの物語である──。》 ──────────── ~お知らせ~ ※第3話を少し修正しました。 ※第5話を少し修正しました。 ※第6話を少し修正しました。 ※第11話を少し修正しました。 ※第19話を少し修正しました。 ※第22話を少し修正しました。 ※第24話を少し修正しました。 ※第25話を少し修正しました。 ※第26話を少し修正しました。 ※第31話を少し修正しました。 ※第32話を少し修正しました。 ──────────── ※感想(一言だけでも構いません!)、いいね、お気に入り、近況ボードへのコメント、大歓迎です!! ※表紙絵は作者が生成AIで試しに作ってみたものです。

公爵家の末っ子に転生しました〜出来損ないなので潔く退場しようとしたらうっかり溺愛されてしまった件について〜

上総啓
BL
公爵家の末っ子に転生したシルビオ。 体が弱く生まれて早々ぶっ倒れ、家族は見事に過保護ルートへと突き進んでしまった。 両親はめちゃくちゃ溺愛してくるし、超強い兄様はブラコンに育ち弟絶対守るマンに……。 せっかくファンタジーの世界に転生したんだから魔法も使えたり?と思ったら、我が家に代々伝わる上位氷魔法が俺にだけ使えない? しかも俺に使える魔法は氷魔法じゃなく『神聖魔法』?というか『神聖魔法』を操れるのは神に選ばれた愛し子だけ……? どうせ余命幾ばくもない出来損ないなら仕方ない、お荷物の僕はさっさと今世からも退場しよう……と思ってたのに? 偶然騎士たちを神聖魔法で救って、何故か天使と呼ばれて崇められたり。終いには帝国最強の狂血皇子に溺愛されて囲われちゃったり……いやいやちょっと待て。魔王様、主神様、まさかアンタらも? ……ってあれ、なんかめちゃくちゃ囲われてない?? ――― 病弱ならどうせすぐ死ぬかー。ならちょっとばかし遊んでもいいよね?と自由にやってたら無駄に最強な奴らに溺愛されちゃってた受けの話。 ※別名義で連載していた作品になります。 (名義を統合しこちらに移動することになりました)

処理中です...