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歴女の指名
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それから、みんなの二巡目の指名が始まった……
「明智光秀って名前の人いたよね」
美玲の指名に心底呆れる……ウソでしょ……すでに織田信長を指名してるのに明智光秀を指名するって……なに考えてるのか……
他の指名も結構いい加減で、知名度順に指名がされていく感じであった……だけど、一部の人たちは、ちゃんと考えられた指名をしてくる……
それにしても芽衣の二巡目が黒田官兵衛だったのは驚いた……もしかして本当は歴史を知っているの? 猛将の次は軍師になりえる知将を指名した芽衣を警戒する。
他にも呂布の次に関羽を指名した浅井や、三船先生の源為朝は脅威を感じる……しかし、そんな中でも、意外という点では一巡目で項羽を指名した大友純平の二巡目の指名が脅威的であった。
「レオニダス一世」
レオニダス一世……確かスパルタ王の……私は日本史に比べると、世界史は得意ではない……しかし、それでもその名は知っている……7千のギリシア連合軍を率いて、100万ともいわれるペルシア軍と戦った英雄王……その武力は未知数だけど、スパルタ王はその武力で権力を誇示すると言われている……ならば弱いわけはないだろう。
二巡目が終わり、三巡目が始まったのだが、美玲の指名はかなり笑わせてくれる。
「フ……フランシスコ・ザビエル……」
「ちょ……美玲、ザビエルって……笑わさないでよ~」
さすがの指名に、仲間である芽衣にも笑われる。
「仕方ないでしょ、知ってる歴史上の人物なんて、みんな言われちゃったんだから」
「それにしてもザビエルって……」
歴史オンチもここまでくれば笑える……そう思ったが口には出さなかった。
三巡目でも注目の指名をするのは数人であった。三巡目の芽衣の指名も驚きのチョイスで、さらに警戒を強める……『島左近』──島左近は『三成には過ぎたるもの』と言われたほどの名将……やはり芽衣はゲームの知識だけではなく、歴史を知っているんじゃないのかな……
さらに大友純平が脅威の名をあげていた……『孫武』──孫武は孫子の兵法書で知られる、最高の兵法理論者……これ以上にないほどの軍師の指名で、大友純平の指名3人が揃ったのだけど……項羽、レオニダス一世、孫武……なんと強力なラインナップだろうか……
三船先生は源平で指名を固めたようだ、三巡目の指名は武蔵坊弁慶……これは意外な指名であった……確かに怪力で戦闘力が高く、有名な人物だけど……正直、歴女の三船先生ならもっとマニアックで優秀な武将を選ぶと思っていた。あまりにも不可解なので、私は三船先生に意図を聞いてしまっていた──三船先生はその問いにこう答える。
「弁慶は、義経の下では強さが何倍にもなると思わない」
これはまさに歴女のロマンであろう……本当に強くなるかはわからないけど、確かにそんな気がしてくる……
ようやく全員の指名が終わり、いよいよ私の番が回ってきた。
「ほら、便所虫! 順番が来たわよ、どうせろくな人材残ってないでしょうけど、せいぜい知識を絞り出すのね」
そう美玲は言うが、私の頭の中にある『こいつすげー強いんじゃないかリスト』には、まだまだ指名されていない人物が多数存在している。なので私からすれば、選び放題の状態と変わらない。
「一丁前に何悩んでるんだよ! さっさと指名しろよ!」
「そうだ! 困ってるんだったら俺が選んでやろうか!」
外野のうるさい野次を無視して、私は最初の指名を考えた──そして一人の人物が思い浮かぶ……
「可児才蔵」
笹の才蔵……親友の悠美、一押しの猛将を指名した。本名の吉長ではなく、才蔵と言ったのはちょっと確認したいことがあったのだが、どうやらそれは問題ないようだ。
「うそ、みんな聞いた、カニですって、あの便所虫、カニなんて人指名したわよ、そんな聞いたことのない人物しか知らなかったのかしら!」
三巡目でザビエルを指名した歴史オンチに言われたくないが……他のクラスメイトの大半も、可児吉長は知らない人が多いようで、ほら、変なのしか残ってないと言った哀れみの表情で私を見ていた。
「可児才蔵は了承した。次の指名はどうする」
二人目はどうしようか……立花宗茂や加藤清正……確かに強力な武将だけど、項羽や呂布のような怪物と渡り合えるかどうかは微妙だ、やはりあの人物を指名してみようか……私はクラスメイト全員が驚く、一人の人物の名を挙げた。
「明智光秀って名前の人いたよね」
美玲の指名に心底呆れる……ウソでしょ……すでに織田信長を指名してるのに明智光秀を指名するって……なに考えてるのか……
他の指名も結構いい加減で、知名度順に指名がされていく感じであった……だけど、一部の人たちは、ちゃんと考えられた指名をしてくる……
それにしても芽衣の二巡目が黒田官兵衛だったのは驚いた……もしかして本当は歴史を知っているの? 猛将の次は軍師になりえる知将を指名した芽衣を警戒する。
他にも呂布の次に関羽を指名した浅井や、三船先生の源為朝は脅威を感じる……しかし、そんな中でも、意外という点では一巡目で項羽を指名した大友純平の二巡目の指名が脅威的であった。
「レオニダス一世」
レオニダス一世……確かスパルタ王の……私は日本史に比べると、世界史は得意ではない……しかし、それでもその名は知っている……7千のギリシア連合軍を率いて、100万ともいわれるペルシア軍と戦った英雄王……その武力は未知数だけど、スパルタ王はその武力で権力を誇示すると言われている……ならば弱いわけはないだろう。
二巡目が終わり、三巡目が始まったのだが、美玲の指名はかなり笑わせてくれる。
「フ……フランシスコ・ザビエル……」
「ちょ……美玲、ザビエルって……笑わさないでよ~」
さすがの指名に、仲間である芽衣にも笑われる。
「仕方ないでしょ、知ってる歴史上の人物なんて、みんな言われちゃったんだから」
「それにしてもザビエルって……」
歴史オンチもここまでくれば笑える……そう思ったが口には出さなかった。
三巡目でも注目の指名をするのは数人であった。三巡目の芽衣の指名も驚きのチョイスで、さらに警戒を強める……『島左近』──島左近は『三成には過ぎたるもの』と言われたほどの名将……やはり芽衣はゲームの知識だけではなく、歴史を知っているんじゃないのかな……
さらに大友純平が脅威の名をあげていた……『孫武』──孫武は孫子の兵法書で知られる、最高の兵法理論者……これ以上にないほどの軍師の指名で、大友純平の指名3人が揃ったのだけど……項羽、レオニダス一世、孫武……なんと強力なラインナップだろうか……
三船先生は源平で指名を固めたようだ、三巡目の指名は武蔵坊弁慶……これは意外な指名であった……確かに怪力で戦闘力が高く、有名な人物だけど……正直、歴女の三船先生ならもっとマニアックで優秀な武将を選ぶと思っていた。あまりにも不可解なので、私は三船先生に意図を聞いてしまっていた──三船先生はその問いにこう答える。
「弁慶は、義経の下では強さが何倍にもなると思わない」
これはまさに歴女のロマンであろう……本当に強くなるかはわからないけど、確かにそんな気がしてくる……
ようやく全員の指名が終わり、いよいよ私の番が回ってきた。
「ほら、便所虫! 順番が来たわよ、どうせろくな人材残ってないでしょうけど、せいぜい知識を絞り出すのね」
そう美玲は言うが、私の頭の中にある『こいつすげー強いんじゃないかリスト』には、まだまだ指名されていない人物が多数存在している。なので私からすれば、選び放題の状態と変わらない。
「一丁前に何悩んでるんだよ! さっさと指名しろよ!」
「そうだ! 困ってるんだったら俺が選んでやろうか!」
外野のうるさい野次を無視して、私は最初の指名を考えた──そして一人の人物が思い浮かぶ……
「可児才蔵」
笹の才蔵……親友の悠美、一押しの猛将を指名した。本名の吉長ではなく、才蔵と言ったのはちょっと確認したいことがあったのだが、どうやらそれは問題ないようだ。
「うそ、みんな聞いた、カニですって、あの便所虫、カニなんて人指名したわよ、そんな聞いたことのない人物しか知らなかったのかしら!」
三巡目でザビエルを指名した歴史オンチに言われたくないが……他のクラスメイトの大半も、可児吉長は知らない人が多いようで、ほら、変なのしか残ってないと言った哀れみの表情で私を見ていた。
「可児才蔵は了承した。次の指名はどうする」
二人目はどうしようか……立花宗茂や加藤清正……確かに強力な武将だけど、項羽や呂布のような怪物と渡り合えるかどうかは微妙だ、やはりあの人物を指名してみようか……私はクラスメイト全員が驚く、一人の人物の名を挙げた。
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