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迷宮主誕生
悪魔召喚
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紋次郎一家の経営会議、一同はダンジョン事務所の一室に集合していた。
「さて、残念なお知らせがあります・・ここ最近の我がダンジョンの経営状態ですが、とんでもない赤字になっています」
「え~~そうなの? だってドラゴンゾンビや鉄魔神を配置して、ものすごい数の冒険者を倒したよね、結構収入、入ったんじゃないの?」
「確かに収入は入りました。蘇生代や全滅ペナルティの接収で5000万ゴルドほど入ってきてます」
「だったらなぜ?」
「え~まず、ドラゴンゾンビですが、その作成費用が一体800万ゴルドかかっています。合計2400万ですね。そして鉄魔神ですが一体1500万ゴルド、これを2体ですので合計3000万ゴルド使っています。これだけで400万の赤字になってるんですが、これにグワドンの装備費用1200万合わせると赤字額は1600万にもなります」
「・・・・・・」
「まー簡単に言えば金が無いんじゃな」
「はい。そういうことです」
確かに、多少の無茶な経営をしていたのは認めるけど、ここまで赤字になっているとは思わなかった。どうしたもんか・・ダンジョンの難易度を急激に上げたせいで評判も悪くなっているだろうし・・このままでは破産してしまう。
「まず、ダンジョン難易度を元に戻しましょう」
「そうだね・・さすがにモンスターの設置費用で5400万はもう出せないしね」
「現在、ダンジョンの評判も下がっていますので、宣伝のやり直し、信頼の回復に努めましょう」
「例の天然ダンジョンはどうするだよ、マグル紙片ってのが必要なんだろう?」
「確かにそっちも並行して動かないといけないですね」
「しょうがない、また組を分けるか・・」
「ダンジョン経営立て直し組と天然ダンジョン探索組ですね」
「そういうことじゃ」
「アダータイの天然ダンジョンはダンジョンレベルが高いです。今回はかなり戦力をそっちにかけないといけないですね」
「そんなにレベルが高いの?」
そう聞かれたアルティは真剣に顔で一言で返す。
「かなり高いです」
ダンジョンレベル200・・・アダータイの天然ダンジョンは難攻不落である。攻略は大陸最高クラスのパーティーでも難しいとされていて、噂では、その階層構成は30階層になると言われている。現在最高の到達点は、50年前に英雄ブラヌマのパーティーが成し遂げた21階層であり、現在でもその記録は破られていない。
そんなダンジョンに冒険に行って大丈夫かなと俺は思ったのだが、今回は特定のアイテムの回収が目的であり、攻略する必要はないから大丈夫じゃないかという話である。情報では10階層あたりにそれがあるそうなので、問題ないそうだ。でも、どうしてこんな情報が手に入るのか・・誰も行ったことない場所だったりするんだよね・・気になったのでみんなに聞いてみた。
「遠見士か夢見士か・・まーそう言った特殊能力があるのよ、知らない情報を得る能力は希少で、それだけで重宝されてるわ」
「そうなんだ・・じゃ~困ったらそういう人に相談すればいいんだね」
「ま~そうなんだけど、彼らへの依頼は高いわよ」
ま・・そうだよね、そんな希少な力を使うんだから、それ相応の対価を要求されるんだろう。
それで実際誰が天然ダンジョンに行くのかって話になった。やはりここはうちの中で最強の戦力投入するべきであろう。
「それじゃーニャン太とアスターシアには天然ダンジョン組に、後アルティとリンス、デナトスもかな」
「蘇生があるのでメイルは留守番かのう、それと罠の設置なども考えるとポーズもじゃのう」
「前衛職のソォードかメタラギのどちらかが天然ダンジョンに行ってもらった方がいいでしょう」
「ワシが残ろう」
メイル、ポーズ、ソォードの3人が留守番では確かに不安である。ここはメタラギが残ってもらった方がいいよな。
「それじゃー天然ダンジョンの方はソォードだね」
「主はどうすんだ?」
「紋次郎は天然ダンジョンに行った方が良いじゃろう、何事も経験じゃ、ニャン太とアスターシアがいれば問題なかろう」
「そうですね、紋次郎様にはジョブレベルを上げていただいて、運営の方にも役に立ててもらわないといけないですから」
こうして、組み分けが決まった。メイル、ポーズ、メタラギが留守番で、あとは全員天然ダンジョンへ行くことになった。
★
「主~ちょっと来い」
「なんだポーズ?」
「お前デーモン召喚できるよな?」
「あ! そうだできるよそれ」
「ちょっとうちは今、金がねーからな、チョチョイと召喚してダンジョンに配置してくれ」
「それはいい考えだね、ちょっと待って、触媒がいるんだよ・・え~とカルネの枝とボークル魔石が必要だね」
「それなら確か事務所のストックにあったと思いますよ、デナトス~ちょっといい」
リンスがデナトスに言って、必要な触媒を持ってきてもらった。
「はい。紋次郎、カルネの枝とボークルの魔石だよ」
「これってどれくらいの価値なの?」
「代表的な安い触媒だよ、両方合わせても1000ゴルドくらいだね」
それなら失敗してもそれほど痛くないな・・じゃ~思い切って行ってみるか。俺は頭に浮かんだ魔法陣を床に書き記した。そしてそこに触媒を置いて、呪文の詠唱に入る。
「リベルカーニヤ・デロンズニア・アベルニカ・・・・闇の力よ、我が呼び出しに従い、この地に現れたまえ~デーモンサモナー!」
俺の声とともに、魔法陣が赤く光る。そしてその光が柱のように天に昇ると、その中から影が現れた。
それは女性型のモンスターだった。見た目はシルバーの髪の綺麗なお姉さん。ただ背中にコウモリの羽のような物が生えていた。彼女は俺を見て静かに微笑む。
「あなたが私を呼んだの? ちょっとそれにしては弱そうね・・」
「・・・サキュバス・・・ちょっと待って・・紋次郎のレベルは30そこそこだよ・・なぜレベル100以上の高レベルの悪魔が召喚されるのよ・・」
「サキュバス? あなた! 私をあんな低俗な悪魔と一緒にしないでくれる!」
「じゃ・・一体・・・まさか!」
「私の名はリリス」
「紋次郎下がって!!」
その名を聞いたリンスとデナトスがいきなり殺気立つ、あのいつも飄々としているポーズですら額から汗をたらして緊張していた。
「ポーズ! アルティとニャン太とアスターシアを呼んできて・・・早く!」
「わ・・わかった・・」
「ちょっと待った! どうしてそんなにみんな慌ててるんだ、俺が召喚した悪魔だよ?」
「相手が悪いよ紋次郎・・・あれは人に従うようなものじゃない・・・」
紋次郎は悪魔に対する知識が無い為に、目の前にいる存在に恐怖を感じることはなかった。おそらく少しでもその者を知っていれば、また違った反応をしていたかもしれない。夜の女神リリス・・悪魔族最高クラスの力を持っている者、その名はもはや伝説級であり、普通に対応出来るレベルの悪魔ではなかった。
「でも・・俺の初めての悪魔召喚だから・・・どうだろう・・何か縁みたいなものを感じるんだよね・・君もそう思うよね?」
「人間、縁とは何だ?」
「え~と、そうだな・・運命の出会いって感じだよ」
「お前と私の出会いが運命であると言いたいのか?」
「俺はそう思うよ」
「・・・・・・ちょっとこっちに来い人間」
俺は何のためらいもなく、リリスに近づく。それを見てリンスとデナトスは顔面蒼白になっている。俺はリリスのすぐ目の前に行くとこう言った。
「俺は紋次郎だよ、そう呼んでくれ」
「紋次郎・・・そうか・・ではそう呼ぼう。私はお前との運命とやらを受け入れることにする・・私の手を取り、こう言うがいい・・リリスよ我に従えと・・」
紋次郎は言われたままに、リリスの手を取り、契約の言葉を口にする。
「リリスよ我に従え!」
「紋次郎の仰せのままに・・・我が名はリリス・・こんごともよろしく」
それを見たリンスとデナトスは口を大きく開けて呆然としている・・それほどそれは信じられない光景であった。レベル30の冒険者が・・レベル200超えの悪魔を従えるなんて・・・アスターシアやニャン太にも無条件で慕われるし・・・もしかしたら紋次郎には何か私たちの知らない別の力があるのかもしれない・・そう思うしかなかった。
「さて、残念なお知らせがあります・・ここ最近の我がダンジョンの経営状態ですが、とんでもない赤字になっています」
「え~~そうなの? だってドラゴンゾンビや鉄魔神を配置して、ものすごい数の冒険者を倒したよね、結構収入、入ったんじゃないの?」
「確かに収入は入りました。蘇生代や全滅ペナルティの接収で5000万ゴルドほど入ってきてます」
「だったらなぜ?」
「え~まず、ドラゴンゾンビですが、その作成費用が一体800万ゴルドかかっています。合計2400万ですね。そして鉄魔神ですが一体1500万ゴルド、これを2体ですので合計3000万ゴルド使っています。これだけで400万の赤字になってるんですが、これにグワドンの装備費用1200万合わせると赤字額は1600万にもなります」
「・・・・・・」
「まー簡単に言えば金が無いんじゃな」
「はい。そういうことです」
確かに、多少の無茶な経営をしていたのは認めるけど、ここまで赤字になっているとは思わなかった。どうしたもんか・・ダンジョンの難易度を急激に上げたせいで評判も悪くなっているだろうし・・このままでは破産してしまう。
「まず、ダンジョン難易度を元に戻しましょう」
「そうだね・・さすがにモンスターの設置費用で5400万はもう出せないしね」
「現在、ダンジョンの評判も下がっていますので、宣伝のやり直し、信頼の回復に努めましょう」
「例の天然ダンジョンはどうするだよ、マグル紙片ってのが必要なんだろう?」
「確かにそっちも並行して動かないといけないですね」
「しょうがない、また組を分けるか・・」
「ダンジョン経営立て直し組と天然ダンジョン探索組ですね」
「そういうことじゃ」
「アダータイの天然ダンジョンはダンジョンレベルが高いです。今回はかなり戦力をそっちにかけないといけないですね」
「そんなにレベルが高いの?」
そう聞かれたアルティは真剣に顔で一言で返す。
「かなり高いです」
ダンジョンレベル200・・・アダータイの天然ダンジョンは難攻不落である。攻略は大陸最高クラスのパーティーでも難しいとされていて、噂では、その階層構成は30階層になると言われている。現在最高の到達点は、50年前に英雄ブラヌマのパーティーが成し遂げた21階層であり、現在でもその記録は破られていない。
そんなダンジョンに冒険に行って大丈夫かなと俺は思ったのだが、今回は特定のアイテムの回収が目的であり、攻略する必要はないから大丈夫じゃないかという話である。情報では10階層あたりにそれがあるそうなので、問題ないそうだ。でも、どうしてこんな情報が手に入るのか・・誰も行ったことない場所だったりするんだよね・・気になったのでみんなに聞いてみた。
「遠見士か夢見士か・・まーそう言った特殊能力があるのよ、知らない情報を得る能力は希少で、それだけで重宝されてるわ」
「そうなんだ・・じゃ~困ったらそういう人に相談すればいいんだね」
「ま~そうなんだけど、彼らへの依頼は高いわよ」
ま・・そうだよね、そんな希少な力を使うんだから、それ相応の対価を要求されるんだろう。
それで実際誰が天然ダンジョンに行くのかって話になった。やはりここはうちの中で最強の戦力投入するべきであろう。
「それじゃーニャン太とアスターシアには天然ダンジョン組に、後アルティとリンス、デナトスもかな」
「蘇生があるのでメイルは留守番かのう、それと罠の設置なども考えるとポーズもじゃのう」
「前衛職のソォードかメタラギのどちらかが天然ダンジョンに行ってもらった方がいいでしょう」
「ワシが残ろう」
メイル、ポーズ、ソォードの3人が留守番では確かに不安である。ここはメタラギが残ってもらった方がいいよな。
「それじゃー天然ダンジョンの方はソォードだね」
「主はどうすんだ?」
「紋次郎は天然ダンジョンに行った方が良いじゃろう、何事も経験じゃ、ニャン太とアスターシアがいれば問題なかろう」
「そうですね、紋次郎様にはジョブレベルを上げていただいて、運営の方にも役に立ててもらわないといけないですから」
こうして、組み分けが決まった。メイル、ポーズ、メタラギが留守番で、あとは全員天然ダンジョンへ行くことになった。
★
「主~ちょっと来い」
「なんだポーズ?」
「お前デーモン召喚できるよな?」
「あ! そうだできるよそれ」
「ちょっとうちは今、金がねーからな、チョチョイと召喚してダンジョンに配置してくれ」
「それはいい考えだね、ちょっと待って、触媒がいるんだよ・・え~とカルネの枝とボークル魔石が必要だね」
「それなら確か事務所のストックにあったと思いますよ、デナトス~ちょっといい」
リンスがデナトスに言って、必要な触媒を持ってきてもらった。
「はい。紋次郎、カルネの枝とボークルの魔石だよ」
「これってどれくらいの価値なの?」
「代表的な安い触媒だよ、両方合わせても1000ゴルドくらいだね」
それなら失敗してもそれほど痛くないな・・じゃ~思い切って行ってみるか。俺は頭に浮かんだ魔法陣を床に書き記した。そしてそこに触媒を置いて、呪文の詠唱に入る。
「リベルカーニヤ・デロンズニア・アベルニカ・・・・闇の力よ、我が呼び出しに従い、この地に現れたまえ~デーモンサモナー!」
俺の声とともに、魔法陣が赤く光る。そしてその光が柱のように天に昇ると、その中から影が現れた。
それは女性型のモンスターだった。見た目はシルバーの髪の綺麗なお姉さん。ただ背中にコウモリの羽のような物が生えていた。彼女は俺を見て静かに微笑む。
「あなたが私を呼んだの? ちょっとそれにしては弱そうね・・」
「・・・サキュバス・・・ちょっと待って・・紋次郎のレベルは30そこそこだよ・・なぜレベル100以上の高レベルの悪魔が召喚されるのよ・・」
「サキュバス? あなた! 私をあんな低俗な悪魔と一緒にしないでくれる!」
「じゃ・・一体・・・まさか!」
「私の名はリリス」
「紋次郎下がって!!」
その名を聞いたリンスとデナトスがいきなり殺気立つ、あのいつも飄々としているポーズですら額から汗をたらして緊張していた。
「ポーズ! アルティとニャン太とアスターシアを呼んできて・・・早く!」
「わ・・わかった・・」
「ちょっと待った! どうしてそんなにみんな慌ててるんだ、俺が召喚した悪魔だよ?」
「相手が悪いよ紋次郎・・・あれは人に従うようなものじゃない・・・」
紋次郎は悪魔に対する知識が無い為に、目の前にいる存在に恐怖を感じることはなかった。おそらく少しでもその者を知っていれば、また違った反応をしていたかもしれない。夜の女神リリス・・悪魔族最高クラスの力を持っている者、その名はもはや伝説級であり、普通に対応出来るレベルの悪魔ではなかった。
「でも・・俺の初めての悪魔召喚だから・・・どうだろう・・何か縁みたいなものを感じるんだよね・・君もそう思うよね?」
「人間、縁とは何だ?」
「え~と、そうだな・・運命の出会いって感じだよ」
「お前と私の出会いが運命であると言いたいのか?」
「俺はそう思うよ」
「・・・・・・ちょっとこっちに来い人間」
俺は何のためらいもなく、リリスに近づく。それを見てリンスとデナトスは顔面蒼白になっている。俺はリリスのすぐ目の前に行くとこう言った。
「俺は紋次郎だよ、そう呼んでくれ」
「紋次郎・・・そうか・・ではそう呼ぼう。私はお前との運命とやらを受け入れることにする・・私の手を取り、こう言うがいい・・リリスよ我に従えと・・」
紋次郎は言われたままに、リリスの手を取り、契約の言葉を口にする。
「リリスよ我に従え!」
「紋次郎の仰せのままに・・・我が名はリリス・・こんごともよろしく」
それを見たリンスとデナトスは口を大きく開けて呆然としている・・それほどそれは信じられない光景であった。レベル30の冒険者が・・レベル200超えの悪魔を従えるなんて・・・アスターシアやニャン太にも無条件で慕われるし・・・もしかしたら紋次郎には何か私たちの知らない別の力があるのかもしれない・・そう思うしかなかった。
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