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辺境の王

アルカの使者

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アースレイン王国の経済状況は大きく成長していた。やはり大きいのはザルーフルからフェミニア伸びる街道を整備したことによって得られる利益であった。リュジャナが街道に多くの施設を作り、その全てが莫大な利益をもたらしている。さすがに商業一家であるアルビオンの主人だけあって抜かりがないようである。

「さすがリュジャナだね、短期間でこれだけの利益を上げるってすごいよ」
「まあ、あれだけやりたい放題できる状況ですから、利益を上げれない方がどうかしています」

現在、アースレインの国庫には、オリハルコン硬貨が300枚、ミスリル硬貨が2000枚ほど蓄えられていた。これを聞いた裕太は、このお金を使って何かできないかと言い始める。

「だから、こう、豪華で大きな城とか作れないかな」
「無駄です。大きな城だったら、旧ケイネン法国のザルーフル城があるでしょ、そこに主城を移転すればいいだけです」
「強固な巨大な要塞をこの辺りに作ったり・・」
「無駄です。あなたは、どうせまだまだ国を広げる気でしょ、そうなったらそんなとこにある要塞なんて無用の長物になりますよ」

「え・・と、それじゃ・・・」
「エイメル。そんなに無理してお金を使う必要はないです。あなたは、本当、あったら使おうとしますね」

裕太は、リュジャナに怒られてちょっと拗ねる。とりあえずオリハルコン硬貨は次のガチャの為に取っとくのはいいとして、ミスリル硬貨は使ってもいいと思うけどな・・そんな感じに呑気な王は思っているのだが、堅実なリュジャナには通じない。

「それじゃ、せめて、最近のみんなを労う為に、大きなパーティーをやりたいんだけど、どうかな」
「・・・・まあ、それくらいならいいんじゃないですか」

「やった。豪華にやろうよ、すごい料理をこうドンと用意して・・」
「無駄にお金を使ったパーティーなど必要ないです。誠意で持て成してください」

リュジャナは本当に財布の紐が固い。よし、それならアイデアでびっくりするようなパーティーにしてやろうではないか。そう決意していると、アルカのクェンズ長老の使いが訪れたと報告が来た。

クェンズ長老の使いの話を、軍師であるフィルナと一緒に聞いた。その話は、今後のアースレインの運命を大きく動かす、重要なものであった。

「なるほど、辺境の亜人たちに、辺境大連合からそんな通達が来たんだね」
「そうです。我々、辺境の亜人は、それを拒否することで一致いたしました」

そう使者が言うと、フィルナがその使者に問いかけた。
「そうなると辺境大連合と争うことになるけど、それは構わないと思っているんだよね」
「はい。我々は、辺境大連合と戦う覚悟があります。そこで、アースレイン王にお願いがあり、こうして参っております」
「俺に一緒に戦って欲しいと思ってるんだよね」
「はい・・無理は承知でのお願いになりますが、ともに辺境大連合と戦って欲しいと思っております」
「承知した。クェンズ長老に伝えてくれ、アースレインは辺境の亜人に味方すると」

「はっ・・構わないのですか、辺境大連合は強大な組織ですが・・」
「構わない。実は言うと、俺たちも辺境大連合の誘いを断ってるんだよ。どっちみち戦いになると思ってたから、逆に仲間ができて嬉しいよ」

使者は戸惑っていた、アースレイン王の人柄は、長老に聞いていたので知っているつもりであったが、まさか仲間という表現まで使ってくれるとは・・

「それでは、正式な話は後日に、アースレインが我々に味方してくれる旨、長老に伝えます」
「ああ、長老によろしく伝えてくれ」

こうして使者を返すと、フィルナに助言を求めた。
「どうかな、辺境の亜人と俺たちアースレイン王国。辺境大連合に勝てると思うか」
「まず、戦力では辺境大連合の方が上でしょう。まともにぶつかれば勝利は難しいかもしれません。だけど、アースレインが敗北するイメージは、私には思い浮かびません」
「それは勝てると言っているんだね」
「はい。辺境大連合は戦力だけです。アースレインにはそれ以上の何かがあります」
「まあ、君もいるしね、俺も負ける気がしないよ」
「微力ながら全力を尽くします」

そう言うとフィルナは少し微笑んだ。さて、やはり辺境大連合との戦いは避けられそうになくなった。今のままでの軍備では厳しいかもしれない。兵力も含めて、戦力の増強も考えないといけないと俺は思った。
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