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辺境の王
激戦
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最初の支城の一つを打ち破り、その勢いのままに、さらにザンカーリ帝国の奥へと侵攻するボルティロス軍。その後も、三つの城を危なげなく落としたが、その先には、万全の戦う準備ができた、ザンカーリ軍の大群が待ち構えていた。
「さすがの数だな・・」
平原の先に広がる大群を見やり、不動はそう呟いた。エルノーンは、後方にも敵の軍勢が現れたのを見て、不動に注意を促す。
「陛下、このままでは完全に包囲されてしまいます。数も敵の方が遥かに多いですので、撤退も御考え下さい」
だが、その言葉に、不動は笑いながこう返事する。
「おいおい、こんな面白そうな喧嘩、逃げることなんか考えてどうするんだよ。全滅させるつもりで殺るぞ」
そう言い返されたエルノーンは、覚悟を決めた。しかし、不動の命だけは確保する為に、ユイリスに指示を出した。
「精鋭の護衛部隊を編成してください・・最悪の時は、陛下をお守りして、戦場から離脱するように・・」
「はっ」
ユイリスは、短く返事をすると自分の軍団に戻った。
「全軍突撃!」
不動の声で、戦いは開始された。ボルティロスの魔物の軍団が、先方となり、敵に突撃していく。防衛していたザンカーリ兵たちは無理に戦闘をせずに、少しずつ後退していく。平原の北側に、広く展開していたザンカーリ軍は、後退しながら、平原の中心にある、窪地に、ボルティロス軍を包囲しながら誘い込んでいた。それにお構いなく、前進する魔物の軍団であったが、強烈な一撃を食らわされることになった。
「敵をかなり密集させることができましたね」
副官のルルブにそう言われ、ザンカーリの大将軍、ボーキングは微笑む。そしてこう命令した。
「いい頃合いだ。炸裂球を打ち込め」
ザンカーリの後方に配置されていた、カタパルト型の砲台が前に持ってこられる。シーソーのようにバランスを取っている大きな発射台の先端に、兵士が5人がかりで大きな玉を取り付ける。合図とともに、後方で巨大なお守りに取り付けられた、ロープが、斧で切られると、重りの反動で、発射台が勢いよく上にせり上がり、先端の丸い玉が飛んでいく。
丸い玉は、密集するボルティロス軍の中心に落ちて、強烈な爆発が起こる。近くにいたサイクロプスの半身が吹き飛ぶほどの威力で、その一発で多くの魔物が消し飛んだ。
ザンカーリ軍は、同じタイプのカタパルト砲台を、20基、用意していた。そのすべての砲台から、次々に玉が投げ出される。ボルティロス軍は、降り注ぐ強力なその兵器に、為す術もなく、次々と屍を増やしていった。
最悪のこの状況に、不動が動く。
「ティーロンの巨神とインペリアル・ケルビムを前線へ」
ジャイアントの数倍の大きさの、巨大すぎる影が、ドスドスと走って、ザンカーリ軍の陣地へと飛び込んでくる。あまりの出来事に、ザンカーリ兵は、何も動くことができなかった。巨大な影が両手を天に掲げ、そして勢いよく拳を勢いよく地面に叩きつけると、耳を塞ぎたくなるような地響きが吹き荒れ、その大地が裂けた。
地震と呼ぶにはあまりにも強烈なその振動は、大地を駆け巡り、ザンカーリ軍を直撃する。振動の直撃を受けた者は絶命して、幸運にもそれを避けれた者も、激しい揺れに、転倒したり、周りとぶつかり、致命傷を受ける者も少なくなかった。
ティーロンの巨神による、アースクエイクを受けたザンカーリ軍に対して、空からも強烈な攻撃をお見舞いされる。
インペリアル・ケルビムは、遥か上空から、一本の錫杖を振り下ろす。空に現れた巨大な火の玉が、次々と混乱しているザンカーリ軍に降り注ぐ。
まさに化け物と呼べるその二つの存在に、ボーキングは戦慄した。マティウス陛下から、ある程度の情報は聞かされていたが、魔物の軍勢の力がこれほどとは・・強力な魔物の攻撃により、半壊した軍勢を見て、ボーキングはある決断をする。それは、なるべく使わないようにと言い聞かされていた、とっておきの切り札を、使う決断であった。
「ルルブ、後方の特殊部隊を前に」
「は・・よろしいのですか」
「このままでは勝ち目がない」
「わかりました」
しばらくすると、ザンカーリ軍の後方の空から、黒い無数の影が近づいてきた。それは大小様々な、魔物の群れであった。
飛んできた魔物の群れは、空で、我が物顔でそこに存在した、大きな翼の天使に襲いかかる。接近する前に、数十体の魔物を、炎の魔法で倒すが、数が多い敵に対応しきれなかった。すぐに周りを囲まれるインペリアル・ケルビム。錫杖を振り回して、襲いかかるドラゴンや、ワイバーンをそれでぶん殴って倒そうとするが、圧倒的な数で群がられ、元々接近戦の苦手なインペリアル・ケルビムは、八つ裂きにされて地面に叩き落とされた。
「どういうことだ・・なぜ、クラスメイトでもないザンカーリに、あれほどの魔物の軍勢が存在する!」
不動は、大事なURを倒され、驚き、怒り、戸惑っていた。見ると、さらに多くの魔物の軍勢が、敵の後方から迫ってきている・・・
「さすがにティーロンまで失うのは痛いか・・・。エルノーン。撤退だ。一度国に戻るぞ」
「はっ」
そう命令されるのを予想して、エルノーンはすでに撤退の指示を出していた。後方に展開する敵軍を、第一軍団の精鋭で突破してその経路を確保する。巨大ユニットの部隊が殿となりザンカーリ軍の追撃に警戒する。
ザンカーリは、無理な追撃をせずに、後退する敵軍に向けて、カタパルト砲台からの砲撃と。巨大弓の攻撃で被害を与える。
魔物の軍勢にかなりの損害を出しながらも、不動は、撤退に成功する。
「くっ・・ザンカーリに魔物の軍勢・・・どういうことだ・・・クラスの誰かが手を貸してるってことか・・・」
不動はそう考えながら、屈辱的な敗走で、自らの国へと向かっていく。
「さすがの数だな・・」
平原の先に広がる大群を見やり、不動はそう呟いた。エルノーンは、後方にも敵の軍勢が現れたのを見て、不動に注意を促す。
「陛下、このままでは完全に包囲されてしまいます。数も敵の方が遥かに多いですので、撤退も御考え下さい」
だが、その言葉に、不動は笑いながこう返事する。
「おいおい、こんな面白そうな喧嘩、逃げることなんか考えてどうするんだよ。全滅させるつもりで殺るぞ」
そう言い返されたエルノーンは、覚悟を決めた。しかし、不動の命だけは確保する為に、ユイリスに指示を出した。
「精鋭の護衛部隊を編成してください・・最悪の時は、陛下をお守りして、戦場から離脱するように・・」
「はっ」
ユイリスは、短く返事をすると自分の軍団に戻った。
「全軍突撃!」
不動の声で、戦いは開始された。ボルティロスの魔物の軍団が、先方となり、敵に突撃していく。防衛していたザンカーリ兵たちは無理に戦闘をせずに、少しずつ後退していく。平原の北側に、広く展開していたザンカーリ軍は、後退しながら、平原の中心にある、窪地に、ボルティロス軍を包囲しながら誘い込んでいた。それにお構いなく、前進する魔物の軍団であったが、強烈な一撃を食らわされることになった。
「敵をかなり密集させることができましたね」
副官のルルブにそう言われ、ザンカーリの大将軍、ボーキングは微笑む。そしてこう命令した。
「いい頃合いだ。炸裂球を打ち込め」
ザンカーリの後方に配置されていた、カタパルト型の砲台が前に持ってこられる。シーソーのようにバランスを取っている大きな発射台の先端に、兵士が5人がかりで大きな玉を取り付ける。合図とともに、後方で巨大なお守りに取り付けられた、ロープが、斧で切られると、重りの反動で、発射台が勢いよく上にせり上がり、先端の丸い玉が飛んでいく。
丸い玉は、密集するボルティロス軍の中心に落ちて、強烈な爆発が起こる。近くにいたサイクロプスの半身が吹き飛ぶほどの威力で、その一発で多くの魔物が消し飛んだ。
ザンカーリ軍は、同じタイプのカタパルト砲台を、20基、用意していた。そのすべての砲台から、次々に玉が投げ出される。ボルティロス軍は、降り注ぐ強力なその兵器に、為す術もなく、次々と屍を増やしていった。
最悪のこの状況に、不動が動く。
「ティーロンの巨神とインペリアル・ケルビムを前線へ」
ジャイアントの数倍の大きさの、巨大すぎる影が、ドスドスと走って、ザンカーリ軍の陣地へと飛び込んでくる。あまりの出来事に、ザンカーリ兵は、何も動くことができなかった。巨大な影が両手を天に掲げ、そして勢いよく拳を勢いよく地面に叩きつけると、耳を塞ぎたくなるような地響きが吹き荒れ、その大地が裂けた。
地震と呼ぶにはあまりにも強烈なその振動は、大地を駆け巡り、ザンカーリ軍を直撃する。振動の直撃を受けた者は絶命して、幸運にもそれを避けれた者も、激しい揺れに、転倒したり、周りとぶつかり、致命傷を受ける者も少なくなかった。
ティーロンの巨神による、アースクエイクを受けたザンカーリ軍に対して、空からも強烈な攻撃をお見舞いされる。
インペリアル・ケルビムは、遥か上空から、一本の錫杖を振り下ろす。空に現れた巨大な火の玉が、次々と混乱しているザンカーリ軍に降り注ぐ。
まさに化け物と呼べるその二つの存在に、ボーキングは戦慄した。マティウス陛下から、ある程度の情報は聞かされていたが、魔物の軍勢の力がこれほどとは・・強力な魔物の攻撃により、半壊した軍勢を見て、ボーキングはある決断をする。それは、なるべく使わないようにと言い聞かされていた、とっておきの切り札を、使う決断であった。
「ルルブ、後方の特殊部隊を前に」
「は・・よろしいのですか」
「このままでは勝ち目がない」
「わかりました」
しばらくすると、ザンカーリ軍の後方の空から、黒い無数の影が近づいてきた。それは大小様々な、魔物の群れであった。
飛んできた魔物の群れは、空で、我が物顔でそこに存在した、大きな翼の天使に襲いかかる。接近する前に、数十体の魔物を、炎の魔法で倒すが、数が多い敵に対応しきれなかった。すぐに周りを囲まれるインペリアル・ケルビム。錫杖を振り回して、襲いかかるドラゴンや、ワイバーンをそれでぶん殴って倒そうとするが、圧倒的な数で群がられ、元々接近戦の苦手なインペリアル・ケルビムは、八つ裂きにされて地面に叩き落とされた。
「どういうことだ・・なぜ、クラスメイトでもないザンカーリに、あれほどの魔物の軍勢が存在する!」
不動は、大事なURを倒され、驚き、怒り、戸惑っていた。見ると、さらに多くの魔物の軍勢が、敵の後方から迫ってきている・・・
「さすがにティーロンまで失うのは痛いか・・・。エルノーン。撤退だ。一度国に戻るぞ」
「はっ」
そう命令されるのを予想して、エルノーンはすでに撤退の指示を出していた。後方に展開する敵軍を、第一軍団の精鋭で突破してその経路を確保する。巨大ユニットの部隊が殿となりザンカーリ軍の追撃に警戒する。
ザンカーリは、無理な追撃をせずに、後退する敵軍に向けて、カタパルト砲台からの砲撃と。巨大弓の攻撃で被害を与える。
魔物の軍勢にかなりの損害を出しながらも、不動は、撤退に成功する。
「くっ・・ザンカーリに魔物の軍勢・・・どういうことだ・・・クラスの誰かが手を貸してるってことか・・・」
不動はそう考えながら、屈辱的な敗走で、自らの国へと向かっていく。
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