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91. 共闘再び(前編)修正1
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「…世良殿、昨晩は…その…申し訳御座いませんでした」
「……」
「貴女に対しての数々の暴言…これ以上何と言って詫びればよいのか…」
「…私もはたいたし、おあいこかな。 怪我は…大丈夫だった?」
「大丈夫です」
「…正直傷ついたわね…後で暴言の理由は説明してもらえるかしら?」
「はい…」
王都に侵攻する厄災を迎え撃つ為に、出現エリアへ急ぐ中でのキアの謝罪…彼女も色々と抱えてはいるのだろうが、これからも共に戦うのだから、わだかまりは取り除かねばならない、それに何より…。
「なら、切り替えていきましょう。 思い悩みながら対処出来るほど、厄災もあの二人も甘くはないわ」
「はい…!」
『当該エリアが見えてきたな、壁はまだ大丈夫のようだ』
「?何か光ったわね、拡大してくれる」
『了解』
「…! あれは…」
「ねえ、ちょっと! 何その恰好、どういう事!?」
「落ち着きなさい、今朝決まった事よ…」
厄災による王都襲来の最中で、落ち着きなさいと言われて落ち着いてはいられないのだが、会議室に赴いてそこに居たひいばあの恰好を見て、更に驚いてしまった。
「…私は特殊部隊の配属よ、後方支援を行う小隊を率いる小隊長…それが私の役職よ」
「なんで! なんでそうなるの!?」
ひいばあの恰好は、こちらの兵士が標準装備する黒いプロテクター一式を身にまとっており、肩には光の弓を携えている。 腰の左側にナイフを携帯し、右側には何と手りゅう弾を携行している…各部位の膨らんだポケットにはカートリッジ等が収納されているのだろう…。
「戦鳥が使えないから仕方が無いのよ…」
「そんな…」
以前トヨテテさんが言っていた、翼の復活とは一体いつになるのだろうか…王都に来たばかりなので、間に合わなかったのだろうか? いや、それは違うような気がする何故なら。
(死の翼を修復する目途が付いているのなら、それを見越した役職になるはず…という事は目途が立っていない?)
「ご安心ください」
「ソネイさん?」
「先ほども言われた通り、理音様には後方支援を行って貰います」
「でも…」
「戦とは何も直接相手と戦う事ばかりではありません。 それ以外にも重要な役割というのはいくらでもあります」
「……」
「それが分からぬ理音様ではありません」
「分かり…ました」
「…行って来るわ」
それだけ言うとひいばあは特殊部隊の隊長と共に、会議室を出る…いくら後方支援とはいえ、ともすれば生身で厄災と戦う事になるのだ。 戦ってきた経験はあるのかもしれないが、今度こそ無事では済まないかもしれない。
「…羽音様、我々も参りましょう。 地下へ避難すれば安全です」
私に話しかけるのはアシャでは無く、中年の女性…ここの所員で、彼女の代理になるのだが、既にここにはいないのだ。 なら、何処へ行ったかと言うと…。
「アシャも大丈夫かな…」
「ええ、彼女は聡明な娘ですから…余り無理はしないと思います」
彼女は、医療従事者として当該エリアへと向かった…厄災が侵入してくれば、避難しているとはいえ、少なからぬ人的被害が予想される。 勿論、戦うとなれば怪我人が続出する事は避けられないのだが、将来は医者になるのが夢だという彼女は、今現在ここで働きつつ医学の勉強に励んでいる…人一倍努力家なので、夢を叶えるのは難しくないだろうとは、代理人の談だ。
「アシャは偉いな…働きながら、勉強しているなんて」
「そちらとは、色々違うようですね。 落ち着いたら、お話をされてはどうでしょう?」
「…そうしてみます」
「その為にも今は避難です。 さ、こちらへ」
女性に促され、王子と宰相、それに将軍に挨拶をして退出する。 目指すは地下の避難所…今頃ひいばあやアシャは出現エリアへ向かっている最中だろうが、今の私に出来る事はなにもない。 これで戦鳥の力でも持っていたならまた違ったのかもしれないが、それを今言っても仕方がないだろう…。
「あれは…間違いない、蒼い翼の雷光ね…」
『彼女は、厄災と戦っているのか?』
「そう見るのが自然だけど…どの道行けば分かるわ」
「厄災と戦う? 何故…」
敵であるはずの戦鳥の戦士が王都に侵攻している厄災と戦っている…これが意味するのは一体何なのか、その理由探る為にも、王都を守る為にも蒼い翼の元へ行かねばならないのだが…。
『撃ってきたぞ!!』
「くっ!」
「うっ!」
『何だと言うんだ! 全く…』
「もしや、厄災との戦いは演技なのでは!?」
「…挨拶代わりと言った所ところかしら…まあ、いいわ。 私も、翠の翼に挨拶したかったのよ」
更に距離を詰めてもこれ以上の攻撃は無く、壁の上空で敵を攻撃している蒼い翼のとすれ違う。 それでも尚、何もしてこない所を見ると、どうやら先ほどの攻撃は本当に挨拶代わりだったようだ。
「うぉおお!!」
「フン!」
不死鳥の一撃は、盾によって防がれてしまう…手強い相手だろうが、ここはキアに任せて翠の翼を探す事にする。
「キア、頼んだわよ!」
「分かりました! 今日こそ決着を付ける!!」
「…おいおい、敵をはき違えるな。 私たちの敵は厄災だぞ?」
「五月蠅い!!」
斬撃をさ数回叩きこむが盾で阻まれてしまうので、鞭を加えたコンビネーションで更に攻撃を続ける。
「くっ! なかなか手強いな…」
「私も力を付けているのです! 貴女になど遅れを取らない!」
「なら…これでどうだ!!」
一瞬のスキを見逃さずに距離を取って雷撃を放ってくるので、回避を試みるのだが…。
「うぐっ! 流石に避けきれませんか…」
『しかし、この程度なら直ぐに再生できる…問題はキミが何時までもつかだ』
「……」
「やれやれ、正王国の悲劇は何と言っても、このような者が戦鳥の戦士である事だな…」
「なにを!」
「私は厄災を相手している 見て分かるだろ?」
「厄災はあなた達の味方でしょうに!」
「そんな訳があるか…厄災は我々にとっても忌むべき敵だ。 それを味方とは…」
「本当に、厄災は味方では無いのですか?」
「それを証明してみせよう…そらっ!!」
それだけ言い放つとまたも雷撃の轟音が鳴り響く。 回避は不可能と思われていたのだが、以外にも雷撃が撃ったのは、上空に集結しようとしていた人形たちだった…。
「これで分かったか? 敵は厄災だ。 言わずもがなだと思うがな」
「いつぞやみたいに、共闘しようと言うのですか?」
「共闘か…いけ好かない言葉だが…好きに呼べばいい」
王都を襲撃する厄災を迎え撃つのに思わぬ助けが入るのだが…果たして本当に信じて良いものなのか…もしかしたら、戦いの最中に後ろから撃たれる可能性もあるのだから、油断は禁物だ。
「…翠の翼はどこかしら?」
『居たぞ、大分離れた所で戦っているな…』
「転移が広範囲だったのね。 中々な数だし、地上にもわんさか沸いているわね」
『また穴でも空けられたら厄介だな…』
「何にしても、挨拶が先よ」
『…ヒナ、大翼だ…』
「あら、私に何か用かしら」
こちらに一直線に向かってくる…その速度はかなりなものなのだが…。
「フ…どうやら急用のようね」
独りごちると、攻撃に使用していた盾を戻す。 中途半端な防御では大翼の攻撃を防ぐ事は不可能だからだ。
『来る…』
「ええ…」
高度を上げた大翼は足をけり出してこちらに突進して来る。 回避も可能なタイミングではあるのだが、下手によければ更なる追撃を喰らいかねない…。
「防御するわ」
『御意』
「はあっ!!」
大翼の放った蹴りをシールドで受け止めると、衝撃が走る。 二つの翼が放つ光の流動が周囲に拡散すると、それに触れただけで、人形たちはたちどころに爆散してゆく。
「フフ、凄い力ね」
まだ、王都防衛戦は始まったばかり、このまま雑魚だけが沸いてくれればよいのだろうが、それで済む存在ではない。
また、何か切り札を用意している可能性もあるので、出来れば翼あるもの同士、無駄な争いは避けたい所なのだが…。
「……」
「貴女に対しての数々の暴言…これ以上何と言って詫びればよいのか…」
「…私もはたいたし、おあいこかな。 怪我は…大丈夫だった?」
「大丈夫です」
「…正直傷ついたわね…後で暴言の理由は説明してもらえるかしら?」
「はい…」
王都に侵攻する厄災を迎え撃つ為に、出現エリアへ急ぐ中でのキアの謝罪…彼女も色々と抱えてはいるのだろうが、これからも共に戦うのだから、わだかまりは取り除かねばならない、それに何より…。
「なら、切り替えていきましょう。 思い悩みながら対処出来るほど、厄災もあの二人も甘くはないわ」
「はい…!」
『当該エリアが見えてきたな、壁はまだ大丈夫のようだ』
「?何か光ったわね、拡大してくれる」
『了解』
「…! あれは…」
「ねえ、ちょっと! 何その恰好、どういう事!?」
「落ち着きなさい、今朝決まった事よ…」
厄災による王都襲来の最中で、落ち着きなさいと言われて落ち着いてはいられないのだが、会議室に赴いてそこに居たひいばあの恰好を見て、更に驚いてしまった。
「…私は特殊部隊の配属よ、後方支援を行う小隊を率いる小隊長…それが私の役職よ」
「なんで! なんでそうなるの!?」
ひいばあの恰好は、こちらの兵士が標準装備する黒いプロテクター一式を身にまとっており、肩には光の弓を携えている。 腰の左側にナイフを携帯し、右側には何と手りゅう弾を携行している…各部位の膨らんだポケットにはカートリッジ等が収納されているのだろう…。
「戦鳥が使えないから仕方が無いのよ…」
「そんな…」
以前トヨテテさんが言っていた、翼の復活とは一体いつになるのだろうか…王都に来たばかりなので、間に合わなかったのだろうか? いや、それは違うような気がする何故なら。
(死の翼を修復する目途が付いているのなら、それを見越した役職になるはず…という事は目途が立っていない?)
「ご安心ください」
「ソネイさん?」
「先ほども言われた通り、理音様には後方支援を行って貰います」
「でも…」
「戦とは何も直接相手と戦う事ばかりではありません。 それ以外にも重要な役割というのはいくらでもあります」
「……」
「それが分からぬ理音様ではありません」
「分かり…ました」
「…行って来るわ」
それだけ言うとひいばあは特殊部隊の隊長と共に、会議室を出る…いくら後方支援とはいえ、ともすれば生身で厄災と戦う事になるのだ。 戦ってきた経験はあるのかもしれないが、今度こそ無事では済まないかもしれない。
「…羽音様、我々も参りましょう。 地下へ避難すれば安全です」
私に話しかけるのはアシャでは無く、中年の女性…ここの所員で、彼女の代理になるのだが、既にここにはいないのだ。 なら、何処へ行ったかと言うと…。
「アシャも大丈夫かな…」
「ええ、彼女は聡明な娘ですから…余り無理はしないと思います」
彼女は、医療従事者として当該エリアへと向かった…厄災が侵入してくれば、避難しているとはいえ、少なからぬ人的被害が予想される。 勿論、戦うとなれば怪我人が続出する事は避けられないのだが、将来は医者になるのが夢だという彼女は、今現在ここで働きつつ医学の勉強に励んでいる…人一倍努力家なので、夢を叶えるのは難しくないだろうとは、代理人の談だ。
「アシャは偉いな…働きながら、勉強しているなんて」
「そちらとは、色々違うようですね。 落ち着いたら、お話をされてはどうでしょう?」
「…そうしてみます」
「その為にも今は避難です。 さ、こちらへ」
女性に促され、王子と宰相、それに将軍に挨拶をして退出する。 目指すは地下の避難所…今頃ひいばあやアシャは出現エリアへ向かっている最中だろうが、今の私に出来る事はなにもない。 これで戦鳥の力でも持っていたならまた違ったのかもしれないが、それを今言っても仕方がないだろう…。
「あれは…間違いない、蒼い翼の雷光ね…」
『彼女は、厄災と戦っているのか?』
「そう見るのが自然だけど…どの道行けば分かるわ」
「厄災と戦う? 何故…」
敵であるはずの戦鳥の戦士が王都に侵攻している厄災と戦っている…これが意味するのは一体何なのか、その理由探る為にも、王都を守る為にも蒼い翼の元へ行かねばならないのだが…。
『撃ってきたぞ!!』
「くっ!」
「うっ!」
『何だと言うんだ! 全く…』
「もしや、厄災との戦いは演技なのでは!?」
「…挨拶代わりと言った所ところかしら…まあ、いいわ。 私も、翠の翼に挨拶したかったのよ」
更に距離を詰めてもこれ以上の攻撃は無く、壁の上空で敵を攻撃している蒼い翼のとすれ違う。 それでも尚、何もしてこない所を見ると、どうやら先ほどの攻撃は本当に挨拶代わりだったようだ。
「うぉおお!!」
「フン!」
不死鳥の一撃は、盾によって防がれてしまう…手強い相手だろうが、ここはキアに任せて翠の翼を探す事にする。
「キア、頼んだわよ!」
「分かりました! 今日こそ決着を付ける!!」
「…おいおい、敵をはき違えるな。 私たちの敵は厄災だぞ?」
「五月蠅い!!」
斬撃をさ数回叩きこむが盾で阻まれてしまうので、鞭を加えたコンビネーションで更に攻撃を続ける。
「くっ! なかなか手強いな…」
「私も力を付けているのです! 貴女になど遅れを取らない!」
「なら…これでどうだ!!」
一瞬のスキを見逃さずに距離を取って雷撃を放ってくるので、回避を試みるのだが…。
「うぐっ! 流石に避けきれませんか…」
『しかし、この程度なら直ぐに再生できる…問題はキミが何時までもつかだ』
「……」
「やれやれ、正王国の悲劇は何と言っても、このような者が戦鳥の戦士である事だな…」
「なにを!」
「私は厄災を相手している 見て分かるだろ?」
「厄災はあなた達の味方でしょうに!」
「そんな訳があるか…厄災は我々にとっても忌むべき敵だ。 それを味方とは…」
「本当に、厄災は味方では無いのですか?」
「それを証明してみせよう…そらっ!!」
それだけ言い放つとまたも雷撃の轟音が鳴り響く。 回避は不可能と思われていたのだが、以外にも雷撃が撃ったのは、上空に集結しようとしていた人形たちだった…。
「これで分かったか? 敵は厄災だ。 言わずもがなだと思うがな」
「いつぞやみたいに、共闘しようと言うのですか?」
「共闘か…いけ好かない言葉だが…好きに呼べばいい」
王都を襲撃する厄災を迎え撃つのに思わぬ助けが入るのだが…果たして本当に信じて良いものなのか…もしかしたら、戦いの最中に後ろから撃たれる可能性もあるのだから、油断は禁物だ。
「…翠の翼はどこかしら?」
『居たぞ、大分離れた所で戦っているな…』
「転移が広範囲だったのね。 中々な数だし、地上にもわんさか沸いているわね」
『また穴でも空けられたら厄介だな…』
「何にしても、挨拶が先よ」
『…ヒナ、大翼だ…』
「あら、私に何か用かしら」
こちらに一直線に向かってくる…その速度はかなりなものなのだが…。
「フ…どうやら急用のようね」
独りごちると、攻撃に使用していた盾を戻す。 中途半端な防御では大翼の攻撃を防ぐ事は不可能だからだ。
『来る…』
「ええ…」
高度を上げた大翼は足をけり出してこちらに突進して来る。 回避も可能なタイミングではあるのだが、下手によければ更なる追撃を喰らいかねない…。
「防御するわ」
『御意』
「はあっ!!」
大翼の放った蹴りをシールドで受け止めると、衝撃が走る。 二つの翼が放つ光の流動が周囲に拡散すると、それに触れただけで、人形たちはたちどころに爆散してゆく。
「フフ、凄い力ね」
まだ、王都防衛戦は始まったばかり、このまま雑魚だけが沸いてくれればよいのだろうが、それで済む存在ではない。
また、何か切り札を用意している可能性もあるので、出来れば翼あるもの同士、無駄な争いは避けたい所なのだが…。
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