上 下
24 / 187

吸血姫、焚き付けられる

しおりを挟む
「それはそうとレオン、妾は反射炉を所望するのじゃ!」

「反射炉?原始的な高炉で鉄鉱石を溶かして、転炉で精製した方が生産性と強度は高いんじゃないか?」

だんだん、技術的なものに詳しくなっていくな俺……

「それは妾も思ったのじゃが、高炉だと製鉄以外に炉が使いにくいのじゃ…… ゆえに、反射炉と転炉を欲しいと思ったのじゃ。上手くいけば“あるにこ”磁石をつくれるやもしれんのじゃ!」

「あるにこ磁石?」

「うむ!“あるみ”と“にっける”、“こばると”から名づけられておるのじゃが、先日奪還された鉱山区画でそれを見つけてもうてな、作れるかもしれんのじゃ!まぁ、着磁などの電力を蒸気式発電機で何とかできるかは問題じゃがのぅ……」

「別に構わないが人手はどれだけ必要なんだ?」
「まぁ、ぼちぼちやるのじゃ。あとで計画書を持っていくのじゃ!」

その反射炉と転炉を作るための耐火粘土を得るために鉱山区画で自然物を加工する俺の“造成”の概念装をひたすら使用させられ、ヘロヘロになるのは後日の話である……

ともかく、蒸気式発電機は見せてもらったので、戻る事にしよう。
去り際にリーゼロッテに声を掛けられる。

「ところで、レオン、あの件はどうなのじゃ?」
「ああ、順調だ。期待して待て」

「ほぅ、それは嬉しい事じゃのぅ♪」

彼女はにっこりと笑うのだった。



ちょうどその頃、スカーレットの私室にて……

「お疲れ様でした、イリア、おじ様も喜んでくれましたわ」
「いえ、向こう側で面白いものもたくさん見られましたので」

そう言いながらイリアは向こうのコンビニで買って来たお気に入りのア〇フォートを一口齧る。

「ん~、この香ばしいビスケットとチョコレートの組み合わせは絶妙な美味しさです。というか、地球は食べ物がおいしいですよね?」

「そうですわね、確かに牛丼は美味しかったですわ」

「え、スカーレット様、そんなところに行ったんですか? 魔王様、ダメダメですね~、行動がヤスダと変りません」

「…… イリア、不敬ですわよ」

「でも、もうちょっとお洒落なところで食事するべきだと思います。それに、スカーレット様も積極的に行動しないと、魔王様をモノにできませんよ?」

「で、でも、嫌われたら立ち直れません……」

「中々に拗らせていますね……スカーレット様はあれですか?行動する前に色々と考えて、リスクは避けちゃう性格なのですね」

「うぐっ…… 悔しいですが、否定はできませんわ」

そもそも彼女は長い間、この地下ダンジョンを護り続けている。攻めるよりも守りに重点を置く思考パターンが染み付いてしまっているのかもしれない……

「だから、今日も魔王様はリーゼロッテ様のところに行っちゃうんです!此処に来る前に工房区画に歩いていくのを見たのです!」

「そ、それは…… 」
「ここは頑張り処ですよ、スカーレット様!」

というやり取りが行われていたとかいないとか……
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

VRMMOのキメラさん〜雑魚種族を選んだ私だけど、固有スキルが「倒したモンスターの能力を奪う」だったのでいつの間にか最強に!?

水定ユウ
SF
一人暮らしの女子高生、立花明輝(たちばなあきら)は道に迷っていた女性を助けた後日、自宅に謎の荷物が届く。開けてみると、中身は新型の高級VRドライブとプレイヤーがモンスターになれると言う話題の最新ゲーム『Creaturess Union』だった。 早速ログインした明輝だったが、何も知らないまま唯一選んではいけないハズレキャラに手を出してしまう。 リセットができないので、落ち込むところ明輝は持ち前の切り替えの速さと固有スキル【キメラハント】で、倒した敵モンスターから次々能力を奪っていって……。 ハズレキャラでも欲しい能力は奪っちゃえ! 少し個性の強い仲間と共に、let'sキメラハント生活! ※こちらの作品は、小説家になろうやカクヨムでも投稿しております。 個性が強すぎる仲間のせいで、かなり効率厨になる時があります。そういう友達が劇中に登場するので、ゲーム的な展開からかけ離れる時があります。

「メジャー・インフラトン」序章3/7(僕のグランドゼロ〜マズルカの調べに乗って。少年兵の季節 FIRE!FIRE!FIRE!No2. )

あおっち
SF
 とうとう、AXIS軍が、椎葉きよしたちの奮闘によって、対馬市へ追い詰められたのだ。  そして、戦いはクライマックスへ。  現舞台の北海道、定山渓温泉で、いよいよ始まった大宴会。昨年あった、対馬島嶼防衛戦の真実を知る人々。あっと、驚く展開。  この序章3/7は主人公の椎葉きよしと、共に闘う女子高生の物語なのです。ジャンプ血清保持者(ゼロ・スターター)椎葉きよしを助ける人々。 いよいよジャンプ血清を守るシンジケート、オリジナル・ペンタゴンと、異星人の関係が少しづつ明らかになるのです。  次の第4部作へ続く大切な、ほのぼのストーリー。  疲れたあなたに贈る、SF物語です。  是非、ご覧あれ。 ※加筆や修正が予告なしにあります。

絶命必死なポリフェニズム ――Welcome to Xanaduca――

屑歯九十九
SF
Welcome to Xanaduca! 《ザナドゥカ合衆国》は世界最大の経済圏。二度にわたる世界終末戦争、南北戦争、そして企業戦争を乗り越えて。サイバネティクス、宇宙工学、重力技術、科学、化学、哲学、娯楽、殖産興業、あらゆる分野が目覚ましい発展を遂げた。中でも目立つのは、そこら中にあふれる有機化学の結晶《ソリドゥスマトン》通称Sm〈エスエム、ソードマトン〉。一流企業ならば必ず自社ブランドで売り出してる。形は人型から動物、植物、化け物、機械部品、武器。見た目も種類も役目も様々、いま世界中で普及してる新時代産業革命の象徴。この国の基幹産業。 〔中略〕  ザナドゥカンドリームを求めて正規非正規を問わず入国するものは後を絶たず。他国の侵略もたまにあるし、企業や地域間の戦争もしばしば起こる。暇を持て余すことはもちろん眠ってる余裕もない。もしザナドゥカに足を踏み入れたなら、郷に入っては郷に従え。南部風に言えば『銃を持つ相手には無条件で従え。それか札束を持ってこい』 〔中略〕 同じザナドゥカでも場所が違えばルールも価値観も違ってくる。ある場所では人権が保障されたけど、隣の州では、いきなり人命が靴裏のガムほどの価値もなくなって、ティッシュに包まれゴミ箱に突っ込まれるのを目の当たりにする、かもしれない。それでも誰もがひきつけられて、理由はどうあれ去ってはいかない。この国でできないことはないし、果たせぬ夢もない。宇宙飛行士から廃人まで君の可能性が無限に広がるフロンティア。 ――『ザナドゥカ観光局公式パンフレット』より一部抜粋

データ・ロスト 〜未来宇宙戦争転生記

鷹来しぎ
SF
宇宙船に轢かれて死んだ少年、轢いた少女とともに宇宙帝国と戦う。 遙か未来の並行世界の少年・ユウキとして目を覚ました南勇季。勇季は職場で失敗し失意に暮れていたところ、通りかかった建築現場の事故で死んだはずだった。 目覚めたときにそばにいた少女スズランは、ユウキは彼女が起こした宇宙船事故によって重傷を負っていたのだと教えてくれる。 「一度、死なせちゃってごめんね。なんでもするから許して!」 死の淵をさまよい、目覚めたユウキには超知覚“レクトリヴ”が備わっていた。世界を書き換える力をもつ超常の能力を手に入れたユウキは、この力があれば他人から羨まれるような自分になれるのではないかと思い始める。 一方、全宇宙の支配をもくろむ帝国・ギデスがレクトリヴ能力者の独占を企んでおり、ユウキは連邦宇宙政府とギデスとの戦争に巻き込まれていくことになる。 レクトリヴ能力者として規格外であることが判明するユウキ。自身が望んだように、見返したかった知り合いや、少女スズランからの尊敬を集めていく。 黒猫のペシェは言う。 「では、キミ、幸福になりたまえよ。優れた者のみ幸福になれるのだとしたら、キミはこの宇宙で最も幸福たりえる存在だ」 キャラ紹介など: https://sepia-citron-b77.notion.site/NIL-AQ-b6666b9e57ba48c7a6faa53934dd2bab?pvs=4

タイムワープ艦隊2024

山本 双六
SF
太平洋を横断する日本機動部隊。この日本があるのは、大東亜(太平洋)戦争に勝利したことである。そんな日本が勝った理由は、ある機動部隊が来たことであるらしい。人呼んで「神の機動部隊」である。 この世界では、太平洋戦争で日本が勝った世界戦で書いています。(毎回、太平洋戦争系が日本ばかり勝っ世界線ですいません)逆ファイナルカウントダウンと考えてもらえればいいかと思います。只今、続編も同時並行で書いています!お楽しみに!

後輩と一緒にVRMMO!~弓使いとして精一杯楽しむわ~

夜桜てる
SF
世界初の五感完全没入型VRゲームハードであるFUTURO発売から早二年。 多くの人々の希望を受け、遂に発売された世界初のVRMMO『Never Dream Online』 一人の男子高校生である朝倉奈月は、後輩でありβ版参加勢である梨原実夜と共にNDOを始める。 主人公が後輩女子とイチャイチャしつつも、とにかくVRゲームを楽しみ尽くす!! 小説家になろうからの転載です。

VRMMO レヴェリー・プラネット ~ユビキタス監視社会~

夏野かろ
SF
第三次世界大戦後、2084年。 日本は戦災によって監視社会となり、人々は自由のない日々を過ごすこととなった。 ある者はVRMMO「レヴェリー・プラネット」に興じることで監視のストレスから逃げようとする。 またある者は、テロによって監視社会を革命しようとする。 その他、ゲームに課金するために犯罪に走る者、その犯罪者を利用する者、取り締まる者、 多くの人がそれぞれの道を歩いていく。 この物語は、そんな人間模様を 『ブギーポップは笑わない』や『パルプ・フィクション』のような形式でまとめた小説です。 一括投稿。

くたばれ重課金 VRMMO『ヘルヴァス』というクソゲーの話

夏野かろ
SF
VR型のMMORPG『ヘルヴァス』で起きた三つのエピソードたちを収めた作品です。 つまり短編集。『くたばれ重課金』、『死ねよ初心者狩り』、『あばよ課金ゲー』の三つが入っています。 まぁ読んでいってください。

処理中です...