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第1章
200 銀色空中露天風呂
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春休みも残り少なくなってきた。
私はなぜか特別なことをしてみたくなったので、空中露天風呂に挑戦してみることにした。
まずは朝から湯船作りだ。
キアラ用の大きいプールはグリードグラス草原に置きっぱなしなので、現在の手持ちは二つだけだ。
せっかくだから新しく作ろうと考えているわけだ。
最近気付いたことだが、私が鉄塊などで出した鉄はなぜか錆びない。そもそも鉄は風呂には向いてないが錆びないだけマシだろう。
そこで先日のゴーレムだ。
汚銀と呼ばれていたが、通常の銀と何が違うのだろうか。銀はすぐ酸化や硫化で黒っぽくなるものだが、ゴーレムに限ってそれはなさそうだ。
あの時の冒険者の言い方からすると、銀色のゴーレムは本当に『銀』のゴーレムなのだ。
つまり汚銀は『酸化銀』でも『硫化銀』でもないと見ていいだろう。
なるほど、分からん!
だから熱の伝導率など気にせず風呂に加工してやる!
やってみて分かったことだが……
汚銀は、鉄より簡単に溶ける。そして金操と相性がいい!
鉄に比べて三割ぐらいしか魔力を消費しないようだ。つまり風呂より鉄ボードにするべきだと分かってしまった……
風呂を作って余ったら銀ボードとして加工しようかな。まあゴーレムは大きいしきっと余るだろう。
さて、汚銀を一塊りにしようと加熱したところ、汚銀はやはり汚銀だった。
もし酸化銀や硫化銀なら表面は汚くても内部はきれいな銀色のはずだからだ。
ますます分からなくなった。まあいい、ゴーレムの八割ぐらいを風呂に使ってしまおう。
意外なほど簡単だった。
鉄より金操との相性がよいことがこんなに影響するなんて。
通常、と言っていいのか風呂を作るには加熱して柔らかくした鉄を金操で動かして湯船に造形する。
今回は加熱も少しでいいし、金操の魔力はあまり消費しないしで、非常に楽だった。
そして縦一メイル、横ニメイル、高さ一メイルの直方体の湯船が完成した。
厚みは十五センチぐらいだろうか。
なお内部の高さは二段階になっており寝たり座ったりできるようにしている。
実働三時間ちょい!
昼食を食べたらいよいよ空中露天風呂に挑戦だ!
「まあカース、またお風呂? あなたも好きねぇ。あら、今回は鉄じゃないのね。変わった色をしてるのね。」
「オウエスト山でゴーレムがいたんだ。汚銀って言われてたよ。銀とは違うの?」
「言われてみれば確かに汚銀ね。本当にカースは幸運ね。触って錬魔循環してみなさい。全力よ?」
さすが母上、何でも知ってるな。
やってみよう。
何だこれ!?
魔力が吸われる!
錬魔循環をすればするほど持って行かれる!
「限界までやってみなさい。」
「押忍!」
すごい!
黒っぽかった銀がどんどんきれいになっている。
そろそろ私の魔力が空になってしまう。
「空っぽになる前にやめなさいね。」
「これすごいね! 一体何なの?」
「汚銀はね、ごく一部では魔力銀とも呼ばれているの。ある程度の魔力を持つ者が魔力を込めると吸収するのよ。そして込めた者の魔力が少ない時に触れると魔力を返してくれるのよ。」
「てことは魔力ポーション要らず?」
「要らずってほどでもないけど、魔力ポーションのような副作用がないのがいいのよね。」
なるほど、これに込めておけば私が大ボケをかましても助けになりそうだ。
ますます鉄ボードの代わりに銀ボードにする理由ができたな。
ある程度の魔力が必要と言うのも納得だ。
私が全力で錬魔循環をせず、ただ魔力放出をするだけでは吸収されないようだ。
庭の木のように魔力放出をするだけで吸収されているような感覚がないことから分かる。
それにしてもまだまだ入りそうだ。
ここはやはり満タンにしておくべきだろう。はたして何日かかるかな。
母上並みの魔法使いでなければこの銀の価値に気付けないと言うわけか。
しかし魔力がほぼ空になってしまったので空中露天風呂は明日にお預けだな。
でも気分がいいから昼間から普通に露天風呂だな。たまには勇者以外の本でも読みながらゆっくりしたい。
母上にお湯を入れてもらおう。
汚銀の買取価格は鉄より低い。
そもそも銀は柔らかいため武器や防具に向かない。しかも『汚い銀』であるためアンデッド対策にも使えない。
銀なら装飾品になるのだが磨いても磨いても黒ずんでいる汚銀は装飾品にもならない。
汚銀の性質を知っている人間もいるにはいるが、そこまで欲しがる物でもない。
確かに目の前にあれば買うかも知れないが、わざわざ依頼を出してまで入手したいものではないのだ。
その理由はやがてカースが実証してくれることだろう。
私はなぜか特別なことをしてみたくなったので、空中露天風呂に挑戦してみることにした。
まずは朝から湯船作りだ。
キアラ用の大きいプールはグリードグラス草原に置きっぱなしなので、現在の手持ちは二つだけだ。
せっかくだから新しく作ろうと考えているわけだ。
最近気付いたことだが、私が鉄塊などで出した鉄はなぜか錆びない。そもそも鉄は風呂には向いてないが錆びないだけマシだろう。
そこで先日のゴーレムだ。
汚銀と呼ばれていたが、通常の銀と何が違うのだろうか。銀はすぐ酸化や硫化で黒っぽくなるものだが、ゴーレムに限ってそれはなさそうだ。
あの時の冒険者の言い方からすると、銀色のゴーレムは本当に『銀』のゴーレムなのだ。
つまり汚銀は『酸化銀』でも『硫化銀』でもないと見ていいだろう。
なるほど、分からん!
だから熱の伝導率など気にせず風呂に加工してやる!
やってみて分かったことだが……
汚銀は、鉄より簡単に溶ける。そして金操と相性がいい!
鉄に比べて三割ぐらいしか魔力を消費しないようだ。つまり風呂より鉄ボードにするべきだと分かってしまった……
風呂を作って余ったら銀ボードとして加工しようかな。まあゴーレムは大きいしきっと余るだろう。
さて、汚銀を一塊りにしようと加熱したところ、汚銀はやはり汚銀だった。
もし酸化銀や硫化銀なら表面は汚くても内部はきれいな銀色のはずだからだ。
ますます分からなくなった。まあいい、ゴーレムの八割ぐらいを風呂に使ってしまおう。
意外なほど簡単だった。
鉄より金操との相性がよいことがこんなに影響するなんて。
通常、と言っていいのか風呂を作るには加熱して柔らかくした鉄を金操で動かして湯船に造形する。
今回は加熱も少しでいいし、金操の魔力はあまり消費しないしで、非常に楽だった。
そして縦一メイル、横ニメイル、高さ一メイルの直方体の湯船が完成した。
厚みは十五センチぐらいだろうか。
なお内部の高さは二段階になっており寝たり座ったりできるようにしている。
実働三時間ちょい!
昼食を食べたらいよいよ空中露天風呂に挑戦だ!
「まあカース、またお風呂? あなたも好きねぇ。あら、今回は鉄じゃないのね。変わった色をしてるのね。」
「オウエスト山でゴーレムがいたんだ。汚銀って言われてたよ。銀とは違うの?」
「言われてみれば確かに汚銀ね。本当にカースは幸運ね。触って錬魔循環してみなさい。全力よ?」
さすが母上、何でも知ってるな。
やってみよう。
何だこれ!?
魔力が吸われる!
錬魔循環をすればするほど持って行かれる!
「限界までやってみなさい。」
「押忍!」
すごい!
黒っぽかった銀がどんどんきれいになっている。
そろそろ私の魔力が空になってしまう。
「空っぽになる前にやめなさいね。」
「これすごいね! 一体何なの?」
「汚銀はね、ごく一部では魔力銀とも呼ばれているの。ある程度の魔力を持つ者が魔力を込めると吸収するのよ。そして込めた者の魔力が少ない時に触れると魔力を返してくれるのよ。」
「てことは魔力ポーション要らず?」
「要らずってほどでもないけど、魔力ポーションのような副作用がないのがいいのよね。」
なるほど、これに込めておけば私が大ボケをかましても助けになりそうだ。
ますます鉄ボードの代わりに銀ボードにする理由ができたな。
ある程度の魔力が必要と言うのも納得だ。
私が全力で錬魔循環をせず、ただ魔力放出をするだけでは吸収されないようだ。
庭の木のように魔力放出をするだけで吸収されているような感覚がないことから分かる。
それにしてもまだまだ入りそうだ。
ここはやはり満タンにしておくべきだろう。はたして何日かかるかな。
母上並みの魔法使いでなければこの銀の価値に気付けないと言うわけか。
しかし魔力がほぼ空になってしまったので空中露天風呂は明日にお預けだな。
でも気分がいいから昼間から普通に露天風呂だな。たまには勇者以外の本でも読みながらゆっくりしたい。
母上にお湯を入れてもらおう。
汚銀の買取価格は鉄より低い。
そもそも銀は柔らかいため武器や防具に向かない。しかも『汚い銀』であるためアンデッド対策にも使えない。
銀なら装飾品になるのだが磨いても磨いても黒ずんでいる汚銀は装飾品にもならない。
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