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第1章
149 母の武勇伝
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「ただいま。」
「お帰りなさいませ。ご無事でなによりです。」
「ありがと。無事に見つかってよかったよ。まだ庭にいるね。夕食までには終わると思うから。」
さて、しっかり磨こう。
いや、待てよ?
この際だ、構造を見直して一から作り直した方がいいんじゃないか?
これがもっと軽く丈夫だったらあの時魔力が切れることもなかったはずだ。それを言ったらわざわざ何かに乗らなくても身一つで飛ぶのが魔力的には一番楽だけどさ……
そうなるとしばらくは充電期間だな。
いいアイデアが浮かぶまではいつも通り錬魔循環や木に魔力放出をしておこう。
さて、夕食は何かな。
「ねー母上、軽くて丈夫な金属を何か知らない? 鉄屑や鉄塊とかの魔法で出せるやつなら尚いいな。」
「そうね。やっぱりミスリルかしら。鉄より五倍は軽いし、鉄の六倍ぐらい丈夫らしいわよ。」
「うーん、十キロムでいくらぐらいする?」
「確か一キロムで金貨二十~三十枚ぐらいだったわよ。」
「うわーそれは無理だね。じゃあ鉄以外の金属を魔法で何とかならない?」
「あれは魔法よりも場所が大事なの。この辺りだとどこで使っても鉄しか出ないわよね?
それはこの辺りの土に鉄が多いってことなのね。ということは金山で使えば金が出てくる可能性が高いのよ。」
「じゃあみんな金山に行くんじゃないの?」
「そうでもないの。理由はいくつかあるんだけど……」
・金山から金を取り出すならわざわざ魔法を使うより掘った方が早い。
・金山は王家直轄なので立ち入れない。魔法による結界もある。
・そもそも鉄屑で金を取り出せるほど魔力があるなら普通に戦っても儲かる。
「というわけなの。」
「金でそれならミスリルはどうやったら手に入るの?」
「ミスリルも同じよ。ミスリル鉱山を見つけるしかないわね。もちろん現在稼働中の鉱山は全て王家直轄よ。」
なるほど。てことはあちこちで鉄屑を使いまくってれば金山やらミスリル鉱山に行き当たるかも知れないな。
でも面倒そうだからパスだな。
やはり素材は鉄を使うしかないか。
「あ、そうそうコカトリスをやっつけたから明日は軟骨が食べられるよ。」
「え? カース? もう一度言ってみてくれる?」
「コカトリスだよ。帰りに出たから倒したの。この前アレックスちゃんの所でバジリスクの軟骨を食べたのが忘れられなくてね。コカトリスの軟骨もおいしいよね?」
「久々に驚かせてくれるわね。でも大丈夫。カースなんだから普通よね。
よくやったわ。怪我はない? 毒は気にしなくていいでしょうけど。」
毒を気にしなくていい?
どう言うことだ?
「毒がどうかしたの?」
「コカトリスもバジリスクも毒が危ないの。
剣で切ったら剣ごと、槍で突いたら槍ごと毒を受けることが多いのよ。でも私やカースのように魔力が高いと毒なんてまず効かないの。
私ですら王都や魔境で毒が効かなかったんですもの、カースに効くわけがないわ。」
「なるほどー。風邪病にかからないのと同じことかもね。」
王都で毒?
母上は毒を盛られたのか?
許せん!
きっと盆暗貴族が自分に靡かない母上を恨んでやったんだ!
もしくは母上の美貌に嫉妬した雌豚か!?
いや、父上に横恋慕して母上さえいなければ自分が! とか考えてやったに違いない。聞いてみよう!
「ところで王都で毒って何かあったの?」
「ああ、大したことじゃないのよ。ほらアランって最高の男じゃない? 王都でもかなりモテてたの。そんなアランが私に夢中だからよく毒を盛られたものよ。」
「王都で!? じゃあ学生時代!?」
「そうなの。王都の魔法学院よ。注意はしてるんだけど。せっかくのお料理がマズくなってしまうのも許せなくてね。だから犯人の皿とわたしの皿を入れ替えたの。こんなふうに。」
目の前で私の皿と母上のコップが入れ替わった。すごい!
「すごーい! 何これ? 短距離転移の応用?」
「そうなの。短距離転移より難しいわよ。で、こうやって犯人は解毒剤を飲む間もなく死んでしまいました。めでたしめでたし。」
「そんな毒を飲んでも母上は平気なんだね。すごいや!」
「平気じゃないわよ。物凄く苦いんだから!
最高のディナーだと思ったら腐った雑巾、極上のワインだと思ったらゴブリンの絞り汁。台無しよね。許せないわよね。無味無臭の毒を使ったんでしょうけど、魔力が高いと反応してそうなっちゃうのよ。」
てことは魔法学院でも母上の魔力はダントツだったのか。犯人は母上に効かない毒で死んだのだから。
「食べ物を粗末にするのは許せないよね!」
「そうなのよ。そうやって四人ぐらい死んだかしら。死なずに済んだ子もいたわ。それからは毒を使われることは少なくなったわ。」
「さすが母上かっこいい!」
どうやって犯人を特定したんだ?
まあいいか。
「うふふ、だからカースもたぶん毒は効かないと思うわよ。でも、注意するのよ?」
「押忍! コカトリスだってかなり怖かったしね。気をつけるよ。」
いやー母上はすごいな。
それより父上のモテっぷりもすごいな。
殺人ストーカーを量産するレベルなのか。
てことは逆もあるのかも。母上に横恋慕した男が父上に決闘を……
今度聞いてみよう。
さて、少し肌寒くなってきたことだし、久々の露天風呂といこう。
そのうち空中露天風呂にも挑戦しよう。
「お帰りなさいませ。ご無事でなによりです。」
「ありがと。無事に見つかってよかったよ。まだ庭にいるね。夕食までには終わると思うから。」
さて、しっかり磨こう。
いや、待てよ?
この際だ、構造を見直して一から作り直した方がいいんじゃないか?
これがもっと軽く丈夫だったらあの時魔力が切れることもなかったはずだ。それを言ったらわざわざ何かに乗らなくても身一つで飛ぶのが魔力的には一番楽だけどさ……
そうなるとしばらくは充電期間だな。
いいアイデアが浮かぶまではいつも通り錬魔循環や木に魔力放出をしておこう。
さて、夕食は何かな。
「ねー母上、軽くて丈夫な金属を何か知らない? 鉄屑や鉄塊とかの魔法で出せるやつなら尚いいな。」
「そうね。やっぱりミスリルかしら。鉄より五倍は軽いし、鉄の六倍ぐらい丈夫らしいわよ。」
「うーん、十キロムでいくらぐらいする?」
「確か一キロムで金貨二十~三十枚ぐらいだったわよ。」
「うわーそれは無理だね。じゃあ鉄以外の金属を魔法で何とかならない?」
「あれは魔法よりも場所が大事なの。この辺りだとどこで使っても鉄しか出ないわよね?
それはこの辺りの土に鉄が多いってことなのね。ということは金山で使えば金が出てくる可能性が高いのよ。」
「じゃあみんな金山に行くんじゃないの?」
「そうでもないの。理由はいくつかあるんだけど……」
・金山から金を取り出すならわざわざ魔法を使うより掘った方が早い。
・金山は王家直轄なので立ち入れない。魔法による結界もある。
・そもそも鉄屑で金を取り出せるほど魔力があるなら普通に戦っても儲かる。
「というわけなの。」
「金でそれならミスリルはどうやったら手に入るの?」
「ミスリルも同じよ。ミスリル鉱山を見つけるしかないわね。もちろん現在稼働中の鉱山は全て王家直轄よ。」
なるほど。てことはあちこちで鉄屑を使いまくってれば金山やらミスリル鉱山に行き当たるかも知れないな。
でも面倒そうだからパスだな。
やはり素材は鉄を使うしかないか。
「あ、そうそうコカトリスをやっつけたから明日は軟骨が食べられるよ。」
「え? カース? もう一度言ってみてくれる?」
「コカトリスだよ。帰りに出たから倒したの。この前アレックスちゃんの所でバジリスクの軟骨を食べたのが忘れられなくてね。コカトリスの軟骨もおいしいよね?」
「久々に驚かせてくれるわね。でも大丈夫。カースなんだから普通よね。
よくやったわ。怪我はない? 毒は気にしなくていいでしょうけど。」
毒を気にしなくていい?
どう言うことだ?
「毒がどうかしたの?」
「コカトリスもバジリスクも毒が危ないの。
剣で切ったら剣ごと、槍で突いたら槍ごと毒を受けることが多いのよ。でも私やカースのように魔力が高いと毒なんてまず効かないの。
私ですら王都や魔境で毒が効かなかったんですもの、カースに効くわけがないわ。」
「なるほどー。風邪病にかからないのと同じことかもね。」
王都で毒?
母上は毒を盛られたのか?
許せん!
きっと盆暗貴族が自分に靡かない母上を恨んでやったんだ!
もしくは母上の美貌に嫉妬した雌豚か!?
いや、父上に横恋慕して母上さえいなければ自分が! とか考えてやったに違いない。聞いてみよう!
「ところで王都で毒って何かあったの?」
「ああ、大したことじゃないのよ。ほらアランって最高の男じゃない? 王都でもかなりモテてたの。そんなアランが私に夢中だからよく毒を盛られたものよ。」
「王都で!? じゃあ学生時代!?」
「そうなの。王都の魔法学院よ。注意はしてるんだけど。せっかくのお料理がマズくなってしまうのも許せなくてね。だから犯人の皿とわたしの皿を入れ替えたの。こんなふうに。」
目の前で私の皿と母上のコップが入れ替わった。すごい!
「すごーい! 何これ? 短距離転移の応用?」
「そうなの。短距離転移より難しいわよ。で、こうやって犯人は解毒剤を飲む間もなく死んでしまいました。めでたしめでたし。」
「そんな毒を飲んでも母上は平気なんだね。すごいや!」
「平気じゃないわよ。物凄く苦いんだから!
最高のディナーだと思ったら腐った雑巾、極上のワインだと思ったらゴブリンの絞り汁。台無しよね。許せないわよね。無味無臭の毒を使ったんでしょうけど、魔力が高いと反応してそうなっちゃうのよ。」
てことは魔法学院でも母上の魔力はダントツだったのか。犯人は母上に効かない毒で死んだのだから。
「食べ物を粗末にするのは許せないよね!」
「そうなのよ。そうやって四人ぐらい死んだかしら。死なずに済んだ子もいたわ。それからは毒を使われることは少なくなったわ。」
「さすが母上かっこいい!」
どうやって犯人を特定したんだ?
まあいいか。
「うふふ、だからカースもたぶん毒は効かないと思うわよ。でも、注意するのよ?」
「押忍! コカトリスだってかなり怖かったしね。気をつけるよ。」
いやー母上はすごいな。
それより父上のモテっぷりもすごいな。
殺人ストーカーを量産するレベルなのか。
てことは逆もあるのかも。母上に横恋慕した男が父上に決闘を……
今度聞いてみよう。
さて、少し肌寒くなってきたことだし、久々の露天風呂といこう。
そのうち空中露天風呂にも挑戦しよう。
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