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名前でまでギャップを演出しなくていいのに
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「ああ、驚いた」
というより、大混乱してるけどな。
でも、揺り籠って言うより子宮だよな。これ。内臓っぽいし。
「へその緒、切らなくていいのか」
聞きたいことが多すぎて言葉にならない。つい、どうでもいいことを言ってしまう。
「うん、これは切ったらだめ。待って」
赤ん坊を片手で抱いて、また揺り籠の中に手を突っ込む。
ずるりと引き出されたのは、へその緒が繋がった平べったい、つるりとしたもの。赤ん坊と同じくらいの大きさがある。
胎盤? いや、胎盤とか見たことないけど、繋がってるからそうなんだよな。
「それは?」
「胎盤って呼んでるけど、栄養の入った袋みたいなもの。これに繋がってれば、3日くらいは大人しいから」
そういうもんなのか。
そう無理やり納得しようとしていると、赤ん坊を取り出した揺り籠がグズグズと崩れるように溶け始める。
「メル、揺り籠が」
「大丈夫。赤ちゃんを取り出すとこうなる。すぐに溶けてなくなるから」
言葉の通り、もう既に原型を留めていない。まるで地面に吸い込まれていってるみたいだ。
「くろーさん。後で説明するから戻ろう。姉さんも待ってる」
メルの目線を追うと、開けられた扉、その人ひとりがやっと通れそうな門を塞ぐように、エルダが立っている。
一応、外を警戒してくれてたのか。
「わかった。たのむ」
エルダへと軽く手を振りながら近づくと、俺に向けられる心配そうな顔。
「くろー、平気か?」
やっぱり動揺してたのがわかったか。もう少し取り繕えばよかったな。
「大丈夫だ。後で話す。ごめんな」
「別にいいよ。あたしはくろーの女だし」
少し照れながら身を屈めて門をくぐるエルダ。先に赤ん坊を抱いたメルを通して、俺もくぐるが、狭いし低い。
なんでこんなに小さく作ってあるんだ。
「うわぁ、やっぱ可愛いなぁ」
緩んだエルダの声を聞きながら、扉に閂をかける。
「子供、好きなんだな」
「だって可愛いだろ。なあ、あたしも抱きたい」
赤ん坊の頬をつつくエルダ。当の赤ん坊は眠っているのか無反応だ。
「まだダメ。後で替わるから」
2人の反応を見るに、揺り籠から出てきた赤ん坊なんて普通のことなんだろうな。
「回収できたか」
かけられた声に顔を向けると、しっかりと鎧を着込んだ3人。
さっきの痴態が嘘みたいだ。
「札を出せ」
札? ああ、サインしてくれるってことか。
ギルドから貰った札を手渡すと、木炭だろうか。細くて黒い棒で書きなぐる。
「持っていけ。その子は貴様達にまかせる。門の兵に声をかければ預かってくれるだろう」
そっけなく着き返された札を受け取る。
やっぱりカタカナで書かれたサインは、リーゼロッテ。
可愛い名前してんな、こいつ。
「文句があるのか」
というより、大混乱してるけどな。
でも、揺り籠って言うより子宮だよな。これ。内臓っぽいし。
「へその緒、切らなくていいのか」
聞きたいことが多すぎて言葉にならない。つい、どうでもいいことを言ってしまう。
「うん、これは切ったらだめ。待って」
赤ん坊を片手で抱いて、また揺り籠の中に手を突っ込む。
ずるりと引き出されたのは、へその緒が繋がった平べったい、つるりとしたもの。赤ん坊と同じくらいの大きさがある。
胎盤? いや、胎盤とか見たことないけど、繋がってるからそうなんだよな。
「それは?」
「胎盤って呼んでるけど、栄養の入った袋みたいなもの。これに繋がってれば、3日くらいは大人しいから」
そういうもんなのか。
そう無理やり納得しようとしていると、赤ん坊を取り出した揺り籠がグズグズと崩れるように溶け始める。
「メル、揺り籠が」
「大丈夫。赤ちゃんを取り出すとこうなる。すぐに溶けてなくなるから」
言葉の通り、もう既に原型を留めていない。まるで地面に吸い込まれていってるみたいだ。
「くろーさん。後で説明するから戻ろう。姉さんも待ってる」
メルの目線を追うと、開けられた扉、その人ひとりがやっと通れそうな門を塞ぐように、エルダが立っている。
一応、外を警戒してくれてたのか。
「わかった。たのむ」
エルダへと軽く手を振りながら近づくと、俺に向けられる心配そうな顔。
「くろー、平気か?」
やっぱり動揺してたのがわかったか。もう少し取り繕えばよかったな。
「大丈夫だ。後で話す。ごめんな」
「別にいいよ。あたしはくろーの女だし」
少し照れながら身を屈めて門をくぐるエルダ。先に赤ん坊を抱いたメルを通して、俺もくぐるが、狭いし低い。
なんでこんなに小さく作ってあるんだ。
「うわぁ、やっぱ可愛いなぁ」
緩んだエルダの声を聞きながら、扉に閂をかける。
「子供、好きなんだな」
「だって可愛いだろ。なあ、あたしも抱きたい」
赤ん坊の頬をつつくエルダ。当の赤ん坊は眠っているのか無反応だ。
「まだダメ。後で替わるから」
2人の反応を見るに、揺り籠から出てきた赤ん坊なんて普通のことなんだろうな。
「回収できたか」
かけられた声に顔を向けると、しっかりと鎧を着込んだ3人。
さっきの痴態が嘘みたいだ。
「札を出せ」
札? ああ、サインしてくれるってことか。
ギルドから貰った札を手渡すと、木炭だろうか。細くて黒い棒で書きなぐる。
「持っていけ。その子は貴様達にまかせる。門の兵に声をかければ預かってくれるだろう」
そっけなく着き返された札を受け取る。
やっぱりカタカナで書かれたサインは、リーゼロッテ。
可愛い名前してんな、こいつ。
「文句があるのか」
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