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海辺の町で、あなたと
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「そうだ。今日は時間もあることだし、温泉に行く前に久しぶりにドライブでもするか」
「うん、そうだね」
應汰の車で海沿いをドライブした。
こんな風に應汰と二人で出掛けるのは久しぶりだからか、見慣れたはずの景色も今日はいつもより輝いて見える。
通りかかった小さな商店でコーヒーを買い、海沿いの道に車を停めてコーヒーを飲みながら海を眺めた。
「思い出すな」
「初めてのデート?」
「ああ。海、行っただろ」
「うん、行ったね。こっちに来てから、海見ながらいつも思い出してたよ、應汰と海に行ったなーって。それで、應汰はどうしてるかなーとか、会いたいなーっていつも思ってた。もしかしたらもう他にいい人ができたかも知れないなぁ、なんて事も考えたけどね」
私が笑いながらそう言うと、應汰は少しムッとして、私の頭を軽く小突いた。
「そういうことはもっと早く言えよ。他の女なんかいなかったっつうの、俺はずっと芙佳に会いたくて探し回ってたんだからな」
「ごめんね。應汰、私を見つけてくれてありがとう」
私の肩を抱き寄せて、優しく頭を撫でる應汰の手があたたかい。
應汰にこうしてもらうと安心感に包まれて、心まであたたかくなる。
「しつこいからな、俺は。ちょっと遠回りはしたけど、芙佳を絶対に嫁にするってずっと前から決めてたからな。誰に何を言われても、俺は芙佳じゃなきゃダメなんだ。今だって芙佳がどこにいても見つけ出す自信はある」
「もうどこにも行かないよ。ずっと應汰と一緒にいる」
「当たり前だ。もう絶対離さん」
應汰の唇が私の唇に優しく重なった。
應汰は私にだけ特別優しいって、自惚れてもいいかな。
應汰は私の肩を抱きながら、キラキラ光る海を眩しそうに眺めた。
「ここ、いいとこだな。お義父さんの故郷なんだっけ?」
「そう」
「海はきれいだし、魚はうまいし、夜には星もめちゃくちゃきれいだしな。おかげでひとつ願いが叶ったわ」
應汰のその言葉を聞いて、二人でプラネタリウムに行った時に應汰が言った『いつか芙佳と一緒に本物の星空を見に行きたい』という言葉を思い出した。
その時はプラネタリウムの偽物の星空を見て何気なくそう言ったのだと思っていたけれど、應汰は本気でそう思ってくれていたんだ。
まさか應汰のその願いが、私との結婚という形で叶うとは思ってもみなかった。
「田舎だから静かで時間の流れが穏やかというか……刺激もなんにもないとこだけど、ここの人はみんな優しいよね」
「そうだな。でも俺は、芙佳がいればどこでもいいんだ。俺が帰る場所は芙佳だから」
私も應汰が来てから、この海辺の町が前よりずっと好きになった。
そして私自身が應汰の帰る場所になれた事が、何より嬉しい。
「これからもまっすぐ私のところに帰ってきてね」
「バーカ、当たり前だろ?俺、仕事が終わったらすっ飛んで帰ってるんだぞ?一秒でも早く芙佳に会いたいからな。芙佳ももう迷子になるなよ」
「うん。ちゃんと迷わず應汰のとこに帰る」
「まぁ……迷う暇なんか一瞬も与えないくらい、思いっきり愛してやるけどな」
「望むところだ」
潮風に吹かれながら、私たちは優しいキスをして、一緒に歩く未来の話をする。
目を閉じて感じるのは潮の香りと波の音。
すぐ隣には、あたたかい手を広げ私をまるごと受け止めて包んでくれる、愛しい人のぬくもり。
私も同じくらい應汰を守り、一生をかけて愛したい。
これから先の人生は二人で手を取り合って、同じ歩幅で未来に向かって歩いていこう。
穏やかに時間の流れる海辺の町で、誰よりも大切なあなたと。
─END─
「うん、そうだね」
應汰の車で海沿いをドライブした。
こんな風に應汰と二人で出掛けるのは久しぶりだからか、見慣れたはずの景色も今日はいつもより輝いて見える。
通りかかった小さな商店でコーヒーを買い、海沿いの道に車を停めてコーヒーを飲みながら海を眺めた。
「思い出すな」
「初めてのデート?」
「ああ。海、行っただろ」
「うん、行ったね。こっちに来てから、海見ながらいつも思い出してたよ、應汰と海に行ったなーって。それで、應汰はどうしてるかなーとか、会いたいなーっていつも思ってた。もしかしたらもう他にいい人ができたかも知れないなぁ、なんて事も考えたけどね」
私が笑いながらそう言うと、應汰は少しムッとして、私の頭を軽く小突いた。
「そういうことはもっと早く言えよ。他の女なんかいなかったっつうの、俺はずっと芙佳に会いたくて探し回ってたんだからな」
「ごめんね。應汰、私を見つけてくれてありがとう」
私の肩を抱き寄せて、優しく頭を撫でる應汰の手があたたかい。
應汰にこうしてもらうと安心感に包まれて、心まであたたかくなる。
「しつこいからな、俺は。ちょっと遠回りはしたけど、芙佳を絶対に嫁にするってずっと前から決めてたからな。誰に何を言われても、俺は芙佳じゃなきゃダメなんだ。今だって芙佳がどこにいても見つけ出す自信はある」
「もうどこにも行かないよ。ずっと應汰と一緒にいる」
「当たり前だ。もう絶対離さん」
應汰の唇が私の唇に優しく重なった。
應汰は私にだけ特別優しいって、自惚れてもいいかな。
應汰は私の肩を抱きながら、キラキラ光る海を眩しそうに眺めた。
「ここ、いいとこだな。お義父さんの故郷なんだっけ?」
「そう」
「海はきれいだし、魚はうまいし、夜には星もめちゃくちゃきれいだしな。おかげでひとつ願いが叶ったわ」
應汰のその言葉を聞いて、二人でプラネタリウムに行った時に應汰が言った『いつか芙佳と一緒に本物の星空を見に行きたい』という言葉を思い出した。
その時はプラネタリウムの偽物の星空を見て何気なくそう言ったのだと思っていたけれど、應汰は本気でそう思ってくれていたんだ。
まさか應汰のその願いが、私との結婚という形で叶うとは思ってもみなかった。
「田舎だから静かで時間の流れが穏やかというか……刺激もなんにもないとこだけど、ここの人はみんな優しいよね」
「そうだな。でも俺は、芙佳がいればどこでもいいんだ。俺が帰る場所は芙佳だから」
私も應汰が来てから、この海辺の町が前よりずっと好きになった。
そして私自身が應汰の帰る場所になれた事が、何より嬉しい。
「これからもまっすぐ私のところに帰ってきてね」
「バーカ、当たり前だろ?俺、仕事が終わったらすっ飛んで帰ってるんだぞ?一秒でも早く芙佳に会いたいからな。芙佳ももう迷子になるなよ」
「うん。ちゃんと迷わず應汰のとこに帰る」
「まぁ……迷う暇なんか一瞬も与えないくらい、思いっきり愛してやるけどな」
「望むところだ」
潮風に吹かれながら、私たちは優しいキスをして、一緒に歩く未来の話をする。
目を閉じて感じるのは潮の香りと波の音。
すぐ隣には、あたたかい手を広げ私をまるごと受け止めて包んでくれる、愛しい人のぬくもり。
私も同じくらい應汰を守り、一生をかけて愛したい。
これから先の人生は二人で手を取り合って、同じ歩幅で未来に向かって歩いていこう。
穏やかに時間の流れる海辺の町で、誰よりも大切なあなたと。
─END─
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ちっく様
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