33 / 52
恋の返り血
3
しおりを挟む
「飲みに行くか?それとも家飲み?」
「酔ってもいいように家飲みにしよう。それからケーキもたこ焼きもポテチも食べたい」
「よし、任せとけ!今日はなんでも好きな物奢ってやる!!買い出し行こう!」
「うん!」
なくした恋はもう戻らない。
私は勲とは幸せにはなれなかったけど、お互いにこれ以上不幸せにならないように、そしてこれ以上誰かを傷付けないように、この恋に終止符を打った事は、後悔していない。
そう思えたのは、應汰のおかげかも知れない。
これは應汰なりに慰めてくれているのか、それとも應汰自身が飲まなきゃやっていられなかったのかはわからない。
だけど應汰の胸で思いきり泣いて、ほんの少し心が軽くなったような気がした。
應汰は約束通り、たくさんのお酒とおつまみ、それからケーキもたこ焼きもポテチも買ってくれた。
私の部屋で始めた飲み会を、應汰は『失恋パーティー』と言った。
夕方から飲み始め、どうでもいい話をして笑い、テレビのお笑い番組を観ながら大笑いして、またお酒を飲んだ。
夜になり買ってきたお酒がもうすぐなくなるという頃には、二人とも相当酔っていた。
私は應汰の肩に体の重みを預けながら、目を閉じて酔った頭でぼんやりと勲の事を考える。
「ねぇ應汰……。私ね……いつも、帰らないでって言えなかったんだ」
「うん……」
「帰らないでって言いたいのに……いつも、帰ってって言ってた」
あんなに泣いてもう枯れたかと思ったのに、涙がまた溢れて頬を伝った。
應汰は何も言わず私の肩を抱き寄せ頭を撫でる。
「私以外にあの人の帰るべき場所ができて……普通の恋人同士だった頃はなんのためらいもなく言えた事が、言えなくなっちゃったんだ」
「……言いたいのか?帰らないで、って」
「うん……」
「あの人に言えなかった代わりに言うの?……俺に」
「……やっぱりやめとく」
少し笑ってため息をつくと、應汰は私を抱きしめて、涙で濡れた私の頬に口付けた。
「言えよ。代わりじゃなくて、俺に言え。芙佳が望むなら、俺が朝まで抱いてやる」
耳元で囁く應汰の熱い吐息と甘い言葉に、私の満たされなかった心と渇いた体の奥がゾクリと疼いた。
その瞬間、私の中では理性が音をたてて崩れ落ち、友達の境界線を一瞬で消し去ってしまう。
「應汰……帰らないで……。一緒にいて……」
その言葉はいとも簡単に私の口からこぼれ落ちた。
應汰は私を膝の上に横抱きにして、唇に軽くキスをして笑った。
「いい子だ。いくらでも一緒にいてやるから、好きなだけ俺に甘えろ」
横抱きのまま私をベッドに運ぶと、應汰はシャツを脱ぎ捨てて私に覆い被さった。
「今日は最後まで残さず食うからな。覚悟しろよ」
應汰は肉食獣みたいな言葉を吐きながら私の服を脱がせて、優しいキスをした。
私たちはベッドの上で何度も甘いキスをして、寂しさを埋めるように、飽きる事なくお互いの温もりを求め合った。
應汰は温かく大きな手で私の肌を撫で、柔らかい舌と唇で愛しそうに全身に触れて、何度も私の名前を呼びながら、柔らかい部分に口付け長い指で私の中を探った。
私は應汰に与えられる快感に息を荒くして甘い声をあげ、何も考えられなくなるほど乱されて、頭が真っ白になる。
私が何度果てても、應汰はそれをやめようとしない。
「酔ってもいいように家飲みにしよう。それからケーキもたこ焼きもポテチも食べたい」
「よし、任せとけ!今日はなんでも好きな物奢ってやる!!買い出し行こう!」
「うん!」
なくした恋はもう戻らない。
私は勲とは幸せにはなれなかったけど、お互いにこれ以上不幸せにならないように、そしてこれ以上誰かを傷付けないように、この恋に終止符を打った事は、後悔していない。
そう思えたのは、應汰のおかげかも知れない。
これは應汰なりに慰めてくれているのか、それとも應汰自身が飲まなきゃやっていられなかったのかはわからない。
だけど應汰の胸で思いきり泣いて、ほんの少し心が軽くなったような気がした。
應汰は約束通り、たくさんのお酒とおつまみ、それからケーキもたこ焼きもポテチも買ってくれた。
私の部屋で始めた飲み会を、應汰は『失恋パーティー』と言った。
夕方から飲み始め、どうでもいい話をして笑い、テレビのお笑い番組を観ながら大笑いして、またお酒を飲んだ。
夜になり買ってきたお酒がもうすぐなくなるという頃には、二人とも相当酔っていた。
私は應汰の肩に体の重みを預けながら、目を閉じて酔った頭でぼんやりと勲の事を考える。
「ねぇ應汰……。私ね……いつも、帰らないでって言えなかったんだ」
「うん……」
「帰らないでって言いたいのに……いつも、帰ってって言ってた」
あんなに泣いてもう枯れたかと思ったのに、涙がまた溢れて頬を伝った。
應汰は何も言わず私の肩を抱き寄せ頭を撫でる。
「私以外にあの人の帰るべき場所ができて……普通の恋人同士だった頃はなんのためらいもなく言えた事が、言えなくなっちゃったんだ」
「……言いたいのか?帰らないで、って」
「うん……」
「あの人に言えなかった代わりに言うの?……俺に」
「……やっぱりやめとく」
少し笑ってため息をつくと、應汰は私を抱きしめて、涙で濡れた私の頬に口付けた。
「言えよ。代わりじゃなくて、俺に言え。芙佳が望むなら、俺が朝まで抱いてやる」
耳元で囁く應汰の熱い吐息と甘い言葉に、私の満たされなかった心と渇いた体の奥がゾクリと疼いた。
その瞬間、私の中では理性が音をたてて崩れ落ち、友達の境界線を一瞬で消し去ってしまう。
「應汰……帰らないで……。一緒にいて……」
その言葉はいとも簡単に私の口からこぼれ落ちた。
應汰は私を膝の上に横抱きにして、唇に軽くキスをして笑った。
「いい子だ。いくらでも一緒にいてやるから、好きなだけ俺に甘えろ」
横抱きのまま私をベッドに運ぶと、應汰はシャツを脱ぎ捨てて私に覆い被さった。
「今日は最後まで残さず食うからな。覚悟しろよ」
應汰は肉食獣みたいな言葉を吐きながら私の服を脱がせて、優しいキスをした。
私たちはベッドの上で何度も甘いキスをして、寂しさを埋めるように、飽きる事なくお互いの温もりを求め合った。
應汰は温かく大きな手で私の肌を撫で、柔らかい舌と唇で愛しそうに全身に触れて、何度も私の名前を呼びながら、柔らかい部分に口付け長い指で私の中を探った。
私は應汰に与えられる快感に息を荒くして甘い声をあげ、何も考えられなくなるほど乱されて、頭が真っ白になる。
私が何度果てても、應汰はそれをやめようとしない。
0
お気に入りに追加
125
あなたにおすすめの小説
イケメン彼氏は年上消防士!鍛え上げられた体は、夜の体力まで別物!?
すずなり。
恋愛
私が働く食堂にやってくる消防士さんたち。
翔馬「俺、チャーハン。」
宏斗「俺もー。」
航平「俺、から揚げつけてー。」
優弥「俺はスープ付き。」
みんなガタイがよく、男前。
ひなた「はーいっ。ちょっと待ってくださいねーっ。」
慌ただしい昼時を過ぎると、私の仕事は終わる。
終わった後、私は行かなきゃいけないところがある。
ひなた「すみませーん、子供のお迎えにきましたー。」
保育園に迎えに行かなきゃいけない子、『太陽』。
私は子供と一緒に・・・暮らしてる。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
翔馬「おいおい嘘だろ?」
宏斗「子供・・・いたんだ・・。」
航平「いくつん時の子だよ・・・・。」
優弥「マジか・・・。」
消防署で開かれたお祭りに連れて行った太陽。
太陽の存在を知った一人の消防士さんが・・・私に言った。
「俺は太陽がいてもいい。・・・太陽の『パパ』になる。」
「俺はひなたが好きだ。・・・絶対振り向かせるから覚悟しとけよ?」
※お話に出てくる内容は、全て想像の世界です。現実世界とは何ら関係ありません。
※感想やコメントは受け付けることができません。
メンタルが薄氷なもので・・・すみません。
言葉も足りませんが読んでいただけたら幸いです。
楽しんでいただけたら嬉しく思います。
【完結】もう一度やり直したいんです〜すれ違い契約夫婦は異国で再スタートする〜
四片霞彩
恋愛
「貴女の残りの命を私に下さい。貴女の命を有益に使います」
度重なる上司からのパワーハラスメントに耐え切れなくなった日向小春(ひなたこはる)が橋の上から身投げしようとした時、止めてくれたのは弁護士の若佐楓(わかさかえで)だった。
事情を知った楓に会社を訴えるように勧められるが、裁判費用が無い事を理由に小春は裁判を断り、再び身を投げようとする。
しかし追いかけてきた楓に再度止められると、裁判を無償で引き受ける条件として、契約結婚を提案されたのだった。
楓は所属している事務所の所長から、孫娘との結婚を勧められて困っており、 それを断る為にも、一時的に結婚してくれる相手が必要であった。
その代わり、もし小春が相手役を引き受けてくれるなら、裁判に必要な費用を貰わずに、無償で引き受けるとも。
ただ死ぬくらいなら、最後くらい、誰かの役に立ってから死のうと考えた小春は、楓と契約結婚をする事になったのだった。
その後、楓の結婚は回避するが、小春が会社を訴えた裁判は敗訴し、退職を余儀なくされた。
敗訴した事をきっかけに、裁判を引き受けてくれた楓との仲がすれ違うようになり、やがて国際弁護士になる為、楓は一人でニューヨークに旅立ったのだった。
それから、3年が経ったある日。
日本にいた小春の元に、突然楓から離婚届が送られてくる。
「私は若佐先生の事を何も知らない」
このまま離婚していいのか悩んだ小春は、荷物をまとめると、ニューヨーク行きの飛行機に乗る。
目的を果たした後も、契約結婚を解消しなかった楓の真意を知る為にもーー。
❄︎
※他サイトにも掲載しています。
あまやかしても、いいですか?
藤川巴/智江千佳子
恋愛
結婚相手は会社の王子様。
「俺ね、ダメなんだ」
「あーもう、キスしたい」
「それこそだめです」
甘々(しすぎる)男子×冷静(に見えるだけ)女子の
契約結婚生活とはこれいかに。
糖度高めな秘密の密会はいかが?
桜井 響華
恋愛
彩羽(いろは)コーポレーションで
雑貨デザイナー兼その他のデザインを
担当している、秋葉 紫です。
毎日のように
鬼畜な企画部長からガミガミ言われて、
日々、癒しを求めています。
ストレス解消法の一つは、
同じ系列のカフェに行く事。
そこには、
癒しの王子様が居るから───・・・・・
カフェのアルバイト店員?
でも、本当は御曹司!?
年下王子様系か...Sな俺様上司か…
入社5年目、私にも恋のチャンスが
巡って来たけれど…
早くも波乱の予感───
Perverse
伊吹美香
恋愛
『高嶺の花』なんて立派なものじゃない
ただ一人の女として愛してほしいだけなの…
あなたはゆっくりと私の心に浸食してくる
触れ合う身体は熱いのに
あなたの心がわからない…
あなたは私に何を求めてるの?
私の気持ちはあなたに届いているの?
周りからは高嶺の花と呼ばれ本当の自分を出し切れずに悩んでいる女
三崎結菜
×
口も態度も悪いが営業成績No.1で結菜を振り回す冷たい同期男
柴垣義人
大人オフィスラブ
遅咲きの恋の花は深い愛に溺れる
あさの紅茶
恋愛
学生のときにストーカーされたことがトラウマで恋愛に二の足を踏んでいる、橘和花(25)
仕事はできるが恋愛は下手なエリートチーム長、佐伯秀人(32)
職場で気分が悪くなった和花を助けてくれたのは、通りすがりの佐伯だった。
「あの、その、佐伯さんは覚えていらっしゃらないかもしれませんが、その節はお世話になりました」
「……とても驚きましたし心配しましたけど、元気な姿を見ることができてほっとしています」
和花と秀人、恋愛下手な二人の恋はここから始まった。
**********
このお話は他のサイトにも掲載しています
十年越しの溺愛は、指先に甘い星を降らす
和泉杏咲
恋愛
私は、もうすぐ結婚をする。
職場で知り合った上司とのスピード婚。
ワケアリなので結婚式はナシ。
けれど、指輪だけは買おうと2人で決めた。
物が手に入りさえすれば、どこでもよかったのに。
どうして私達は、あの店に入ってしまったのだろう。
その店の名前は「Bella stella(ベラ ステラ)」
春の空色の壁の小さなお店にいたのは、私がずっと忘れられない人だった。
「君が、そんな結婚をするなんて、俺がこのまま許せると思う?」
お願い。
今、そんなことを言わないで。
決心が鈍ってしまうから。
私の人生は、あの人に捧げると決めてしまったのだから。
⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚
東雲美空(28) 会社員 × 如月理玖(28) 有名ジュエリー作家
⌒*。*゚*⌒*゚*。*⌒*。*゚*⌒* ゚*。*⌒*。*゚
極上の一夜で懐妊したらエリートパイロットの溺愛新婚生活がはじまりました
白妙スイ@書籍&電子書籍発刊!
恋愛
早瀬 果歩はごく普通のOL。
あるとき、元カレに酷く振られて、1人でハワイへ傷心旅行をすることに。
そこで逢見 翔というパイロットと知り合った。
翔は果歩に素敵な時間をくれて、やがて2人は一夜を過ごす。
しかし翌朝、翔は果歩の前から消えてしまって……。
**********
●早瀬 果歩(はやせ かほ)
25歳、OL
元カレに酷く振られた傷心旅行先のハワイで、翔と運命的に出会う。
●逢見 翔(おうみ しょう)
28歳、パイロット
世界を飛び回るエリートパイロット。
ハワイへのフライト後、果歩と出会い、一夜を過ごすがその後、消えてしまう。
翌朝いなくなってしまったことには、なにか理由があるようで……?
●航(わたる)
1歳半
果歩と翔の息子。飛行機が好き。
※表記年齢は初登場です
**********
webコンテンツ大賞【恋愛小説大賞】にエントリー中です!
完結しました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる