159 / 240
ヲタはヲタを呼ぶ?昨日の恋敵は今日の同志~流れ星に集い愛を語ろう~
6
しおりを挟む
見た目も性格も今時の女子そのものなのに鬼ゲーマーだったり、意外な特技を持っていたり、谷口さんには驚かされてばかりだ。
本当に人は見掛けによらないものだと改めて思う。
「じゃあ谷口さん、俺たちの結婚式に来てエレクトーン弾いてくれる?結婚式に合う曲がいいんだけど」
「もちろんですよ!私で良ければいくらでも弾きます!」
尚史の雑なお願いを、谷口さんは二つ返事でOKしてくれた。
そして早速『結婚式に合う曲』をスマホでネット検索し始める。
「谷口さん、引き受けてくれてありがとう。なんか……お願いの仕方が雑でごめんね」
「私はすごく嬉しいですよ。お二人の晴れ姿が見られる上に、私の唯一の特技がお役に立つなんて最高です!」
あんなに雑な頼み方をされたのに、いやがるどころかこんなに喜んでくれるなんて、もしかして谷口さんって、めちゃくちゃいい子なのでは?
だけどやっぱり、谷口さんが『尚史と付き合いたい』と言っていたことがどうにも引っ掛かって、本当にこのまま触れないでいていいものかと思う。
モヤモヤした気持ちのままで結婚式の日を迎えたくはないから、谷口さんの本音を聞いておきたい。
「あのね、谷口さん。いまさらこんなことを聞くのもなんだけど……前に『尚史と付き合いたい』って言ってたでしょ?私が急に尚史と結婚したこと、どう思ってる?」
私が尚史と谷口兄がゲームを始めたのを見計らって、声のトーンを少し落として尋ねると、谷口さんは一瞬ポカンとしたあと、スマホをテーブルの上に置いてビールを一口飲んだ。
「どう思ってる?って……もしかしてモモ先輩、そのことがずっと気になってました?」
「うん……。だってほら……私は尚史と幼馴染みだってことも隠してたし、尚史とは前から付き合ってたわけでもなくて、事情があっていきなり結婚したから」
「その辺の事情はここで中森さんから聞いてますよ。じつは私、その話を聞く前に『私と付き合いませんか』って……」
「本人に言ったの?」
「はい、でも本人から直接断られる前に、キヨさんと兄に『無謀なことはやめとけ』って言われました。中森さんには昔からずっと好きな人がいるからって」
谷口さんは尚史と谷口兄と一緒に初めてこの店に来てゲームをしていたときに、尚史と私が物心がつく前からの幼馴染みで、尚史は子どもの頃からずっと私のことを想い続けているのだとキヨから聞かされたそうだ。
谷口兄も尚史の高校時代の私にまつわるエピソードを聞かせて『望みはまったくないから潔くあきらめろ』と諭し、尚史はハッキリと断るでもなく、ただうなずきながらその話を聞いていたらしい。
「私は中森さんがモロに好みのタイプで、すごくカッコイイから付き合いたいと思ってたんです。だけどまだ好きとか恋とかいうほどの感情ではなかったので、話を聞いているうちに一途な中森さんを応援したくなりました」
「相手が自分じゃなくても?」
「私、ドラマでも漫画でも、幼馴染みのシチュエーションにものすごく弱いんですよ、大好物です」
私の気のせいだろうか、なんだか谷口さんから私と同じ匂いがしてくるような……?
「子どもの頃から大人になってもずっと幼馴染みの女の子に片想いしてるなんて、尊くて超萌えますよね。おまけに普通ならあり得ないような劇的な展開で結婚までしちゃうなんて、控えめに言って最高です!」
谷口さんはうっとりとした目で宙を見据え、完全に『夢見る少女』の構えで幼馴染みの純愛を語っている。
その語り口はあまりメジャーではなかったけどヲタクの間では名作と名高い、幼馴染みの男女の恋模様を描いた漫画『初恋メロンソーダ』を彷彿とさせる。
本当に人は見掛けによらないものだと改めて思う。
「じゃあ谷口さん、俺たちの結婚式に来てエレクトーン弾いてくれる?結婚式に合う曲がいいんだけど」
「もちろんですよ!私で良ければいくらでも弾きます!」
尚史の雑なお願いを、谷口さんは二つ返事でOKしてくれた。
そして早速『結婚式に合う曲』をスマホでネット検索し始める。
「谷口さん、引き受けてくれてありがとう。なんか……お願いの仕方が雑でごめんね」
「私はすごく嬉しいですよ。お二人の晴れ姿が見られる上に、私の唯一の特技がお役に立つなんて最高です!」
あんなに雑な頼み方をされたのに、いやがるどころかこんなに喜んでくれるなんて、もしかして谷口さんって、めちゃくちゃいい子なのでは?
だけどやっぱり、谷口さんが『尚史と付き合いたい』と言っていたことがどうにも引っ掛かって、本当にこのまま触れないでいていいものかと思う。
モヤモヤした気持ちのままで結婚式の日を迎えたくはないから、谷口さんの本音を聞いておきたい。
「あのね、谷口さん。いまさらこんなことを聞くのもなんだけど……前に『尚史と付き合いたい』って言ってたでしょ?私が急に尚史と結婚したこと、どう思ってる?」
私が尚史と谷口兄がゲームを始めたのを見計らって、声のトーンを少し落として尋ねると、谷口さんは一瞬ポカンとしたあと、スマホをテーブルの上に置いてビールを一口飲んだ。
「どう思ってる?って……もしかしてモモ先輩、そのことがずっと気になってました?」
「うん……。だってほら……私は尚史と幼馴染みだってことも隠してたし、尚史とは前から付き合ってたわけでもなくて、事情があっていきなり結婚したから」
「その辺の事情はここで中森さんから聞いてますよ。じつは私、その話を聞く前に『私と付き合いませんか』って……」
「本人に言ったの?」
「はい、でも本人から直接断られる前に、キヨさんと兄に『無謀なことはやめとけ』って言われました。中森さんには昔からずっと好きな人がいるからって」
谷口さんは尚史と谷口兄と一緒に初めてこの店に来てゲームをしていたときに、尚史と私が物心がつく前からの幼馴染みで、尚史は子どもの頃からずっと私のことを想い続けているのだとキヨから聞かされたそうだ。
谷口兄も尚史の高校時代の私にまつわるエピソードを聞かせて『望みはまったくないから潔くあきらめろ』と諭し、尚史はハッキリと断るでもなく、ただうなずきながらその話を聞いていたらしい。
「私は中森さんがモロに好みのタイプで、すごくカッコイイから付き合いたいと思ってたんです。だけどまだ好きとか恋とかいうほどの感情ではなかったので、話を聞いているうちに一途な中森さんを応援したくなりました」
「相手が自分じゃなくても?」
「私、ドラマでも漫画でも、幼馴染みのシチュエーションにものすごく弱いんですよ、大好物です」
私の気のせいだろうか、なんだか谷口さんから私と同じ匂いがしてくるような……?
「子どもの頃から大人になってもずっと幼馴染みの女の子に片想いしてるなんて、尊くて超萌えますよね。おまけに普通ならあり得ないような劇的な展開で結婚までしちゃうなんて、控えめに言って最高です!」
谷口さんはうっとりとした目で宙を見据え、完全に『夢見る少女』の構えで幼馴染みの純愛を語っている。
その語り口はあまりメジャーではなかったけどヲタクの間では名作と名高い、幼馴染みの男女の恋模様を描いた漫画『初恋メロンソーダ』を彷彿とさせる。
0
お気に入りに追加
161
あなたにおすすめの小説
性欲の強すぎるヤクザに捕まった話
古亜
恋愛
中堅企業の普通のOL、沢木梢(さわきこずえ)はある日突然現れたチンピラ3人に、兄貴と呼ばれる人物のもとへ拉致されてしまう。
どうやら商売女と間違えられたらしく、人違いだと主張するも、兄貴とか呼ばれた男は聞く耳を持たない。
「美味しいピザをすぐデリバリーできるのに、わざわざコンビニのピザ風の惣菜パンを食べる人います?」
「たまには惣菜パンも悪くねぇ」
……嘘でしょ。
2019/11/4 33話+2話で本編完結
2021/1/15 書籍出版されました
2021/1/22 続き頑張ります
半分くらいR18な話なので予告はしません。
強引な描写含むので苦手な方はブラウザバックしてください。だいたいタイトル通りな感じなので、少しでも思ってたのと違う、地雷と思ったら即回れ右でお願いします。
誤字脱字、文章わかりにくい等の指摘は有り難く受け取り修正しますが、思った通りじゃない生理的に無理といった内容については自衛に留め批判否定はご遠慮ください。泣きます。
当然の事ながら、この話はフィクションです。
【完結】※R18 熱視線 ~一ノ瀬君の瞳に囚われた私~
キリン
恋愛
心に古傷を持つ三十路の拗らせ系社畜OLが、同じ部署の仔犬系年下男子に囚われてしまうお話。
※以前公開していたものを全話改稿し、文字数を調整致しました。
お気に入り登録やしおり機能を利用して下さっていた皆様、大変申し訳ありません。
過去投稿分は、朝と夕7時に、二話ずつ公開致していきます。近日中に完結する予定です。
※R15には米印を一つ、R18には米印を二つつけました。
※この作品はムーンライト様の方でも公開しております。
【R18】豹変年下オオカミ君の恋愛包囲網〜策士な後輩から逃げられません!〜
湊未来
恋愛
「ねぇ、本当に陰キャの童貞だって信じてたの?経験豊富なお姉さん………」
30歳の誕生日当日、彼氏に呼び出された先は高級ホテルのレストラン。胸を高鳴らせ向かった先で見たものは、可愛らしいワンピースを着た女と腕を組み、こちらを見据える彼の姿だった。
一方的に別れを告げられ、ヤケ酒目的で向かったBAR。
「ねぇ。酔っちゃったの………
………ふふふ…貴方に酔っちゃったみたい」
一夜のアバンチュールの筈だった。
運命とは時に残酷で甘い………
羊の皮を被った年下オオカミ君×三十路崖っぷち女の恋愛攻防戦。
覗いて行きませんか?
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
・R18の話には※をつけます。
・女性が男性を襲うシーンが初回にあります。苦手な方はご注意を。
・裏テーマは『クズ男愛に目覚める』です。年上の女性に振り回されながら、愛を自覚し、更生するクズ男をゆるっく書けたらいいなぁ〜と。
寝室から喘ぎ声が聞こえてきて震える私・・・ベッドの上で激しく絡む浮気女に復讐したい
白崎アイド
大衆娯楽
カチャッ。
私は静かに玄関のドアを開けて、足音を立てずに夫が寝ている寝室に向かって入っていく。
「あの人、私が
昨日、課長に抱かれました
美凪ましろ
恋愛
金曜の夜。一人で寂しく残業をしていると、課長にお食事に誘われた! 会社では強面(でもイケメン)の課長。お寿司屋で会話が弾んでいたはずが。翌朝。気がつけば見知らぬ部屋のベッドのうえで――!? 『課長とのワンナイトラブ』がテーマ(しかしワンナイトでは済まない)。
どっきどきの告白やベッドシーンなどもあります。
性描写を含む話には*マークをつけています。
冷徹御曹司と極上の一夜に溺れたら愛を孕みました
せいとも
恋愛
旧題:運命の一夜と愛の結晶〜裏切られた絶望がもたらす奇跡〜
神楽坂グループ傘下『田崎ホールディングス』の創業50周年パーティーが開催された。
舞台で挨拶するのは、専務の田崎悠太だ。
専務の秘書で彼女の月島さくらは、会場で挨拶を聞いていた。
そこで、今の瞬間まで彼氏だと思っていた悠太の口から、別の女性との婚約が発表された。
さくらは、訳が分からずショックを受け会場を後にする。
その様子を見ていたのが、神楽坂グループの御曹司で、社長の怜だった。
海外出張から一時帰国して、パーティーに出席していたのだ。
会場から出たさくらを追いかけ、忘れさせてやると一夜の関係をもつ。
一生をさくらと共にしようと考えていた怜と、怜とは一夜の関係だと割り切り前に進むさくらとの、長い長いすれ違いが始まる。
再会の日は……。
誤算だらけのケイカク結婚 非情な上司はスパダリ!?
奏井れゆな
恋愛
夜ごと熱く誠実に愛されて……
出産も昇進も諦めたくない営業課の期待の新人、碓井深津紀は、非情と噂されている上司、城藤隆州が「結婚は面倒だが子供は欲しい」と同僚と話している場面に偶然出くわし、契約結婚を持ちかける。 すると、夫となった隆州は、辛辣な口調こそ変わらないものの、深津紀が何気なく口にした願いを叶えてくれたり、無意識の悩みに 誰より先に気づいて相談の時間を作ってくれたり、まるで恋愛結婚かのように誠実に愛してくれる。その上、「深津紀は抱き甲斐がある」とほぼ毎晩熱烈に求めてきて、隆州の豹変に戸惑うばかり。 そんな予想外の愛され生活の中で子作りに不安のある深津紀だったけど…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる