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【格言】絵に描いた餅より生のモモ~酔いどれ小悪魔ハニートラップ~
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食事と入浴が済んでから、尚史の部屋で明日の新居探しについて相談することにした。
尚史の部屋に来るのは久しぶりだ。
先にお風呂をいただいて尚史の部屋で待っていると、お風呂から上がった尚史が濡れた髪を拭きながらビールを持って戻ってきた。
いつものようにとりあえずビールで乾杯してひと息つく。
「この辺の家賃の相場とか、ネットで調べてみるか」
尚史はビールを片手にパソコンを開き、ネット検索を始めた。
その隣で私もビールを飲みながらパソコンの画面を覗き込んでいると、尚史からほのかに石鹸の香りがした。
普段は仕事帰りに私の部屋でスーツのままゲームをしていることが多かったから、最近では尚史の部屋にいること自体が珍しい。
しかもお風呂上がりなんてのは、レア中のレアシチュエーションだ。
お風呂上がりの濡れた髪や石鹸の香りがそうさせるのか、いつもとは違う状況だとなんの変哲もないTシャツとジャージの部屋着姿まで、無駄に色気を放っているように感じる。
尚史のお風呂上がりの姿は昨日も見たはずなのに、自分の部屋ではなく尚史の部屋にいるせいか、尚史がビールを飲み込むたびに動く喉仏とか、マウスを握る尚史の長い指の動きにまで、妙にドキドキしてしまう。
なんだこの落ち着かない感じは……?
私は尚史から目をそらして、ちょっと落ち着こうとビールを勢いよく喉に流し込んだ。
「モモ、ほらこれ見てみ。会社の近くよりこの辺の方が家賃相場がかなり低いみたいだ。駅から遠いと家賃はさらに下がるけど、通勤が大変だからできるだけ近い方がいいよな」
尚史が急に私の方を振り返った。
私はあわててパソコンの画面に目を向ける。
「う、うん、そうだね。駅近い方が買い物とかも便利だし」
「会社のそばだと徒歩通勤できて便利だけど、家賃が高いのはきついし……将来的にも実家近い方が何かと便利だと思うから、やっぱりこの辺にしといた方がいいか」
「将来的に?」
実家が近いと将来的に何が便利なんだろうと首をかしげると、尚史はマウスをカチカチさせてページをめくりながら答える。
「たぶんそのうち、子どもができるだろ」
「えっ、子ども?!」
「共働きだと保育園なんかの問題がいろいろ大変だって、子どものいる先輩たちが言ってるじゃん?おそらくどっちの両親も孫の面倒は喜んで見てくれると思うから、近い方が便利だろうなと」
結婚したら『いつか子どもができたら』という話題になるのは当たり前のことなのだろうけど、今の段階で私たちは子どもができるどころか、まだ子どもを作るという行為にさえ行き着いていない。
いずれは私たちも『早く赤ちゃん欲しいね♡』などと言いながら、当たり前のように子作りに勤しんだりするんだろうか。
そんなことを考えていると頭に血が昇り、尚史の言葉が右から左へと私の耳をすり抜けて行く。
まさかこの流れで『子ども作っちゃおうか』なんて言わないよね?
尚史のことは好きだし、抱きしめられるのもキスも嫌いじゃない……って言うか、ちょっと気持ちいいかなと思ったりするようにもなったけれど、その先に進むのはまだ心の準備ができていない。
今夜いきなり迫られたらどうしようとか、拒んだら尚史を傷付けちゃうかなとか、とりとめもないことを考えながらビールをグビグビ飲み干した。
空になったビールの缶をテーブルの上に置くとカコンと高い音がして、尚史は少し驚いた様子で私を見た。
「あれ?もう飲んだのか?」
「ちょっと……喉が渇いてたから……」
「ふーん?俺ももうちょっと飲みたいし、おかわり持って来るかな」
尚史の部屋に来るのは久しぶりだ。
先にお風呂をいただいて尚史の部屋で待っていると、お風呂から上がった尚史が濡れた髪を拭きながらビールを持って戻ってきた。
いつものようにとりあえずビールで乾杯してひと息つく。
「この辺の家賃の相場とか、ネットで調べてみるか」
尚史はビールを片手にパソコンを開き、ネット検索を始めた。
その隣で私もビールを飲みながらパソコンの画面を覗き込んでいると、尚史からほのかに石鹸の香りがした。
普段は仕事帰りに私の部屋でスーツのままゲームをしていることが多かったから、最近では尚史の部屋にいること自体が珍しい。
しかもお風呂上がりなんてのは、レア中のレアシチュエーションだ。
お風呂上がりの濡れた髪や石鹸の香りがそうさせるのか、いつもとは違う状況だとなんの変哲もないTシャツとジャージの部屋着姿まで、無駄に色気を放っているように感じる。
尚史のお風呂上がりの姿は昨日も見たはずなのに、自分の部屋ではなく尚史の部屋にいるせいか、尚史がビールを飲み込むたびに動く喉仏とか、マウスを握る尚史の長い指の動きにまで、妙にドキドキしてしまう。
なんだこの落ち着かない感じは……?
私は尚史から目をそらして、ちょっと落ち着こうとビールを勢いよく喉に流し込んだ。
「モモ、ほらこれ見てみ。会社の近くよりこの辺の方が家賃相場がかなり低いみたいだ。駅から遠いと家賃はさらに下がるけど、通勤が大変だからできるだけ近い方がいいよな」
尚史が急に私の方を振り返った。
私はあわててパソコンの画面に目を向ける。
「う、うん、そうだね。駅近い方が買い物とかも便利だし」
「会社のそばだと徒歩通勤できて便利だけど、家賃が高いのはきついし……将来的にも実家近い方が何かと便利だと思うから、やっぱりこの辺にしといた方がいいか」
「将来的に?」
実家が近いと将来的に何が便利なんだろうと首をかしげると、尚史はマウスをカチカチさせてページをめくりながら答える。
「たぶんそのうち、子どもができるだろ」
「えっ、子ども?!」
「共働きだと保育園なんかの問題がいろいろ大変だって、子どものいる先輩たちが言ってるじゃん?おそらくどっちの両親も孫の面倒は喜んで見てくれると思うから、近い方が便利だろうなと」
結婚したら『いつか子どもができたら』という話題になるのは当たり前のことなのだろうけど、今の段階で私たちは子どもができるどころか、まだ子どもを作るという行為にさえ行き着いていない。
いずれは私たちも『早く赤ちゃん欲しいね♡』などと言いながら、当たり前のように子作りに勤しんだりするんだろうか。
そんなことを考えていると頭に血が昇り、尚史の言葉が右から左へと私の耳をすり抜けて行く。
まさかこの流れで『子ども作っちゃおうか』なんて言わないよね?
尚史のことは好きだし、抱きしめられるのもキスも嫌いじゃない……って言うか、ちょっと気持ちいいかなと思ったりするようにもなったけれど、その先に進むのはまだ心の準備ができていない。
今夜いきなり迫られたらどうしようとか、拒んだら尚史を傷付けちゃうかなとか、とりとめもないことを考えながらビールをグビグビ飲み干した。
空になったビールの缶をテーブルの上に置くとカコンと高い音がして、尚史は少し驚いた様子で私を見た。
「あれ?もう飲んだのか?」
「ちょっと……喉が渇いてたから……」
「ふーん?俺ももうちょっと飲みたいし、おかわり持って来るかな」
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