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超甘党のススメ~焼いた餅には甘い蜜を絡めて二人でお召し上がりやがれください~

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キスしていいかと改めて聞かれると恥ずかしくてたまらない。
だけど私自身もそうして欲しいと思う。
私が素直にうなずくと、尚史は私の唇にゆっくりと唇を重ねた。
尚史の唇は柔らかい凶器のように、私の唇に狙いを定め何度も何度も愛しそうについばみ、温かく湿った舌先で優しく私の唇をこじ開けて舌を絡め取る。
私は初めて経験する大人のキスに抗うこともできず、されるがままにそれを受け入れた。
私の口内を隅々まで丁寧に撫でる尚史の舌の心地よさに酔いしれながら、私は尚史の腕の中で尚史に求められる喜びを感じている。
尚史とのキスはちっとも気持ち悪くないし、全然イヤじゃない。
イヤじゃないどころか、あたたかくて気持ちよくて、もっとして欲しいと思ってしまう。
キスでこんな風に思うなら、この手で素肌に触れられるとどんな気持ちになるんだろう?
きっと私は、尚史に与えられる愛情と快楽には抗えない。
長いキスのあと、私はあまりの恥ずかしさで再び両手で顔を覆った。

「尚史……なんかやらしい……」
「今頃気付いたの?俺はずっと、モモにこんなキスしたいって思ってたんだけど?」
「バカ……。他の人にしたら許さないからね」
「わかった。この先一生モモにだけするから、もっとしていい?」
「……うん」

私たちは互いの体を抱きしめ合って、何度も唇を重ねた。
他のことは何も考えられなくなって、心の中は尚史でいっぱいになっていく。
唇が離れたあとも、恥ずかしくて照れくさくて、尚史の顔をまともに見ることができない。
尚史はうつむいて顔を真っ赤にしている私を包み込むように抱きしめる。

「モモ、可愛い。他の男の前でそんな顔するなよ」
「しないよ……」
「これから目一杯可愛がるから、もっと可愛い顔、俺だけに見せて」

尚史は私の耳元で、今まで聞いたことのないような甘い声で囁く。
見事に胸を撃ち抜かれた。
漫画でよくある『ハートをズキュン!』の描写そのものだ。
ヤバイ、胸がキュンキュンして鼻血出そう……。
イケメン夫の甘い声と甘い言葉の破壊力、ハンパない……。

「やだもう……萌え死ぬ……」
「気をしっかり持て。キスだけで死なれてたまるか。あ、そうだ。俺、今日ここに泊まっていい?」
「えっ、なんで?!」
「俺らもう結婚したんだし、夫婦なんだから一緒に寝ても良くね?泊まっていいか久美子さんに聞いて来ようっと」

私が止める間もなく、尚史は鼻唄でも歌い出しそうな勢いで1階に下りて行った。
いくら結婚したとは言え、親と一緒に住んでいる家で娘と一緒に寝ていいかと親に聞くなんて、どんだけ強靭なメンタルの持ち主なんだ!
なんにもしなくても何か勘ぐられて、親と顔を合わすと気まずい思いをするのは私の方だと言うのに!
私の気も知らずに尚史は上機嫌で部屋に戻ってきて、私の唇に素早くキスをした。
不意打ちのキスに口から心臓が飛び出そうなほどドキッとしてしまう。
尚史って、さらっとこういうことをするんだ。
無自覚イケメン、恐るべし。
これは気が抜けない。
気を抜いたら激甘尚史に溺れてしまう。

「モモ、俺泊まっていいって。家に着替え取りに行ってくるから、逃げんなよ」

なんで許可したんだ、母よ?
ヘタすると一緒に暮らすまで毎日ここに泊まるとか言い出して、実家で同棲状態になるのでは?
アカン……それだけは避けたい。
毎日尚史の言動にドキドキしそうではあるけれど、親にニヤニヤされるよりはマシだから、早いとこ新居を見つけて引っ越した方が良さそうだ。 


その夜私と尚史は一緒にベッドに横になり、抱きしめ合って何度も重ねたキスの余韻に浸って眠りに就いた。
尚史の腕の中で聞いた「おやすみ」の声は、とても優しかった。




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