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密着型特訓?これはもはやデレのテロだ~幼馴染みが溺愛系俺様イケメンに豹変したら発熱した件~

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年齢を考えるとそれはまったく不思議なことではないし、むしろ健全な成人男性なら当然だと思う。
だけどなんとなくモヤッとするのは、今までそんなそぶりを見せたことも話したこともないのに、尚史が男であるというわかりきった現実をいきなり突き付けられたからだろう。
要は『幼馴染みの尚史』がいつの間にか一人で大人になっていたことに軽くショックを受けたと、そういうことだ。

「モモ、仏頂面してどうした?」
「なんでもない」
「シーサイドガーデン出てからけっこう歩いたけど、どこに行くんだろうな」

考え事をしていたので今まで気付かなかったけれど、ターゲットは手を繋いで国道沿いを歩き、駅とは反対の方向に向かっているようだ。
もしかしてターゲットはこの辺りに住んでいて、これから家に帰ろうとしているのかとも思ったけれど、先の方に見えるのは住宅地ではない。
国道沿いに並んでいるのは飲食店やガソリンスタンド、自動車販売店、大型書店、リサイクルショップ、カラオケボックスなど、店舗や会社がほとんどだった。
あまり駅から遠く離れてしまうと、二人とも土地勘がないので迷ってしまうかも知れない。

「ねぇ尚史、やっぱりそろそろ……」

『駅に戻ろう』と私が言おうとしたとき、ターゲットがすぐ先の角を右に曲がって脇道に入った。
こんな脇道を通ってどこかへ行こうとしているんだから、やっぱりこの辺りの人なんだな。
そう思いながら尚史に手を引かれて角を曲がり、ターゲットのあとを追う。
脇道に入って間もなく、そんなにたくさん街灯があるわけでもないのに、辺りがやけに明るくなった。
どうしてこんなに明るいのかと顔を上げると、その明るさの正体がいくつも並んでいる大きな建物を照らしている灯りだということがわかる。
それにしても国道沿いから外れたこんな場所に密集しているなんて、一体何の建物なんだろう?
ターゲットは楽しそうに寄り添いながら、そのうちのひとつの建物の中に姿を消した。
当然あとを追って私たちも中に入るのかと思ったら、尚史が立ち止まって無言で私の方を見る。

「ん?入らないの?」
「……逆に聞くけど、ホントに入っていいのか?」
「えっ、だってあの人たちが……」
「よく見ろモモ、ここがなんだかわかるか?」

尚史の指差す先には写真入りの看板があった。
そこには『rest&resort HOTEL TRUE LOVE』の文字が踊っている。

「リゾートホテル?こんな場所に?」
「よく見ろ、こんな低価格で卑猥なリゾートホテルがあると思うか?」

言われた通りに他の建物に掲げられた看板もよく見ると、休憩とか宿泊の値段がドドーンと大きく記されている。
そもそも私はホテルにリゾートしに行くような趣味はないから、これが低価格なのかどうかがよくわからない。
それにしてもホテルだらけだけど、駅や観光地から離れた場所でそんなに需要があるのか?
って言うか……尚史、今『卑猥』って言った?
首をかしげて建物をガン見していると、尚史が呆れた顔をして大きなため息をついた。

「そんなこともわからないのか……。ここホテル街だよ。どこもこじゃれた名前つけてるけど、平たく言うと全部ラブホテルだ」
「らっ、らっ、らぶっ……!」

なんと……これが噂に聞くラブホテルとな……?
ラブホテルって、もっとあからさまに『どピンク』なイメージだったのに、全然違うじゃん!
ってことはさっきのカップルも今頃この中で……。
うっかり人様の愛の営みを想像しそうになり、私はそれをかき消そうとあわてて頭をブンブン横に振った。

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