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冒険の心得《装備は万全に 休息大事 油断大敵 無理厳禁 ※突如現れる無自覚イケメンに注意》
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こんなときこそお手本に習おうとターゲットのカップルの方を見ると、若い二人は窓の外を見ながら体を寄せ合って密着していた。
カップルの彼氏は彼女の肩を抱き、彼女は彼氏の肩にもたれ掛かるようにして、笑みを浮かべながら彼氏の顔を見上げている。
「あれもやってみる?」
「えっ」
尚史が私の肩に手を回して軽く抱き寄せた。
私の体は尚史の長い腕の中にすっぽりと収まり、背の高い尚史の胸に押し付けられた私の耳に、尚史の鼓動が伝わってくる。
「やっぱモモはちっちゃいなぁ」
そう言って尚史は抱き寄せている方の手で私の頭を撫でた。
誰、このイケメン……?
なんで当たり前みたいな顔をしてこんなことができるの?!
なんかこれ……ターゲットのカップルよりも密着していやしませんか……?
ってか……手を繋ぐよりもハイレベルなことをしているんじゃ……?
「モモ、顔上げられる?」
いやいやいや、無理無理無理、絶対無理!!
私、今絶対顔真っ赤だし、心臓めちゃくちゃバクバク言ってるし、ついでに脇汗も手汗もひどいし、こんな状態で尚史の顔なんかまともに見られないし!
身体中の血が頭に昇って、もう鼻血出そう……!
うつむいたままで思いきり大きく首を横に振ると、尚史は私からゆっくりと手を離した。
「大丈夫か?」
「……なんとか……」
私は気付いてしまった。
相手は幼馴染みの尚史だからと気を抜いていたけれど、じつはこの男、さりげなくイケメンキャラを発動させるスキルを持っているのでは?
それも本人は無自覚なのか突如イケメンが現れるわけで、キザなイケメンよりもずっとたちが悪い。
いつも通りのつもりで一緒にいたら、私は仲間のはずの尚史から大ダメージを食らってしまう。
私……今日は無事に生きて帰れるのかな……?
手すりを強く握りしめ、下を向いたままで乱れた呼吸を整えていると、尚史がためらいがちに私の頭をポンポンと優しく叩いた。
「あのさ……昨日も言ったけど、イヤならイヤってハッキリ言ってくれていいから。無理して我慢されると俺もつらい」
申し訳なさそうな尚史の声を聞いて胸が痛んだ。
尚史は私のためを思って協力してくれているのに、余計な気を遣わせてしまったことが心苦しい。
私は尚史に触られることを気持ち悪いとかイヤだとは思っていないし、ただいつもの尚史とのギャップに驚いてしまっただけだと思う。
尚史がどんなに協力してくれても、肝心の私が頑張らないとこの作戦の目的を果たすことはできないんだから、私自身がもっと慣れる努力をしなくちゃいけない。
私は光子おばあちゃんに花嫁姿を見せるために、1日も早く結婚するんだ。
そのためには男の人に急に触れられても、過剰に防衛したり攻撃したりしないようにならなくてはいけない。
自分にそういい聞かせ、なんとか心を落ち着かせて顔を上げると、尚史が心配そうな顔をしていた。
「ごめん、ちょっと無理させ過ぎた」
「尚史は悪くないよ。私こそごめんね、いきなりだったからビックリしただけで、ホントに大丈夫だから……その……」
私はおそるおそる手を伸ばし、尚史の指先をそっと握った。
尚史は驚いた顔をして私を見ている。
「できればまずは、手を繋ぐところからでお願いします……」
「……モモがそう言うなら」
指先をほんの少し握っているだけなのに、自分からそうしたことが照れくさくて、大人になった分だけ恥ずかしくて、鼓動がどんどん早くなる。
尚史もやっぱり照れくさいのか、さっきから窓の外の景色ばかり見ている。
カップルの彼氏は彼女の肩を抱き、彼女は彼氏の肩にもたれ掛かるようにして、笑みを浮かべながら彼氏の顔を見上げている。
「あれもやってみる?」
「えっ」
尚史が私の肩に手を回して軽く抱き寄せた。
私の体は尚史の長い腕の中にすっぽりと収まり、背の高い尚史の胸に押し付けられた私の耳に、尚史の鼓動が伝わってくる。
「やっぱモモはちっちゃいなぁ」
そう言って尚史は抱き寄せている方の手で私の頭を撫でた。
誰、このイケメン……?
なんで当たり前みたいな顔をしてこんなことができるの?!
なんかこれ……ターゲットのカップルよりも密着していやしませんか……?
ってか……手を繋ぐよりもハイレベルなことをしているんじゃ……?
「モモ、顔上げられる?」
いやいやいや、無理無理無理、絶対無理!!
私、今絶対顔真っ赤だし、心臓めちゃくちゃバクバク言ってるし、ついでに脇汗も手汗もひどいし、こんな状態で尚史の顔なんかまともに見られないし!
身体中の血が頭に昇って、もう鼻血出そう……!
うつむいたままで思いきり大きく首を横に振ると、尚史は私からゆっくりと手を離した。
「大丈夫か?」
「……なんとか……」
私は気付いてしまった。
相手は幼馴染みの尚史だからと気を抜いていたけれど、じつはこの男、さりげなくイケメンキャラを発動させるスキルを持っているのでは?
それも本人は無自覚なのか突如イケメンが現れるわけで、キザなイケメンよりもずっとたちが悪い。
いつも通りのつもりで一緒にいたら、私は仲間のはずの尚史から大ダメージを食らってしまう。
私……今日は無事に生きて帰れるのかな……?
手すりを強く握りしめ、下を向いたままで乱れた呼吸を整えていると、尚史がためらいがちに私の頭をポンポンと優しく叩いた。
「あのさ……昨日も言ったけど、イヤならイヤってハッキリ言ってくれていいから。無理して我慢されると俺もつらい」
申し訳なさそうな尚史の声を聞いて胸が痛んだ。
尚史は私のためを思って協力してくれているのに、余計な気を遣わせてしまったことが心苦しい。
私は尚史に触られることを気持ち悪いとかイヤだとは思っていないし、ただいつもの尚史とのギャップに驚いてしまっただけだと思う。
尚史がどんなに協力してくれても、肝心の私が頑張らないとこの作戦の目的を果たすことはできないんだから、私自身がもっと慣れる努力をしなくちゃいけない。
私は光子おばあちゃんに花嫁姿を見せるために、1日も早く結婚するんだ。
そのためには男の人に急に触れられても、過剰に防衛したり攻撃したりしないようにならなくてはいけない。
自分にそういい聞かせ、なんとか心を落ち着かせて顔を上げると、尚史が心配そうな顔をしていた。
「ごめん、ちょっと無理させ過ぎた」
「尚史は悪くないよ。私こそごめんね、いきなりだったからビックリしただけで、ホントに大丈夫だから……その……」
私はおそるおそる手を伸ばし、尚史の指先をそっと握った。
尚史は驚いた顔をして私を見ている。
「できればまずは、手を繋ぐところからでお願いします……」
「……モモがそう言うなら」
指先をほんの少し握っているだけなのに、自分からそうしたことが照れくさくて、大人になった分だけ恥ずかしくて、鼓動がどんどん早くなる。
尚史もやっぱり照れくさいのか、さっきから窓の外の景色ばかり見ている。
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