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罪を悔やんで子を憎まず
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「それは紗耶香にしかわからないよ。壮介もショック受けてた」
『壮介さんは自業自得って気もするけどさ……浮気はしたけど、ホントは朱里の事、ちゃんと好きだったんだね』
「うーん……。なんか複雑」
壮介との結婚が破談になった今になって壮介の本音を知っても、何もかもが遅すぎる。
壮介にとっても、紗耶香と結婚して子供が生まれた今になって、その子が自分の子でないと知ってもどうにもならない。
順平を選んだ後で早苗さんが好きだと気付いてしまった事にしてもそうだと思う。
気付かなければ私は順平に対してこんな後ろめたい気持ちにもならなかったし、早苗さんを想って胸を痛める事もなかった。
本当にうまくいかない事ばかりだ。
「ねぇ志穂……。知らない方が幸せな事ってあるんだねぇ……」
『ん?そうかな。私は知りたいよ』
こういうところは志穂らしい。
志穂はなんでもハッキリ白黒つけなきゃ気が済まない性格なのだ。
私は不意に、順平が言っていた事を思い出した。
志穂にはまだ順平との事を話していない。
私一人でどんなに考えても答は出ないし、この際だから志穂に話を聞いてもらうことにした。
「志穂……。私ね、もうひとつ気になってる事があるんだけど……」
私は壮介との結婚が破談になってからの順平との経緯を志穂に話した。
そして、『順平とはただの遊びで、順平以外にも付き合っている人がたくさんいた』とか、『順平と付き合っている時には既に壮介と付き合っていて、将来を考えられない順平を捨てて壮介を選んだ』などと、ありもしない事を順平に言われたと言うと、志穂はまたうーんと唸った。
『それって……朱里と別れた後、順平くんは知りようがなくない?絶対誰かに吹き込まれてるよね?』
「やっぱり志穂もそう思う?そのせいで順平は私に仕返ししようと思ってたって」
『そんな子だったっけ?』
「ううん、私が知ってる順平はそんな事はなかったけど……今の順平、昔とは全然違うの。昔はもっと優しかった。すごく大事にしてくれたし、私がいやがるような事は絶対しなかったよ」
『なんでだろう……?人間って3年でそんなに変わるもんかな?』
何度か会って一緒に食事をしたことがあると言う程度しか順平を知らない志穂でも違和感を抱いたらしい。
やはり私の勘違いではなかったのだと確信する。
『朱里はそんな順平くんといて幸せ?朱里が好きだった頃の順平くんと全然違うんでしょ?』
「うん……。正直言って順平の事が全然わからないし、私がここにいる必要なんかあるのかなって思う。でも、一緒にいるって決めたし……」
『朱里の気持ちはわからなくもないけどさ……。よく考えた方がいいよ?この先長いんだし』
「うん……」
『壮介さんは自業自得って気もするけどさ……浮気はしたけど、ホントは朱里の事、ちゃんと好きだったんだね』
「うーん……。なんか複雑」
壮介との結婚が破談になった今になって壮介の本音を知っても、何もかもが遅すぎる。
壮介にとっても、紗耶香と結婚して子供が生まれた今になって、その子が自分の子でないと知ってもどうにもならない。
順平を選んだ後で早苗さんが好きだと気付いてしまった事にしてもそうだと思う。
気付かなければ私は順平に対してこんな後ろめたい気持ちにもならなかったし、早苗さんを想って胸を痛める事もなかった。
本当にうまくいかない事ばかりだ。
「ねぇ志穂……。知らない方が幸せな事ってあるんだねぇ……」
『ん?そうかな。私は知りたいよ』
こういうところは志穂らしい。
志穂はなんでもハッキリ白黒つけなきゃ気が済まない性格なのだ。
私は不意に、順平が言っていた事を思い出した。
志穂にはまだ順平との事を話していない。
私一人でどんなに考えても答は出ないし、この際だから志穂に話を聞いてもらうことにした。
「志穂……。私ね、もうひとつ気になってる事があるんだけど……」
私は壮介との結婚が破談になってからの順平との経緯を志穂に話した。
そして、『順平とはただの遊びで、順平以外にも付き合っている人がたくさんいた』とか、『順平と付き合っている時には既に壮介と付き合っていて、将来を考えられない順平を捨てて壮介を選んだ』などと、ありもしない事を順平に言われたと言うと、志穂はまたうーんと唸った。
『それって……朱里と別れた後、順平くんは知りようがなくない?絶対誰かに吹き込まれてるよね?』
「やっぱり志穂もそう思う?そのせいで順平は私に仕返ししようと思ってたって」
『そんな子だったっけ?』
「ううん、私が知ってる順平はそんな事はなかったけど……今の順平、昔とは全然違うの。昔はもっと優しかった。すごく大事にしてくれたし、私がいやがるような事は絶対しなかったよ」
『なんでだろう……?人間って3年でそんなに変わるもんかな?』
何度か会って一緒に食事をしたことがあると言う程度しか順平を知らない志穂でも違和感を抱いたらしい。
やはり私の勘違いではなかったのだと確信する。
『朱里はそんな順平くんといて幸せ?朱里が好きだった頃の順平くんと全然違うんでしょ?』
「うん……。正直言って順平の事が全然わからないし、私がここにいる必要なんかあるのかなって思う。でも、一緒にいるって決めたし……」
『朱里の気持ちはわからなくもないけどさ……。よく考えた方がいいよ?この先長いんだし』
「うん……」
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