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第六章 ジャマイカ編二
第一日目 停戦とリハーサル
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昨夜は各自部屋に戻って静かに過ごした。
今回の飛行機はキングストンへの直行便。約一時間半の飛行中、誰もが無口で、女性の間には嫌悪な空気が漂っていた。ページはずっと目を閉じていた。
二週間前と同じように、入管、通関を済ませ、私が先頭に全員一同で空港の出口を通った。
「おかえりなさーい」櫻が大きな声で出迎えてくれた。
「ページ、お久しぶり。元気だった?」抱きついてきた。ページはほっぺたに軽く櫻の唇を感じた。遼大も一緒だったが、またかよ、ややあきらめに似た態度を見せていた。
「どうして君たちがここにいるんだ?」
「ジャッキーが連れてきて来てくれたの」
「いや、つまり、どうしてジャマイカにいるんだ?」ページは別に怒っていなかった。むしろ喜んでいた。
「中田社長から、ビデオに出て欲しいって。一歩先にジャマイカに来てしまいました」
「みんな知ってたわけ?」
「あら、言ってなかったかしら」千代が惚けた。
「楽しくなりそうだな」彼らの出現で、昨夜からの湿った空気が少しさわやかさを取り戻せたようだった。ジャッキーとスキャンもいた。みんな漆黒のビキニ事件から会話がなかった嫌な状態からは脱出できた。その半面、沙良がおとなしくなっていた。
ジャッキーがバス乗り場まで誘導してくれた。運転手はもちろんブルだった。
「私が、ページの座る場所指定します。もてもてのページの隣はスキャンが座って。醜い取り合いは無しで、楽しく行きましょう」ジャッキーは昼夜休みなく電話をかけまくっていた。テレビ局、ラジオ局にも毎日のように顔を出している。
プロジェクトがスムーズに進行するに、彼女の爆発しそうなエネルギーが必要だった。段取りもうまくなっているのだろうと思った。
「隣いいかしら?」沙良がタヨに聞いてきた。
「空いてますよ、どうぞ」タヨはどう対応していいのか迷っている顔をしていた。
「沙良、今回は大事な仕事がたくさんある。あなたもキャリアに見合った仕事したいのでしょう?私はひとまず休戦協定にサインします。これから二週間、お互いページには手を出さない。よろしいかしら?」大人の対応を取った。
「私もその話に乗ります」沙良の方から握手を求めた。
「千代さん、ジャマイカっていいところね。昨日、ジャッキーとスキャンがかわるがわるKFCやら、怖い夜の街やら、連れまわしてくれた。ブルには本物の拳銃触らしてもらった。もちろん弾は抜いてね。護身用だって」
「櫻ちゃん、明日からはまじめな仕事ですよ。ちゃんとしていてね。遼大君は元気だった?」
「こいつに振り回されてばっかです」
「愛されてるのね」
「僕は彼女のこと愛してます」完全に櫻の支配下にあるな、と千代は思った。
隣同士みんな他愛のない話をしているうちに前回と同じホテルに着いた。チェックインは既にジャッキーが済ましていた。
「時間がないので、二十分後に集合。ライブのリハーサルを行います。お望みならサクラとリョウタもどうぞ」
「ジャッキー、私はスタイリストのサラだけど、一緒に行っていい」
「歓迎します。また別の美女がページの前に現れたわけね」
キングストンで最高のリハーサルスタジオ。バンドメンバーは既に、今回の三曲は完全に演奏できるまでになっていた。どうやって探してきたのか、若いメンバーばかりで勢いがあった。
テレビ出演がメインとなる今回のプロモ活動には、さすがに、スライをはじめレコーディングを行ったメンバーは参加しなかった。ドラム、ベース、ギター、キーボード二人、バックグラウンドヴォーカル女性三人、サックス一人の構成。
今のところ、テレビ出演四回、うち二回はインタビューもあって二曲ライブ。残り二回はライブのみで三曲。全くの新人にこれだけのブッキングは期待していなかったが、音源、写真、これは日本で撮ったアーティストフォト、ノベリティーグッズ、そして何よりもジャッキーの精力的なプッシュでこの出演枠が取れたようだ。
さすがにラジオ局までは手が届かなかったので、ミドルマンに発注、中間マージンとして30%取られたそうだ。領収書がでないプロモーション活動であったが、ジャッキーは私がオファーした限度額全額を投じていた。
「リハーサル始めます。ページ、タヨ、準備は?」
「いつでも。曲順はもらったリスト通りで。レッツゴー」
ドラムのカウントから始まり、一気に三曲演奏し終わった。
「僕とタヨは今のままで全く問題はない。念のためもう一度いいかな?」
「ページとタヨ、っていったかな?君たちはワンダフルだ。納得できるまで何度でも演奏するよ。言ってくれ」ドラムのテリーがメンバーを代表して答えた。
みんなが納得できたところで、リハーサルが終わり、一行はホテルに戻って来た。バンドメンバーも少し遅れて合流した。歓迎会の始まりだった。
「明日は、予定通り午前二時にモンテゴベイに向けて出発です。今日は早めに切り上げてください」一行は、ビデオクルー三人、照明三人、写真家のリチャード、彼の助手と一緒に、大型バスで移動する。ジャッキーが食事を摂りながら確認作業を進めていた。
今回の飛行機はキングストンへの直行便。約一時間半の飛行中、誰もが無口で、女性の間には嫌悪な空気が漂っていた。ページはずっと目を閉じていた。
二週間前と同じように、入管、通関を済ませ、私が先頭に全員一同で空港の出口を通った。
「おかえりなさーい」櫻が大きな声で出迎えてくれた。
「ページ、お久しぶり。元気だった?」抱きついてきた。ページはほっぺたに軽く櫻の唇を感じた。遼大も一緒だったが、またかよ、ややあきらめに似た態度を見せていた。
「どうして君たちがここにいるんだ?」
「ジャッキーが連れてきて来てくれたの」
「いや、つまり、どうしてジャマイカにいるんだ?」ページは別に怒っていなかった。むしろ喜んでいた。
「中田社長から、ビデオに出て欲しいって。一歩先にジャマイカに来てしまいました」
「みんな知ってたわけ?」
「あら、言ってなかったかしら」千代が惚けた。
「楽しくなりそうだな」彼らの出現で、昨夜からの湿った空気が少しさわやかさを取り戻せたようだった。ジャッキーとスキャンもいた。みんな漆黒のビキニ事件から会話がなかった嫌な状態からは脱出できた。その半面、沙良がおとなしくなっていた。
ジャッキーがバス乗り場まで誘導してくれた。運転手はもちろんブルだった。
「私が、ページの座る場所指定します。もてもてのページの隣はスキャンが座って。醜い取り合いは無しで、楽しく行きましょう」ジャッキーは昼夜休みなく電話をかけまくっていた。テレビ局、ラジオ局にも毎日のように顔を出している。
プロジェクトがスムーズに進行するに、彼女の爆発しそうなエネルギーが必要だった。段取りもうまくなっているのだろうと思った。
「隣いいかしら?」沙良がタヨに聞いてきた。
「空いてますよ、どうぞ」タヨはどう対応していいのか迷っている顔をしていた。
「沙良、今回は大事な仕事がたくさんある。あなたもキャリアに見合った仕事したいのでしょう?私はひとまず休戦協定にサインします。これから二週間、お互いページには手を出さない。よろしいかしら?」大人の対応を取った。
「私もその話に乗ります」沙良の方から握手を求めた。
「千代さん、ジャマイカっていいところね。昨日、ジャッキーとスキャンがかわるがわるKFCやら、怖い夜の街やら、連れまわしてくれた。ブルには本物の拳銃触らしてもらった。もちろん弾は抜いてね。護身用だって」
「櫻ちゃん、明日からはまじめな仕事ですよ。ちゃんとしていてね。遼大君は元気だった?」
「こいつに振り回されてばっかです」
「愛されてるのね」
「僕は彼女のこと愛してます」完全に櫻の支配下にあるな、と千代は思った。
隣同士みんな他愛のない話をしているうちに前回と同じホテルに着いた。チェックインは既にジャッキーが済ましていた。
「時間がないので、二十分後に集合。ライブのリハーサルを行います。お望みならサクラとリョウタもどうぞ」
「ジャッキー、私はスタイリストのサラだけど、一緒に行っていい」
「歓迎します。また別の美女がページの前に現れたわけね」
キングストンで最高のリハーサルスタジオ。バンドメンバーは既に、今回の三曲は完全に演奏できるまでになっていた。どうやって探してきたのか、若いメンバーばかりで勢いがあった。
テレビ出演がメインとなる今回のプロモ活動には、さすがに、スライをはじめレコーディングを行ったメンバーは参加しなかった。ドラム、ベース、ギター、キーボード二人、バックグラウンドヴォーカル女性三人、サックス一人の構成。
今のところ、テレビ出演四回、うち二回はインタビューもあって二曲ライブ。残り二回はライブのみで三曲。全くの新人にこれだけのブッキングは期待していなかったが、音源、写真、これは日本で撮ったアーティストフォト、ノベリティーグッズ、そして何よりもジャッキーの精力的なプッシュでこの出演枠が取れたようだ。
さすがにラジオ局までは手が届かなかったので、ミドルマンに発注、中間マージンとして30%取られたそうだ。領収書がでないプロモーション活動であったが、ジャッキーは私がオファーした限度額全額を投じていた。
「リハーサル始めます。ページ、タヨ、準備は?」
「いつでも。曲順はもらったリスト通りで。レッツゴー」
ドラムのカウントから始まり、一気に三曲演奏し終わった。
「僕とタヨは今のままで全く問題はない。念のためもう一度いいかな?」
「ページとタヨ、っていったかな?君たちはワンダフルだ。納得できるまで何度でも演奏するよ。言ってくれ」ドラムのテリーがメンバーを代表して答えた。
みんなが納得できたところで、リハーサルが終わり、一行はホテルに戻って来た。バンドメンバーも少し遅れて合流した。歓迎会の始まりだった。
「明日は、予定通り午前二時にモンテゴベイに向けて出発です。今日は早めに切り上げてください」一行は、ビデオクルー三人、照明三人、写真家のリチャード、彼の助手と一緒に、大型バスで移動する。ジャッキーが食事を摂りながら確認作業を進めていた。
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