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第五章 マイアミ編
第一日目 大トロと漆黒のビキニ
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マイアミビーチを眼下に望むホテル。全員同じフロアーに広めのシングル部屋、当然のようにシービューだ。この辺は千代に任せておいたので間違いはなかった。
チェックイン三十分後全員がロビーに集まった。私は沙良さんにロビー・シェイクスピアの性格を伝えておいた。
沙良さんが私からの情報を基にして決めたコーデに身を包んだタヨ、千代、もちろん沙良さんも含めてだが、そこにいた者たちの目が彼女らに集まった。マイアミでも多くの映画が撮影される。
国籍までは判断できないだろうが、東洋からきた女優の一団だと思われているようだった。中田社宝と将生さんはしきりとスマホで写真を撮っていた。私は外で予約しておいたマイクロバスが到着するのを確認した。スタジオはホテルから五分とかからない距離にあった。少し早いが、出発する事にした。
スタジオはビーチ沿って建っている商業ビルの二十三階にあった。ミキシングボードについてみると、正面の壁は大きな窓が大半を占め、ビーチと大西洋を見渡せる素晴らしい眺めに設計されていた。広さは十分にあった。ハウスエンジニアに説明を受けている見覚えのある人物がいた。
「タヨ、久しぶり。と言ってもまだ二週間位だね。こちらのお美しい二人の淑女はどなたがたかな?」
「ローリー、僕達には挨拶なしかい」ページの言葉に場が和んだ。
「いやいや、ページ、カズ、元気かい。あまりに美しい女性の方々に目が行って」
「こちらはチヨ、タヨの妹。こちらがスタイリストのサラ。これから最後まで同行する。それと、こちらがプレジデントナカタ、ミュージッククリエイターのマサキ」私がみんなを紹介した。
「よろしくね、ローリー」千代が代表して挨拶した。
「カズ、今日仕事になるか?ロビーは絶対メロメロになる」
「大丈夫だ。最初にキャッシュを渡す。それとここはアメリカだ、セクハラに気を付けてくれ」
「わかった。仕事に集中するとしよう。ロビーとは久しぶりの仕事だ」
小太りの男がスタジオに入って来た。布製のベースケースを肩にかけたロビー・シェイクスピアの登場であった。笑顔はなく、威圧感だけが重い。
「カズ、ローリー」簡単な呼びかけだけで、椅子に座りベースを取り出しチューナーにシールドをつなげた。
「準備は、ローリー?プレイ」ロビーはアンプも、シュミレイタ―も通さずベースをミキシングボードに直結。準備は早い。ジャマイカで作ったトラックに合わせ、口の中で「ブ、ブブブ、ブ、ブブブ」とベースラインをイメージしていた。
「レコードだ」複雑ではないがキャチーなラインが聴こえてきた。スライのキックドラムに合わせて隙間を上手に使ったラインだ。口の中の「ブ、ブブブ」がベースとシンクロしてきた。
「次のトラック、ローリー」ローリーは今ロビーが弾いたばかりのトラックをミュートして新しいまっさらなトラックをアサインした。ロビーが別のラインを弾きだした。一定したベースラインの繰り返しが、妙に心地よかった。実際その場にいた誰もが小さく体をゆすっていた。
ロビーもダンスホールの曲では、自分のベースラインはそんなに主張しない。むしろスライのドラムを邪魔しないような演奏が多い。
「カズ、ローリー、終わった。好きな方をミックスで使え」私を誘って一階上にあるベランダに出た。先ず一服。
「ベースライン良かったか?」レコーディングの後、いつも聞いてくる。
「ああ、いつものとおり抜群だ」カバンから三千ドル渡した。
「この後、ページとタヨのヴォイスを頼むな。二人とも歌は本当にうまいけどレコーディングの経験はないに等しい。ワールドレベルまで引き上げてくれ」
「任せておけ」私たちは、ページとタヨの待っているスタジオに戻った。ここで、正式にみんなをロビーに紹介した。
「女の子たち三人のルックスはみんなワールドクラスだな。タヨ、コーラスから始めよう。ブースに入ってくれ」ローリーが手際よく、ベースのレコーディング用のラフミックスから、ヴォーカルのレコーディングに用に切り変えた。
「ローリー、キックを下げてくれ。ベースはそのくらいで大丈夫だ。ピアノはバングだけで他はミュート。ギターもミュート。ハーモニィーも少し下げて。タヨ、これで歌えるかい?」
「大丈夫よ。ロビー、やってみる。お手柔らかに」タヨには、厳しいセッションになるかもしれないと伝えておいた。ページの横には沙良が座っていた。千代は興味ありげに、ロビーのそばで成り行きを見守っていた。
「ローリー、頭から。レコーディングだ。タヨ、歌ってくれ」ロビーは、まだタヨの生声を直接マイク通しには聴いたことが無かった。タヨは最初のコーラス八小節を歌った。誰の耳にも完全な素晴らしい歌声だった。
「タヨ、衝撃的だよ。美しいし、声がすばらしいし、君は歌える。お尻が少々物足りないがね。もっと先を見ているんだろう?」
「メインストリーム。君には狙う価値があると思う。いや狙うべきだけど、今の歌じゃだめだ。先ず、少しシャウトしすぎる。多分ホットなところがある。もう少しリズムを意識てくれ。もう一度」こういう時のロビーは全く今のタヨのパフォーマンスを気に入っていないとわかった。今歌ったばかりのトラックは消去した。
「よくなった。でもまだ、フローが完全にポップスになっている。少し各小節の頭に分かるか分からない位のスペースを意識して、もう一度頭から」
「だめだ。まだ、叫び過ぎている。戦わないでいい。喉をリラックスしてくれ。喉を潤して。タヨ、休憩を入れるか?」
「何言ってるのロビー。このまま続けるわ。自分でもよくなってきたと分かる」
「よし、続けよう。もうそこまで来ている」「カズ、この子根性あるな。気にいった」
「少しだけ感情をこめてくれ。ほんの少しだけだ」この後も2時間くらい第一コーラスのレコーディングが続いた。タヨは一度もブレイクを取ることなく、ロビーのダイレクションについてきた。久しぶりにロビーの真剣な仕事を見れた。
「このコーラスは終了だ。パーフェクト。全部のコーラスを歌った後、通しでダブルを歌おう。
ちょっとブレイクだ「カズ、外で一服。タヨもついて来い」
この調子でいくと、まだまだタヨにかかりっきりになる。女好きなロビーってのもわかるけど、僕もちゃんとやってくれるかなと、ページには不安な様子が感じ取れた。何故か、沙良がページの隣に居続けた。
「タヨ、どうだった、俺のダイレクション?」
「途中悔しくて涙がでました」
「いいものが出来たよ、グラミーは間違いなしだ。ページは一、二回のテイクで済む。そんな気がする。ジャマイカ人の血が入っているんだろう?」
「はい、だからロビーの言った頭の隙間、まったく問題ないと思うわ」
ロビーの一服も済んだし「じゃあ、下へいこうか」二人を促した。
「先にページだ、君には後でちゃんとやるとし、ラフでいいからパートを全部歌ってくれ、間違えても止めないで最後まで歌ってくれ。タヨのタイミングにあわせたい」
「了解です、ロビー。ローリー準備は出来ている、回してくれ」ローリーとはジャマイカで一度一緒にレコーディングしたのでやり方は分かっていた。
「何か所か間違いましたが、これでいいですか、ロビー?」コントロールルームに戻って来ると、また沙良の横に腰をおろした。今度はタヨも千代も二人を睨んでいる。
「ああ、大丈夫だ。タヨ、ブースに戻ってくれ。残りのコーラスを始める。
「気分は?準備来ているかい?」
「気分は、そうね、歌うことに関してはいつでも大丈夫です。ただそこのいる浮気性の男にレコーディングに集中しろ、言ってやってください」
「タヨ、気にするな、なんなら俺がいるから。さあ始めるぞ、ローリー、頭から。タヨ、フローはそれぞれ変えてもいいが、他は第一コーラスの感覚を思い出してくれ」
タヨはレコーディングに集中した。先ほどダイレクションしてもらって歌った感覚はしっかり覚えていた。二回取り直したが、順調にタヨのヴォーカルレコーディングは終了した。
ロビーのダイレクションで圧倒的なパフォーマンスを録音できた。みんなスイートスポット寄りに集まって、改めて最初から聞いてみた。圧巻だった。私と、タヨはまたベランダに付き合わされた。
「どうだったカズ、タヨ?いいものが出来そうだな」
「ありがとうロビー。私が歌う時は、いつもあなたにそばにいて欲しいわ」
「うれしい事を言うな。時間が許す限り、喜んでいる。連絡くれ」
「次はページだが、彼はジャマイカ人とのクオーターだ。一応情報まで」
「先ほどのラフヴォイスでそう感じていた。タイミングの取り方が僕たちのレゲエに近い。歌うまいし、大丈夫だ。ところでだが、タヨ、ページのこと好きなのか?何か入り乱れてそうだが」
「あのバカ、って感じです。今晩じっくりと話してみます。今からやるヴォイシングではしっかりいじめてやって下さい」
「女性関係に関しちゃ俺は何も言えない。タヨみたいに美しいのが他に二人もいるんだ。そりゃドロドロだ」ロビーは今日とても気分よさそうだ。スタジオに戻った。
「ページ、ブースに入ってくれ。さっきのラフを聞いて、僕の手はあまり必要ないと思った。でも、タヨからきつくやってくれと頼まれているので、少々いじめなければならない。君がうらやましいよ」
「レコーディングに集中します。宜しくご指導ください」ページも真剣だ。
「わかった。ローリー、回してくれ。ページ、最初は君のフローのままで歌ってくれ。デヴィンのダブルには合わせてくれ。今回は途中で止めてもいい」
ページは三つのヴァースを間違いなく歌い終えた。
「タヨ、ごめん。あまりいじめるところが無い。ページは歌もうまいし、タイミングの取り方もいいし、インターナショナルな発音だ。ジャマイカでも受け入れられるだろう。ルックスもいいし、もてるわな。タヨ、がんばれ。僕は君の味方だ」
「ロビー、三か所ホットな箇所がある。パンチでいいか?」ローリーもまじめに仕事をしている。
「ページ、何か所かレベルがホットなところを修正する。少し前から歌ってくれ、ローリーが勝手にパンチで修正する」
「タヨ、次は君がページのヴァースにアドリブを入れる。その後ディーンが作ったソロの隙間をページと二人でうめる」
「半歩マイクから離れて優しく、自然に出てくるようなソウルフルな声を聞かせてくれ。ローリー、レコードだ」
少し嫉妬の混じったタヨの声が、、妙にページのヴァースの隙間を埋めていた。
「いいぞタヨ、味があっていい。念のためもう一度」
「ページもブースに入ってくれ。ソロの隙間を埋める。歌詞は決まったか?準備できれば直ぐにスタートしたい」ロビーはタヨの今の感情を残したままレコーディングしたかった。
「カズ、タヨ、ベランダに行こう」
「今日は実にいいセッションだった。素晴らしいものが出来上がると思う。素材が良ければミックスもいいものができやすい。明日がまた楽しみだよ。カズ、凄い人材を見つけたな。今までの中で最高だ。タヨ、十分気を付けて彼から離れないようにするんだ。ページは魔王だ」
「わかっているつもりなんだけど。妹まで、私の前で堂々と口説いたりするから。で、今日はサラの横で、もじもじしていた。彼女スタイリストです。今回の旅で最後まで一緒にいるから、やーねです」
「タヨ、私は何も聞いてないぞ。それに中田社長も怒り出すぞ。みんなおとなしくしておいてくれよ。取りあえずファーストシングルのリリースまでは」私は人間関係のもつれを恐れていた。
「女同士でもよーく話し合ってみます」
「ロビー、明日は正午からミックスを始める。例のデフジャムのエンジニアは今日マイアミに着くことになっている。基本は彼とローリーに任せて、後からロビーが手を入れる。いつものやり方でいいな?」
「じゃあ、四時にはここに来る。八時には終わるな」ロビーはタヨにハグをし、下に行ってベースを肩にかけ」
「さっさと帰っていった。みんなさすがに疲れていた。今日はホテルで食べようとタヨの仕切りでステーキハウスがセッティングされていた。ここでも偶然かページと沙良が隣り合わせに席を取っていた。険しいムードの中で静かなディナーだった。
「ページ、ちょっと入っていい?」ドアの向こうから聞こえて来たのはタヨの声だった。
「お疲れさん、タヨ。どうした?」普段と変わりない、優しいページの声だった。
「どういう事?沙良のことよ。わかってるわよね?」
「まあ、中に入って。沙良とはジャマイカでのビデオ撮影やその他諸々、衣装の相談してた」
「レコーディングは真面目にやってたのは認めるけど。ややこしくしないでいただけます」
「タヨ、忘れないでくれ。まだ、千代とジャッキーもいる。魅力いっぱいの美女だらけだよ。あ、美雪さんもいたな」ページは一人大声で笑った。
「ページ、何か性格変わった?女とプロジェクトどちらが大切なの?」
「たった3日間だったけど、ジャマイカでのレコーディング、みんなまじめに取り組んでくれた。そして女が多すぎる。ジャマイカ人の血が、DNAが目を覚ましたのかな」悪びれることなく、謎ときの探偵が考えるときのように顎に指をあてた。
「あなた少なくとも、医者になろうとしているんじゃないの?馬鹿な事言わないで」
「心配するな。俺はタヨ一人だけだよ」
「いいわ、一応信用してみる。まだ誰ともホテルの部屋で過ごしている様子はないし。今日は部屋に帰る。ページの顔見ているとバッドワードばかりが出てきそう。私らしくない。さよなら。あしたね」
ドアの外で壁に寄りかかっている千代がいた。
「随分大きな声で楽しそうなお話でしたね、お姉さま。全部聞こえてましたよ」
「そう、それで何の用、私、ページ?」
「ページに会いに来たに決まってるじゃない。彼の部屋の前にいるんだもん。でも気が変わった。ちょっとお話ししない?」二人はやや気まずそうに無言で、プールサイドのバーで向かい合って座った。二人とも、甘ったらしいピナコラーダを注文した。
「私、まだ男性とお付き合いしたことがないの。高校時代は経済的な部分は全部お姉ちゃんが面倒見てくれた。大学中退したのは申し訳ないと思っているけど、時代だからって許してくれたことは、とても感謝している」
「その後だらだら生きて来た時も、何も言わず自由にさせてくれた。美貌はお姉ちゃんと同じか、ま、私の方が少し上かな。これまでよくもてた」
「でも相手を傷つけることなく、自分も傷つくことなく、適当にスルーしてきた。お姉ちゃん、ページとまだ寝てないでしょう。わかる。今まで、私だけのために生きてきてくれたんだもん。そう簡単に男になびかないと思う」
「キスはしたわ。何度かね。あなたの言う通り、まだ寝てないわ。ベッドで朝まで一緒にいたことはあるけど」
「拒んだの?え、ページはED?」
「違うのよ。二人とも、プロジェクトに一所懸命なの。セックスして気分すっきりもありかと思うけど、まだかな、今はって感じ。ページに怒るし、妬くこともある」
「だって、あんたもだけど、みんな周りは美女だらけ。まだ直接ジャッキーに会ったことなかったよね。圧倒されるわよ」
「話をまとめるとですよ、お姉ちゃんも私と一緒でまだバージン?」
「そうよ」二人で、白々しく笑った。
「決めた。私はお姉ちゃんを守る。他の女たちから。そのためにページと仲良くする。ディール?」
「軽いボディータッチは許す。でもそれ以上はダメ。それでディール」今度は二人、割り切ったように笑った。
「ジャッキーは基本ジャマイカだけだから、その期間だけは、なんとしてでも私が死守する。問題は美雪さんね。政略結婚されそうなんだよね?」
「その可能性は無きにしもあらず。ページに紹介されて、何度か一緒に食事した。近い年齢し、お友達になったかな。直接聞いたけど随分遊んでいるそうよ。私たちに引けを取らない美貌の持ち主だし。ページはないと言ってるけど、一応は要注意かな」
「沙良はどう?今日たくさんページのそばにいたけど」
「彼女は分からない。セーフなのか、悪魔なのか。観察は続けるわね」
「じゃあ、今からページの部屋へ行ってくる」
「頼んだよ、千代」一抹の不安が残らないでもなかった。
「今度はだれかな?」沙良かなとの予感があった。確認もせずドアを開けた。
「なんだ、千代か。どうした?」
「沙良だと思った?残念ね。じっくりお話させて、ページ」
いきなり、壁に押し付け少しだけディープなキスをした。千代の方からだった。
「私も堂々と立候補していたわよね、あんたに。覚えている?」
「ああ、もちろんだ。君みたいな美の象徴から言い寄られて、ノーと言える男がいたら、そいつはバカだ」二人のセリフも動作もハリウッド級だ。
「今、お姉ちゃんと連立内閣を組んできた。で、私は立候補を取りやめる。だから今のキスは内緒ね。他の女たちからページを引き離す。これから、いつまでかな、出来るとこまで、お姉ちゃんの味方をするつもり。おわかり?」
「いばらの道だな、これは。だけど君は僕を誤解しているようだ。僕は医学生で、今は医学の道を中断して、レゲエに一年間だけ取り組んでいる。女性たちには、今これと言って興味はない」
「あら、ゲイにでもなったの。それもいいかもね。でもあなたの周りにはる釣り合いのいい子はいないわね。あ、山田君でどう?彼とならビルボードの表紙を飾れるわよ」
「ゲイを拒絶もしないし、否定もしない。レゲエは忌み嫌っているけれど、実はジャマイカにはゲイが多い。でも、僕は大の女好きだ」
「そう、じゃあ今から私と寝れる?お姉ちゃんと同じでバージンよ」
「いや、やめとこう。まだこれから先グラミーまでは長い道のりだ。ややこしい問題は避けて通りたい。今は、タヨとのコンビネーションがうまく行くようにしたい。それと他にも探さないといけない他大切な女性がいるんだ」
「誰のことを言ってるの?」
「それはいずれ分かる」
「あー、お姉ちゃん、これから苦しむのかな。まあ、それも人生、いいか。私部屋に戻る。おやすみ」二人はもう一度キスをした。長めのキスだった。
「もしもし沙良、今日は疲れた。もう寝る。また明日な」
「今から行こうとしてたのに。そう、じゃあまた明日」
チェックイン三十分後全員がロビーに集まった。私は沙良さんにロビー・シェイクスピアの性格を伝えておいた。
沙良さんが私からの情報を基にして決めたコーデに身を包んだタヨ、千代、もちろん沙良さんも含めてだが、そこにいた者たちの目が彼女らに集まった。マイアミでも多くの映画が撮影される。
国籍までは判断できないだろうが、東洋からきた女優の一団だと思われているようだった。中田社宝と将生さんはしきりとスマホで写真を撮っていた。私は外で予約しておいたマイクロバスが到着するのを確認した。スタジオはホテルから五分とかからない距離にあった。少し早いが、出発する事にした。
スタジオはビーチ沿って建っている商業ビルの二十三階にあった。ミキシングボードについてみると、正面の壁は大きな窓が大半を占め、ビーチと大西洋を見渡せる素晴らしい眺めに設計されていた。広さは十分にあった。ハウスエンジニアに説明を受けている見覚えのある人物がいた。
「タヨ、久しぶり。と言ってもまだ二週間位だね。こちらのお美しい二人の淑女はどなたがたかな?」
「ローリー、僕達には挨拶なしかい」ページの言葉に場が和んだ。
「いやいや、ページ、カズ、元気かい。あまりに美しい女性の方々に目が行って」
「こちらはチヨ、タヨの妹。こちらがスタイリストのサラ。これから最後まで同行する。それと、こちらがプレジデントナカタ、ミュージッククリエイターのマサキ」私がみんなを紹介した。
「よろしくね、ローリー」千代が代表して挨拶した。
「カズ、今日仕事になるか?ロビーは絶対メロメロになる」
「大丈夫だ。最初にキャッシュを渡す。それとここはアメリカだ、セクハラに気を付けてくれ」
「わかった。仕事に集中するとしよう。ロビーとは久しぶりの仕事だ」
小太りの男がスタジオに入って来た。布製のベースケースを肩にかけたロビー・シェイクスピアの登場であった。笑顔はなく、威圧感だけが重い。
「カズ、ローリー」簡単な呼びかけだけで、椅子に座りベースを取り出しチューナーにシールドをつなげた。
「準備は、ローリー?プレイ」ロビーはアンプも、シュミレイタ―も通さずベースをミキシングボードに直結。準備は早い。ジャマイカで作ったトラックに合わせ、口の中で「ブ、ブブブ、ブ、ブブブ」とベースラインをイメージしていた。
「レコードだ」複雑ではないがキャチーなラインが聴こえてきた。スライのキックドラムに合わせて隙間を上手に使ったラインだ。口の中の「ブ、ブブブ」がベースとシンクロしてきた。
「次のトラック、ローリー」ローリーは今ロビーが弾いたばかりのトラックをミュートして新しいまっさらなトラックをアサインした。ロビーが別のラインを弾きだした。一定したベースラインの繰り返しが、妙に心地よかった。実際その場にいた誰もが小さく体をゆすっていた。
ロビーもダンスホールの曲では、自分のベースラインはそんなに主張しない。むしろスライのドラムを邪魔しないような演奏が多い。
「カズ、ローリー、終わった。好きな方をミックスで使え」私を誘って一階上にあるベランダに出た。先ず一服。
「ベースライン良かったか?」レコーディングの後、いつも聞いてくる。
「ああ、いつものとおり抜群だ」カバンから三千ドル渡した。
「この後、ページとタヨのヴォイスを頼むな。二人とも歌は本当にうまいけどレコーディングの経験はないに等しい。ワールドレベルまで引き上げてくれ」
「任せておけ」私たちは、ページとタヨの待っているスタジオに戻った。ここで、正式にみんなをロビーに紹介した。
「女の子たち三人のルックスはみんなワールドクラスだな。タヨ、コーラスから始めよう。ブースに入ってくれ」ローリーが手際よく、ベースのレコーディング用のラフミックスから、ヴォーカルのレコーディングに用に切り変えた。
「ローリー、キックを下げてくれ。ベースはそのくらいで大丈夫だ。ピアノはバングだけで他はミュート。ギターもミュート。ハーモニィーも少し下げて。タヨ、これで歌えるかい?」
「大丈夫よ。ロビー、やってみる。お手柔らかに」タヨには、厳しいセッションになるかもしれないと伝えておいた。ページの横には沙良が座っていた。千代は興味ありげに、ロビーのそばで成り行きを見守っていた。
「ローリー、頭から。レコーディングだ。タヨ、歌ってくれ」ロビーは、まだタヨの生声を直接マイク通しには聴いたことが無かった。タヨは最初のコーラス八小節を歌った。誰の耳にも完全な素晴らしい歌声だった。
「タヨ、衝撃的だよ。美しいし、声がすばらしいし、君は歌える。お尻が少々物足りないがね。もっと先を見ているんだろう?」
「メインストリーム。君には狙う価値があると思う。いや狙うべきだけど、今の歌じゃだめだ。先ず、少しシャウトしすぎる。多分ホットなところがある。もう少しリズムを意識てくれ。もう一度」こういう時のロビーは全く今のタヨのパフォーマンスを気に入っていないとわかった。今歌ったばかりのトラックは消去した。
「よくなった。でもまだ、フローが完全にポップスになっている。少し各小節の頭に分かるか分からない位のスペースを意識して、もう一度頭から」
「だめだ。まだ、叫び過ぎている。戦わないでいい。喉をリラックスしてくれ。喉を潤して。タヨ、休憩を入れるか?」
「何言ってるのロビー。このまま続けるわ。自分でもよくなってきたと分かる」
「よし、続けよう。もうそこまで来ている」「カズ、この子根性あるな。気にいった」
「少しだけ感情をこめてくれ。ほんの少しだけだ」この後も2時間くらい第一コーラスのレコーディングが続いた。タヨは一度もブレイクを取ることなく、ロビーのダイレクションについてきた。久しぶりにロビーの真剣な仕事を見れた。
「このコーラスは終了だ。パーフェクト。全部のコーラスを歌った後、通しでダブルを歌おう。
ちょっとブレイクだ「カズ、外で一服。タヨもついて来い」
この調子でいくと、まだまだタヨにかかりっきりになる。女好きなロビーってのもわかるけど、僕もちゃんとやってくれるかなと、ページには不安な様子が感じ取れた。何故か、沙良がページの隣に居続けた。
「タヨ、どうだった、俺のダイレクション?」
「途中悔しくて涙がでました」
「いいものが出来たよ、グラミーは間違いなしだ。ページは一、二回のテイクで済む。そんな気がする。ジャマイカ人の血が入っているんだろう?」
「はい、だからロビーの言った頭の隙間、まったく問題ないと思うわ」
ロビーの一服も済んだし「じゃあ、下へいこうか」二人を促した。
「先にページだ、君には後でちゃんとやるとし、ラフでいいからパートを全部歌ってくれ、間違えても止めないで最後まで歌ってくれ。タヨのタイミングにあわせたい」
「了解です、ロビー。ローリー準備は出来ている、回してくれ」ローリーとはジャマイカで一度一緒にレコーディングしたのでやり方は分かっていた。
「何か所か間違いましたが、これでいいですか、ロビー?」コントロールルームに戻って来ると、また沙良の横に腰をおろした。今度はタヨも千代も二人を睨んでいる。
「ああ、大丈夫だ。タヨ、ブースに戻ってくれ。残りのコーラスを始める。
「気分は?準備来ているかい?」
「気分は、そうね、歌うことに関してはいつでも大丈夫です。ただそこのいる浮気性の男にレコーディングに集中しろ、言ってやってください」
「タヨ、気にするな、なんなら俺がいるから。さあ始めるぞ、ローリー、頭から。タヨ、フローはそれぞれ変えてもいいが、他は第一コーラスの感覚を思い出してくれ」
タヨはレコーディングに集中した。先ほどダイレクションしてもらって歌った感覚はしっかり覚えていた。二回取り直したが、順調にタヨのヴォーカルレコーディングは終了した。
ロビーのダイレクションで圧倒的なパフォーマンスを録音できた。みんなスイートスポット寄りに集まって、改めて最初から聞いてみた。圧巻だった。私と、タヨはまたベランダに付き合わされた。
「どうだったカズ、タヨ?いいものが出来そうだな」
「ありがとうロビー。私が歌う時は、いつもあなたにそばにいて欲しいわ」
「うれしい事を言うな。時間が許す限り、喜んでいる。連絡くれ」
「次はページだが、彼はジャマイカ人とのクオーターだ。一応情報まで」
「先ほどのラフヴォイスでそう感じていた。タイミングの取り方が僕たちのレゲエに近い。歌うまいし、大丈夫だ。ところでだが、タヨ、ページのこと好きなのか?何か入り乱れてそうだが」
「あのバカ、って感じです。今晩じっくりと話してみます。今からやるヴォイシングではしっかりいじめてやって下さい」
「女性関係に関しちゃ俺は何も言えない。タヨみたいに美しいのが他に二人もいるんだ。そりゃドロドロだ」ロビーは今日とても気分よさそうだ。スタジオに戻った。
「ページ、ブースに入ってくれ。さっきのラフを聞いて、僕の手はあまり必要ないと思った。でも、タヨからきつくやってくれと頼まれているので、少々いじめなければならない。君がうらやましいよ」
「レコーディングに集中します。宜しくご指導ください」ページも真剣だ。
「わかった。ローリー、回してくれ。ページ、最初は君のフローのままで歌ってくれ。デヴィンのダブルには合わせてくれ。今回は途中で止めてもいい」
ページは三つのヴァースを間違いなく歌い終えた。
「タヨ、ごめん。あまりいじめるところが無い。ページは歌もうまいし、タイミングの取り方もいいし、インターナショナルな発音だ。ジャマイカでも受け入れられるだろう。ルックスもいいし、もてるわな。タヨ、がんばれ。僕は君の味方だ」
「ロビー、三か所ホットな箇所がある。パンチでいいか?」ローリーもまじめに仕事をしている。
「ページ、何か所かレベルがホットなところを修正する。少し前から歌ってくれ、ローリーが勝手にパンチで修正する」
「タヨ、次は君がページのヴァースにアドリブを入れる。その後ディーンが作ったソロの隙間をページと二人でうめる」
「半歩マイクから離れて優しく、自然に出てくるようなソウルフルな声を聞かせてくれ。ローリー、レコードだ」
少し嫉妬の混じったタヨの声が、、妙にページのヴァースの隙間を埋めていた。
「いいぞタヨ、味があっていい。念のためもう一度」
「ページもブースに入ってくれ。ソロの隙間を埋める。歌詞は決まったか?準備できれば直ぐにスタートしたい」ロビーはタヨの今の感情を残したままレコーディングしたかった。
「カズ、タヨ、ベランダに行こう」
「今日は実にいいセッションだった。素晴らしいものが出来上がると思う。素材が良ければミックスもいいものができやすい。明日がまた楽しみだよ。カズ、凄い人材を見つけたな。今までの中で最高だ。タヨ、十分気を付けて彼から離れないようにするんだ。ページは魔王だ」
「わかっているつもりなんだけど。妹まで、私の前で堂々と口説いたりするから。で、今日はサラの横で、もじもじしていた。彼女スタイリストです。今回の旅で最後まで一緒にいるから、やーねです」
「タヨ、私は何も聞いてないぞ。それに中田社長も怒り出すぞ。みんなおとなしくしておいてくれよ。取りあえずファーストシングルのリリースまでは」私は人間関係のもつれを恐れていた。
「女同士でもよーく話し合ってみます」
「ロビー、明日は正午からミックスを始める。例のデフジャムのエンジニアは今日マイアミに着くことになっている。基本は彼とローリーに任せて、後からロビーが手を入れる。いつものやり方でいいな?」
「じゃあ、四時にはここに来る。八時には終わるな」ロビーはタヨにハグをし、下に行ってベースを肩にかけ」
「さっさと帰っていった。みんなさすがに疲れていた。今日はホテルで食べようとタヨの仕切りでステーキハウスがセッティングされていた。ここでも偶然かページと沙良が隣り合わせに席を取っていた。険しいムードの中で静かなディナーだった。
「ページ、ちょっと入っていい?」ドアの向こうから聞こえて来たのはタヨの声だった。
「お疲れさん、タヨ。どうした?」普段と変わりない、優しいページの声だった。
「どういう事?沙良のことよ。わかってるわよね?」
「まあ、中に入って。沙良とはジャマイカでのビデオ撮影やその他諸々、衣装の相談してた」
「レコーディングは真面目にやってたのは認めるけど。ややこしくしないでいただけます」
「タヨ、忘れないでくれ。まだ、千代とジャッキーもいる。魅力いっぱいの美女だらけだよ。あ、美雪さんもいたな」ページは一人大声で笑った。
「ページ、何か性格変わった?女とプロジェクトどちらが大切なの?」
「たった3日間だったけど、ジャマイカでのレコーディング、みんなまじめに取り組んでくれた。そして女が多すぎる。ジャマイカ人の血が、DNAが目を覚ましたのかな」悪びれることなく、謎ときの探偵が考えるときのように顎に指をあてた。
「あなた少なくとも、医者になろうとしているんじゃないの?馬鹿な事言わないで」
「心配するな。俺はタヨ一人だけだよ」
「いいわ、一応信用してみる。まだ誰ともホテルの部屋で過ごしている様子はないし。今日は部屋に帰る。ページの顔見ているとバッドワードばかりが出てきそう。私らしくない。さよなら。あしたね」
ドアの外で壁に寄りかかっている千代がいた。
「随分大きな声で楽しそうなお話でしたね、お姉さま。全部聞こえてましたよ」
「そう、それで何の用、私、ページ?」
「ページに会いに来たに決まってるじゃない。彼の部屋の前にいるんだもん。でも気が変わった。ちょっとお話ししない?」二人はやや気まずそうに無言で、プールサイドのバーで向かい合って座った。二人とも、甘ったらしいピナコラーダを注文した。
「私、まだ男性とお付き合いしたことがないの。高校時代は経済的な部分は全部お姉ちゃんが面倒見てくれた。大学中退したのは申し訳ないと思っているけど、時代だからって許してくれたことは、とても感謝している」
「その後だらだら生きて来た時も、何も言わず自由にさせてくれた。美貌はお姉ちゃんと同じか、ま、私の方が少し上かな。これまでよくもてた」
「でも相手を傷つけることなく、自分も傷つくことなく、適当にスルーしてきた。お姉ちゃん、ページとまだ寝てないでしょう。わかる。今まで、私だけのために生きてきてくれたんだもん。そう簡単に男になびかないと思う」
「キスはしたわ。何度かね。あなたの言う通り、まだ寝てないわ。ベッドで朝まで一緒にいたことはあるけど」
「拒んだの?え、ページはED?」
「違うのよ。二人とも、プロジェクトに一所懸命なの。セックスして気分すっきりもありかと思うけど、まだかな、今はって感じ。ページに怒るし、妬くこともある」
「だって、あんたもだけど、みんな周りは美女だらけ。まだ直接ジャッキーに会ったことなかったよね。圧倒されるわよ」
「話をまとめるとですよ、お姉ちゃんも私と一緒でまだバージン?」
「そうよ」二人で、白々しく笑った。
「決めた。私はお姉ちゃんを守る。他の女たちから。そのためにページと仲良くする。ディール?」
「軽いボディータッチは許す。でもそれ以上はダメ。それでディール」今度は二人、割り切ったように笑った。
「ジャッキーは基本ジャマイカだけだから、その期間だけは、なんとしてでも私が死守する。問題は美雪さんね。政略結婚されそうなんだよね?」
「その可能性は無きにしもあらず。ページに紹介されて、何度か一緒に食事した。近い年齢し、お友達になったかな。直接聞いたけど随分遊んでいるそうよ。私たちに引けを取らない美貌の持ち主だし。ページはないと言ってるけど、一応は要注意かな」
「沙良はどう?今日たくさんページのそばにいたけど」
「彼女は分からない。セーフなのか、悪魔なのか。観察は続けるわね」
「じゃあ、今からページの部屋へ行ってくる」
「頼んだよ、千代」一抹の不安が残らないでもなかった。
「今度はだれかな?」沙良かなとの予感があった。確認もせずドアを開けた。
「なんだ、千代か。どうした?」
「沙良だと思った?残念ね。じっくりお話させて、ページ」
いきなり、壁に押し付け少しだけディープなキスをした。千代の方からだった。
「私も堂々と立候補していたわよね、あんたに。覚えている?」
「ああ、もちろんだ。君みたいな美の象徴から言い寄られて、ノーと言える男がいたら、そいつはバカだ」二人のセリフも動作もハリウッド級だ。
「今、お姉ちゃんと連立内閣を組んできた。で、私は立候補を取りやめる。だから今のキスは内緒ね。他の女たちからページを引き離す。これから、いつまでかな、出来るとこまで、お姉ちゃんの味方をするつもり。おわかり?」
「いばらの道だな、これは。だけど君は僕を誤解しているようだ。僕は医学生で、今は医学の道を中断して、レゲエに一年間だけ取り組んでいる。女性たちには、今これと言って興味はない」
「あら、ゲイにでもなったの。それもいいかもね。でもあなたの周りにはる釣り合いのいい子はいないわね。あ、山田君でどう?彼とならビルボードの表紙を飾れるわよ」
「ゲイを拒絶もしないし、否定もしない。レゲエは忌み嫌っているけれど、実はジャマイカにはゲイが多い。でも、僕は大の女好きだ」
「そう、じゃあ今から私と寝れる?お姉ちゃんと同じでバージンよ」
「いや、やめとこう。まだこれから先グラミーまでは長い道のりだ。ややこしい問題は避けて通りたい。今は、タヨとのコンビネーションがうまく行くようにしたい。それと他にも探さないといけない他大切な女性がいるんだ」
「誰のことを言ってるの?」
「それはいずれ分かる」
「あー、お姉ちゃん、これから苦しむのかな。まあ、それも人生、いいか。私部屋に戻る。おやすみ」二人はもう一度キスをした。長めのキスだった。
「もしもし沙良、今日は疲れた。もう寝る。また明日な」
「今から行こうとしてたのに。そう、じゃあまた明日」
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