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第3章
会場
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船から降りれば、えんじ色の制服を着た生徒で溢れかえっていた。当たり前だが。
「シルティーナ様、ハルトヴィヒ様こちらでございます。」
使用人に案内されて、港を歩く。人々は、アンドルーズ公爵家の使用人の服を見るとササーッと左右に割れていった。この服はずいぶんと有名になったようだ。実は私が考案したんだけどね。使用人の服もダサすぎて、ちょっとずつ動きやすい服装をアドバイスしたら理想のメイド服になった。それにしても、周りがまるでモーセが海を割ったよう。ビビりすぎだろ。
「こちらの馬車にお乗りください。学園に到着したらすぐに入学式が執り行われます。」
さあ、ここから学園までは馬車で30分程度。ここまで長かったなぁ。
馬車の窓から見える景色は緑ばかり。自然に囲まれているといえば聞こえはいいが、要するにド田舎である。まあ、学園内には帝都に劣らないほどのショッピング街があるから物流に限れば、不便ではない。
窓の外を見ていても何もないので徐々に思考の海に沈んでいく。
気にかかるのは皇太子殿下のことだ。ヴィクターに対してどう挨拶すべきだろう。私が婚約者であることはみんなに知られている。久しぶり的な挨拶でいいのだろうか。不仲のように見える挨拶をしてしまったらまずいだろう。そもそも、顔を合わせるのがどのような場所なのかも想像がつかない。
「あ、そういえばジル」
「ん、なあに?」
「テオはもう学園についているみたいだ。」
「あらそうなの。また話したいわね」
「あと、皇太子殿下が新入生総代の挨拶をするみたいだよ」
「へえそうだったの。それは楽しみね」
「...」
「あれ、皇太子殿下って言った?」
「言ったよ」
「わぁ、びっくり。成長したのね」
「どこのお母さんだよ。」
「素敵なお言葉ありがとう。3年前に帝都にいたときは勉強からいつも逃げ出すような我儘坊ちゃんだったのよ。私と一緒にいて多少は改善されたようだったけど、まさか総代の座を取られると思わなかったわ」
「え?!ジルは総代になるつもりだったの?というかそもそも総代ってどうやって決めてるのさ」
「家で試験受けたじゃない。覚えてないの?」
「お、覚えてない...」
「気づいてなかったのね」
家庭教師に、すごいナチュラルに試験をやらされた。私も1教科試験を受け終えてから気づいた。その分の遅れをとったのかもしれない。気持ちって大事。
「新入生総代かぁ、僕もなってみたいな」
「あと2回一応チャンスはあるわよ」
「よし、じゃあジル、そのチャンスを2人で分け合おう」
「何言ってるの、私以外にライバルなんてたくさんいるわよ」
「そうだった...」
いよいよ新生活の始まりです。
「シルティーナ様、ハルトヴィヒ様こちらでございます。」
使用人に案内されて、港を歩く。人々は、アンドルーズ公爵家の使用人の服を見るとササーッと左右に割れていった。この服はずいぶんと有名になったようだ。実は私が考案したんだけどね。使用人の服もダサすぎて、ちょっとずつ動きやすい服装をアドバイスしたら理想のメイド服になった。それにしても、周りがまるでモーセが海を割ったよう。ビビりすぎだろ。
「こちらの馬車にお乗りください。学園に到着したらすぐに入学式が執り行われます。」
さあ、ここから学園までは馬車で30分程度。ここまで長かったなぁ。
馬車の窓から見える景色は緑ばかり。自然に囲まれているといえば聞こえはいいが、要するにド田舎である。まあ、学園内には帝都に劣らないほどのショッピング街があるから物流に限れば、不便ではない。
窓の外を見ていても何もないので徐々に思考の海に沈んでいく。
気にかかるのは皇太子殿下のことだ。ヴィクターに対してどう挨拶すべきだろう。私が婚約者であることはみんなに知られている。久しぶり的な挨拶でいいのだろうか。不仲のように見える挨拶をしてしまったらまずいだろう。そもそも、顔を合わせるのがどのような場所なのかも想像がつかない。
「あ、そういえばジル」
「ん、なあに?」
「テオはもう学園についているみたいだ。」
「あらそうなの。また話したいわね」
「あと、皇太子殿下が新入生総代の挨拶をするみたいだよ」
「へえそうだったの。それは楽しみね」
「...」
「あれ、皇太子殿下って言った?」
「言ったよ」
「わぁ、びっくり。成長したのね」
「どこのお母さんだよ。」
「素敵なお言葉ありがとう。3年前に帝都にいたときは勉強からいつも逃げ出すような我儘坊ちゃんだったのよ。私と一緒にいて多少は改善されたようだったけど、まさか総代の座を取られると思わなかったわ」
「え?!ジルは総代になるつもりだったの?というかそもそも総代ってどうやって決めてるのさ」
「家で試験受けたじゃない。覚えてないの?」
「お、覚えてない...」
「気づいてなかったのね」
家庭教師に、すごいナチュラルに試験をやらされた。私も1教科試験を受け終えてから気づいた。その分の遅れをとったのかもしれない。気持ちって大事。
「新入生総代かぁ、僕もなってみたいな」
「あと2回一応チャンスはあるわよ」
「よし、じゃあジル、そのチャンスを2人で分け合おう」
「何言ってるの、私以外にライバルなんてたくさんいるわよ」
「そうだった...」
いよいよ新生活の始まりです。
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