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ヒトのキョウカイ6巻(赤十字の精神)
13 (暴徒達)
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「ナオ…3時…。」
ファントムの前に座るナオにクオリアが言う。
オレは3時の方角を見る…。
星のライトで照らされている暗闇に 上空から流れ星のように降りてくる光が、軌道を変えて水平になり、光が消える。
「着いたみたいだな」
オレが流れ星を見ながら言う。
多分 あれは、天尊が乗っているエアトラS2だ。
「進路変更するか?」
「その方が良いだろうな…。」
ファントムが減速を開始し、エアトラS2の予測ポイントに向かった…。
エアトラS2が放つビーコンを頼りにファントムを接近させる…。
向こうは雲の下にいるのだろう…ナオ機は 更に減速してゆっくりと降下…エアトラS2の2km後ろに着く…。
「天尊機を確認…コンタクト…。」
「こちら、ファントム ナオ機…天尊か?」
『ああ…久しぶり…キミ達が来たって事は受けてくれたって事だね…。』
天尊が言う。
「まぁ…条件付きでな…。」
『条件?』
「そ…ベーシックインカムの見直しだ。」
『へぇ気づいていたんですか…いや…気づいたのはクオリアの方かな?』
「そう…いくら何でも経済植民地はやり過ぎだ。」
『流石に そこまでは やりませんよ…。
まぁ保険としては 掛けています けどね…。』
エアトラS2が降下を始め…ナオ機が上から追い抜かして前に出る…。
ピースクラフト都市の滑走路周辺には暴徒の姿は見えず… 着陸地点の敵は確認できない…暴動は外では起こっていない見たいだ。
ナオ機が駐機場に降り、ボックスライフルを構え…周辺を警戒…。
エアトラS2が ナオ機の背中に後部ハッチを向ける形で少し距離を空けて着陸する。
後部ハッチが開き…中から天尊のドラム秘書のジムが リアカーを引いて降りてくる。
中身はシートが被さられていて、確認が出来ない。
そして、その後ろからパイロットスーツを着て、フルフェイスのヘルメットを被った天尊が降りて来る…。
天尊とリアカーを引くジムが、ゆっくりとピースクラフト都市のゲートまで歩いて行き…入国手続きを済ませる。
オレのファントムも警戒しつつ駐機姿勢になり、コックピットがスライドし、クオリアとオレが機体を降りる。
オレは ファントムをキューブに戻し、バックパックに入れ、右腰にぶら下げてあるウージーマシンピストルをホルスターから抜く…。
セーフティに入っている事を確認してマガジンを外し、コッキングレバーを引いて中に弾が入っていない事を確認し、入国手続きの担当に前のテーブルに置く…。
「ハンドガン2丁だ。」
ARウィンドウを開きリボルバーとウージーマシンピストルの証明書を展開し担当官に見せる…。
「はい…確認したよ…。
発砲した場合 都市のシステム記録が残り、後で事情聴取をする場合があります。
発砲の際は気を付けて下さい。」
中の状況を把握している入国管理官が言う…。
「分かっている…自衛にしか使わないよ…。」
オレはそう言うと、クオリアと共に隔壁の中に入って行く。
内部気圧を維持する為の気圧調節室に入り、天尊とジムが入った所で隔壁が閉鎖…。
薄かった空気の密度が上がり、隔壁が開いて4人がピースクラフト都市に入国する。
「コイツはひでぇ」
大量の都市民が道路いっぱいに集まり、うるさいくなる程に叫んでいる。
バスタクが道路を塞ぐ形で 何人もの人の手によって横転させられ…火もつけられている。
火炎瓶か?都市の建築物の殆どが難燃性で出来ているから、大した事が無いとは思うが…大量に二酸化炭素が出た事で、空調に影響が出来るか?
しかも更に厄介なのは、顔隠しとエクスプロイトウイルス対策なのだろう…皆がパイロットスーツにヘルメットを被っている事だ。
パイロットスーツの耐弾ジェルを入れた生地は、宇宙空間での小さいスペースデブリを防ぐ程度のクラス2相当の防弾能力がある。
つまり拳銃弾 程度なら、気絶するほど痛いが痣程度で済んでしまう為、敵を一発で殺す事は難しい…。
なので、フルオート射撃で6発以上撃ち込むか、バイザー部分のピンポイントを狙ったヘッドショット…これで確実に殺せる。
オレは ウージーマシンピストルに50発のロングマガジンを入れ、コッキングレバーを引いて装填完了…。
セーフティは掛けたまま腰位置で斜め下に構え、天尊とジムの前に出る。
普通ならサイトを覗いて撃てるようにして置くが、視野が狭まってしまい反応が遅れる事からオレは嫌い、腰で構えている…。
オレはレーザーポインタを点け、地面にレーザーポインタの赤色の点が映る。
通常、レーザーポインタの光は線には見えない…空気中に光を反射する物が少ないからだ。
だが、オレの目にはARで補正された 赤い線に見えていて、着弾場所が簡単に見える。
更に、レーザーで目標までの距離が分かるので、そのデータをグリップから手のFポートで読み取り、オレの中の火器管制システムに入力…。
銃の位置…銃の角度…目標との距離が正確に出せて、それを数字として出力出来るならば、後は計算速度だけの問題でオレの得意分野だ。
これにより 有効射程は この銃の限界の200mを超えられる…まぁ殺せるレベルのダメージは入らないだろうが…。
「それでどうする?レンタカーは使えないだろう…。」
ここでは電気自動車と呼ばれるレンタカーが主だが、この状態でまともに走れるとは思えない。
「徒歩しかありませんね…。
護衛を頼みます…まずは王城へ」
「はいよ…」
後ろはクオリアが監視しているので、進行方向に集中できる。
オレが視野を広く保ち、腰で銃を構えながら ゆっくりと1歩ずつ進む…。
この都市の設計上…王城に行く最短距離は真ん中の大通りを通る道だ。
ここの通りの名前は通称ポチョムキン通り…。
横転した車で道が塞がれ、車が通れなくなっているがヒトは如何にか通れる。
前方にパイロットスーツを着用して リボルバーを片手に持ち、火炎瓶などプラカードを持ち要求…と言うか、オレのリアルタイムの翻訳アプリがピー音だらけになるような罵倒を叫ぶ 都市民達…。
更に奥には、警察隊がライフル弾を防げる銃撃戦用のバリスティックシールドとアサルトライフルを構え、横一列に並んで暴動に対処…。
バリスティックシールドは かなり重いのだろう…下にタイヤが付いて押して動かしている…。
平和の都市だってのに何で こんなガチ装備で対処《たいしょ》しているのだろうか?
暴動者から火炎瓶が投げられるがバリスティックシールドで受け止められ、警察隊には 心的ストレス以外の効果は無い…。
「天尊…どうする?
暴動側が警察側に発砲したら皆殺しにされるぞ…。」
「なら、非殺傷で暴動側の後ろから攻撃を仕掛けます…。
出来ますか?」
こっちで暴動者を片付ければ警察側からの発砲も防げるか…。
流石のパイロットスーツでも 警察のアサルトライフルによる射撃は抜かれるだろう…しかも フルオート射撃なんて喰らったら、確実に死ぬ…。
確か、カタログスペック上では ライフル弾は1発まで保証していたはず…。
9mmパラベラム弾で片付けた方が犠牲者は少ないはずだ。
「そりゃ…殺傷よりするよりは、やり易いけど…100人はいるぞ…。
それに物凄く痛いが起き上がれる…やるなら確実に殺すべきだ…。」
オレは天尊に射殺を提案…。
「それじゃあ交渉に持ち込めなくなります…。
こちらが 圧倒的に強いと思わせるだけで良いのです…。
ある程度鎮圧すれば、後はこちらで交渉します…。
正直どちら共、いつ発砲しても不自然しくない状況ですから…。」
オレは警察側を見る…。
暴動側からの火炎瓶や暴言でイラついているようで、気の弱い警官が最初の1発を撃ちかねない。
そうなれば暴動側が発砲し、銃撃戦が始まってしまう。
「分かった…。」
オレが納得して、プランを考える。
距離25m…ほぼ必中距離…。
後ろからのバックアタックだから、敵側は混乱するだろう…。
短時間ならこちらが圧倒的に有利…。
ただ敵の武装のリボルバーは45口径…。
こちらは レベル2のパイロットスーツの上からレベル3のボディアーマーを着ている…。
バイタルゾーンへの貫通は無理だろうが…バイザーに食らえば、流石に死ぬ…。
分解を展開して銃弾を分解しても良いが、ミスって核分裂が起きるのが怖い…。
やるとしても通行止めだな…。
『クオリア…天尊達の護衛を頼む…。
どうせ撃てないんだろう…。』
『ああ…感謝する。』
クオリアが対処すれば、この規模なら殆ど一瞬で片付く…。
ただ ヒトに脅威だと思われた場合、また大戦が始まってしまう可能性があるし、三原則にも引っかかるので 自衛かつ 最低限の攻撃しか出来ない…。
『クオリア…フラッシュバンを出せるか?』
『出せるが…パイロットスーツを着ている場合効果は薄いぞ…。』
『分かってる…頼む。』
クオリアの手が光りフラッシュバンが2つ現れ オレに渡す。
オレは受け取ると 1本を腰にぶら下げて もう1本のピンを引き抜き、暴徒に向かって投げた。
天尊が後ろを向き、耳を抑え、しゃがみんで口を開ける…。
ロケットの発射音規模の170-180デシベルの爆音と100万カンデラの閃光が放たれ、暴動者の視覚を一時的に麻痺させる…。
彼らのヘルメットのスピーカーから外の音を拾っているので、音が調整されて聞こえるのであまり効果は無い。
オレは ウージーマシンピストル腰で構えて視野を広く取り、セレクターレバーを安全から連射に切り替えすぐさまトリガーを引く…。
フルオート射撃でのセルフ3点バースト…。
銃を警察に構えていて今にも撃ちそうな好戦的な奴を中心に仕留める…。
狙うは腹部…ボクサーパンチレベルの衝撃を出せる銃弾を腹部に受け、パイロットスーツの耐弾ジェルが着弾地点を中心に硬化し、弾を受け止め、衝撃を周りに分散…同時に熱変換させる。
「かはっ…」
一人が鳩尾に当たったのか、呼吸困難になりその場で倒れる…他は腹を抱えてしゃがみ込む奴が殆《ほとん》どだ。
10秒足らずで5人を撃つ…空薬莢が飛び…地面に落ちる…。
暴動側が閃光から復帰し、一目散に逃げて行く…あークソ空薬莢踏むな、蹴飛ばすな、後で回収が面倒になるだろうが!
今回は空薬莢を見つかるまで探さなくても良いが、日頃の習慣から空薬莢の落下地点を目で追ってしまう…。
逃げる奴は撃たない…リボルバーで撃とうとしている奴を最優先で仕留める。
10人…30発消費…残り20発…片手で撃ちつつ、50発マガジンを抜き取り準備……15人…45発…リロード警報…。
残り5発以下になりARの音声でリロード警報が鳴る…。
すぐさま マガジンリリースボタンを押し、マガジンを排出…マガジンが地面に落ちる時には 次のマガジンを装填し終わり、いつもの癖で無駄にコッキングレバーを引き、無駄弾が排出される。
「終わったな…。」
発砲しそうだった暴動者はすべて片付け、後に残るのは座り込んで何も出来ない奴だけだ。
オレは倒れた暴動者のリボルバーを蹴飛ばしつつ腰で構えつつ、セレクターレバーを連射から安全に戻す。
「やった本人が言うのも難なんだが、どう収拾つけるんだ?」
オレは 先ほど落とした空マガジンを拾い、後ろ歩きで天尊に近づいて聞く。
「任せて下さい…あっここからは僕とジムで行きます。」
天尊は堂々とした様子で半壊した暴動側と警察隊の間に入る…間は50m程だ。
『誰だ…貴様!』
拡声器で警官が話す。
「私はジェームズ・天尊…天尊カンパニーの次期都市長です。
ピースクラフトのヘンリー都市長と条約の締結の為、来ました。」
天尊は大声で堂々と警察隊に言う。
『条約の締結?
約束は取り付けているんだろうな…。』
「ええ…日程から1週間程早いですが、この暴動を聞き付けて必要だと思い駆けつけました。
それと…。」
ドラムがリアカーから離れ、天尊がリアカーのシートを取り払う。
「天尊ギフト券10万UM分を60万枚…都市民に1枚ずつに配りたいと思います。
それにミートキューブですが食料も持ってきました。
こちらは それ程ありませんが…。」
天尊は折りコンの箱にギッシリと詰められたギフト券が入っている箱と、ミートキューブの入ったレーションの箱を両手に持ち周囲に見せる。
合計600億UM!?
オレは 瞬時に計算して弾き出す。
『どうして、我々にそんな事をする!』
ごもっとも…。
「それは、将来私の企業に利益をもたらすかもしれない顧客を死なせる訳には行きませんから…。
それに皆さんが 天尊系列の物を買ってくれれば、600億の回収なんて私の会社では、そこまでの負担はありません。
警察の皆さん、配るのに協力して貰えませんか?」
警官がぞろぞろとこちらに来て、ギフト券の箱を渡していく…。
「ジムはここで、不正が無いか見張ってください。
あー警官さん…入金データは私の会社で管理していますから、持ち逃げをしても発見出来ますからね…。」
天尊が警官に警告をする。
「さあ行きましょう…早く条約を締結しないと、未来の顧客が死んでしまいます。
私達は王城に向かいます…ナオ、クオリア、護衛を頼みますね…。」
「分かった」「了解した。」
オレは ウージーマシンピストルを腰で構え直し、警戒をしながら天尊の前を歩いて行く。
警察隊側は車で道路が塞がれていなく、後ろにパイロットスーツを着た暴徒を確実に殺せる大口径の重機関銃付きのハンビーに似た警察車両がいくつかある。
本当にこのまま警察が発砲していたらマズイ事になってたんだな…。
暴動を解決した事と要人と言う事もあり、帰還する部隊の車両に乗せて貰い 護衛と監視をされながら、オレ達は 王城に向かった。
ファントムの前に座るナオにクオリアが言う。
オレは3時の方角を見る…。
星のライトで照らされている暗闇に 上空から流れ星のように降りてくる光が、軌道を変えて水平になり、光が消える。
「着いたみたいだな」
オレが流れ星を見ながら言う。
多分 あれは、天尊が乗っているエアトラS2だ。
「進路変更するか?」
「その方が良いだろうな…。」
ファントムが減速を開始し、エアトラS2の予測ポイントに向かった…。
エアトラS2が放つビーコンを頼りにファントムを接近させる…。
向こうは雲の下にいるのだろう…ナオ機は 更に減速してゆっくりと降下…エアトラS2の2km後ろに着く…。
「天尊機を確認…コンタクト…。」
「こちら、ファントム ナオ機…天尊か?」
『ああ…久しぶり…キミ達が来たって事は受けてくれたって事だね…。』
天尊が言う。
「まぁ…条件付きでな…。」
『条件?』
「そ…ベーシックインカムの見直しだ。」
『へぇ気づいていたんですか…いや…気づいたのはクオリアの方かな?』
「そう…いくら何でも経済植民地はやり過ぎだ。」
『流石に そこまでは やりませんよ…。
まぁ保険としては 掛けています けどね…。』
エアトラS2が降下を始め…ナオ機が上から追い抜かして前に出る…。
ピースクラフト都市の滑走路周辺には暴徒の姿は見えず… 着陸地点の敵は確認できない…暴動は外では起こっていない見たいだ。
ナオ機が駐機場に降り、ボックスライフルを構え…周辺を警戒…。
エアトラS2が ナオ機の背中に後部ハッチを向ける形で少し距離を空けて着陸する。
後部ハッチが開き…中から天尊のドラム秘書のジムが リアカーを引いて降りてくる。
中身はシートが被さられていて、確認が出来ない。
そして、その後ろからパイロットスーツを着て、フルフェイスのヘルメットを被った天尊が降りて来る…。
天尊とリアカーを引くジムが、ゆっくりとピースクラフト都市のゲートまで歩いて行き…入国手続きを済ませる。
オレのファントムも警戒しつつ駐機姿勢になり、コックピットがスライドし、クオリアとオレが機体を降りる。
オレは ファントムをキューブに戻し、バックパックに入れ、右腰にぶら下げてあるウージーマシンピストルをホルスターから抜く…。
セーフティに入っている事を確認してマガジンを外し、コッキングレバーを引いて中に弾が入っていない事を確認し、入国手続きの担当に前のテーブルに置く…。
「ハンドガン2丁だ。」
ARウィンドウを開きリボルバーとウージーマシンピストルの証明書を展開し担当官に見せる…。
「はい…確認したよ…。
発砲した場合 都市のシステム記録が残り、後で事情聴取をする場合があります。
発砲の際は気を付けて下さい。」
中の状況を把握している入国管理官が言う…。
「分かっている…自衛にしか使わないよ…。」
オレはそう言うと、クオリアと共に隔壁の中に入って行く。
内部気圧を維持する為の気圧調節室に入り、天尊とジムが入った所で隔壁が閉鎖…。
薄かった空気の密度が上がり、隔壁が開いて4人がピースクラフト都市に入国する。
「コイツはひでぇ」
大量の都市民が道路いっぱいに集まり、うるさいくなる程に叫んでいる。
バスタクが道路を塞ぐ形で 何人もの人の手によって横転させられ…火もつけられている。
火炎瓶か?都市の建築物の殆どが難燃性で出来ているから、大した事が無いとは思うが…大量に二酸化炭素が出た事で、空調に影響が出来るか?
しかも更に厄介なのは、顔隠しとエクスプロイトウイルス対策なのだろう…皆がパイロットスーツにヘルメットを被っている事だ。
パイロットスーツの耐弾ジェルを入れた生地は、宇宙空間での小さいスペースデブリを防ぐ程度のクラス2相当の防弾能力がある。
つまり拳銃弾 程度なら、気絶するほど痛いが痣程度で済んでしまう為、敵を一発で殺す事は難しい…。
なので、フルオート射撃で6発以上撃ち込むか、バイザー部分のピンポイントを狙ったヘッドショット…これで確実に殺せる。
オレは ウージーマシンピストルに50発のロングマガジンを入れ、コッキングレバーを引いて装填完了…。
セーフティは掛けたまま腰位置で斜め下に構え、天尊とジムの前に出る。
普通ならサイトを覗いて撃てるようにして置くが、視野が狭まってしまい反応が遅れる事からオレは嫌い、腰で構えている…。
オレはレーザーポインタを点け、地面にレーザーポインタの赤色の点が映る。
通常、レーザーポインタの光は線には見えない…空気中に光を反射する物が少ないからだ。
だが、オレの目にはARで補正された 赤い線に見えていて、着弾場所が簡単に見える。
更に、レーザーで目標までの距離が分かるので、そのデータをグリップから手のFポートで読み取り、オレの中の火器管制システムに入力…。
銃の位置…銃の角度…目標との距離が正確に出せて、それを数字として出力出来るならば、後は計算速度だけの問題でオレの得意分野だ。
これにより 有効射程は この銃の限界の200mを超えられる…まぁ殺せるレベルのダメージは入らないだろうが…。
「それでどうする?レンタカーは使えないだろう…。」
ここでは電気自動車と呼ばれるレンタカーが主だが、この状態でまともに走れるとは思えない。
「徒歩しかありませんね…。
護衛を頼みます…まずは王城へ」
「はいよ…」
後ろはクオリアが監視しているので、進行方向に集中できる。
オレが視野を広く保ち、腰で銃を構えながら ゆっくりと1歩ずつ進む…。
この都市の設計上…王城に行く最短距離は真ん中の大通りを通る道だ。
ここの通りの名前は通称ポチョムキン通り…。
横転した車で道が塞がれ、車が通れなくなっているがヒトは如何にか通れる。
前方にパイロットスーツを着用して リボルバーを片手に持ち、火炎瓶などプラカードを持ち要求…と言うか、オレのリアルタイムの翻訳アプリがピー音だらけになるような罵倒を叫ぶ 都市民達…。
更に奥には、警察隊がライフル弾を防げる銃撃戦用のバリスティックシールドとアサルトライフルを構え、横一列に並んで暴動に対処…。
バリスティックシールドは かなり重いのだろう…下にタイヤが付いて押して動かしている…。
平和の都市だってのに何で こんなガチ装備で対処《たいしょ》しているのだろうか?
暴動者から火炎瓶が投げられるがバリスティックシールドで受け止められ、警察隊には 心的ストレス以外の効果は無い…。
「天尊…どうする?
暴動側が警察側に発砲したら皆殺しにされるぞ…。」
「なら、非殺傷で暴動側の後ろから攻撃を仕掛けます…。
出来ますか?」
こっちで暴動者を片付ければ警察側からの発砲も防げるか…。
流石のパイロットスーツでも 警察のアサルトライフルによる射撃は抜かれるだろう…しかも フルオート射撃なんて喰らったら、確実に死ぬ…。
確か、カタログスペック上では ライフル弾は1発まで保証していたはず…。
9mmパラベラム弾で片付けた方が犠牲者は少ないはずだ。
「そりゃ…殺傷よりするよりは、やり易いけど…100人はいるぞ…。
それに物凄く痛いが起き上がれる…やるなら確実に殺すべきだ…。」
オレは天尊に射殺を提案…。
「それじゃあ交渉に持ち込めなくなります…。
こちらが 圧倒的に強いと思わせるだけで良いのです…。
ある程度鎮圧すれば、後はこちらで交渉します…。
正直どちら共、いつ発砲しても不自然しくない状況ですから…。」
オレは警察側を見る…。
暴動側からの火炎瓶や暴言でイラついているようで、気の弱い警官が最初の1発を撃ちかねない。
そうなれば暴動側が発砲し、銃撃戦が始まってしまう。
「分かった…。」
オレが納得して、プランを考える。
距離25m…ほぼ必中距離…。
後ろからのバックアタックだから、敵側は混乱するだろう…。
短時間ならこちらが圧倒的に有利…。
ただ敵の武装のリボルバーは45口径…。
こちらは レベル2のパイロットスーツの上からレベル3のボディアーマーを着ている…。
バイタルゾーンへの貫通は無理だろうが…バイザーに食らえば、流石に死ぬ…。
分解を展開して銃弾を分解しても良いが、ミスって核分裂が起きるのが怖い…。
やるとしても通行止めだな…。
『クオリア…天尊達の護衛を頼む…。
どうせ撃てないんだろう…。』
『ああ…感謝する。』
クオリアが対処すれば、この規模なら殆ど一瞬で片付く…。
ただ ヒトに脅威だと思われた場合、また大戦が始まってしまう可能性があるし、三原則にも引っかかるので 自衛かつ 最低限の攻撃しか出来ない…。
『クオリア…フラッシュバンを出せるか?』
『出せるが…パイロットスーツを着ている場合効果は薄いぞ…。』
『分かってる…頼む。』
クオリアの手が光りフラッシュバンが2つ現れ オレに渡す。
オレは受け取ると 1本を腰にぶら下げて もう1本のピンを引き抜き、暴徒に向かって投げた。
天尊が後ろを向き、耳を抑え、しゃがみんで口を開ける…。
ロケットの発射音規模の170-180デシベルの爆音と100万カンデラの閃光が放たれ、暴動者の視覚を一時的に麻痺させる…。
彼らのヘルメットのスピーカーから外の音を拾っているので、音が調整されて聞こえるのであまり効果は無い。
オレは ウージーマシンピストル腰で構えて視野を広く取り、セレクターレバーを安全から連射に切り替えすぐさまトリガーを引く…。
フルオート射撃でのセルフ3点バースト…。
銃を警察に構えていて今にも撃ちそうな好戦的な奴を中心に仕留める…。
狙うは腹部…ボクサーパンチレベルの衝撃を出せる銃弾を腹部に受け、パイロットスーツの耐弾ジェルが着弾地点を中心に硬化し、弾を受け止め、衝撃を周りに分散…同時に熱変換させる。
「かはっ…」
一人が鳩尾に当たったのか、呼吸困難になりその場で倒れる…他は腹を抱えてしゃがみ込む奴が殆《ほとん》どだ。
10秒足らずで5人を撃つ…空薬莢が飛び…地面に落ちる…。
暴動側が閃光から復帰し、一目散に逃げて行く…あークソ空薬莢踏むな、蹴飛ばすな、後で回収が面倒になるだろうが!
今回は空薬莢を見つかるまで探さなくても良いが、日頃の習慣から空薬莢の落下地点を目で追ってしまう…。
逃げる奴は撃たない…リボルバーで撃とうとしている奴を最優先で仕留める。
10人…30発消費…残り20発…片手で撃ちつつ、50発マガジンを抜き取り準備……15人…45発…リロード警報…。
残り5発以下になりARの音声でリロード警報が鳴る…。
すぐさま マガジンリリースボタンを押し、マガジンを排出…マガジンが地面に落ちる時には 次のマガジンを装填し終わり、いつもの癖で無駄にコッキングレバーを引き、無駄弾が排出される。
「終わったな…。」
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「やった本人が言うのも難なんだが、どう収拾つけるんだ?」
オレは 先ほど落とした空マガジンを拾い、後ろ歩きで天尊に近づいて聞く。
「任せて下さい…あっここからは僕とジムで行きます。」
天尊は堂々とした様子で半壊した暴動側と警察隊の間に入る…間は50m程だ。
『誰だ…貴様!』
拡声器で警官が話す。
「私はジェームズ・天尊…天尊カンパニーの次期都市長です。
ピースクラフトのヘンリー都市長と条約の締結の為、来ました。」
天尊は大声で堂々と警察隊に言う。
『条約の締結?
約束は取り付けているんだろうな…。』
「ええ…日程から1週間程早いですが、この暴動を聞き付けて必要だと思い駆けつけました。
それと…。」
ドラムがリアカーから離れ、天尊がリアカーのシートを取り払う。
「天尊ギフト券10万UM分を60万枚…都市民に1枚ずつに配りたいと思います。
それにミートキューブですが食料も持ってきました。
こちらは それ程ありませんが…。」
天尊は折りコンの箱にギッシリと詰められたギフト券が入っている箱と、ミートキューブの入ったレーションの箱を両手に持ち周囲に見せる。
合計600億UM!?
オレは 瞬時に計算して弾き出す。
『どうして、我々にそんな事をする!』
ごもっとも…。
「それは、将来私の企業に利益をもたらすかもしれない顧客を死なせる訳には行きませんから…。
それに皆さんが 天尊系列の物を買ってくれれば、600億の回収なんて私の会社では、そこまでの負担はありません。
警察の皆さん、配るのに協力して貰えませんか?」
警官がぞろぞろとこちらに来て、ギフト券の箱を渡していく…。
「ジムはここで、不正が無いか見張ってください。
あー警官さん…入金データは私の会社で管理していますから、持ち逃げをしても発見出来ますからね…。」
天尊が警官に警告をする。
「さあ行きましょう…早く条約を締結しないと、未来の顧客が死んでしまいます。
私達は王城に向かいます…ナオ、クオリア、護衛を頼みますね…。」
「分かった」「了解した。」
オレは ウージーマシンピストルを腰で構え直し、警戒をしながら天尊の前を歩いて行く。
警察隊側は車で道路が塞がれていなく、後ろにパイロットスーツを着た暴徒を確実に殺せる大口径の重機関銃付きのハンビーに似た警察車両がいくつかある。
本当にこのまま警察が発砲していたらマズイ事になってたんだな…。
暴動を解決した事と要人と言う事もあり、帰還する部隊の車両に乗せて貰い 護衛と監視をされながら、オレ達は 王城に向かった。
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命がけの戦場より、ヒロインたちの“甘くて圧が強い愛情”のほうが数倍キケン!?
順番待ちの寝床争奪戦、過去の恋の追及、圧バトル修羅場――
ラルの平穏な日常は、最強で一途な彼女たちに包囲されて崩壊寸前。
これは――
【過去の傷を背負い静かに生きようとする男】と
【彼を神のように慕う最強少女たち】が織りなす、
“甘くて逃げ場のない生活”の物語。
――戦場よりも生き延びるのが難しいのは、愛されすぎる日常だった。
※表紙のキャラはエリスのイメージ画です。
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