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ヒトのキョウカイ6巻(赤十字の精神)
10 (赤十字の精神)
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デパート艦シーランド…。
エアトラS2が着艦と離陸を繰り返し、医療物資と機材をどんどん降ろして行く。
人の医者自体は少ないが スレイブロイドファクトリーから大量の医療用ドラムが送られてきている…その数2個中隊の24機。
アドミに感謝だ…後で感謝のメールを入れておこう。
そう言えばナオとクオリアは、アドミの所でファントムの調整をしているはずなんだよな…。
送るのはクオリアの方で良いか…。
ハルミがそう思いARウィンドウを開き、文章をタイプし始めたその時…。
甲板側で騒がしくなり、ハルミが向かう…。
ハルミが向かうと12m四方の白い布を医療用ドラム達が丁寧に広げていく…。
「私も手伝うよ」
私が布を広げ始めて協力し始めた時、後ろからデパート艦の医者がやってきて手伝う…。
白地の正方形に赤十字のマーク…赤十字社のマークだ。
「よし…行くぞ」
赤十字の旗を艦の側面に広げ、固定する。
そして、次…。
艦の片側に12mはある正方形の旗が2枚…両側で合計4枚が展開される。
この艦はデパート艦から赤十字艦となり、戦場の後方で医療任務に努める。
敵味方種族関係無しに 怪我のレベルからトリアージをしつつ マニュアルで対応しなければならない。
ハルミ達やドラムは 側面の旗は見えないが甲板から、それぞれの都市の最上級敬礼を行い誓いを立てた。
「赤十字マーク展開、終了しました。
各艦に連絡…完了。」
デパート艦シーランドの艦橋の操縦席に座るオペレーターが言う。
「分かった。」
艦長は艦内スピーカーに繋ぎ、マイクを取る。
『乗員に告げる…。
ただいま本艦は、赤十字マークの旗を展開した。
他種族で、都市ごとに違う価値観やルールを持ち、生活しているヒト同志が『ワームから地球を守る』と言う共通の目的で団結し、ここまでの大規模な作戦を行えるようになった。
私はそれを誇りに思っている。
それでは、本艦はデパート艦から赤十字艦となり、赤十字の精神に乗っ取り、敵味方、種族関係なく平等に治療する事をここに宣言する。
各員は赤十字マークに恥じない行動を心掛けるように…以上。』
デパート艦…いや赤十字艦シーランドの艦長が言う。
他種族の合同部隊で価値感や文化の違いから、分裂した都市国家の集まり…。
互いの種族を嫌っている者…下等生物だと見下す者…。
差別も人の権利として許容されている この世界での仮初の同盟…。
その状態でまともな医療を受けられない兵士が出ないようにする為の赤十字だ。
赤十字社は『敵味方関係なく、人種を区別せず、捕虜の人権も尊重する』組織だ。
今は、DL同士のスポーツ戦争のアリーナで双方の中立治療組織として生き残っているだけだが、今回はこのマークを掲げ、兵の治療、医療系は全部こちらで受け持つ事にした…。
ただし、赤十字の旗を掲げている以上、中立を維持しなては成らず、人類とワームの戦争に介入は出来ない…出来るのは自衛行為のみだ。
「ふう…問題ごとは山済みだな…。」
艦長がため息を付き言う。
「ええ…でも医療物資の不足だけは成りませんよ…医療体制は完璧です。
帰って来られれば、確実に治せるでしょう。」
「そうだな…私達も赤十字艦の任務を目指そう…。」
「はい…。」
応接室…。
普通ならテーブルを挟んで両方にソファーがあるのだが、ドラムは足を折り畳んでしゃがむ事は出来ても 座わる事は出来ない為、片方にしかソファーが無い。
アドミと今日の演習にて話していると、どこからか連絡が入ったのか、クオリアが黙る。
「分かった…伝えて置く…。」
クオリアは、そう言うとARウィンドウを閉じ、通話を終了させる。
「誰だったんだ?」
クオリアの横に座るナオが言う。
「ハルミからだ…。
『医療用ドラムありがとう』だそうだ…。」
オレに答えた後、クオリアはアドミの方向を向き言う。
「ああ…やっと届いたのですか…。
あの子達はピースクラフト都市のエアトラS2で運んで貰ったのですが…。」
「新しく製造したのですか?
ここって人がいないのでしょう?」
ここのいるのは、機械相手の整備用ドラムと汎用ドラムが多く、センサーや腕の精度を強化した医療用ドラムは いない…当たり前だ…人がいないのだから…。
「いいえ…あの子達は、まだ人がいた頃の医療用ドラムです。
人がいなくなって ピースクラフト都市もドラムの利用を禁止してましたので、300年程 真空包装されて眠っていました。
それが、この前の政変でドラムの使用が解禁されたので、300年分の医療知識を学びに ピースクラフト都市に送ったのです。」
アドミが言う。
「それで、今回はシーランド艦に?」
「ええ…人間の構造は300年前と変わっていませんから、十分に役立つでしょう…。
それに今回のデータから次世代機を作ろうとも考えていますし…。」
ドラムの使用が解禁されて新たな市場が出来た事で、ドラムの医療への参入か…。
既存の都市の医療用ドラムがある中では 独占は出来ないだろうが、基本的にここの物は高品質だ…それなりに上手く行くだろう。
「それで…話は変わりまして、戦闘の記録がそろいました。
リプレイデータを見て見ますか?」
「良いな…感想戦…。
何処が悪かったのか…見て見たいし…。」
「それでは…どうぞ」
アドミがホワイトボードの壁紙ディスプレイに映像を表示…ホワイトボードを移動させ オレ達が見える位置まで持って行く。
画面には 戦域マップにアイコンがついており、その横にファントムのコックピット映像が表示されている。
これは、ファントムのログをアドミに提供した物だ。
「それでは始めしょうか…。」
アドミがそう言い、3人での感想戦が始まり、眠らなくても大丈夫な3人の感想戦は夜遅くまで続いた。
エアトラS2が着艦と離陸を繰り返し、医療物資と機材をどんどん降ろして行く。
人の医者自体は少ないが スレイブロイドファクトリーから大量の医療用ドラムが送られてきている…その数2個中隊の24機。
アドミに感謝だ…後で感謝のメールを入れておこう。
そう言えばナオとクオリアは、アドミの所でファントムの調整をしているはずなんだよな…。
送るのはクオリアの方で良いか…。
ハルミがそう思いARウィンドウを開き、文章をタイプし始めたその時…。
甲板側で騒がしくなり、ハルミが向かう…。
ハルミが向かうと12m四方の白い布を医療用ドラム達が丁寧に広げていく…。
「私も手伝うよ」
私が布を広げ始めて協力し始めた時、後ろからデパート艦の医者がやってきて手伝う…。
白地の正方形に赤十字のマーク…赤十字社のマークだ。
「よし…行くぞ」
赤十字の旗を艦の側面に広げ、固定する。
そして、次…。
艦の片側に12mはある正方形の旗が2枚…両側で合計4枚が展開される。
この艦はデパート艦から赤十字艦となり、戦場の後方で医療任務に努める。
敵味方種族関係無しに 怪我のレベルからトリアージをしつつ マニュアルで対応しなければならない。
ハルミ達やドラムは 側面の旗は見えないが甲板から、それぞれの都市の最上級敬礼を行い誓いを立てた。
「赤十字マーク展開、終了しました。
各艦に連絡…完了。」
デパート艦シーランドの艦橋の操縦席に座るオペレーターが言う。
「分かった。」
艦長は艦内スピーカーに繋ぎ、マイクを取る。
『乗員に告げる…。
ただいま本艦は、赤十字マークの旗を展開した。
他種族で、都市ごとに違う価値観やルールを持ち、生活しているヒト同志が『ワームから地球を守る』と言う共通の目的で団結し、ここまでの大規模な作戦を行えるようになった。
私はそれを誇りに思っている。
それでは、本艦はデパート艦から赤十字艦となり、赤十字の精神に乗っ取り、敵味方、種族関係なく平等に治療する事をここに宣言する。
各員は赤十字マークに恥じない行動を心掛けるように…以上。』
デパート艦…いや赤十字艦シーランドの艦長が言う。
他種族の合同部隊で価値感や文化の違いから、分裂した都市国家の集まり…。
互いの種族を嫌っている者…下等生物だと見下す者…。
差別も人の権利として許容されている この世界での仮初の同盟…。
その状態でまともな医療を受けられない兵士が出ないようにする為の赤十字だ。
赤十字社は『敵味方関係なく、人種を区別せず、捕虜の人権も尊重する』組織だ。
今は、DL同士のスポーツ戦争のアリーナで双方の中立治療組織として生き残っているだけだが、今回はこのマークを掲げ、兵の治療、医療系は全部こちらで受け持つ事にした…。
ただし、赤十字の旗を掲げている以上、中立を維持しなては成らず、人類とワームの戦争に介入は出来ない…出来るのは自衛行為のみだ。
「ふう…問題ごとは山済みだな…。」
艦長がため息を付き言う。
「ええ…でも医療物資の不足だけは成りませんよ…医療体制は完璧です。
帰って来られれば、確実に治せるでしょう。」
「そうだな…私達も赤十字艦の任務を目指そう…。」
「はい…。」
応接室…。
普通ならテーブルを挟んで両方にソファーがあるのだが、ドラムは足を折り畳んでしゃがむ事は出来ても 座わる事は出来ない為、片方にしかソファーが無い。
アドミと今日の演習にて話していると、どこからか連絡が入ったのか、クオリアが黙る。
「分かった…伝えて置く…。」
クオリアは、そう言うとARウィンドウを閉じ、通話を終了させる。
「誰だったんだ?」
クオリアの横に座るナオが言う。
「ハルミからだ…。
『医療用ドラムありがとう』だそうだ…。」
オレに答えた後、クオリアはアドミの方向を向き言う。
「ああ…やっと届いたのですか…。
あの子達はピースクラフト都市のエアトラS2で運んで貰ったのですが…。」
「新しく製造したのですか?
ここって人がいないのでしょう?」
ここのいるのは、機械相手の整備用ドラムと汎用ドラムが多く、センサーや腕の精度を強化した医療用ドラムは いない…当たり前だ…人がいないのだから…。
「いいえ…あの子達は、まだ人がいた頃の医療用ドラムです。
人がいなくなって ピースクラフト都市もドラムの利用を禁止してましたので、300年程 真空包装されて眠っていました。
それが、この前の政変でドラムの使用が解禁されたので、300年分の医療知識を学びに ピースクラフト都市に送ったのです。」
アドミが言う。
「それで、今回はシーランド艦に?」
「ええ…人間の構造は300年前と変わっていませんから、十分に役立つでしょう…。
それに今回のデータから次世代機を作ろうとも考えていますし…。」
ドラムの使用が解禁されて新たな市場が出来た事で、ドラムの医療への参入か…。
既存の都市の医療用ドラムがある中では 独占は出来ないだろうが、基本的にここの物は高品質だ…それなりに上手く行くだろう。
「それで…話は変わりまして、戦闘の記録がそろいました。
リプレイデータを見て見ますか?」
「良いな…感想戦…。
何処が悪かったのか…見て見たいし…。」
「それでは…どうぞ」
アドミがホワイトボードの壁紙ディスプレイに映像を表示…ホワイトボードを移動させ オレ達が見える位置まで持って行く。
画面には 戦域マップにアイコンがついており、その横にファントムのコックピット映像が表示されている。
これは、ファントムのログをアドミに提供した物だ。
「それでは始めしょうか…。」
アドミがそう言い、3人での感想戦が始まり、眠らなくても大丈夫な3人の感想戦は夜遅くまで続いた。
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