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ヒトのキョウカイ4巻(オレいつの間にか子持ちになっていました。)
01 (オレいつの間にか子持ちになってた。)
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黒塗りの政府用高級車の迎えを寄こされて トヨカズが乗り、遺伝子研究プラントに向かう。
そこで待ち構えていたのは、この都市で一番偉い都市長…アントニーだ。
「はい?…オレに子供?」
確かに女とやっちゃった事は何回もあるが…。
出生人口をコントロールする為、子供が生まれないように マイクロマシンでロックが掛けられているはずだろ。
「君の遺伝子が貴重だと言う事は知っているよね」
アントニーがトヨカズと歩きながら話す。
「ああ…旧時代の金持ちの子供のクローンだったか?
今は使われていない古い遺伝子が沢山入っているんだろ…。」
「そう、今では皆、遺伝子改造された優良人種なんだけど、自然出産での男の子の出生率が殆《ほとん》ど無いんだ。」
「それも知ってる…オレの周りも女だらけだからな…。」
昔は男が女を口説いていたらしいが、今では少数の男を多数の女で取り合う事態になっており、口説く所か周りから寄ってくる。
これはハーレムって言うんだっけか?それだけ男が貴重になっていた…。
「『より良い者にする』遺伝子改造の結果なんだけど…。
460万年後に問題になると言われていたY染色体の劣化問題が遺伝子改良をしていた事によって予定より早く来ちゃったんだよ」
人の性別は、母親のXXと父親のXYの染色体を掛け合わせ、XXなら女…XYなら男になる。
この際、X染色体は父親、母親、計3つのX染色体から欠けた遺伝子を修復する事により、データの欠損を大幅に下げる事が出来る。
対して、Y染色体を持つ男は 女側にY染色体が無い為、劣化した場合 修復する手が無い。
とは言え、劣化が表面化するのが 460万年後って言われていたので、事実上問題が無かった…。
が、人を製品として良い者に特化し続けた結果…今の人類は人為的に460万年分の進化をしてしまった。
この為、自然出産での男児は出生率が かなり低く、奇跡的に生まれたとしても遺伝疾患持ちが多くなってしまう…。
なので、男から取り出した精子の中から良質な物を選び 試験管内で受精させるんだ…。
こうする事で男は作れるが、逆を言えば人工授精する技術力が無くなった場合、絶滅してしまう存在でもある。
厳重なセキュリティをアントニーと一緒に突破し、ついたのは 赤ん坊工場…。
施設のサイズはかなり大きく、真ん中に柱があり、そこにいくつもの大きな輪っかが取り付けられていて、高速で回転させて遠心力による疑似重力を発生させている。
その輪っかには透明なカプセルが取り付けられていて、中にはモンスターか?と疑うような、まだ人の形をしていない新生児が入れられている。
この都市の人口は20万人…100歳になると処刑されるので、1年間に2000人の子供を産まないと行けない。
実際は 自然出産にも限界はあるので、1500~2000の間になるように調整しているのだが、ここでは、おおよそ3割の300人を目標に男だけを生産している。
この都市には他にもいくつかこう言った施設があるが、手間が少なく生産効率が良い女を生産している。
これも子供の数を揃《そろ》える為だ…。
昔の人から見たら遺伝子操作やら 人の生産なんかは 問題なんだろうが ここでは普通だ。
更にアントニーとトヨカズは最重要区画のセキュリティを突破し、中にはいる。
そこにいたのは、人工羊水で満たされた大型のカプセルに入っている裸の少女だった。
年は2~3歳位…赤髪で短髪の少女だ。
「これがオレの子?」
カプセルの中で浮かんで眠っている少女を見る。
へその緒はまだついていて、緒が人工のケーブルに繋がり上のタンクに繋がっている。
「てっきり男だと思っていたが…。」
「この子はY染色体を持っている子だからね…。」
「は?どう見ても女だろう」
股間部を見るが、男にあるべき物が付いていない…間違いなく女だ。
「その娘は、私と同じ3重螺旋の遺伝子構造を持つ娘なのよ…。」
トヨカズが声の方向を向く…。
そこにいたのは 10歳位の少女で、研究室のソファーに足を汲んで座り、カプセルの中の少女を見ている…。
「アンタは?」
オレは 鋭い目つきの少女に聞く。
「私は、レナ…この娘の遺伝子提供者…。」
英語で話す少女の言葉を翻訳アプリが リアルタイムでトニー王国語に変換され耳に入る…。
良く見ると顔、腕や足の皮膚にナイフによる細かな傷が付いていて、その年に似合わない戦場をくぐり抜けてきた歴戦に兵士を思わせる威圧感を放つレナの声にトヨカズは少し驚く。
「あ~って事はオレの嫁か?
まぁ恋愛感情とかは抜きにして仲良くやろうぜ…。」
オレは この威圧感を拭き飛ばすように 場違いに明るくレナに握手を求める。
「いえ…ここで会うのが最後よ。
私は私の遺伝子と、この娘を売ったの…。
私の生活の為にね…。」
レナは淡々と言う。
「売った?」
「その娘…レナ・トニー…俺の娘なんだけど「私は、アンタを父親だと思っていないし、トニーを受け継ぐ気も無い…ただのレナよ。」
アントニーの言葉にレナが被せて言う。
「はいはい…じゃあ俺が身元引受人をやっている ただのレナさんは、特殊遺伝子持ちでね…。
三重螺旋構造の遺伝子を持っているんだ。」
「はぁ?遺伝子は二重螺旋構造だろ…つか人でいるのか?」
「実際いるから いるんだろうね…。
この子の親は分からないんだけど…その親がどっかの技術が進んだ都市で3重螺旋遺伝子に改造されて生まれたのだろうね。」
「それで、この子がY染色体を持っているってのは?」
「それは本当…この子は XXYの遺伝子を持っているのね…ちなみにレナはXXXつまり…。」
「Y染色体の補修が出来る…。」
「そう言う事…。
ちなみにシミュレーション上では XYYで男が生まれると結果が出ているけど…。
こればかりは この子に自然出産して貰うまで実証は出来ないからね…5年後か10年後か…。
ああ言っとくけど…無理やり産ませる気も無いし、相手も選ばせるつもりだよ…。
無理やりは法で禁じられているしね…。」
「アンタに良識があって本当に良かったよ…で出産?はいつだ?」
「今朝の検査でパスしたから来週中て所かな…。
それまでに この子の名前を考えといてね。」
「名前ね~」
オレは この場で決めようと少し考える。
レナは もう会わないって言ってるしな…。
オレはレナを見るが「私は遺伝子提供者であってこの娘の親じゃない…あなたが決めなさい。」と言う。
「ふむ…。
トヨカズとレナだから…。
トヨレ…トヨナ…レトヨ…ナトヨ
う~ん…人っぽくないな…。
カズレ…カズナ…カズナ…良いなそれ、じゃあオマエは今日から『カズナ』だ。」
トヨカズがカプセルの中の少女…カズナに言う。
「カズナね…それじゃあ私は寮に帰るわ…バスタクで帰るから迎えは要らない。」
レナはそう言うとセキュリティカードをドアの端末にスキャンさせ、スライドドアを開かせる。
「ああ…たまには家に帰っておいで…。」
「あそこは私の家じゃない…。
週末に一度、顔を見せに行く…それでいい?」
「ああ…今の所はね…。」
「それじゃあ」
スライドドアが閉じる…。
「さぁて、知らぬ間に子持ちになってたが…やさぐれママは当てに出来ないからな…。
せいぜい立派なパパをやらないと…。」
この娘の面倒は都市が見てくるから こっちの生活には影響は無い。
オレの親のようにストーカー気味の過保護にならず、困った時に何でも相談できる。
そう言う理想の親に成《な》りたいと思っている。
「それじゃあカズナ、次はカプセルから出る時な…。」
トヨカズは手を振りながら そう言い…アントニーと一緒に施設を出た。
そこで待ち構えていたのは、この都市で一番偉い都市長…アントニーだ。
「はい?…オレに子供?」
確かに女とやっちゃった事は何回もあるが…。
出生人口をコントロールする為、子供が生まれないように マイクロマシンでロックが掛けられているはずだろ。
「君の遺伝子が貴重だと言う事は知っているよね」
アントニーがトヨカズと歩きながら話す。
「ああ…旧時代の金持ちの子供のクローンだったか?
今は使われていない古い遺伝子が沢山入っているんだろ…。」
「そう、今では皆、遺伝子改造された優良人種なんだけど、自然出産での男の子の出生率が殆《ほとん》ど無いんだ。」
「それも知ってる…オレの周りも女だらけだからな…。」
昔は男が女を口説いていたらしいが、今では少数の男を多数の女で取り合う事態になっており、口説く所か周りから寄ってくる。
これはハーレムって言うんだっけか?それだけ男が貴重になっていた…。
「『より良い者にする』遺伝子改造の結果なんだけど…。
460万年後に問題になると言われていたY染色体の劣化問題が遺伝子改良をしていた事によって予定より早く来ちゃったんだよ」
人の性別は、母親のXXと父親のXYの染色体を掛け合わせ、XXなら女…XYなら男になる。
この際、X染色体は父親、母親、計3つのX染色体から欠けた遺伝子を修復する事により、データの欠損を大幅に下げる事が出来る。
対して、Y染色体を持つ男は 女側にY染色体が無い為、劣化した場合 修復する手が無い。
とは言え、劣化が表面化するのが 460万年後って言われていたので、事実上問題が無かった…。
が、人を製品として良い者に特化し続けた結果…今の人類は人為的に460万年分の進化をしてしまった。
この為、自然出産での男児は出生率が かなり低く、奇跡的に生まれたとしても遺伝疾患持ちが多くなってしまう…。
なので、男から取り出した精子の中から良質な物を選び 試験管内で受精させるんだ…。
こうする事で男は作れるが、逆を言えば人工授精する技術力が無くなった場合、絶滅してしまう存在でもある。
厳重なセキュリティをアントニーと一緒に突破し、ついたのは 赤ん坊工場…。
施設のサイズはかなり大きく、真ん中に柱があり、そこにいくつもの大きな輪っかが取り付けられていて、高速で回転させて遠心力による疑似重力を発生させている。
その輪っかには透明なカプセルが取り付けられていて、中にはモンスターか?と疑うような、まだ人の形をしていない新生児が入れられている。
この都市の人口は20万人…100歳になると処刑されるので、1年間に2000人の子供を産まないと行けない。
実際は 自然出産にも限界はあるので、1500~2000の間になるように調整しているのだが、ここでは、おおよそ3割の300人を目標に男だけを生産している。
この都市には他にもいくつかこう言った施設があるが、手間が少なく生産効率が良い女を生産している。
これも子供の数を揃《そろ》える為だ…。
昔の人から見たら遺伝子操作やら 人の生産なんかは 問題なんだろうが ここでは普通だ。
更にアントニーとトヨカズは最重要区画のセキュリティを突破し、中にはいる。
そこにいたのは、人工羊水で満たされた大型のカプセルに入っている裸の少女だった。
年は2~3歳位…赤髪で短髪の少女だ。
「これがオレの子?」
カプセルの中で浮かんで眠っている少女を見る。
へその緒はまだついていて、緒が人工のケーブルに繋がり上のタンクに繋がっている。
「てっきり男だと思っていたが…。」
「この子はY染色体を持っている子だからね…。」
「は?どう見ても女だろう」
股間部を見るが、男にあるべき物が付いていない…間違いなく女だ。
「その娘は、私と同じ3重螺旋の遺伝子構造を持つ娘なのよ…。」
トヨカズが声の方向を向く…。
そこにいたのは 10歳位の少女で、研究室のソファーに足を汲んで座り、カプセルの中の少女を見ている…。
「アンタは?」
オレは 鋭い目つきの少女に聞く。
「私は、レナ…この娘の遺伝子提供者…。」
英語で話す少女の言葉を翻訳アプリが リアルタイムでトニー王国語に変換され耳に入る…。
良く見ると顔、腕や足の皮膚にナイフによる細かな傷が付いていて、その年に似合わない戦場をくぐり抜けてきた歴戦に兵士を思わせる威圧感を放つレナの声にトヨカズは少し驚く。
「あ~って事はオレの嫁か?
まぁ恋愛感情とかは抜きにして仲良くやろうぜ…。」
オレは この威圧感を拭き飛ばすように 場違いに明るくレナに握手を求める。
「いえ…ここで会うのが最後よ。
私は私の遺伝子と、この娘を売ったの…。
私の生活の為にね…。」
レナは淡々と言う。
「売った?」
「その娘…レナ・トニー…俺の娘なんだけど「私は、アンタを父親だと思っていないし、トニーを受け継ぐ気も無い…ただのレナよ。」
アントニーの言葉にレナが被せて言う。
「はいはい…じゃあ俺が身元引受人をやっている ただのレナさんは、特殊遺伝子持ちでね…。
三重螺旋構造の遺伝子を持っているんだ。」
「はぁ?遺伝子は二重螺旋構造だろ…つか人でいるのか?」
「実際いるから いるんだろうね…。
この子の親は分からないんだけど…その親がどっかの技術が進んだ都市で3重螺旋遺伝子に改造されて生まれたのだろうね。」
「それで、この子がY染色体を持っているってのは?」
「それは本当…この子は XXYの遺伝子を持っているのね…ちなみにレナはXXXつまり…。」
「Y染色体の補修が出来る…。」
「そう言う事…。
ちなみにシミュレーション上では XYYで男が生まれると結果が出ているけど…。
こればかりは この子に自然出産して貰うまで実証は出来ないからね…5年後か10年後か…。
ああ言っとくけど…無理やり産ませる気も無いし、相手も選ばせるつもりだよ…。
無理やりは法で禁じられているしね…。」
「アンタに良識があって本当に良かったよ…で出産?はいつだ?」
「今朝の検査でパスしたから来週中て所かな…。
それまでに この子の名前を考えといてね。」
「名前ね~」
オレは この場で決めようと少し考える。
レナは もう会わないって言ってるしな…。
オレはレナを見るが「私は遺伝子提供者であってこの娘の親じゃない…あなたが決めなさい。」と言う。
「ふむ…。
トヨカズとレナだから…。
トヨレ…トヨナ…レトヨ…ナトヨ
う~ん…人っぽくないな…。
カズレ…カズナ…カズナ…良いなそれ、じゃあオマエは今日から『カズナ』だ。」
トヨカズがカプセルの中の少女…カズナに言う。
「カズナね…それじゃあ私は寮に帰るわ…バスタクで帰るから迎えは要らない。」
レナはそう言うとセキュリティカードをドアの端末にスキャンさせ、スライドドアを開かせる。
「ああ…たまには家に帰っておいで…。」
「あそこは私の家じゃない…。
週末に一度、顔を見せに行く…それでいい?」
「ああ…今の所はね…。」
「それじゃあ」
スライドドアが閉じる…。
「さぁて、知らぬ間に子持ちになってたが…やさぐれママは当てに出来ないからな…。
せいぜい立派なパパをやらないと…。」
この娘の面倒は都市が見てくるから こっちの生活には影響は無い。
オレの親のようにストーカー気味の過保護にならず、困った時に何でも相談できる。
そう言う理想の親に成《な》りたいと思っている。
「それじゃあカズナ、次はカプセルから出る時な…。」
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