86 / 207
ヒトのキョウカイ3巻(時給より安い命)
26 (対応進化)
しおりを挟む
既に海岸線に部隊配置が終了しており、後方のドラムキング部隊も位置についている…。
エアトラS2が後部ハッチが開き、プロペラ機状態で急速降下する…。
『行きますよ…カウント…5…4…3…2…1…投下、投下』
機体が急激に斜め上に傾き、DLを載せてあるパレットの中のタイヤが重力に引きずられ、パレット事DLが落ちる…高度は20m程。
黒鋼のナオ機は背中を丸めて落ち、転がって衝撃を受け流し、すぐに体勢を立て直し、銃を構えポイントの安全を確保。
少し遅れ、炎龍のトヨカズ機が背中から落ちる。
黒鋼の様に 猫背ではない炎龍は尻もちを付き、衝撃を耐弾ジェルが受け止め熱に変換する。
「どうにか間に合ったな…」
「降下成功…」
上を見るとエアトラS2が旋回を始め。ピースクラフト都市に向かって加速を初めて行った。
戦力は2個中隊…と2機…。
おまけに すり合わせの演習すらしてないので仲間の正確な動きを把握していない。
ナオの機体がワームの進行だと告げ…カウントダウンをし始める…。
「カウント10で後退…ワームを海面から引き寄せる。」
海中への砲撃は見た目が派手だが 水の抵抗で大幅に威力が下がる為、海上に引きずり出す必要がある。
「30…20…10今!!」
全機が後退し始め、ワームが引き寄せられる…。
海岸線は水しぶきが飛び…次々とワームが出てくる…まるでワームの津波だ。
「まだ…発砲はするな…2万を海中から出すぞ…。」
ドラムキングの射撃は海岸線ギリギリに狙いを付けていて、ワームの部隊の後から刈り取って行く作戦だ。
ワームの足が遅い…横一列にワーム2匹分の間を開けて、ゆっくりと足並みをそろえて近寄ってくる…。
「体当たりじゃない…何かある。」
『ああ、何かあるな…。』
トヨカズが言う。
DL部隊は警戒し、盾を構え発砲はしない…。
目の前にワームがせまり、トリガーを引けないストレスを必死に押し殺す。
『そろそろ…最後尾のはずだ…。』
今度はクオリアだ。
最後尾が砂浜に出た。
『作戦開始、作戦開始、作戦開始』
『作戦開始を了解…砲撃支援に移ります。』
クオリアが作戦の開始を合図し、砲撃部隊を管理しているアドミが言う。
コイルガンの曲射弾道で放たれた砲弾が最後尾のワームに命中…砲弾が爆発し、周辺のワームが吹き飛んだ。
セムテックスを内蔵した砲弾だ。
爆発と同時に中の散弾が飛び散り、仕留められないまでもワームに確実にダメージを与える。
後ろでの爆発に反応し 追い立てられるようにワームのスピードが上がった。
DL部隊が土の壁を盾にワームの足を撃ち抜き、転ばせて行く…ここまでは前回と同じ。
後続が渋滞を始め、塹壕に落ちる。
DL部隊が接近戦をする為、距離を詰める…。
この位置だと先頭のワームの甲羅が邪魔して、後続を撃てないからだ。
ナオ機は、シャベルでワームを切り付け…撃つ。
ワームを踏みつけ ロングジャンプで滑空し、更に後続を見る。
今までとは違い、半分以上は先頭の個体に釣られていない…何かあるはず。
空中で後続のワームを確認…。
機体システムがナオの意思を読み取りワームを拡大する。
ワームの背中にパイプ状の物が2つ…2連装砲?て事は…。
「全員ワームを盾にしつつ退避」
後続のワームが一斉に砲を放った…。
その砲弾は先頭のワームと戦っていたDL部隊に降り注ぐ。
数機のDLがシールドでガードする…。
大口径の砲弾を受け止め、瞬時に衝撃には耐えきれ無いとシールドが判断し爆発反応盾自体が爆発して砲弾を拭き飛ばし機体を守る。
爆発と同時にDLが盾を捨て、後方に向かって退避…するが2発目の一斉掃射で被弾し半個中隊が大破…。
「2連装砲だと!
警告が出なかったぞ…クオリア!」
『初見だから無理だ…。
今 敵の発射傾向を解析中…自力で避けてくれ。』
「な事言ったって…。」
ナオ機が大破したDLを援護し、同じ小隊が速やかに大破機のコクピットブロックを回収する。
仲間の援護を受けつつ少し後方まで持って行き、コクピットブロックを置き、また前線に向かう。
コクピットブロックの装甲がパージされ中からコクピットと一体化したバギーが現れ、パイロットが全速力でその場を離脱する。
撃破された機体で使えるマガジンなどの消耗品は即座にDLに回収され使用される。
ナオ機は大きく左右に水平移動しながら、近づく…オレは 拡大された大砲付きワームを睨《にら》みつける…。
こちらを狙っているが、砲身の旋回は無し…。
照準にはワームごと向きを変えている…装填時間は?
敵の一斉掃射…ナオ機はロングジャンプで真上に回避…数秒置き、2発目が放たれる。
やっぱり…水平射撃しか出来ないか…。
「クオリア…インターバルは?」
『30秒ごとに2発…弾の軌道からして命中精度が低い…ライフリング加工はされてい無いもよう…。』
「となると近寄るべきだな…」
次弾発射まで残り20秒…可能な限り接近し潰すしかない。
ナオ機を先頭に 他のDLも接近戦が有効と判断し、全速力で接近する。
かなり優秀だな。
こちらの接近を感知しワームの行動に変化…インターバル中のワームが一斉に横にずれる。
後ろのワームが足並みをそろえ一斉に前進し…停止…マズイ。
「各機、間隔を取れ!!」
1列目のワームが横にずれ、2列目のワームが発砲…2列目のワームが横にずれ、3列目…。
小隊ごとの陣形が維持できず…味方機を回収して下がる者、必死に回避し連携が出来ない者が圧倒的に多い。
その中で単独でワームに向かって進む機体も数機ある…Sランク以上のエースパイロットだ。
奴らは後退した所でジリ貧になると理解し、更に速度を上げワームに突っ込む。
「戦列歩兵かよ…」
敵の動きは明らかにマスケット銃を使う、戦列歩兵の動きだ。
これじゃあインターバルが意味を成さない。
『各機発射タイミングが分かった…フォースネットにアップロードする。』
すぐさま、警告がなり、相手の発射位置からおおよそのポイントを割り出す。
目の前が、散乱銃を向けられている見たいに広範囲に赤い予測線が出る。
「範囲広すぎだろう」
ナオ機は多少余裕を持って 弾を回避する。
『相手の砲撃が真っすぐに飛ばないんだ…ある程度ランダム性が出てくる。』
「無事な機体はワームに接近戦を仕掛けろ…敵の陣形を崩せばチャンスはある。」
1匹、1匹の命中率は低いが横に並ばれてる為、回避が難しくなっている。
なら一ヵ所に大穴を開けて、安全地帯を作る事が最優先だ。
実際、マスケット銃兵は高速で突撃してくる騎兵の強行突破には敵わない。
ナオ機がワームにたどり着き、シャベルで切り裂き、次弾の発射を止める。
残ったワームの一斉掃射が始まるが…ナオが開けた射線が安全地帯になり、DLが集《あつま》り回避する。
ナオ機はロングジャンプで飛び、フルオートに切り替えワームの背中を発砲…火器管制システムが瞬時にワームの背中を判断し、腕が小刻みに揺れる。
その小刻みで動く銃だが、的確にワームの背中に命中させ、陣形を崩す。
上からの攻撃には弱い…砲身が固定されている為、斜め上に向ける事は出来ない見たいだ。
行ける…ナオ機はワームを踏み台にしてロングジャンプし更に広範囲のワームを排除する。
ナオ機の開けた穴からDLが続々侵入し、ワームを側面から撃ち傷口を広げていく。
その数6機…ワームが密集している為、回避が出来る訳も無く、当てやすい…。
ドラムキングの砲撃が徹甲弾に変わり、こちらの進路のすぐ隣のワームを撃墜していく。
こんなに近くだと言うのにFF警告も出ない正確な射撃。
ナオ機と即席で組んでいるDL小隊がワームの大群を抜け、背後に周って一斉に射撃を始める。
装甲の無いケツ部分を撃たれ、ワームは成す術《すべ》がない…。
ワームの前方部隊にセムテックスの砲弾で砲撃がされ、ワームの砲が一時的に止む…。
それでも、すぐさま陣形を立て直し撃つ…。
マスケット銃兵なら陣形が崩れた時点で四方八方に散らばり、掃討戦になっているはずだ…。
だが、個体自体の価値が無く、集団で生きるワームには関係ない…。
ナオとDL小隊は 持てる限りの弾を正確セミオートで撃ち、ワームを減らす…。
ワームの砲がこちらを向く前に削り切る!!
「こちらナオ臨時小隊…敵の後方から掃討中…残弾がワンマガジンになるまで削る。」
「こちらトヨカズ…。
部隊壊滅…残存戦力を集結中」
トヨカズ機のスナイパーライフルが、味方機を狙うワームの砲を正確撃つ。
敵の命中精度が低いおかげか、ナオ機が陣形を崩した後は比較的どうにかなっている。
味方のコクピットの回収を優先させつつ、全力でワームの砲撃を避ける。
ワームの弾は爆発しない質量弾だ…それに射角の問題もあり水平にしか撃てない。
ならと、塹壕にはまっているワームを退かし塹壕に潜り上半身だけを出して撃つ…。
回避は出来ないが被弾面積が大幅に減ったし、止まった事で射撃精度も向上している。
「もっと積んでおけば良かったな…。」
大口径弾が入っている最後のマガジンを残し、撃墜されたDLから回収した通常弾を装填し撃つ。
コイルガンはバレル内で弾を浮かせた状態で発射する為、口径が小さい弾でも撃てる。
ただ、質量が小さい為、与えるダメージが低くなるはずだが、AQBのおかげで無理やり電力を上げて速度を稼ぐ事が出来 威力を上げている。
前方のワームを撃ち、後方が止まり、横に移動…それも撃ち抜き、ワーム自体の死骸でバリケードを作り、こっちが死骸で射線が通らなくなれば、アドミに砲撃要請をする。
立て直そうとしていたワームが正確な砲撃で吹き飛ぶ。
そうする事で、わざわざ接近戦をしなくても後続部隊を削る事が出来る。
DLの部隊の立て直し中に出来る事はこの位だ。
「どうにか耐えられるか?」
とは言え、砲有りのワームの駆除を優先した為、砲無しのワームの大群がピースクラフト都市に向かっているのだが…。
「最終防衛ライン…クオリアどうなってる?」
「こちらクオリア、砲無しワームと交戦中…損害無し、砲無しワームは素通りさせて構わない。
散発的な戦闘でハルミが暇している。」
ピースクラフトに近い最終防衛ライン…。
ここを守るのは、クオリア、ハルミチームとジガ、ロウチームだ。
ワームの数はそれなりに多いが、一度に相手する数は1~2匹で広範囲をカバーする為、バディとは間隔を開けて迎撃をしている。
弾の供給が出来る分、接近戦をせずに出来るので楽だ…と言っても、前線に行きピースクラフト都市を無防備にさせるにはいかないので、ナオ達のサポートは出来ないのだが…。
「味方の信号を確認…脱出用バギー」
撃墜され撤退してきた6台のバギーがワームを引き連れる。
スピーダーに乗るクオリアは ワームにボックスライフルを向ける。
射線には味方がいるが、こちらがライフルを向けられた事で気づいたのか急カーブし、ワームの囮になり、クオリア機にワームの側面をさらす。
クオリア機の正確な射撃でワームの側面を撃ち抜き仕留める。
バギーのパイロットはクオリア機に手を振り、ピースクラフトに向かって加速する。
『アドミからクオリアさんへ…私を含め1個中隊をピースクラフトの防衛に回します。』
「クオリアからアドミへ…君らの進入は条約で禁止されているのでは?」
『ええ、ですが…『第一条には ロボットは人類に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、人類に危害を及ぼしてはならない。』とあります…。
我々のマスターの子孫であるピースクラフト都市の住民を見過ごす訳には行きません。
行ってください…前線には あなた達が必要です。』
「感謝する…アドミ…。
全機へこれよりクオリア小隊は前線に向かう…。
以降の防衛ラインはアドミ中隊が担当する。」
『ジガ、ロウ、了解…今相手をしている群れを始末したら行く。』
ベックとスピーダーの場合スピードに差が出る。
ベックの二人には後で来てもらうのが良いだろう。
「分かった。ハルミ…行けるか…。」
『ああ問題ない…。』
スピーダーのクオリア機とハルミ機が全速力で前線に向かった。
「はぁはぁ」
ナオ臨時小隊が壊滅し、残ったのはナオ機だけだ…。
各機コクピットブロックは無事で、海に逃げろと言ったので多分大丈夫だろうが…。
ナオ機は左右の腕のハードポイントにボックスライフル…左右の腰にボックスライフル…そして両手には2本のシャベル…全員ワンマガジンまで使い切り、ラストマガジンが装着済みのボックスライフルを回収した。
砲撃支援は続いているが、ナオ機はワームに包囲されつつある。
ワームは味方が射線にいる場合は砲撃が出来ない…個体に価値が無いとは言っても敵味方識別装置は付いている見たいだ。
その為、ワームを盾にしつつ戦闘をしていた事もあり、囲まれてしまう。
「お前らが最後か?」
トヨカズの方に行った部隊を除けばこれでラストだ。
ナオ機を中心に500匹…やれないレベルでは無い…。
脱出ルートを確保しつつ、可能な限り減らす…。
ナオ機は 左右の腕に装備されているボックスライフルで全方位にいるワームを射撃…。
足に当たる物の、大部分は甲羅に当たる…。
(やっぱ、腕の精度が甘くなっている…。)
全方位から突撃してくるワームに対して、量子フライトユニットを使い、シャベルの刃を強化してワームの頑丈な甲羅を軽く切り裂く。
「次…」
ロングジャンプを行い射撃…無理やり射角を取ろうとしたワームを潰す。
ワームを蹴り上げ、更にロングジャンプし、滑空しながら撃つ。
戦闘で腕の精度が落ちて…それでもシステム側がそれを込みで修正をし、遂にカバー出来なくなり、射撃精度に支障が出て来ている。
とうとう銃弾がイメージしているポイントに当たらなくなってきた。
「それでも!」
至近から発砲されれば甲羅の上からでもダメージは入る。
撃墜され脱出した味方のバギーからワームを引き離しながら撃つ。
右腕ボックスライフル残弾0…すぐさまワームに投げつける。
小回りが利かないワームを切り裂きながらロングジャンプを続ける。
「流石エレクトロン製…。」
こんだけ動かしているのに、まだ脚部がイエローだ…。
通常の黒鋼だったらここまで動かせない。
左残弾0、右腰、左腰、残り僅《わず》か…。
『ナオ…回避しろよ…。』
いきなりトヨカズの声が聞こえ…ナオが少し笑みを浮かべ「了解…」と答える。
「ちゃんと狙えよ…撃て」
臨時編成のDL部隊…メンバーすら把握していないが…ナオ機を避けつつワームに当てる。
大部分のワームはナオが玉突き事故を誘発させた為、衝突を起こして身動きが取れない…。
そちらは仲間に任せ…ナオの退路を確保する。
「流石ナオ…あの状態で生き残れるのかよ…。」
『エレクトロン製の機体と量子フライトユニットが無かったら無理だった。』
ナオ機は残りの残弾を使いワームを減らし合流する。
「残弾0…補給出来るか?」
『ああ、ってもこっちも弾がねぇ…。
そろそろ撃ち止めだ…今クオリア達が向かっている。』
「防衛ラインは?」
『そっちはドラム達がやってる…。
オレらはクオリアと交代で防衛ラインに戻り補給…増援が無ければこれで終わりだ。』
「何とかなったな…」
『どうにかな』
「待たせた…前衛、後衛を入れ替える。」
クオリア機とハルミ機が、ナオ機とトヨカズ機の手にタッチをして交代をする。
更に後ろから追いかけてくるのは ジガとロウのチームだ。
『よっしゃあ暴れてやるぜ…と言っても、動かない的じゃな…。』
ハルミが身動きが取れなくなっているワームを駆除…その後ろでクオリアが分散した個体を丁寧に潰して行く。
ロウ機とジガ機も加わり、後10分もしない内に片付くだろう…。
ん?海中より感あり…増援?でも方角が…。
まさか…陽動?
「クオリアから警告?
海中から高速でピースクラフトに接近中…数12…海中で音速を越えている?」
ナオがデータを見て驚く。
『スーパーキャビテーションだな…DLじゃ魚雷に対応出来ない…とは言え当たっても大した事は無いだろうが…。』
ピースクラフトの大半が地上で崖を攻撃するには威力が足りない。
「海面から飛翔…水空両用の戦闘機?」
『迎撃間に合うか?』
『やってみますが…。』
アドミが言う。
ヴァララララララララララ…。
ドラムキング12機がフルオートで戦闘機の軌道に弾幕を張る…。
1マガジン120発×2丁持ち×12機…計、2880発が放たれる。
1機…2機…3機。
『3機撃墜…残弾ゼロ…侵入されます。』
エアドームを突き破り9機が音速を超える速度で突入した。
エアトラS2が後部ハッチが開き、プロペラ機状態で急速降下する…。
『行きますよ…カウント…5…4…3…2…1…投下、投下』
機体が急激に斜め上に傾き、DLを載せてあるパレットの中のタイヤが重力に引きずられ、パレット事DLが落ちる…高度は20m程。
黒鋼のナオ機は背中を丸めて落ち、転がって衝撃を受け流し、すぐに体勢を立て直し、銃を構えポイントの安全を確保。
少し遅れ、炎龍のトヨカズ機が背中から落ちる。
黒鋼の様に 猫背ではない炎龍は尻もちを付き、衝撃を耐弾ジェルが受け止め熱に変換する。
「どうにか間に合ったな…」
「降下成功…」
上を見るとエアトラS2が旋回を始め。ピースクラフト都市に向かって加速を初めて行った。
戦力は2個中隊…と2機…。
おまけに すり合わせの演習すらしてないので仲間の正確な動きを把握していない。
ナオの機体がワームの進行だと告げ…カウントダウンをし始める…。
「カウント10で後退…ワームを海面から引き寄せる。」
海中への砲撃は見た目が派手だが 水の抵抗で大幅に威力が下がる為、海上に引きずり出す必要がある。
「30…20…10今!!」
全機が後退し始め、ワームが引き寄せられる…。
海岸線は水しぶきが飛び…次々とワームが出てくる…まるでワームの津波だ。
「まだ…発砲はするな…2万を海中から出すぞ…。」
ドラムキングの射撃は海岸線ギリギリに狙いを付けていて、ワームの部隊の後から刈り取って行く作戦だ。
ワームの足が遅い…横一列にワーム2匹分の間を開けて、ゆっくりと足並みをそろえて近寄ってくる…。
「体当たりじゃない…何かある。」
『ああ、何かあるな…。』
トヨカズが言う。
DL部隊は警戒し、盾を構え発砲はしない…。
目の前にワームがせまり、トリガーを引けないストレスを必死に押し殺す。
『そろそろ…最後尾のはずだ…。』
今度はクオリアだ。
最後尾が砂浜に出た。
『作戦開始、作戦開始、作戦開始』
『作戦開始を了解…砲撃支援に移ります。』
クオリアが作戦の開始を合図し、砲撃部隊を管理しているアドミが言う。
コイルガンの曲射弾道で放たれた砲弾が最後尾のワームに命中…砲弾が爆発し、周辺のワームが吹き飛んだ。
セムテックスを内蔵した砲弾だ。
爆発と同時に中の散弾が飛び散り、仕留められないまでもワームに確実にダメージを与える。
後ろでの爆発に反応し 追い立てられるようにワームのスピードが上がった。
DL部隊が土の壁を盾にワームの足を撃ち抜き、転ばせて行く…ここまでは前回と同じ。
後続が渋滞を始め、塹壕に落ちる。
DL部隊が接近戦をする為、距離を詰める…。
この位置だと先頭のワームの甲羅が邪魔して、後続を撃てないからだ。
ナオ機は、シャベルでワームを切り付け…撃つ。
ワームを踏みつけ ロングジャンプで滑空し、更に後続を見る。
今までとは違い、半分以上は先頭の個体に釣られていない…何かあるはず。
空中で後続のワームを確認…。
機体システムがナオの意思を読み取りワームを拡大する。
ワームの背中にパイプ状の物が2つ…2連装砲?て事は…。
「全員ワームを盾にしつつ退避」
後続のワームが一斉に砲を放った…。
その砲弾は先頭のワームと戦っていたDL部隊に降り注ぐ。
数機のDLがシールドでガードする…。
大口径の砲弾を受け止め、瞬時に衝撃には耐えきれ無いとシールドが判断し爆発反応盾自体が爆発して砲弾を拭き飛ばし機体を守る。
爆発と同時にDLが盾を捨て、後方に向かって退避…するが2発目の一斉掃射で被弾し半個中隊が大破…。
「2連装砲だと!
警告が出なかったぞ…クオリア!」
『初見だから無理だ…。
今 敵の発射傾向を解析中…自力で避けてくれ。』
「な事言ったって…。」
ナオ機が大破したDLを援護し、同じ小隊が速やかに大破機のコクピットブロックを回収する。
仲間の援護を受けつつ少し後方まで持って行き、コクピットブロックを置き、また前線に向かう。
コクピットブロックの装甲がパージされ中からコクピットと一体化したバギーが現れ、パイロットが全速力でその場を離脱する。
撃破された機体で使えるマガジンなどの消耗品は即座にDLに回収され使用される。
ナオ機は大きく左右に水平移動しながら、近づく…オレは 拡大された大砲付きワームを睨《にら》みつける…。
こちらを狙っているが、砲身の旋回は無し…。
照準にはワームごと向きを変えている…装填時間は?
敵の一斉掃射…ナオ機はロングジャンプで真上に回避…数秒置き、2発目が放たれる。
やっぱり…水平射撃しか出来ないか…。
「クオリア…インターバルは?」
『30秒ごとに2発…弾の軌道からして命中精度が低い…ライフリング加工はされてい無いもよう…。』
「となると近寄るべきだな…」
次弾発射まで残り20秒…可能な限り接近し潰すしかない。
ナオ機を先頭に 他のDLも接近戦が有効と判断し、全速力で接近する。
かなり優秀だな。
こちらの接近を感知しワームの行動に変化…インターバル中のワームが一斉に横にずれる。
後ろのワームが足並みをそろえ一斉に前進し…停止…マズイ。
「各機、間隔を取れ!!」
1列目のワームが横にずれ、2列目のワームが発砲…2列目のワームが横にずれ、3列目…。
小隊ごとの陣形が維持できず…味方機を回収して下がる者、必死に回避し連携が出来ない者が圧倒的に多い。
その中で単独でワームに向かって進む機体も数機ある…Sランク以上のエースパイロットだ。
奴らは後退した所でジリ貧になると理解し、更に速度を上げワームに突っ込む。
「戦列歩兵かよ…」
敵の動きは明らかにマスケット銃を使う、戦列歩兵の動きだ。
これじゃあインターバルが意味を成さない。
『各機発射タイミングが分かった…フォースネットにアップロードする。』
すぐさま、警告がなり、相手の発射位置からおおよそのポイントを割り出す。
目の前が、散乱銃を向けられている見たいに広範囲に赤い予測線が出る。
「範囲広すぎだろう」
ナオ機は多少余裕を持って 弾を回避する。
『相手の砲撃が真っすぐに飛ばないんだ…ある程度ランダム性が出てくる。』
「無事な機体はワームに接近戦を仕掛けろ…敵の陣形を崩せばチャンスはある。」
1匹、1匹の命中率は低いが横に並ばれてる為、回避が難しくなっている。
なら一ヵ所に大穴を開けて、安全地帯を作る事が最優先だ。
実際、マスケット銃兵は高速で突撃してくる騎兵の強行突破には敵わない。
ナオ機がワームにたどり着き、シャベルで切り裂き、次弾の発射を止める。
残ったワームの一斉掃射が始まるが…ナオが開けた射線が安全地帯になり、DLが集《あつま》り回避する。
ナオ機はロングジャンプで飛び、フルオートに切り替えワームの背中を発砲…火器管制システムが瞬時にワームの背中を判断し、腕が小刻みに揺れる。
その小刻みで動く銃だが、的確にワームの背中に命中させ、陣形を崩す。
上からの攻撃には弱い…砲身が固定されている為、斜め上に向ける事は出来ない見たいだ。
行ける…ナオ機はワームを踏み台にしてロングジャンプし更に広範囲のワームを排除する。
ナオ機の開けた穴からDLが続々侵入し、ワームを側面から撃ち傷口を広げていく。
その数6機…ワームが密集している為、回避が出来る訳も無く、当てやすい…。
ドラムキングの砲撃が徹甲弾に変わり、こちらの進路のすぐ隣のワームを撃墜していく。
こんなに近くだと言うのにFF警告も出ない正確な射撃。
ナオ機と即席で組んでいるDL小隊がワームの大群を抜け、背後に周って一斉に射撃を始める。
装甲の無いケツ部分を撃たれ、ワームは成す術《すべ》がない…。
ワームの前方部隊にセムテックスの砲弾で砲撃がされ、ワームの砲が一時的に止む…。
それでも、すぐさま陣形を立て直し撃つ…。
マスケット銃兵なら陣形が崩れた時点で四方八方に散らばり、掃討戦になっているはずだ…。
だが、個体自体の価値が無く、集団で生きるワームには関係ない…。
ナオとDL小隊は 持てる限りの弾を正確セミオートで撃ち、ワームを減らす…。
ワームの砲がこちらを向く前に削り切る!!
「こちらナオ臨時小隊…敵の後方から掃討中…残弾がワンマガジンになるまで削る。」
「こちらトヨカズ…。
部隊壊滅…残存戦力を集結中」
トヨカズ機のスナイパーライフルが、味方機を狙うワームの砲を正確撃つ。
敵の命中精度が低いおかげか、ナオ機が陣形を崩した後は比較的どうにかなっている。
味方のコクピットの回収を優先させつつ、全力でワームの砲撃を避ける。
ワームの弾は爆発しない質量弾だ…それに射角の問題もあり水平にしか撃てない。
ならと、塹壕にはまっているワームを退かし塹壕に潜り上半身だけを出して撃つ…。
回避は出来ないが被弾面積が大幅に減ったし、止まった事で射撃精度も向上している。
「もっと積んでおけば良かったな…。」
大口径弾が入っている最後のマガジンを残し、撃墜されたDLから回収した通常弾を装填し撃つ。
コイルガンはバレル内で弾を浮かせた状態で発射する為、口径が小さい弾でも撃てる。
ただ、質量が小さい為、与えるダメージが低くなるはずだが、AQBのおかげで無理やり電力を上げて速度を稼ぐ事が出来 威力を上げている。
前方のワームを撃ち、後方が止まり、横に移動…それも撃ち抜き、ワーム自体の死骸でバリケードを作り、こっちが死骸で射線が通らなくなれば、アドミに砲撃要請をする。
立て直そうとしていたワームが正確な砲撃で吹き飛ぶ。
そうする事で、わざわざ接近戦をしなくても後続部隊を削る事が出来る。
DLの部隊の立て直し中に出来る事はこの位だ。
「どうにか耐えられるか?」
とは言え、砲有りのワームの駆除を優先した為、砲無しのワームの大群がピースクラフト都市に向かっているのだが…。
「最終防衛ライン…クオリアどうなってる?」
「こちらクオリア、砲無しワームと交戦中…損害無し、砲無しワームは素通りさせて構わない。
散発的な戦闘でハルミが暇している。」
ピースクラフトに近い最終防衛ライン…。
ここを守るのは、クオリア、ハルミチームとジガ、ロウチームだ。
ワームの数はそれなりに多いが、一度に相手する数は1~2匹で広範囲をカバーする為、バディとは間隔を開けて迎撃をしている。
弾の供給が出来る分、接近戦をせずに出来るので楽だ…と言っても、前線に行きピースクラフト都市を無防備にさせるにはいかないので、ナオ達のサポートは出来ないのだが…。
「味方の信号を確認…脱出用バギー」
撃墜され撤退してきた6台のバギーがワームを引き連れる。
スピーダーに乗るクオリアは ワームにボックスライフルを向ける。
射線には味方がいるが、こちらがライフルを向けられた事で気づいたのか急カーブし、ワームの囮になり、クオリア機にワームの側面をさらす。
クオリア機の正確な射撃でワームの側面を撃ち抜き仕留める。
バギーのパイロットはクオリア機に手を振り、ピースクラフトに向かって加速する。
『アドミからクオリアさんへ…私を含め1個中隊をピースクラフトの防衛に回します。』
「クオリアからアドミへ…君らの進入は条約で禁止されているのでは?」
『ええ、ですが…『第一条には ロボットは人類に危害を加えてはならない。
また、その危険を看過することによって、人類に危害を及ぼしてはならない。』とあります…。
我々のマスターの子孫であるピースクラフト都市の住民を見過ごす訳には行きません。
行ってください…前線には あなた達が必要です。』
「感謝する…アドミ…。
全機へこれよりクオリア小隊は前線に向かう…。
以降の防衛ラインはアドミ中隊が担当する。」
『ジガ、ロウ、了解…今相手をしている群れを始末したら行く。』
ベックとスピーダーの場合スピードに差が出る。
ベックの二人には後で来てもらうのが良いだろう。
「分かった。ハルミ…行けるか…。」
『ああ問題ない…。』
スピーダーのクオリア機とハルミ機が全速力で前線に向かった。
「はぁはぁ」
ナオ臨時小隊が壊滅し、残ったのはナオ機だけだ…。
各機コクピットブロックは無事で、海に逃げろと言ったので多分大丈夫だろうが…。
ナオ機は左右の腕のハードポイントにボックスライフル…左右の腰にボックスライフル…そして両手には2本のシャベル…全員ワンマガジンまで使い切り、ラストマガジンが装着済みのボックスライフルを回収した。
砲撃支援は続いているが、ナオ機はワームに包囲されつつある。
ワームは味方が射線にいる場合は砲撃が出来ない…個体に価値が無いとは言っても敵味方識別装置は付いている見たいだ。
その為、ワームを盾にしつつ戦闘をしていた事もあり、囲まれてしまう。
「お前らが最後か?」
トヨカズの方に行った部隊を除けばこれでラストだ。
ナオ機を中心に500匹…やれないレベルでは無い…。
脱出ルートを確保しつつ、可能な限り減らす…。
ナオ機は 左右の腕に装備されているボックスライフルで全方位にいるワームを射撃…。
足に当たる物の、大部分は甲羅に当たる…。
(やっぱ、腕の精度が甘くなっている…。)
全方位から突撃してくるワームに対して、量子フライトユニットを使い、シャベルの刃を強化してワームの頑丈な甲羅を軽く切り裂く。
「次…」
ロングジャンプを行い射撃…無理やり射角を取ろうとしたワームを潰す。
ワームを蹴り上げ、更にロングジャンプし、滑空しながら撃つ。
戦闘で腕の精度が落ちて…それでもシステム側がそれを込みで修正をし、遂にカバー出来なくなり、射撃精度に支障が出て来ている。
とうとう銃弾がイメージしているポイントに当たらなくなってきた。
「それでも!」
至近から発砲されれば甲羅の上からでもダメージは入る。
撃墜され脱出した味方のバギーからワームを引き離しながら撃つ。
右腕ボックスライフル残弾0…すぐさまワームに投げつける。
小回りが利かないワームを切り裂きながらロングジャンプを続ける。
「流石エレクトロン製…。」
こんだけ動かしているのに、まだ脚部がイエローだ…。
通常の黒鋼だったらここまで動かせない。
左残弾0、右腰、左腰、残り僅《わず》か…。
『ナオ…回避しろよ…。』
いきなりトヨカズの声が聞こえ…ナオが少し笑みを浮かべ「了解…」と答える。
「ちゃんと狙えよ…撃て」
臨時編成のDL部隊…メンバーすら把握していないが…ナオ機を避けつつワームに当てる。
大部分のワームはナオが玉突き事故を誘発させた為、衝突を起こして身動きが取れない…。
そちらは仲間に任せ…ナオの退路を確保する。
「流石ナオ…あの状態で生き残れるのかよ…。」
『エレクトロン製の機体と量子フライトユニットが無かったら無理だった。』
ナオ機は残りの残弾を使いワームを減らし合流する。
「残弾0…補給出来るか?」
『ああ、ってもこっちも弾がねぇ…。
そろそろ撃ち止めだ…今クオリア達が向かっている。』
「防衛ラインは?」
『そっちはドラム達がやってる…。
オレらはクオリアと交代で防衛ラインに戻り補給…増援が無ければこれで終わりだ。』
「何とかなったな…」
『どうにかな』
「待たせた…前衛、後衛を入れ替える。」
クオリア機とハルミ機が、ナオ機とトヨカズ機の手にタッチをして交代をする。
更に後ろから追いかけてくるのは ジガとロウのチームだ。
『よっしゃあ暴れてやるぜ…と言っても、動かない的じゃな…。』
ハルミが身動きが取れなくなっているワームを駆除…その後ろでクオリアが分散した個体を丁寧に潰して行く。
ロウ機とジガ機も加わり、後10分もしない内に片付くだろう…。
ん?海中より感あり…増援?でも方角が…。
まさか…陽動?
「クオリアから警告?
海中から高速でピースクラフトに接近中…数12…海中で音速を越えている?」
ナオがデータを見て驚く。
『スーパーキャビテーションだな…DLじゃ魚雷に対応出来ない…とは言え当たっても大した事は無いだろうが…。』
ピースクラフトの大半が地上で崖を攻撃するには威力が足りない。
「海面から飛翔…水空両用の戦闘機?」
『迎撃間に合うか?』
『やってみますが…。』
アドミが言う。
ヴァララララララララララ…。
ドラムキング12機がフルオートで戦闘機の軌道に弾幕を張る…。
1マガジン120発×2丁持ち×12機…計、2880発が放たれる。
1機…2機…3機。
『3機撃墜…残弾ゼロ…侵入されます。』
エアドームを突き破り9機が音速を超える速度で突入した。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
Unlimited Possibilities Online
勾陣
SF
超人気VRMMO【Unlimited Possibilities Online】専用のヘッドギアを、気まぐれに応募した懸賞でうっかり手に入れてしまった主人公がのんびりと?‥マイペースで楽しむお話し?
※R15、残酷な描写ありは保険です
初投稿です
作者は超絶遅筆です
督促されても更新頻度が上がることはありません
カクヨム様、小説家になろう様にも重複投稿してます
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
VRMMOで神様の使徒、始めました。
一 八重
SF
真崎宵が高校に進学して3ヶ月が経過した頃、彼は自分がクラスメイトから避けられている事に気がついた。その原因に全く心当たりのなかった彼は幼馴染である夏間藍香に恥を忍んで相談する。
「週末に発売される"Continued in Legend"を買うのはどうかしら」
これは幼馴染からクラスメイトとの共通の話題を作るために新作ゲームを勧められたことで、再びゲームの世界へと戻ることになった元動画配信者の青年のお話。
「人間にはクリア不可能になってるって話じゃなかった?」
「彼、クリアしちゃったんですよね……」
あるいは彼に振り回される運営やプレイヤーのお話。
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~
NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。
「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」
完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。
「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。
Bless for Travel
そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。
僕の家族は母様と母様の子供の弟妹達と使い魔達だけだよ?
闇夜の現し人(ヤミヨノウツシビト)
ファンタジー
ー 母さんは、「絶世の美女」と呼ばれるほど美しく、国の中で最も権力の強い貴族と呼ばれる公爵様の寵姫だった。
しかし、それをよく思わない正妻やその親戚たちに毒を盛られてしまった。
幸い発熱だけですんだがお腹に子が出来てしまった以上ここにいては危険だと判断し、仲の良かった侍女数名に「ここを離れる」と言い残し公爵家を後にした。
お母さん大好きっ子な主人公は、毒を盛られるという失態をおかした父親や毒を盛った親戚たちを嫌悪するがお母さんが日々、「家族で暮らしたい」と話していたため、ある出来事をきっかけに一緒に暮らし始めた。
しかし、自分が家族だと認めた者がいれば初めて見た者は跪くと言われる程の華の顔(カンバセ)を綻ばせ笑うが、家族がいなければ心底どうでもいいというような表情をしていて、人形の方がまだ表情があると言われていた。
『無能で無価値の稚拙な愚父共が僕の家族を名乗る資格なんて無いんだよ?』
さぁ、ここに超絶チートを持つ自分が認めた家族以外の生き物全てを嫌う主人公の物語が始まる。
〈念の為〉
稚拙→ちせつ
愚父→ぐふ
⚠︎注意⚠︎
不定期更新です。作者の妄想をつぎ込んだ作品です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる