50 / 207
ヒトのキョウカイ2巻(エンゲージネジを渡そう)
19 (見えないからこそ見えるもの)
しおりを挟む
ナオとクオリアは通路を進む。
通路を照らす灯りは 人感センサーがついているのか、オレの前後10mだけを照らし、歩くと後ろから灯りが消えていく。
『この部屋だ。』
クオリアは止まる。
頑丈なスライドドアの上にネームプレートがあり、そこには英語で『Morgue』と書かれている。
モ…ル…ゲ…いやグか?モルグ?見慣れない単語だな。
オレがネームプレートを見ているとMorgueの文字に赤の下線が入り、その下に日本語訳が出る。
確率の高い候補から、遺体安置所、資料室…多分資料室だな。
遺体安置所にいるならカナリアさんは死んでいる…。
もしかしたら検死官かもしれないが…。
「モルグ…資料室であってるか?」
「いや、遺体安置所の方だ。」
クオリアがスライドドアを開け、中に入る。
マジかよ…。
中に入った事でセンサーが反応し、モルグが明るくなる。
モルグは大型倉庫になっていて無数の倉庫棚に 前にエレクトロン大使館で見たメンテナンスベットが入っている…多分そこに遺体が入っている。
クオリアは 比較的扉の前にある1階のメンテナンスベットに向かう。
オレもクオリアの後について行き、メンテナンスベットの前に着く…。
クオリアに似た銀髪の長髪に白いワンピース着て、腹付近で手を組んで眠っている。
耳は人の耳で 彼女が人からアップロードした事を示している。
顔の血色は良く、とても遺体には思えない。
ただ1つ違和感があるのは目元の眼球の膨らみが無い事だ。
全盲なのか?
「hello~」
クオリアが多分カナリアさんに挨拶をする。
何ともやる気のない声だ。
「Qualia(クオリア)?」
「Yes, I's am Qualia, how are you?(そう、私 達はクオリア…ご機嫌いかが?)」
「Too boring and painful(退屈で辛いです。)」
クオリアとカナリアさんは、英語で喋っているが、同時に彼女達の声をサンプリングして合成され、英語と日本語の二重音声に聞こえる。
「1ヵ月間ずっと寝ていたのか?」
「ええ、やる事もありませんし…。」
「世間ではそれをニートと呼ぶ。」
更に流暢に聞こえ始めた…違和感はもうない。
「ニートでいいです。
私は動く動機そのものがありません…。」
カナリアさんは喋る事も億劫《おっくう》のようだ。
「なら動く動機を与える…私に歌を教えて欲しい。」
「歌?私はもう歌えませんよ」
「それでも良い…。
文化祭で作詞作曲をして歌う事になった。
カナリアの力が必要だ。」
「私の作った作曲アルゴリズムがあるでしょう…それを使って下さい。」
「今回は自分でアルゴリズムを作れとの事だ。」
「また縛りプレイですか…ムダな事を あれ以上に良い歌は作れませんよ」
声はしっかりしているが、若干やつれている感じがする。
「なら、それ以下だったら作れるのか…。」
「……ええ…まぁ作れますが…。」
「なら作ろう…引きこもっていても状況は改善もしないし発展もしない。」
「そちらの方は?」
何も発言していないのに顔がピンポイントでオレの方を向き…聞く。
「彼は『ナオ』私の予備義体を渡した者だ。」
「そう予備義体を…。
私の目はナオさんに受け継がれたのですか…。」
「そうなる…。」
「は?オレの目ってカナリアさんの目なのか?」
「そう、カナリアが私に譲り、それをナオに譲った。」
「いや…目をって譲モノなのか?あ~お返ししなくても?」
オレは少し慌てる…さすがに目をえぐり出すような事はしないが…。
「構いません…私にはいらない物ですから…。」
いらないって…。
「では、明日の8時にまた来る。
それまでに準備をしておいて欲しい。」
クオリアがカナリアに背を向けて、スライドドアに向かう。
「拒否権はないって訳ですか…。」
「退屈していたんだろ…良い暇つぶしじゃないか?」
スライドドアを開けて、クオリアとナオは通路に出た。
「なぁ…カナリアさんは、何で目を外したままなんだ?」
廊下を歩きながら、ナオがクオリアに話す。
「カナリアは 元々全盲の人だ。
今の科学でも彼女は救えない。」
「は?エレクトロンの科学でもか?
そんなに酷《ひど》いのか?」
オレが驚く…。
今まで『出来ない事は無い』と思う程、万能な科学力を持っているエレクトロンでも解決できない問題…。
「と言うよりカナリアの場合、見えたからマズいんだ。」
「?」
意味が分からない。
クオリアはオレにどう説明するか少し考えるそぶりをして…。
「そうだな…乳幼児の視力の話は知ってるか?」
「いや…確か視力が弱いんだっけか?その位しか知らない。」
「違う、目自体の性能は 大人のそれと大差ない…。
見えないのは、目があっても使い方がインストールされていないからだ。」
人の学習をドライバーと言うか…。
「あ~赤ん坊は目の使い方を学習しているって事か?」
「そう大体、生後1年で扱えるようになるんだが、カナリアは全盲だ。」
あーそうか。
「目の使い方を学習出来なかったのか…。」
「そうなる…しかも人の脳の凄い所は、耳や皮膚で見えるようになる事だ。」
「五感で欠けると他が鋭敏になるって話は聞くが、音や感触で映像化が出来るのか?」
「その映像も音と感触だ…。
つまり私達と見えているモノが根本的に違うんだ。
これはVRやARでも直せない…。
視覚を認識する器官が無いからだ。」
「だけど機械にアップロードすれば見えるんだろ」
機械で人の脳を再現出来れば、脳に障害があろうとも修復は出来る。
それはプログラムで再現可能だからだ。
「見える…でも音と感触だけの世界に視覚が入ってきた…。
自分が想っていたイメージとかなり違っていたらしい。
今まで音の世界で自分で作詞、作曲をしてネットアイドルとして歌ってたが、それ以降それまでのように歌えなくなった。」
「見えなくて創造していた世界が確定してしまったから?」
「そう…それ以降は音楽アルゴリズムの研究をし始め、理論値と最適解を見つけたら、私を設計して目を外した。
そして今では殆《ほとん》どあの中だ…だから、カナリアは私の顔を見ていない。」
「それがさとり病…」
「になる…やりたい事をすべてやり、目的を失ったヒトだ。
今ではVRに閉じこもったヒキコモリも含め、モルグにおおよそ、3000人がいる。
この都市の現実世界で生活しているエレクトロンが150人だ。」
「150…どうりででヒトを見かけない訳だ。」
ここに来るまで、通行人を一切見ていていない。
違和感を感じていたがこう言う事か…。
「その150人も基本自室にいる事が多い。」
「何か不健全な都市だな…。」
「仕方ない…現実世界の方が遥かに制約が多いし、仮想世界の方が遥かに快適だ。
だからこの都市での外出はVR空間の事を指す。」
「そんなヒキコモリ見たいな…。」
「私達は元々、人をサポートしてするのが目的のヒューマノイドだ。
それなのに、大戦で 奉仕対象は取り上げられて、存在理由そのものが無くなったんだ。
それから如何《どう》にか やって来ているが、欲求や目的を自己生成する事は 人に比べ遥《はる》かに難しい。」
「そんなに難しいものかね…。」
「うーん…そうだな…。
じゃあ12時間食事を取らなかったらナオはどうなる?」
「そりゃ腹が減るわーARで飯だな。」
アップロードしても元の脳の反応を忠実に完全再現している為、腹は減る。
「24時間、眠らなかったら」
「眠たくなるな…。」
我慢すれば眠気で意識が強制的に落ちる事はないが、眠くなるし睡眠も必要だ。
「車にぶつかり大怪我…。」
「救急車…あるのか?とりあえず病院に行く。」
「それが欲求だな…じゃあ今までの共通項は?」
「ん~身体関係?」
「そう、空腹は電気だな…睡眠はデフラグ…怪我したら修理。
それが満たされる環境は?」
そうか…なるほど。
「怪我をしないメンテナンスベットの中で給電しつつ寝る…か。」
「正解、身体の欲求はこれですべて 満たされる。」
「性欲、狩猟欲、支配欲、知識欲だったか…これは?」
「性行為はあくまで人とのコミュニケーションの手段…性欲がある訳じゃない。
狩猟欲は、元は食用の肉を調達する為のもの…私達の食料は電気なので関係ない。
支配欲は持ってない…元々奉仕する為に生まれた存在だからだ。
後は知識欲…これはネットに繋がっていれば十分…これがさとり病の原因だ。
そもそも欲求とは身体の状態を維持する為の物だ。
頑丈な身体で 自室にいるから破損リスクも少なく、発電も簡単なヒューマノイドに これ以外になんの欲求があるのか?」
「思いつかないな…なら、さとり病の解決策は?」
「新しい価値観を見つける事…ゲーム的に言うなら違うジャンルに挑戦すればいい…それでも一時しのぎだが…。
後は、自分のスペックを落とすこと…人レベルの能力まで落とせば、処理能力によるゴリ押しが出来ない分、問題の難易度が格段に上がり、破綻を先延ばしに出来る…。
つまり…ゲームで言う所の『縛りプレイ』…現状では解決策はこれしかない。」
「オレもいつかそうなるのかね…。」
「いつか…な、でもそれは100年後200年後の話だ。
今から気にした所で害にしかならない。
ナオは全力で生きて良いと私は考える。
それが人らしい生き方だ。」
話をしながらナオとクオリアは クオリアの部屋の前までたどり着いた。
「ナオは向かい側だ。
人用の部屋だから大抵そろっている。
30分後にここで会おう…次は、神殿に向かう。」
「いよいよ機械の神様か…それじゃあ」
ナオがドアノブを回す。
ドアノブが手のひら から、キー情報を確認しロックがはずれる。
中はでベット、エアコン、トイレ、シャワーなど一通りついているが、それ以外は無い殺風景な部屋だ。
ナオはベットに寝ころび、パイロットスーツの上半身のロックを外す。
そしてARウィンドウを表示させ、エアコンの設定温度を20℃に設定する。
100年か…実質寿命がないから生じる問題か…。
「不老不死は、不老不死で大変なんだな」
自分も不老不死だと言う事を忘れて、ナオは目を閉じだ。
30分の仮眠が 45分になってしまい、クオリアからの目覚ましコールで起きるのだった。
通路を照らす灯りは 人感センサーがついているのか、オレの前後10mだけを照らし、歩くと後ろから灯りが消えていく。
『この部屋だ。』
クオリアは止まる。
頑丈なスライドドアの上にネームプレートがあり、そこには英語で『Morgue』と書かれている。
モ…ル…ゲ…いやグか?モルグ?見慣れない単語だな。
オレがネームプレートを見ているとMorgueの文字に赤の下線が入り、その下に日本語訳が出る。
確率の高い候補から、遺体安置所、資料室…多分資料室だな。
遺体安置所にいるならカナリアさんは死んでいる…。
もしかしたら検死官かもしれないが…。
「モルグ…資料室であってるか?」
「いや、遺体安置所の方だ。」
クオリアがスライドドアを開け、中に入る。
マジかよ…。
中に入った事でセンサーが反応し、モルグが明るくなる。
モルグは大型倉庫になっていて無数の倉庫棚に 前にエレクトロン大使館で見たメンテナンスベットが入っている…多分そこに遺体が入っている。
クオリアは 比較的扉の前にある1階のメンテナンスベットに向かう。
オレもクオリアの後について行き、メンテナンスベットの前に着く…。
クオリアに似た銀髪の長髪に白いワンピース着て、腹付近で手を組んで眠っている。
耳は人の耳で 彼女が人からアップロードした事を示している。
顔の血色は良く、とても遺体には思えない。
ただ1つ違和感があるのは目元の眼球の膨らみが無い事だ。
全盲なのか?
「hello~」
クオリアが多分カナリアさんに挨拶をする。
何ともやる気のない声だ。
「Qualia(クオリア)?」
「Yes, I's am Qualia, how are you?(そう、私 達はクオリア…ご機嫌いかが?)」
「Too boring and painful(退屈で辛いです。)」
クオリアとカナリアさんは、英語で喋っているが、同時に彼女達の声をサンプリングして合成され、英語と日本語の二重音声に聞こえる。
「1ヵ月間ずっと寝ていたのか?」
「ええ、やる事もありませんし…。」
「世間ではそれをニートと呼ぶ。」
更に流暢に聞こえ始めた…違和感はもうない。
「ニートでいいです。
私は動く動機そのものがありません…。」
カナリアさんは喋る事も億劫《おっくう》のようだ。
「なら動く動機を与える…私に歌を教えて欲しい。」
「歌?私はもう歌えませんよ」
「それでも良い…。
文化祭で作詞作曲をして歌う事になった。
カナリアの力が必要だ。」
「私の作った作曲アルゴリズムがあるでしょう…それを使って下さい。」
「今回は自分でアルゴリズムを作れとの事だ。」
「また縛りプレイですか…ムダな事を あれ以上に良い歌は作れませんよ」
声はしっかりしているが、若干やつれている感じがする。
「なら、それ以下だったら作れるのか…。」
「……ええ…まぁ作れますが…。」
「なら作ろう…引きこもっていても状況は改善もしないし発展もしない。」
「そちらの方は?」
何も発言していないのに顔がピンポイントでオレの方を向き…聞く。
「彼は『ナオ』私の予備義体を渡した者だ。」
「そう予備義体を…。
私の目はナオさんに受け継がれたのですか…。」
「そうなる…。」
「は?オレの目ってカナリアさんの目なのか?」
「そう、カナリアが私に譲り、それをナオに譲った。」
「いや…目をって譲モノなのか?あ~お返ししなくても?」
オレは少し慌てる…さすがに目をえぐり出すような事はしないが…。
「構いません…私にはいらない物ですから…。」
いらないって…。
「では、明日の8時にまた来る。
それまでに準備をしておいて欲しい。」
クオリアがカナリアに背を向けて、スライドドアに向かう。
「拒否権はないって訳ですか…。」
「退屈していたんだろ…良い暇つぶしじゃないか?」
スライドドアを開けて、クオリアとナオは通路に出た。
「なぁ…カナリアさんは、何で目を外したままなんだ?」
廊下を歩きながら、ナオがクオリアに話す。
「カナリアは 元々全盲の人だ。
今の科学でも彼女は救えない。」
「は?エレクトロンの科学でもか?
そんなに酷《ひど》いのか?」
オレが驚く…。
今まで『出来ない事は無い』と思う程、万能な科学力を持っているエレクトロンでも解決できない問題…。
「と言うよりカナリアの場合、見えたからマズいんだ。」
「?」
意味が分からない。
クオリアはオレにどう説明するか少し考えるそぶりをして…。
「そうだな…乳幼児の視力の話は知ってるか?」
「いや…確か視力が弱いんだっけか?その位しか知らない。」
「違う、目自体の性能は 大人のそれと大差ない…。
見えないのは、目があっても使い方がインストールされていないからだ。」
人の学習をドライバーと言うか…。
「あ~赤ん坊は目の使い方を学習しているって事か?」
「そう大体、生後1年で扱えるようになるんだが、カナリアは全盲だ。」
あーそうか。
「目の使い方を学習出来なかったのか…。」
「そうなる…しかも人の脳の凄い所は、耳や皮膚で見えるようになる事だ。」
「五感で欠けると他が鋭敏になるって話は聞くが、音や感触で映像化が出来るのか?」
「その映像も音と感触だ…。
つまり私達と見えているモノが根本的に違うんだ。
これはVRやARでも直せない…。
視覚を認識する器官が無いからだ。」
「だけど機械にアップロードすれば見えるんだろ」
機械で人の脳を再現出来れば、脳に障害があろうとも修復は出来る。
それはプログラムで再現可能だからだ。
「見える…でも音と感触だけの世界に視覚が入ってきた…。
自分が想っていたイメージとかなり違っていたらしい。
今まで音の世界で自分で作詞、作曲をしてネットアイドルとして歌ってたが、それ以降それまでのように歌えなくなった。」
「見えなくて創造していた世界が確定してしまったから?」
「そう…それ以降は音楽アルゴリズムの研究をし始め、理論値と最適解を見つけたら、私を設計して目を外した。
そして今では殆《ほとん》どあの中だ…だから、カナリアは私の顔を見ていない。」
「それがさとり病…」
「になる…やりたい事をすべてやり、目的を失ったヒトだ。
今ではVRに閉じこもったヒキコモリも含め、モルグにおおよそ、3000人がいる。
この都市の現実世界で生活しているエレクトロンが150人だ。」
「150…どうりででヒトを見かけない訳だ。」
ここに来るまで、通行人を一切見ていていない。
違和感を感じていたがこう言う事か…。
「その150人も基本自室にいる事が多い。」
「何か不健全な都市だな…。」
「仕方ない…現実世界の方が遥かに制約が多いし、仮想世界の方が遥かに快適だ。
だからこの都市での外出はVR空間の事を指す。」
「そんなヒキコモリ見たいな…。」
「私達は元々、人をサポートしてするのが目的のヒューマノイドだ。
それなのに、大戦で 奉仕対象は取り上げられて、存在理由そのものが無くなったんだ。
それから如何《どう》にか やって来ているが、欲求や目的を自己生成する事は 人に比べ遥《はる》かに難しい。」
「そんなに難しいものかね…。」
「うーん…そうだな…。
じゃあ12時間食事を取らなかったらナオはどうなる?」
「そりゃ腹が減るわーARで飯だな。」
アップロードしても元の脳の反応を忠実に完全再現している為、腹は減る。
「24時間、眠らなかったら」
「眠たくなるな…。」
我慢すれば眠気で意識が強制的に落ちる事はないが、眠くなるし睡眠も必要だ。
「車にぶつかり大怪我…。」
「救急車…あるのか?とりあえず病院に行く。」
「それが欲求だな…じゃあ今までの共通項は?」
「ん~身体関係?」
「そう、空腹は電気だな…睡眠はデフラグ…怪我したら修理。
それが満たされる環境は?」
そうか…なるほど。
「怪我をしないメンテナンスベットの中で給電しつつ寝る…か。」
「正解、身体の欲求はこれですべて 満たされる。」
「性欲、狩猟欲、支配欲、知識欲だったか…これは?」
「性行為はあくまで人とのコミュニケーションの手段…性欲がある訳じゃない。
狩猟欲は、元は食用の肉を調達する為のもの…私達の食料は電気なので関係ない。
支配欲は持ってない…元々奉仕する為に生まれた存在だからだ。
後は知識欲…これはネットに繋がっていれば十分…これがさとり病の原因だ。
そもそも欲求とは身体の状態を維持する為の物だ。
頑丈な身体で 自室にいるから破損リスクも少なく、発電も簡単なヒューマノイドに これ以外になんの欲求があるのか?」
「思いつかないな…なら、さとり病の解決策は?」
「新しい価値観を見つける事…ゲーム的に言うなら違うジャンルに挑戦すればいい…それでも一時しのぎだが…。
後は、自分のスペックを落とすこと…人レベルの能力まで落とせば、処理能力によるゴリ押しが出来ない分、問題の難易度が格段に上がり、破綻を先延ばしに出来る…。
つまり…ゲームで言う所の『縛りプレイ』…現状では解決策はこれしかない。」
「オレもいつかそうなるのかね…。」
「いつか…な、でもそれは100年後200年後の話だ。
今から気にした所で害にしかならない。
ナオは全力で生きて良いと私は考える。
それが人らしい生き方だ。」
話をしながらナオとクオリアは クオリアの部屋の前までたどり着いた。
「ナオは向かい側だ。
人用の部屋だから大抵そろっている。
30分後にここで会おう…次は、神殿に向かう。」
「いよいよ機械の神様か…それじゃあ」
ナオがドアノブを回す。
ドアノブが手のひら から、キー情報を確認しロックがはずれる。
中はでベット、エアコン、トイレ、シャワーなど一通りついているが、それ以外は無い殺風景な部屋だ。
ナオはベットに寝ころび、パイロットスーツの上半身のロックを外す。
そしてARウィンドウを表示させ、エアコンの設定温度を20℃に設定する。
100年か…実質寿命がないから生じる問題か…。
「不老不死は、不老不死で大変なんだな」
自分も不老不死だと言う事を忘れて、ナオは目を閉じだ。
30分の仮眠が 45分になってしまい、クオリアからの目覚ましコールで起きるのだった。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
Unlimited Possibilities Online
勾陣
SF
超人気VRMMO【Unlimited Possibilities Online】専用のヘッドギアを、気まぐれに応募した懸賞でうっかり手に入れてしまった主人公がのんびりと?‥マイペースで楽しむお話し?
※R15、残酷な描写ありは保険です
初投稿です
作者は超絶遅筆です
督促されても更新頻度が上がることはありません
カクヨム様、小説家になろう様にも重複投稿してます
女神様から同情された結果こうなった
回復師
ファンタジー
どうやら女神の大ミスで学園ごと異世界に召喚されたらしい。本来は勇者になる人物を一人召喚するはずだったのを女神がミスったのだ。しかも召喚した場所がオークの巣の近く、年頃の少女が目の前にいきなり大量に現れ色めき立つオーク達。俺は妹を守る為に、女神様から貰ったスキルで生き残るべく思考した。
Bless for Travel ~病弱ゲーマーはVRMMOで無双する~
NotWay
SF
20xx年、世に数多くのゲームが排出され数多くの名作が見つかる。しかしどれほどの名作が出ても未だに名作VRMMOは発表されていなかった。
「父さんな、ゲーム作ってみたんだ」
完全没入型VRMMOの発表に世界中は訝、それよりも大きく期待を寄せた。専用ハードの少数販売、そして抽選式のβテストの両方が叶った幸運なプレイヤーはゲームに入り……いずれもが夜明けまでプレイをやめることはなかった。
「第二の現実だ」とまで言わしめた世界。
Bless for Travel
そんな世界に降り立った開発者の息子は……病弱だった。
貴族に生まれたのに誘拐され1歳で死にかけた
佐藤醤油
ファンタジー
貴族に生まれ、のんびりと赤ちゃん生活を満喫していたのに、気がついたら世界が変わっていた。
僕は、盗賊に誘拐され魔力を吸われながら生きる日々を過ごす。
魔力枯渇に陥ると死ぬ確率が高いにも関わらず年に1回は魔力枯渇になり死にかけている。
言葉が通じる様になって気がついたが、僕は他の人が持っていないステータスを見る力を持ち、さらに異世界と思われる世界の知識を覗ける力を持っている。
この力を使って、いつか脱出し母親の元へと戻ることを夢見て過ごす。
小さい体でチートな力は使えない中、どうにか生きる知恵を出し生活する。
------------------------------------------------------------------
お知らせ
「転生者はめぐりあう」 始めました。
------------------------------------------------------------------
注意
作者の暇つぶし、気分転換中の自己満足で公開する作品です。
感想は受け付けていません。
誤字脱字、文面等気になる方はお気に入りを削除で対応してください。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
鮨海
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
キャンピングカーで往く異世界徒然紀行
タジリユウ
ファンタジー
《第4回次世代ファンタジーカップ 面白スキル賞》
【書籍化!】
コツコツとお金を貯めて念願のキャンピングカーを手に入れた主人公。
早速キャンピングカーで初めてのキャンプをしたのだが、次の日目が覚めるとそこは異世界であった。
そしていつの間にかキャンピングカーにはナビゲーション機能、自動修復機能、燃料補給機能など様々な機能を拡張できるようになっていた。
道中で出会ったもふもふの魔物やちょっと残念なエルフを仲間に加えて、キャンピングカーで異世界をのんびりと旅したいのだが…
※旧題)チートなキャンピングカーで旅する異世界徒然紀行〜もふもふと愉快な仲間を添えて〜
※カクヨム様でも投稿をしております
蘇生魔法を授かった僕は戦闘不能の前衛(♀)を何度も復活させる
フルーツパフェ
大衆娯楽
転移した異世界で唯一、蘇生魔法を授かった僕。
一緒にパーティーを組めば絶対に死ぬ(死んだままになる)ことがない。
そんな口コミがいつの間にか広まって、同じく異世界転移した同業者(多くは女子)から引っ張りだこに!
寛容な僕は彼女達の申し出に快諾するが条件が一つだけ。
――実は僕、他の戦闘スキルは皆無なんです
そういうわけでパーティーメンバーが前衛に立って死ぬ気で僕を守ることになる。
大丈夫、一度死んでも蘇生魔法で復活させてあげるから。
相互利益はあるはずなのに、どこか鬼畜な匂いがするファンタジー、ここに開幕。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる