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戯れ始まり

ムカついた彼に

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 その場の床に押し倒されて、富塚君の唇が離れた瞬間、私は富塚君の体を退かして起き上がり、言っていた。
「ちょ、ちょっとぉ!!? まだ何もしないって!!」
「うん、言った。けど、ムカついたから」
「チューするの?! ムカついたら富塚君はチューするの?!!!」
「そんなヒステリーにならなくても良いんじゃない? キスなんて……、ああ、初めてだった?」
「何? これなら俺でも勝てるって言いたかったの?!! バカじゃない?! そんなことしなくても、私、するよ?!」
「はい? 何と言いました?」
「あ、いや……、違うの。全然違うの! あの、ですね……。あの……、初チューだったので、ちゃんとした感じの……が良かったな……っていうことでもなくてっ!!」
 何を言ってるんだ! 私はっ!!
「やっぱ、日下って、初々しいな……」
「好物だとでも言いたいの?」
「ハ? 違うけど、まあ、そうなりたい願望があるならそうしてあげても良いよ?」
「うえ、良いです。結構です。間に合ってます」
「けど、俺は間に合ってないんで、もっかいして良い?」
「何で? 私なのか、ちゃんと教えてくれたら良いよ?」
「それは……、一緒の事で怒ったり、笑ったり、泣いたりはできないかもしんないけど、少しばかりは同じだから、一緒に居たいって思ったからだよ。日下って結構、俺がひどいこと言っても大丈夫そうだし、こういうのもちゃんと付き合ってくれるし」
「う……、別に付き合う気はないんだけど、最近は少女系じゃなくて、その、あんまり同性が読むような物じゃないの読んでるから……」
「ふーん……、そっちの方が好み?」
「いや、あの……ちゃんと女性向けのも読むよ? それでもこっちの方が多い……」
 って、何を白状してるんだ! 私は。嫌な汗、出て来そう……。もう困ってしまう。ここは大人しくキスされていようか、富塚君に。
「日下、して良いってことで、させていただくね?」
「え、いや……、まだ……」
「でも、そんなに嫌がってない」
 確信を突かれた。しょうがない、ここは受け入れてあげよう。富塚君の唇も手も顔の体温も息も。
 それも全部富塚君が嫌いな甘いやつと似てる気がする。
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