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宿命は変えられないわね…
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「アリソン嬢、婚約破棄をしていただけませんか?」
そう言ってきたのは私の婚約者である第2王子、フィリプ王子。
知っていたわ。貴方に婚約破棄をされる事は…。でも、されたからって特に殺されもしないエンドだったから油断していたのかもしれないわね。
フィリプ様が出てきた時に彼の空気で婚約破棄をされる分かると咄嗟に顔を下に向けてしまったから、彼がどんな表情で私を見ているのかが分からない。
だって、今日は本来私たちのこれからを発表する日だったのだもの。そんなの平然としている方がおかしいわ。
でも、この18年間公爵家の令嬢として生きてきた矜持が私にもありますの。だから、こんな時だから顔を上げて笑うのよ。
あら?でもフィリプ様のセリフってもっときつくなかったかしら?
しかし、それくらいの違いはあるだろうと気にせずフィリプ王子に向かって顔を上げた。
すると、申し訳なさそうな顔を向けるフィリプ王子が見えた。
そんな顔をするのであれば、こんな場で宣言しなければよいのに。
やはり逆ハーエンドね。フィリプ王子に……もう会わないのだし名前はいいわね、騎士様、魔術師の弟子、牧師様、それにお兄様。
……あら?それだけ?
ヒロインがいない気がするのだけれど。
ヒロインであるサオリを探す様に周りの貴族の群れに目を向ける。
いた!あんな遠くに!!駄目じゃないここにいなきゃ。
サオリはこの騒ぎを見ながら友人令嬢として優雅にシャンパンを嗜んでいた。
まあ、フィリプ様がこちらに呼ぶのでしょう。
「内々ですればよいものを、何故この場でおっしゃる理由をお伺いしてもよろしゅうございますか?」
すると、フィリプ王子はなんだかとても言いづらそうに目をさ迷わせたが、意を決した様子でアリソン、そして周りの貴族達に宣言した。
「私、フィリプはアリソン嬢と婚約破棄をし、こちらのかの魔術師の弟子であるユリースと婚約をしたいと思っている。」
今なんとおっしゃいました?
会場の皆様からもドレスの擦れる音さえ無くなってしまいましたよ。
恐らく質問出来るのは私しかおりませんね。
「失礼を承知でお伺いいたします。ユリース様は、確か男性でいらっしゃったと記憶しておりますが、その認識は間違いだったということでよろしいでしょうか?」
「いや、ユリースは間違いなく男性だ。」
この世界パグってるでしょ。
あら、言葉遣いが…失礼を。気をしっかり持つのよ。前世と合わせて35歳独身!冷静に参りましょう。
「何故ユリース様なのかをお教え頂けますか?少し混乱してしまって、フィリプ殿下のお心が知りとうございます。」
「ああ、切っ掛けは貴女なのですよ、アリソン嬢。」
……責任転嫁はごめんでございます。
「貴女は以前、『男女平等にその人間の本質を見るべきだ。』と教えてくれた。そこで私は男女・身分関係無く皆平等な目で見ることにした。」
ええ、確かに言いましたわ。それからフィリプ様は学園の中で最も平等に接する素晴らしい方に成長なさいました。
「そして暫くすると、私はユリースの側にいると幸せな気持ちになる事に気がついた。」
そこは気づかなくて良かったわー!!
別に同姓婚に異論はないわ。でもね、一応私の事をもっと見てほしかったというか…
とフィリプ様の発言の途中に考えていたら、フィリプ様がユリース様の腰をぐっと引き寄せた。
突然の出来事にユリース様は驚きながらも頬をほんのり染めて下を向いてしまった。フィリプ様はその様子を見て柔らかく笑み、暖かな視線を注いでいる。
「きゃー!!!」
悲鳴?
声のした方を見ると、サオリと友人令嬢達が嬉々とした目でシャンパンを握りしめていた。
…サオリ様、腐女子だったのですね。どおりでジャンルの違う令嬢とも仲が良いわけだわ。
サオリ様達が徐々にこちらに近づいているわ。引力に逆らえないのね…。
…見なかったことにするわ。
「アリソン嬢、貴女には本当に感謝している。貴方が居たからこそ真実の愛に出会えた。」
ああ、はい。もうお腹いっぱいでございます。
「殿下、それはようございました。しかし、王族の仕事の一つでもある世継ぎはいかがなさるおつもりで?」
「私は第2王子で王太子ではない。それに下にも後3人いるから王と王妃の許可は貰っている。」
左様でございますか。
王様と王妃様を見るとスーッと目を逸らされた。あの我が子大好き夫婦が断れるわけないわよね。
「それで、ここで宣言したのはもう一つの理由があるんだ。その、貴女にも幸せになってほしくて…今貴女を一番愛しているアーロンとの婚約はどうだろうか?」
そう言ってきたのは私の婚約者である第2王子、フィリプ王子。
知っていたわ。貴方に婚約破棄をされる事は…。でも、されたからって特に殺されもしないエンドだったから油断していたのかもしれないわね。
フィリプ様が出てきた時に彼の空気で婚約破棄をされる分かると咄嗟に顔を下に向けてしまったから、彼がどんな表情で私を見ているのかが分からない。
だって、今日は本来私たちのこれからを発表する日だったのだもの。そんなの平然としている方がおかしいわ。
でも、この18年間公爵家の令嬢として生きてきた矜持が私にもありますの。だから、こんな時だから顔を上げて笑うのよ。
あら?でもフィリプ様のセリフってもっときつくなかったかしら?
しかし、それくらいの違いはあるだろうと気にせずフィリプ王子に向かって顔を上げた。
すると、申し訳なさそうな顔を向けるフィリプ王子が見えた。
そんな顔をするのであれば、こんな場で宣言しなければよいのに。
やはり逆ハーエンドね。フィリプ王子に……もう会わないのだし名前はいいわね、騎士様、魔術師の弟子、牧師様、それにお兄様。
……あら?それだけ?
ヒロインがいない気がするのだけれど。
ヒロインであるサオリを探す様に周りの貴族の群れに目を向ける。
いた!あんな遠くに!!駄目じゃないここにいなきゃ。
サオリはこの騒ぎを見ながら友人令嬢として優雅にシャンパンを嗜んでいた。
まあ、フィリプ様がこちらに呼ぶのでしょう。
「内々ですればよいものを、何故この場でおっしゃる理由をお伺いしてもよろしゅうございますか?」
すると、フィリプ王子はなんだかとても言いづらそうに目をさ迷わせたが、意を決した様子でアリソン、そして周りの貴族達に宣言した。
「私、フィリプはアリソン嬢と婚約破棄をし、こちらのかの魔術師の弟子であるユリースと婚約をしたいと思っている。」
今なんとおっしゃいました?
会場の皆様からもドレスの擦れる音さえ無くなってしまいましたよ。
恐らく質問出来るのは私しかおりませんね。
「失礼を承知でお伺いいたします。ユリース様は、確か男性でいらっしゃったと記憶しておりますが、その認識は間違いだったということでよろしいでしょうか?」
「いや、ユリースは間違いなく男性だ。」
この世界パグってるでしょ。
あら、言葉遣いが…失礼を。気をしっかり持つのよ。前世と合わせて35歳独身!冷静に参りましょう。
「何故ユリース様なのかをお教え頂けますか?少し混乱してしまって、フィリプ殿下のお心が知りとうございます。」
「ああ、切っ掛けは貴女なのですよ、アリソン嬢。」
……責任転嫁はごめんでございます。
「貴女は以前、『男女平等にその人間の本質を見るべきだ。』と教えてくれた。そこで私は男女・身分関係無く皆平等な目で見ることにした。」
ええ、確かに言いましたわ。それからフィリプ様は学園の中で最も平等に接する素晴らしい方に成長なさいました。
「そして暫くすると、私はユリースの側にいると幸せな気持ちになる事に気がついた。」
そこは気づかなくて良かったわー!!
別に同姓婚に異論はないわ。でもね、一応私の事をもっと見てほしかったというか…
とフィリプ様の発言の途中に考えていたら、フィリプ様がユリース様の腰をぐっと引き寄せた。
突然の出来事にユリース様は驚きながらも頬をほんのり染めて下を向いてしまった。フィリプ様はその様子を見て柔らかく笑み、暖かな視線を注いでいる。
「きゃー!!!」
悲鳴?
声のした方を見ると、サオリと友人令嬢達が嬉々とした目でシャンパンを握りしめていた。
…サオリ様、腐女子だったのですね。どおりでジャンルの違う令嬢とも仲が良いわけだわ。
サオリ様達が徐々にこちらに近づいているわ。引力に逆らえないのね…。
…見なかったことにするわ。
「アリソン嬢、貴女には本当に感謝している。貴方が居たからこそ真実の愛に出会えた。」
ああ、はい。もうお腹いっぱいでございます。
「殿下、それはようございました。しかし、王族の仕事の一つでもある世継ぎはいかがなさるおつもりで?」
「私は第2王子で王太子ではない。それに下にも後3人いるから王と王妃の許可は貰っている。」
左様でございますか。
王様と王妃様を見るとスーッと目を逸らされた。あの我が子大好き夫婦が断れるわけないわよね。
「それで、ここで宣言したのはもう一つの理由があるんだ。その、貴女にも幸せになってほしくて…今貴女を一番愛しているアーロンとの婚約はどうだろうか?」
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