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212.1邪神教との戦闘1(作戦開始)✔ 2024.2.26修正 文字数 前3,046後2,043減1,003
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メダリオン城から連絡があり飛んで来た。作戦室には七ヶ所に×が描かれた地図が広げられていたんだ。×が邪神教の施設を表していると説明してもらった。×の大きさは出入りする人数で変えてあり、アプルという町が一番大きい。
アプルという町はベルン公爵領にあり、隣国の異神国パズズの国境から馬車で二日の距離になる。
レックスやベビとチビが参加することを説明し、兵力の割り当てが協議された。俺はアプルの町に決まった。ここがメダリオン王国内の最大の施設と考えているそうだ。出入りの多い順番に、ベス、ベビ、チビに担当してもらう。
残りの三ヶ所に多くの兵力を割り当てることに決まった。邪神教は夜活動することが多く、朝方から施設に戻って来る傾向にあるらしい。一網打尽にするため決行は五日後の午前八時に決まった。騎士団は少しずつバラバラに目的地に移動を開始し、現地の城や役所で待機する手はずになっている。
邪神教の結界内では、魔法が上手く使えないことを再度、みんなに周知するように言っておく。第一騎士団長や魔法師団長の顔が一瞬強張ったように見えた。
俺は屋敷に帰ると、レックス達に作戦内容を伝えた。レックスには前日の夜中に現地まで移動してもらう必要があるんだが、トラブルにならないか心配でならない。俺とベビ、チビは当日の暗いうちに飛んで行く計画だ。
俺は邪神教の狂信者にプレゼントするため、せっせと爆裂弾や棒手裏剣を製作しているんだ。完成した爆裂弾を何個も袋に詰める。これ以上は運べそうにないな。
《レックス、手紙を首に結んでおいたからね。一日早い出発になるけど頼んだよ》
《任せておけ。だが、首の紐がうっとうしいぞ》
紐を前足で引っ張っている。
《紐が切れちゃうから止めてよ》
嫌そうな顔でレックスは走って行った。俺以外と会話できないが、手紙もあるし、第一騎士団長には伝えておいたからきっと大丈夫だよね。
翌日の午前三時になり、チビとベビの首に手紙を結んだ。
《チビ、ベビ頼んだよ》
《ベビに任せてなノ、ボーってやっちゃうノ》
《チビは風の刃で切ってやるダォ》
ベビとチビも目的地に向かって元気いっぱいに飛んで行った。俺もカーゴウイングに爆裂弾を満載にして飛び立つ。向かうはアプルの町だ。
今回は俺が参加するため、王都の騎士団は参加せず、領主であるベルン公爵軍の指揮下に入ることになっているんだ。
レックスやベビとチビの参戦場所も、王都の騎士団からの参加人数は少なくなっている。その分、他の三ヶ所に魔法師団や騎士団の増員を行っているんだ。
ベビがポート公爵の町から馬車で一日のフィシュという町、チビはなんとハイランドお爺様の町だ。あそこにも邪神教の施設があったなんてビックリだよ。他の三ヶ所はマルベリー公爵の街の隣町のキャロ、ベルン公爵のグレプ町とメロン町だ。
メロンには俺が治療したコーラス・クラフト男爵が住んでいるな。男爵が一ヶ所、潰しても三ヶ所もベルン公爵の領地にあるなんて多過ぎる。出入りする者は異神国パズズと往来していると会議でも聞いた。絶対に異神国パズズにも邪神教の施設があるはずだ。
メダリオン王国で起きた十年前の流行病の被害の始まりも、隣国の異神国パズズに隣接するオレンの村だと記録に書いてあったんだ。怪しいなんてレベルではないな。
時間を合わせて七カ所に攻撃する手はずになっているんだ。ベルン公爵軍の兵士たちと午前八時の教会の鐘を確認した。さあ、邪神教との戦いを始めるぞ!
俺はゴーサインを確認すると同時に上空高く舞い上がった。邪神教の施設の上には見張りがいるんだ。だが、周りの地上ばかりを見張っているため、頭の上は無防備なんだ。
棒手裏剣を両手に五本ずつ握ると急降下する。地上まで二百メートルになり、手を離すと棒手裏剣は物凄いスピードで見張り目がけて落下していった。
もちろん、見事に命中した。何本かは外れて甲高い音を上げてしまったが許容範囲だ。水平飛行から窓ガラスに向けて棒手裏剣を発射した。勢いよく飛んで行った棒手裏剣により、窓ガラスが大きな音を立てて割れたが、結界はまだ張られていない。割れた窓に袋ごと爆裂弾を投げ入れた。
今回の爆裂弾は時限式にしている。俺の計画通りに結界が発動するなら、周りへの被害は最小限で済むはずだ。
予想通りだ。邪神教の施設の周りに結界が張られた。そろそろだぞ。近くの建物の上に降りて待っていると、結界の中で俺の投げ入れた爆裂弾が連鎖的に爆発している。爆発により結界も壊れる予定なんだけどな。
魔力鑑定眼で見ると、結界が不安定になっているのが分かる。もう少し待てば消えそうだぞ。消えなければそれはそれでも構わないんだ、その場合は爆発により酸欠になるはずだからね。どちらも計画の範囲内だ。
五分ほど待っていると新たな爆発が起き、結界は消滅した。何が誘爆したのか分からないが火事にはなっていない。計画と少し違うが結果オーライだ。風魔法を発動させて空気を入れ替える。すると、窓から黙々と煙が流れていく……さあ、突入するぞ!
アプルという町はベルン公爵領にあり、隣国の異神国パズズの国境から馬車で二日の距離になる。
レックスやベビとチビが参加することを説明し、兵力の割り当てが協議された。俺はアプルの町に決まった。ここがメダリオン王国内の最大の施設と考えているそうだ。出入りの多い順番に、ベス、ベビ、チビに担当してもらう。
残りの三ヶ所に多くの兵力を割り当てることに決まった。邪神教は夜活動することが多く、朝方から施設に戻って来る傾向にあるらしい。一網打尽にするため決行は五日後の午前八時に決まった。騎士団は少しずつバラバラに目的地に移動を開始し、現地の城や役所で待機する手はずになっている。
邪神教の結界内では、魔法が上手く使えないことを再度、みんなに周知するように言っておく。第一騎士団長や魔法師団長の顔が一瞬強張ったように見えた。
俺は屋敷に帰ると、レックス達に作戦内容を伝えた。レックスには前日の夜中に現地まで移動してもらう必要があるんだが、トラブルにならないか心配でならない。俺とベビ、チビは当日の暗いうちに飛んで行く計画だ。
俺は邪神教の狂信者にプレゼントするため、せっせと爆裂弾や棒手裏剣を製作しているんだ。完成した爆裂弾を何個も袋に詰める。これ以上は運べそうにないな。
《レックス、手紙を首に結んでおいたからね。一日早い出発になるけど頼んだよ》
《任せておけ。だが、首の紐がうっとうしいぞ》
紐を前足で引っ張っている。
《紐が切れちゃうから止めてよ》
嫌そうな顔でレックスは走って行った。俺以外と会話できないが、手紙もあるし、第一騎士団長には伝えておいたからきっと大丈夫だよね。
翌日の午前三時になり、チビとベビの首に手紙を結んだ。
《チビ、ベビ頼んだよ》
《ベビに任せてなノ、ボーってやっちゃうノ》
《チビは風の刃で切ってやるダォ》
ベビとチビも目的地に向かって元気いっぱいに飛んで行った。俺もカーゴウイングに爆裂弾を満載にして飛び立つ。向かうはアプルの町だ。
今回は俺が参加するため、王都の騎士団は参加せず、領主であるベルン公爵軍の指揮下に入ることになっているんだ。
レックスやベビとチビの参戦場所も、王都の騎士団からの参加人数は少なくなっている。その分、他の三ヶ所に魔法師団や騎士団の増員を行っているんだ。
ベビがポート公爵の町から馬車で一日のフィシュという町、チビはなんとハイランドお爺様の町だ。あそこにも邪神教の施設があったなんてビックリだよ。他の三ヶ所はマルベリー公爵の街の隣町のキャロ、ベルン公爵のグレプ町とメロン町だ。
メロンには俺が治療したコーラス・クラフト男爵が住んでいるな。男爵が一ヶ所、潰しても三ヶ所もベルン公爵の領地にあるなんて多過ぎる。出入りする者は異神国パズズと往来していると会議でも聞いた。絶対に異神国パズズにも邪神教の施設があるはずだ。
メダリオン王国で起きた十年前の流行病の被害の始まりも、隣国の異神国パズズに隣接するオレンの村だと記録に書いてあったんだ。怪しいなんてレベルではないな。
時間を合わせて七カ所に攻撃する手はずになっているんだ。ベルン公爵軍の兵士たちと午前八時の教会の鐘を確認した。さあ、邪神教との戦いを始めるぞ!
俺はゴーサインを確認すると同時に上空高く舞い上がった。邪神教の施設の上には見張りがいるんだ。だが、周りの地上ばかりを見張っているため、頭の上は無防備なんだ。
棒手裏剣を両手に五本ずつ握ると急降下する。地上まで二百メートルになり、手を離すと棒手裏剣は物凄いスピードで見張り目がけて落下していった。
もちろん、見事に命中した。何本かは外れて甲高い音を上げてしまったが許容範囲だ。水平飛行から窓ガラスに向けて棒手裏剣を発射した。勢いよく飛んで行った棒手裏剣により、窓ガラスが大きな音を立てて割れたが、結界はまだ張られていない。割れた窓に袋ごと爆裂弾を投げ入れた。
今回の爆裂弾は時限式にしている。俺の計画通りに結界が発動するなら、周りへの被害は最小限で済むはずだ。
予想通りだ。邪神教の施設の周りに結界が張られた。そろそろだぞ。近くの建物の上に降りて待っていると、結界の中で俺の投げ入れた爆裂弾が連鎖的に爆発している。爆発により結界も壊れる予定なんだけどな。
魔力鑑定眼で見ると、結界が不安定になっているのが分かる。もう少し待てば消えそうだぞ。消えなければそれはそれでも構わないんだ、その場合は爆発により酸欠になるはずだからね。どちらも計画の範囲内だ。
五分ほど待っていると新たな爆発が起き、結界は消滅した。何が誘爆したのか分からないが火事にはなっていない。計画と少し違うが結果オーライだ。風魔法を発動させて空気を入れ替える。すると、窓から黙々と煙が流れていく……さあ、突入するぞ!
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