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205.2暗雲2(テロ警戒と邪神教対策)✔ 2024.2.16修正 文字数 前3,289後2,388減901

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 まず最初に町の警備を強化し、入領、入国も増員して荷の検査もやらせるように指示を出した。数日なら問題ないが長期間行うとなれば、新たに兵士を雇う必要がある。十人組に相談して、責任を持って推薦できるような男性をお願いしたんだけど、任せてくださいと言って、やたらと張り切っていたんだ。

 カイル兄さんの日課である訓練が終わる時間だ。今日は採用するための面談を行う予定になっているため、手伝ってもらうようにお願いに行こう。

 屋敷の裏から外に出ると、訓練場から声が聞えてきた。連絡橋を渡りながら訓練場を見下ろすと、カイル兄さんと騎士や兵士以外にも訓練する人が見えた。魔力鑑定眼を発動させてみたが、魔石や魔力の多い人はいなかった。

 まだ一時間近くあるのに、やる気が漲っているみたいだ。十人組の顔もあり、それぞれが剣の相手をしている。ローグさんの息子の顔も見えるな。任せてくださいとか言っていたが、張り切るはずだ。みんな子供や兄弟を連れて来ていた。

「おはようございます。張り切っているみたいだね。予定時刻より早いけど、みんないるみたいだから始めてもいい?」

「「「お願いします」」」

 十人組と参加者が声を揃える。まるで練習でもしたかのような返事だ。

 訓練場の端でカイル兄さんが汗を拭いている姿が見えた。

「カイル兄さん、剣の相手になってあげてよ」

「俺が? そういうのは前持って言ってほしいな。アルがやれと言うならやるけどね」

 折角汗を拭いたのに。と、言いたげな表情をしていたが十人全員の相手をしてくれた。みんな、剣の訓練をやっていたんだな。一週間やそこらでできる動きではない。よく見ると手に剣だこのある者もいた。かなり長期間やらないとああはならない。

「カイル兄さん、相手をしてみた感想を聞かせてよ」

「剣の腕はまだまだだが、騎士学校に通ってもいないんだから、これだけできれば上出来だろ。これから訓練すればもっと上達するぞ」

 カイル兄さんは滴る汗を拭いながら答えてくれた。全員、合格みたいだな。みんなほっとした表情をしている。

 次は弓の腕前を見せてもらったが、剣よりも上手だった。やっぱりこっちが本職だからだな。

 みんな、身内を連れてきていたため、顔も知っているから安心できる。俺に雇ってもらえるように以前から剣の訓練をさせていたとしか思えないな。

 一番若いのはローグさんの息子だった。面談で聞いてみたら、ローグさんに毎日、剣と弓矢の訓練をさせられたと笑顔で答えてくれた。自分たちのように兵士になれるからと毎日言われていたと嬉しそうに話してくれたんだ。

 どうやら、この町で一番人気の就職先はうちの兵士になることのようだな。カイル兄さんに剣の訓練はお願いすればいいな、朝の訓練に参加させるだけでもかなり違うはずだ。今すぐには無理だけど騎士学校も考えようかな。

 全員に採用すると伝えると、大喜びしていた。早速、荷物のチェックの方法を教え始めたのには驚かされたよ。この分なら直ぐに戦力になってくれそうだよね。

 邪神教の自爆テロが起きたことも説明し、危険な仕事であることも再度伝えておいたが、誰も辞退するようなことはなかった。

 念のため、レックスにもテロについて念話はしておいたが、爆発の意味が伝わらなかったのか、真面目に取り合ってはくれなかったよ。

 ハイルーン町の警備については、お父様とカイル兄さんに任せることにした。荷物や人のチェックは十人組に任せることにする。マスクや大沼ガエルのゴム手袋を支給し、必ず着用するように説明しておいたんだ。何か疑問や問題があったら相談するように伝えておいたからね。

 王城に飛んで来たが、王都の街を巡回する兵の数が増えているようだな。うちと同じように警備を強化しているのだろう。

 国王陛下にお披露目パレードを延期するように進言すると、メダリオン王国と他国との検問も強化したから大丈夫だとかなり抵抗されたんだ。でも、粘り強く危険性を説明すると、しぶしぶではあったが納得してもらえた。アルテミシア様も悲しそうにしていたが、邪神教徒を捕まえてからなら、安心してできますからと説明したら、すんなりと理解してくれた。

 製塩所の視察と言う名の温泉旅行についても、延期するように言っておいた。お披露目パレードの延期よりも国王陛下の抵抗が激しくて疲れたな。「今は気を引き締めて邪神教の撲滅を目指さなければなりません」と言ってなんとか納得してもらったんだ。メダリオン王家は全員で来るつもりのようで、王妃様の落胆ぶりが一番すごかったな。

 キャスペル殿下の姿が見えないので、アルテミシア様に聞いてみたら、邪神教の捜査に参加していると言われた。キャスペル殿下らしいのではあるが、王太子が最前線に立つのはどうなんだろうか? 自爆される可能性もあるんだから警護する側はかなり神経を使っていそうだよね。

 王城の書庫に保管されている過去の記録も確認させてもらった。当時の状況や病状、対処方法や治療方法なども読んでおきたかったんだ。

 国王陛下の名前でグラン帝国やアスラダ国にも注意喚起してもらうようにお願いしておいた。

 メダリオン王国内では、ブルースライムの浄化施設の設置が急速に進められているんだ。おかげでかなり町街の糞尿の匂いも改善されていると喜んでもらえた。これは流行り病を押さえるために有効なんだ。

 グラン帝国の町街にも、ブルースライムの浄化施設の設置をマシューさんが行っている最中だ。皇帝の後押しがあるから普及のスピードも速いんだ。俺が貰った領地や新しく建設中の帝都には設置済だと聞いているからね。

 ピンクスライムポーションとブルースライムの消毒液を配ろうとしたら、情報が洩れている可能性があると第一騎士団長が言うので、信用のできる人にだけ配ってもらうようにお願いしておいた。

 俺が今できることはこれくらいかな。ベルン公爵の街に男爵のお見舞いに行こう。
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