異世界に転生したけどトラブル体質なので心配です

連載

169.1海塩施設とか色々と作ろう1（海塩・にがり）✔ 2024.1.5修正 文字数 前3,406後1,866分割1/2

　昨日作って冷やしておいたプリンを、朝食にみんなに出したら美味しいと喜んで食べてくれたんだよ。

　お父様とお母様には通常の大きさのプリンを渡したんだけど、サーシャの中くらいのプリンとベスのバケツプリンを羨ましそうに見ていたな。一度、大きめのプリンを作ってあげよう。

　きっと、バケツプリンを食べれば、一度に食べる丁度いい量を実感できるんじゃないかな。俺は普通の大きさのプリンを食べるだけでいいからね。もう少し食べたいところを、グッと我慢するくらいが体の為にもいいと思っているんだよ。

　サーシャに絵本を読んだり話をしたからか、疲れがとれた気がするよ。しっかりと眠ったから、また元気に働くからね。

　俺がいなくても塩を作れるように、実験を兼ねて海に行く予定でいるんだ。時間はかかるだろうけど、魔法は使わないで作ってみたいんだ。

　海水を塩にするための方法は天日干しを採用することにした。燃料は薪にするつもりでいるんだけど、使用量は押さえたいんだよね。全部、薪を使って水分を飛ばしていたら、木が無くなってしまうし、塩の値段を高くしないといけなくなるからね。そうすると、他国から輸入する岩塩の方が安くなって、作ろうとする意欲も無くなってしまう。だから、輸入している岩塩より安く作れて、もうけも出ないといけないんだ。

　できるだけ、安価に塩をつくるため、風車や水車を設置することで働く人も少なくして、人件費を抑えることも考えたよ。それに海水を汲み上げるのは重労働になるから、それも軽減できるからね。

　製造工程だけど、海水を風車で汲み上げて、上から流して空気に触れさせながら水分を飛ばし、下に溜まった海水を風車で汲み上げる。これを繰り返すと塩分濃度が上がっていくんだ。ある程度濃度が高くなった海水を集めて、薪を使って煮詰めることで水分を飛ばしてやれば、ミネラルが豊富な塩になるはずだ。

　不純物は風車で汲み上げて流す度に、ろ過できるようにしよう。まずは小規模な施設を作って試してみてからだね。上手くいくようなら大きな施設を造ればいい。

　もう一つ課題があるんだ。海岸までハイルーン村から馬車で五日は掛かることになるから、王都までだと十一日必要になる。この輸送費も高くなる原因になりそうなんだよね。やっぱり帆船でポート港に運ぶのが一番の解決策な気がする、船着き場を作ろうかな？

　まだ、実験段階だけど天日干し用の塩田は土魔法で完成させたからね。風車の完成まではもう少し日数が必要になりそうだな。

　先ずは無人で稼働させてみて、海水の濃縮とかを毎日確認すればいい、ここまでなら飛んで来れば直ぐだからね。

　前世と海水のしょっぱさは変わらないから、海水十リットルから二百五十グラムほどの塩が取れるんじゃないかな。

　にがりが作れるかも試さないとだな。こっちはお豆腐が早く作りたいから魔法を使うよ。

　海水を水魔法で半分になるまで脱水したら、火と風の魔法で加熱していくよ。

　海水が十分の一になると、ほら、白く濁ってきた。これが硫酸カルシウムだから布でこして取り除くよ。
　
　残った液体を更に加熱していくと塩水が沸騰して白く析出して、シャーベット状の塩が見えてきたね。水分が残ってドロドロとしているうちに、ろ過すると塩とにがりの完成だ。火傷しないように注意しないと、見た目以上に高温になっているからね。

　最後まで煮詰めないで、ここで止めておくよ。これ以上加熱すると硫酸カルシウムが焦げたりこびり付いたりするから、後片付けが大変になるんだよね。これって、何で読んだんだっけな？　まあいいか。

　にがりの主な成分は硫酸マグネシウムで、これは体を温めたりする温浴効果もあるから、入浴剤にも含まれているんだ。そうそう、冬用の入浴剤には含有量を多めにしてあるって、何に書いてあったんだっけな？ 
　
　にがりと言えば、豆腐を作る時に使うのを思い浮かべるんじゃないかな。ちょっとだけ、スプーンで舐めてみよう。

「苦い！！」

　結果は分かっていたけど、舐めるとものすごく苦いんだよ。

　このにがりだけど、料理に少量を加えるとミネラルが健康によくて、食材のもつ旨味や甘味を引き出すんだって。ご飯をふっくらと炊き上げる効果もあるんだって、お米を見つけたらやりたいよね。あとね、煮崩れを防止したり味をしみ込ませるなどの効果もあるんだって。料理の本に書いてあったんだっけな？

　今日の実験は大成功だったな。塩とにがりと、副産物で硫酸カルシウムが作れた。帰ったらまず、お豆腐を作ってみよう。硫酸カルシウムは希釈すれば肥料に使えるんじゃなかったかな。こっちも実験が必要だな。